Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編16)

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製作編16

前回の記事で紹介した電源接続ジグを使ってアンプユニットの通電および動作確認を行います。

確認環境準備

電源は前回の記事で紹介した電源接続ジグを使ってユニバーサル電源から供給します。ドライバ段と終段の設計上の電源電圧は+/-9.6Vですが、ユニバーサル電源の仕様上+/-6.15Vとしました。電圧増幅段は設計値どおりユニバーサル電源から+/-15Vを供給します。動作確認用に発振器と出力波形モニタ用にオシロスコープも準備しました。初めに前回作成の電源接続ジグを使って終段とドライバ段の電源配線を行いました。

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わりとすっきり配線できました。もう1チャンネル分余裕があるので後々使えそうです。続いて電圧増幅段の電源配線も行いました。

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電源配線ジグのおかげでトータル3系統の電源配線はすっきりできました。

通電確認

電源オンして調整を始めます。基板単体の動作確認後、終段のバイアス電流設定用のボリュームを絞っていたので、終段の電流の調整から始めます。オシロに接続した出力のオフセット値を確認しながら、終段バイアス電流調整用の半固定抵抗を回します。改めて回路図を参考に掲載します。

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終段の電流値は、ユニバーサル電源の電流表示を確認します。一旦0.48A程度まで上げて様子を見たところ、電流値が徐々に上がっていきます。終段の温度上昇による電流の増加です。しばらく調整を続けたところ比較的安定してきたので、VR1で出力オフセットを調整後に、2段目の差動アンプのバランス調整をします。ドライバ段の出力をとっている側は、終段のバイアス電流値がほぼ設計値、出力オフセットを0調整したので、所定の電流値になっています。反対側のコレクタ電流が設計値となるように、VR2を回して調整を行います。確認は負荷抵抗のドロップ電圧で行います。

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しばらく上記の調整を繰り返しながら安定を待ちました。調整時の終段の消費電力は、約5.8W(6.15 x 2 x 0.47)です。本来は約9.0W(9.6 x 2 x 0.47)なので最終状態の約64%の発熱です。この為か、長時間電源オンしてもヒートシンクがほんのり暖まる程度でした。正規の電源と組み合わせた状態で再調整が必要です。現時点の調整後の各部電圧は以下のとおりです。

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結果を見ると初段の電圧は、ほぼ設計値どおりでしたが、初段のFETのソース電位が予想よりも小さくなっていました。2段目の電圧値は終段のバイアス電流を合わせる為に微妙にずれています。2段目は差動アンプの電流バランスがとれれば問題ありません。最後に追加したVceのバランスをとるためのダイオードは入れなかった方が良かったとおもいます。ケース組み込み前にショートさせるか決めたいとおもいます。終段はVbが想定よりもやや大きく、ドライバ段のベース電位も設計値よりも大きめになっていました。全体的にはいい感じになっているとおもいます。

動作確認

基板単体時と同様に正弦波を入力して出力波形を確認しました。まずは1KHzを入力します。その時の出力波形は以下のとおりです。

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出力の振幅は2.4ppです。この状態で入力信号の周波数を上げていき、出力の振幅が-3dB(1.7Vpp)となる周波数を確認してみました。

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上記がそのポイントで、周波数は4.2MHzでした。それまでピークもなく素直な特性です。High ch用アンプとは言え、無駄に広帯域な特性です。幸先のいいスタートが切れました。次回は残り3枚の通電および動作確認を行います。

 

つづく(製作編17)