12chアッテネータ2検討(設計編4)

設計編4

予定を変更して、設計編4として電源の設計を行います。

電源概要

最後に残った電源の設計を行います。アナログとデジタル系を私の標準基板1枚に納める前提で設計します。初めに本製作で必要な電源を整理します。

1)バッファアンプ用電源+/-12V約60mA

2)arduino UNO用電源+12V約100mA

3)ミュートリレー用電源+12V約80mA

4)電源ランプ用電源+12V約10mA

5)モータードライバ用電源+6V約300mA

6)OLED表示パネル用電源+3.3V約50mA

基本はアナログとデジタルでトランスも含めて別電源構成とします。上記を1枚の基板に収めるためには、実装効率を上げる必要があるので、全て3端子レギュレータを使った安定化電源とします。

アナログ用電源の設計

最初にトランスを選定します。トランスの二次電圧を決めるために、使用する三端子レギュレータの特性の確認を行います。最初に+12V用のレギュレータを確認します。いつも使用しているNJM7812FAのデータシートを確認しました。下記はVin-Vout特性の抜粋です。

そのものずばりの特性はありませんでしたが、Vout + 2V程度で動作するようです。次に-12V用レギュレータを確認します。NJM7912FAですが、残念ながら秋月電子での取り扱いがありませんでした。昨今の部品調達難の影響でしょうか?幸い個人在庫があったため、それを使用します。同様にデータシートを確認してみました。

マイナス電源ICの方がやや優秀ですが、こちらもVout +2Vの電圧で動作します。次に電源トランスを選定します。いつも利用している共立エレショップでトロイダルトランスのラインナップを確認しました。少し贅沢ですが、12V/500mA x2のHDB-12(L)を選定しました。

このトランスの二次巻線出力のピーク電圧は約16.8V(12x1.4)です。これをブリッジダイオードSDI2100で整流します。このブリッジダイオードですが、ショットキーバリアダイオードを使用していますが、順電圧特性は0.84Vです。そうすると三端子レギュレータへの入力電圧は約16V(16.8-0.84)で、14Vに対して若干の余裕があります。これをベースに回路図を起こしてみました。

平滑用電解コンデンサニチコンのオーディオ用電解コンデンサKW 3300uF/50Vを選定しました。出力用電解コンデンサは、ニチコンのオーディオ用電解コンデンサFG 100uF/25Vとしています。尚、この構成の三端子レギュレータ1個あたりのの損失は0.16W(2V x 0.08A)となり、放熱器は不要と判断しました。

デジタル系電源の設計

残りの電源を電圧別に改めて必要な電流容量を整理します。

・+12V:190mA

・+6V:300mA

・+3.3V:50mA

アナログ用電源と同様に初めにトランスを選定します。アナログ電源用トランス選定時に目を付けていたトランスHDB-25(6.3V)を前提に設計をしてみます。二次巻き線の仕様は、6.3V/1.6A x2巻き線です。

12V系は6.3V巻き線を直列に接続してAC12.6Vを整流します。こちらは巻き線の関係で半波整流としますので、低Vfの整流用ショットキーダイオードを探してみました。1S4を選定しました。逆電圧40V、平均電流1A、ピーク電流30A、順電圧0.5Vです。この構成の半波整流出力は約17V(6.3x2x1.4-0.5)となります。半波整流でも平滑用コンデンサ容量を大きめにすれば問題なさそうです。オーディオ用電源とは逆に損失は大きくなり、0.95W((17-12)x0.19)となりますが、このレベルであれば放熱器は不要と判断しました。次に6V系を検討します。上で二次巻き線を直列にした中点(6.3V)を半波整流します。半波整流出力は約8.3V(6.3x1.4-0.5)です。三端子レギュレータは78M06を使用します。

出力電圧特性はかなり厳しそうですが、6V系はモーター駆動用なのでレギュレーションが多少悪化しても大きな影響はないと判断しました。このレギュレーターの損失は0.69W((8.3-6)x0.3)と放熱器は不要です。最後は3.3V系の設計をします。6V系と同じ半波整流出力を使用し、三端子レギュレータはNJU7223を使用します。レギュレータの入力電圧は全く問題ありません。損失は0.25W((8.3-3.3)x0.05)と問題ありません。上記を回路図に起こしてみました。

次回は電源基板の実装を行います。

 

つづく(製作編31)