Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編25)

f:id:torusanada98:20211207072747j:plain

製作編25

アンプが完成したので、負荷接続状態で周波数特性の測定を行います。

周波数特性の測定環境

簡単に測定システムを紹介します。発信器の出力をバランス変換ユニットに入力し、その出力を今回製作したアンプに入力します。ゲインの測定は、入力と出力をそれぞれオシロスコープで観測して波高値の比較により算出します。測定はHotとCold系アンプ単独で行いました。入力レベルは200mVppです。

f:id:torusanada98:20211207072811j:plain

f:id:torusanada98:20211207072828j:plain

上の写真が、発信器とバランス変換ユニットです。場所がないのでテーブルの下に設置しています。下の写真はオシロスコープで入出力波形を観測しているところです。負荷は以前に作成したダミー抵抗(8Ω)を接続しました。バランス入力、バランス出力しているので、アンプ単体から見た負荷抵抗は4Ω相当となります。抵抗の許容損失が大きくないので、今回の測定の設定値が限界だとおもいます。

f:id:torusanada98:20211207072850j:plain

測定を始めたところ、従来の測定では経験のないノイズが発生し、原因の特定をしました。

f:id:torusanada98:20211207072911j:plain

黄色の波形が入力信号ですが、ノイズが乗っています。発信器とバランス変換ユニットを確認しましたが、問題ありませんでした。つい最近作業テーブル用のLEDスタンドを買い換えた事を思いだし、スイッチを切ってみました。

f:id:torusanada98:20211207072933j:plain

f:id:torusanada98:20211207072950j:plain

上がスタンドの写真ですが、スイッチオフでノイズは見事にきえました。前に使っていたLEDスタンドは、充電式で点灯時にはバッテリー駆動となっていて、バッテリーの寿命の為点灯時間が短くなってしまったので、新規購入しました。このスタンドは5段階の調光機能があり、ためしにMaxにしてみたところノイズが消えました。

f:id:torusanada98:20211207073010j:plain

測定時はスイッチオフか明るさMaxで行う事にします。安物にはそれなりにリスクがあると改めて認識しました。

初段FETソース電位観測

出鼻をくじかれてしまいましたが、気を取り直して測定を開始します。前の記事で信号入力時の初段FETのソース電位の確認をする事にしていましたので波形観測をしてみました。入力信号は1KHz 200mVppです。

f:id:torusanada98:20211207073030j:plain

黄色が入力波形で、青がソース電位です。ソース電位の平均値は170mVですが、入力信号と同様に変化してVgsはほぼ170mVに保たれています。従って今回の設計ではIdss=2mA以上のFETであれば問題なく使用できると言えます。

周波数特性の測定

本題の周波数特性の測定を開始しますが、最初にアンプ2のHot(2-L)から測定しました。下記が入出力波形です。

f:id:torusanada98:20211207073050j:plain

f:id:torusanada98:20211207073059j:plain

f:id:torusanada98:20211207073108j:plain

写真上から1KHz, 100KHz, 1MHz入力時の波形です。1MHz時の出力波形はやや位相がずれていますが、特に問題はありません。波高値の比較からゲインはほぼ20dBです。同様にCold(2-R)の測定も行いました。結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20211207073133p:plain

cold(2-R)側のアンプで600KHz以上でややゲインが下がっています。同様にアンプ1の周波数特性の測定も行いました。結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20211207073153p:plain

このアンプはHot(1-L)側の高域でゲインが下がり、Cold(2-R)側の高域でゲインが上がっています。BTL出力で考えると、高域でややゲインが下がる状態と言えます。CDの再生を考えると、CDの出力帯域以上フラットなゲインを持つ意味は位相特性の確保です。結果は十分広帯域なので問題にはならないとおもいます。次回は各アンプのカットオフ周波数を測定して、フルレンジスピーカーと組み合わせて音を聴いてみたいとおもいます。

 

つづく(製作編26)