まとめ編
改造が完了したアンプの音を聴き、今回の改善のまとめを行います。
音聴き
前回の音聴きからの変更点は下記の2点です。
・初段真空管変更(12AX7→12AY7)
・終段バイパスコンデンサ容量変更(470uF→1000uF)
試聴に使ったのスピーカーは前回の音聴きと同様にFostexの16cmフルレンジスピーカーFF165WKです。
前回の改造品の音聴きから1週間経過していた為、正直なところ音の変化はよくわかりませんでした。このシステムで一日音楽を楽しみ、環境をマルチアンプシステムに戻しましたが、ボーカル曲はフルレンジシステムの方が良いように感じました。具体的には、声が生き生きと飛び出してくる印象です。これはアンプの改善とは関係はないとおもいます。マルチアンプシステムのウーハーchとスコーカーchのクロスオーバー周波数が声の基音周波数内にある事に起因しているのでしょうか?フルレンジスピーカーにスーパーウーハーとスーパーツイーターを加えたマルチアンプシステムをいつか試してみたいと思いました。
改善のまとめ
今回は2回に分けて改善をおこないましたが簡単にまとめを行います。
■オリジナル
終段をデュアルシングル構成としていました。
初段と終段のロードラインは以下のとおりです。
■改善1
終段を単純なシングル構成としました。終段のバイアス回路を見直して出力をほぼ維持させました。
終段のロードラインは以下のとおりです。
■改善2
さらに特性改善をめざして初段真空管を12AX7から12AY7に変更しました。
初段のロードラインは以下のとおりです。
ゲイン
各段のゲインの試算値と実測値は以下のとおりです。
改善2でトータルゲインが約6dB下がってしまったので、マルチアンプシステムのスコーカーチャンネルに使えなくなってしまいましたが、気にしない事にします。
周波数特性の測定
オリジナル、改善1、改善2ともにほぼ同条件で周波数特性の測定を行いました。
上がLchで、下がRchです。高域特性は試算したほど改善できませんでしたが、プッシュプルアンプとの比較試聴でディスアドバンテージとなる程悪くはありません。一方低域特性は悪化しました。出力トランスの駆動インピーダンスが上がった事で、出力トランスの特性の影響を受けたと考えられます。この低域特性の悪化に関しては試聴した結果から、それほど大きな影響はない印象でした。いいとこ取りをするためには、初段SRPP方式+終段デュアルシングル構成とすればどちらの特性も改善できると考えられます。
音の印象
高域の特性改善については効果が十分聴きとれました。フルレンジスピーカーと組み合わせた無帰還シングルアンプは、まさしく真空管アンプの音で特にボーカル楽曲との相性は良かったです。プッシュプルアンプとの比較試聴も改めて行いましたが、両アンプの構成の音の特徴を感じる事ができました。
まとめのまとめ
今回の製作ではほとんどお金をかけずに十分楽しむ事ができました。久しぶりに聴いたフルレンジスピーカーの音が良かったので、ときどき引っぱり出して聴いてみたいとおもいます。今回のテーマには新見がありませんでしたが、おつきあいいただきありがとうございました。
おわり(まとめ編)