Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編8)

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製作編8

アンプ回路の2段目の実装を行います。

アンプ回路2段目

改めて回路図を掲載します。初段の実装で在庫の関係で抵抗値を変更しましたが、回路図反映済みです。

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実装前に、簡単に解説します。2段目は単純な差動アンプに、ドライバ段のバイアス電流を決める定電圧回路を組み込んでいます。定電圧回路を構成するトランジスタは、基板上には実装せずに終段のトランジスタ脇のヒートシンク上に取り付けて、終段の温度上昇に伴う熱暴走を防止するための補償回路となります。バイアス回路と反対側は、差動アンプのトランジスタのVceのバランスをとるために、小信号用スイッチングダイオードを4個直列に入れてます。どの程度の効果があるかわからないので、気休めくらいに考えています。

2段目実装開始

2段目実装のイメージをつかむ為に、1段目実装済みの基板のハンダ面を眺めていたところ、実装上の不都合が見つかりました。具体的には初段のカスコード回路のベース電位を決めるバイアス電流用の抵抗の配線です。1段目の負荷抵抗と2段目を遮るように+電源ラインへ配線されていました。後の事を考えて手間はかかりますが、配線をやりなおしました。

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左がオリジナルで、右は修正後の配線です。基板の下端の配線が+電源ラインで、左の基板の左下の縦の配線が2段目への配線を妨げになります。右の基板はバイアス用抵抗の実装を変更して縦のラインを電源端子台側に移動しました。これで1段目出力と2段目のベース入力の配線を格段にシンプルにできます。最初に適当な位置に2段目の電流を調整する半固定抵抗を取り付けます。続いて差動動作をするトランジスタを取り付けますが、hfe測定結果からペア選別を行いました。選別結果は以下のとおりです。

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これもhfeの大きい物からペア選別しました。トランジスタの実装配置は、内側にエミッタが対向するようにしました。

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次は1段目出力と2段目入力のトランジスタのベース間の配線を行います。上記の修正により、シンプルに配線できました。

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続いてトランジスタ印加電圧のバランスをとるためのダイオードを取り付けます。せっかく新たに購入したマルチテスタにダイオード測定モードがあるので、最初の基板に実装する4本の測定をしてみました。ファンクションをダイオード測定モートにして赤のリードをアノードに、黒のリードをカソードに付けるだけです。これで簡単に順電圧Vfの測定ができます。取説をみると、電流1mAを流した状態でダイオードの両端電圧を測定している事がわかりました。

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写真は測定用にワニ口クリップ電線を使っているため、数値がやや大きく表示されています。4本の測定結果は以下のとおりです。

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設計上0.6Vとしていますが、やや小さな値となっていました。基板実装スペースに余裕があったので、通常のリード部品の取り付け方法で実装しました。同時に差動アンプの負荷抵抗も取り付けています。

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2段目最後は差動アンプ出力側の部品実装です。取り付ける部品は、定電圧回路トランジスタ接続用の3極の端子台と半固定抵抗およびベースコレクタ間の抵抗と、差動アンプの負荷抵抗です。最初にトランジスタ接続用の3極の端子台の実装位置を決めて、それに合わせて、他の部品を実装していきました。端子台の位置は電線配線時の作業性を考慮して、できる限り基板取り付け時に上側となるように配置しました。ここでも定電圧回路用の3.3kΩの抵抗在庫がなく、3kΩに変更しました。回路図は別途修正します。

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ここまで、ハンダ面に被覆電線を使用せずに済み、いい感じで実装が進んでいるとおもいます。次回は、ドライバ段の実装および温度補償用のトランジスタモジュール基板を作成します。

 

つづく(製作編9)