Hi-ch用トランジスタアンプ製作(構想編)

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構想編

Hi-ch用トランジスタアンプの製作構想をします。

構想開始の背景

久しくトランジスタアンプを製作していなかった為、作ってみたくなりました。直近で無帰還真空管アンプをHi-ch用に2台つくりましたが、高域の特性面では帰還前提のトランジスタアンプの方が圧倒的に良くなります。この特性の差が音に対してどのような影響があるか興味が沸いてきました。また、現行のLow-ch用のDCアンプの電源改良時にアンプのケースを作り直した為にアンプのケースが余っている事も製作の動機になりました。

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ケースはタカチのHY133-23-23SSです。組立時の外観は以下のとおりです。

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アンプ回路

ベースは、Low-ch用のBTL方式のDCアンプの回路とします。このアンプは、ウーハーの駆動力を意識して設計しましたが、Hi-ch用では駆動力よりも素の特性を重視したいと考えています。Hi-ch用アンプにDCアンプを使う事に違和感があるかもしれませんが、ツィーター接続時に保護用にフィルムコンデンサを直列に接続するつもりです。真空管アンプの場合は、出力トランスによってDCがカットされるので、保護用のフィルムコンデンサは入れていませんでした。下図が現行のLow-ch用アンプの回路図です。

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入力はデュアルのJ-FET差動方式で使用し、カスコード方式の差動アンプとして、初段のミラー容量による高域特性の劣化を防いでいます。2段目は、単純な差動アンプでドライバのバイアス設定回路をトランジスタで構成しています。終段はパラレルコンプリメンタリ構成にして、ウーハーの駆動力アップをねらいました。この回路をベースに設計編で具体的な回路設計を行います。

電源回路

電源回路もLow-ch用BTL方式のDCアンプの回路とします。このアンプはうなりの対策の為、運用途中で電源トランスを別筐体に移す改造を行いました。下の回路図は改造前後のものです。

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両者の違いは、終段用の電源トランスと、電圧増幅段用の電源回路です。オリジナルの電源トランス(東栄変成器J-125 12V/5A)は、汎用のもので価格は安いのですがうなりに悩まされました。

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改造後は別筐体とする事で、設置場所の工夫ができる事と、終段の電源トランスをさらに大容量化(東栄変成器J-1220 12V/20A)した事に伴い、うなりに強い構造のもになりました。

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この改造によりうなりはだいぶ押さえる事ができました。今回は駆動力の追求よりもうなりを重視して、電源トランスを採用したいと考えています。電圧増幅段の電源は当初、アクティブな動作を敬遠してトランジスタを利用したリップルフィルタ方式としましたが、その後の電源の検討の中で、安定化電源の方が好みの音がでる事を確認しました。現状は、オペアンプを誤差アンプとした電源としていますが、今回は実装スペースを考慮して三端子レギュレータを採用したいと考えています。

その他設計上の考慮点

オリジナルのLow-ch用アンプは、実装スペースぎりぎりにトランスや基板を詰め込んだ為、配線がやりにくく、その結果見た目もあまりよくありませんでした。

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今回は、余裕をもった実装を念頭に設計を行う予定です。次回は上記の方針を考慮して具体的な設計を行います。

 

つづく(設計編1)