EL34シングルアンプ性能改善(製作編1)

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製作編1

最初に現状の音を聴いて、その後改造に入ります。

現状音聴き

改造前に現状の音を聴いて印象を記憶します。今回組み合わせるスピーカーは、Fostexの16cmフルレンジスピーカーFF-165WKをFostexのバスレフエンクロージャBK-165WKに取り付けたものです。

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Fostex FF-165WKは16cmフルレンジユニットで、NS-1000Mをマルチアンプ用に改造してしまった為、アンプ単体の音聴き用に使っています。出力音圧レベルは92dB/W大きく、小出力のアンプでも十分な音量で楽しめます。BK-165WKは、このユニットの推奨エンクロージャボックスです。試聴システムは以下のとおりです。

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久しぶりにこのシングルアンプの音を聴きましたが、思いの外朗々と鳴ります。

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高域の特性がだだ下がりな事がわかっているた為か、プラシーボ効果も加わって、ボーカルの張り出しが弱い印象を受けました。これが今回の改造でどのように変化するか楽しみです。

改造

ボンネットの天板に保護用のダンボールを貼り付けて、逆さまに置きます。

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次にボトムカバーを取り外します。

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私にとって真空管アンプ2台目の製作の為、最近製作のアンプに比べて配線が雑です。今でこそ、半年以上の長期間の製作は苦になりませんが、製作再開間もない頃は、製作を楽しむ事よりも、早く結果を確認したい気持ちが上回り、連続した長時間の製作を行ってしまい、その結果雑な配線を行ってしまう悪循環をしていた感じがします。今回の主な改造内容は、終段真空管1本の削除です。

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動作時の放熱を考慮して外側の真空管を残し、内側の真空管を削除する事にします。配線は残しておいても動作しますが、特性への影響を考慮して不要な配線は削除する事にしました。電源配線、バイアス調整用配線、入力配線、GND配線を取り外しました。

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写真には、カソードの信号バイパス用コンデンサ特性改善用のフィルムコンデンサが残っています。カソード抵抗は設計上180Ω/3Wとしましたが、秋月電子には1W品の在庫しかありませんでした。仕方がないので、現状の430Ω抵抗を2本取り外すため、これを並列接続して、さらに1.2kΩ(1/4W)品を並列接続して代用しました。

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合成抵抗値は以下のとおりです。

1 / (1/430 + 1/430 + 1/1200) = 182Ω

この合成抵抗に流れる電流値は70mAなので両端電圧は以下となります。

182 x 0.07 = 12.8V

従って1.2kΩの消費電力は以下のとおりです。

12.8 x 12.8 / 1200 = 0.137W

この抵抗のディレーテッィングは約55%となり問題ないレベルです。最後にカソード抵抗のバイパス用の電解コンデンサを交換します。現状はニチコンFG_100uF/50V品が取り付けられています。それをニチコンFG_470uF/50Vに交換します。

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これで改造は完了です。

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通電と調整

最初に通電確認を行います。終段真空管のみ外した状態で確認を行うと電源の消費電流が下がり、電源電圧が上がるため念のため初段真空管も外して各部電圧の確認を行いました。特に問題ありませんでした。この状態で終段のバイアス電流調整の事前準備を行います。終段真空管のグリッド用端子電圧を確認しながら、バイアス調整用ボリュームを回して、最低電圧(-5V)にプリセットしました。終段のバイアス電流を下げた状態から調整するための準備です。真空管を取り付けて終段のバイアス電流調整を行います。調整は終段真空管のカソード電圧をモニタして行います。チップジャックにテスターのリードチップを差し込んで準備完了です。

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調整用ボリュームは両チャンネルともに外側の半固定抵抗で、内側はどちらもダミーとなりました。両チャンネルともに12.5Vに調整しました。

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これで調整は完了です。次回は周波数特性の測定を行い、改造完了したアンプの音聴きをします。

 

つづく(製作編2)