無帰還広帯域真空管アンプ(製作編41)

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製作編41

完成したアンプの音を聴いてみます。

音聴き準備

なごり惜しいですが、ボトムシャーシをねじ止めします。その前に各部の写真を撮りました。撮った写真の中でも、製作途中の設計変更で一番影響が大きかった部分は、耐圧保護回路の追加でした。

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でっち上げの回路ですが、最低限の機能(電源投入時の過渡状態の保護)は果たしています。次回採用する場合は、少なくともカウンタ機能を追加して、まだ経験していませんが初段差動真空管故障時に、ヒーター回路がオン、オフ動作を繰り返す事をなくしたいとおもいます。

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まだボンネットは付けません。

試聴1

最初はフルレンジスピーカーで音を聴いてみます。使用スピーカーは、Fostex FE103Enを使った自作のバフレススピーカーです。試聴のシステムは以下のとおりです。

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普段聴いているCDをセットして再生スタートしました。

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最初の音の印象はとにかく音の定位がいいです。普段はマルチアンプシステムで音を聴いているので、これはアンプによるところではないとおもいます。もともとFE103シリーズは、明るく元気な音調のユニットだとおもいますが、その印象がいい感じに聴きとれます。

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何枚かのCDを交換しながら聴きましたが、思いの外低音もいい感じで鳴っています。終段に採用したチョークインプット電源の効果でしょうか?FE103は小型スピーカーながら音圧レベルが比較的高い為、出力1Wに満たないこのアンプでも十分楽しめるレベルで音楽を鳴らす事ができました。一頻り音楽を楽しんだので、次はマルチアンプツイーター駆動用アンプとして音を聴いてみます。

試聴2準備

まずは現状のシステム構成で音楽を聴いて現システムの音を記憶しました。続いてHigh-ch用のアンプを入れ替えますが、マルチアンプシステムに組み込む為には、Lo/Mid/Higチャンネル間のレベルバランスをとる必要があります。

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写真はチャンネルデバイダのレベルバランス用のボリュームで、左がMid-ch、右がHigh-ch用です。歴代の各チャンネル用のアンプゲインの一覧表に、今回製作したアンプのゲインを追加してみました。

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表から現行のアンプとのゲイン差は0.3dBしかないので、そのまま入れ替える事にしました。入れ替え後のマルチアンプシステムのブロック図は以下のとおりです。

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マルチアンプシステムに組み込みに当たって、初めてボンネットを取り付けました。

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試聴2

マルチアンプシステムで音楽を聴くときのいつもの儀式、信号のソース側のユニットから電源を入れていきます。電源オンしてしばらく安定待ちをしてから再生をスタートさせました。最初は女性ボーカルとピアノのシンプルな楽曲ですが、女性ボーカルの声が前に出る印象です。別のCDに入れ替えたところ、中音域の音が厚く大きく感じました。CD帯域内のレベルにはほとんど差はないものの、位相特性の違いが音の印象の違いとして感じられているのではないでしょうか?今週末は、土曜にフルレンジシステムで、日曜にマルチアンプシステムで音楽をゆっくり聴きました。久しぶりに全く製作はしませんでしたが有意義な週末を過ごす事ができました。

完成写真

せっかくなので、何枚か完成写真を掲載します。はじめはシャーシ全景です。

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内側の2本の真空管が初段差動入力用で、その外側がSRPP真空管です。フロントの小さなトランス形状のものがチョークコイルです。続いてリアビューです。

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こちらはいつもの製作と代わり映えしません。真空管が点火するとこんな感じです。

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次回からは何回かに分けて本製作のまとめを行います。

 

つづく(まとめ編1)