製作編26
各アンプの負荷状態のカットオフ周波数を確認して、フルレンジスピーカーを使って音を聴いてみます。
カットオフ周波数確認
前回行った周波数測定環境を使って、ゲインが-3dBダウンとなる周波数を観測しました。1KHzの出力波形は2Vppとしているので、出力レベルは1.41Vpp(2/SQR2)となる周波数を見つけます。この帯域になると、バランス変換ユニットの周波数特性も怪しくなるため、周波数を変更したら同時にアンプの入力レベルも合わせ直す必要があります。4つの観測結果の中から、一番カットオフ周波数が高かった結果と低かった結果を掲載します。
上はアンプ2のColdチャンネルでカットオフ周波数は4.7MHzです。下はアンプ2のHotチャンネルで1.2MHzでした。4つのアンプユニットのカットオフ周波数をまとめます。
アンプ1のカットオフ周波数は安定しています。この結果は周波数特性の測定結果を整合していないように見えます。あらためて検証が必要です。
音聴き準備
まずはフルレンジスピーカーで音を聴いてみます。使用するスピーカーはFostexの16cmフルレンジスピーカーFF165WKを専用のバスレフエンクロージャーに納めたものです。久々に引っ張りだしました。
NS-1000Mの上に横置きしています。低音再生は不利な設置状態です。再生環境はCDの同軸デジタル信号をいつも使っている自作のDACユニットでバランス出力して、それをバランスボリュームユニットを介してアンプに信号入力します。さっそく音出しをしたところ、変!左右の位相が逆です。またやらかしてしまったかと思い、アンプを確認してみましたが、おかしなところはありません。まさかと思いつつ、新規購入したスピーカーケーブルを確認したところ、こいつが原因でした。
アマゾンで購入したものですが、ケーブルの両端で+ーが逆になっていました。不良が軽微なので修理することにします。幸い大径の黒の熱収縮チューブ在庫があったので、もう一本のケーブルに合わせて間違って赤の熱収縮チューブが被せてあった部分を黒のチューブに変更しました。
状態としてはまぎらわしいですが、これで接続間違いはなくす事ができます。
音聴き
気を取り直して音聴きを始めます。
初めに数枚のCDを聴いてからアンプ3台の比較試聴をしました。比較に使ったアンプは、現状ウーハーチャンネルに使っているトランジスタアンプと、スコーカーチャンネルに使っている真空管アンプです。
ウーハーチャンネルアンプは、別筐体の大容量トランスユニットが特徴で、回路構成はほぼ共通ですが、終段がパラレルプッシュプルとなっています。スコーカーチャンネルアンプは、EL34を使ったプッシュプル構成で無帰還方式としています。使ったディスクは、ボーカルものとして井筒香奈恵の時代から時代を。
またいつも聴いているボブジェームのBJ2の1曲目「Take Me to the Mardi Gras」です。
それでは、それぞれのアンプの音の印象を箇条書きしてみます。今回製作のアンプの音の印象には、比較試聴前に数枚聴いたCDの音の印象も加えています。
■今回製作のアンプ
・録音の善し悪しがわかりやすい
・アタック音が明快
・音に奥行きが感じられ、定位がいい
■ウーハーチャンネル用アンプ
・上記アンプの音と比較してマイルドな印象
・このスピーカーを鳴らす限りでは駆動力の差は感じられない
・音の余韻がきれい
・ピアノの音に暖かみが感じられる
■スコーカーチャンネル用アンプ
・とにかく音が前にでる
・女性ボーカルがよりハスキーに聴こえる
・アタック音が自然
アンプの音の聴き比べは本当に楽しいです。音に違いは感じられても、その違いを言葉で表現する事は私にとってとても難しいです。次回はマルチアンプシステムに組み込んで音を聴いてみます。
つづく(製作編27)