Hi-ch用トランジスタアンプ製作(製作編27)

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製作編27

完成したアンプをマルチアンプシステムに組み込んで音を聴く準備をします。

マルチアンプシステム組み込み

私のマルチアンプシステムは、ヤマハのNS-1000Mを改造したスピーカーを前提に構築しています。現状のシステムのブロック図は以下となります。

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このシステム中のツイーターチャンネル用アンプを今回製作したアンプに入れ替えます。現行のHi-ch用アンプを簡単に紹介します。

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初段は出力のインピーダンスを下げる為に、SRPP(シャントレギュレーティッドプッシュプル)構成としています。真空管の耐圧の関係からヒーター回路のオン制御を簡単なロジック回路で行っています。終段は6N6Pのプッシュプル構成です。無帰還アンプの為高域のカットオフ周波数は100KHz強というところです。下記が周波数特性です。

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このアンプ入れ替え後のブロック図は以下となります。

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今回のアンプの入れ替えによってカットオフ周波数が大ざっぱに言うと100KHから1MHzに上がります。この効果を簡単に試算してみました。下記はカットオフ周波数100KHzと1MHzの一次LPFのボード線図です。ネット上に公開されている大川電子様のツールを利用させていただきました。

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上がfc=100KHz, 下がfc=1MHz時のボード線図です。図中の6KHzのラインはツイーター用のHPFのカットオフ周波数です。CD帯域上限の20KHzの位相遅れ特性を比較してみます。fc=100KHz時が約-10°、fc=1MHz時はほぼゼロです。この違いが聴き取れるかわかりませんが、興味がそそられます。

組み込み準備

現行のHi-ch用アンプは出力トランスによりDCオフセットが出力される心配はありません。完成したトランジスタアンプはDCアンプの為、小さく調整したとは言えDCオフセット出力が存在します。ウーハーユニットとは異なりツイーターはDCオフセット信号が想定されていません。あまり入れたくはありませんが、ユニットを保護する為にDCカット用にフィルムコンデンサをスピーカーと直列に接続します。このフィルムコンデンサとスピーカーユニットで一次のHPFが構成されます。このユニットが受け持つ帯域は6KHz以上の為、HPFのカットオフ周波数は余裕を見て600Hz程度にしたいとおもいます。この場合のフィルムコンデンサ容量Cは以下のとおり算出できます。

C = 1 /(2πx 600 x 8) = 33uF

式中の8はユニットのインピーダンスです。ネットでいろいろ調べ、価格も含めてJamtzen AudioのCROSS=CAP 27uF品を選定しました。コイズミ無線で1個1,423円(税込)でした。届いた部品を見てその大きさに驚きました。(本記事のアイキャッチ写真参照)コンデンサは、アンプに組み込む事も考えましたがアンプの使い回しを考えると使い勝手が良くありません。よってツイーター専用にスピーカーケーブルを作ることにしました。ケーブルのHot側にコンデンサを接続します。使い勝手を考慮して、ターミナルから約10cmの位置に接続する事にしました。まずはHot側の端子をカットしてコンデンサに接続します。

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熱収縮チューブはアマゾンで各種太さがセットされた物を購入していたのでマッチした径のものを被せています。次に反対側も同様に接続しました。

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最後にインシュロックで固定したら完成です。

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同様にもう1本も加工しました。これでマルチアンプシステムへの組み込みの準備は完了です。次回はアンプをマルチアンプシステムに組み込んで音を聴いてみます。

 

つづく(まとめ編1)