製作編43
配線が完了したので、動作確認をして音を聴いてみます。
動作確認
減衰量および、そのばらつきの確認は、バラック状態で実施済みなので、今回は全チャンネルの出力確認のみを行います。初めに出力オフセット電圧を確認しました。確認は、信号未入力状態でミュート解除して、全出力用端子台の出力電圧をマルチテスターで測定しました。電圧値は、各チャンネルでばらつきはありますが、全て1mV以下となっていました。次に正弦波を入力して、出力波形をモニタします。発信器出力をアンバランス-バランス変換ユニットに入力して信号をバランス変換してATT-2に入力しました。
確認はR-ch/Low-chから1つづつ行っていきます。信号として1KHz/1Vppを入力しました。下記はR-ch/Low-ch hot/0dB時の入出力波形です。
入力はそのままで、減衰量をあげていきました。次第に出力波形がノイズが目立ってきました。下記はR-ch/Low-ch hot/-20dB時の入出力波形です。
L-ch/Low-ch hot/-20dB時の波形を確認しましたが、ノイズは乗っていませんでした。ざっと配線を見直しましたが特におかしな点は見つかりません。念のため、オペアンプを予備品と交換してみましたが、症状に変化はありませんでした。改めて配線を見直して見たところ、入力用XLRパネルコネクタと出力用パネルコネクタGND間の抵抗値が約40Ωとなっていました。測定範囲を狭めていったところボリューム出力とバッファ基板の入力端子台GND間に問題がある事がわかりました。入力端子台のGND端子を一度ゆるめて、差し直して締め直しました。
写真上の一番右の3極端子台の真ん中です。締め直しの前後で見た目の違いはありませんでしたが、抵抗値は0Ωとなりました。改めてR-ch/Low-ch hot/-20dBの入出力波形を確認してみます。
出力波形のノイズは消えました。同様に全チャンネルの出力波形を確認しましたが、他には問題はありませんでした。これで確認作業は完了です。
音聴き
最初に現行のアッテネータATT-1で音を聴いて耳を慣らしてから製作したアッテネータATT-2につなぎ替えました。ミュートを解除して減衰量を下げていくと徐々に音が大きくなっていきます。音は、ATT-1に比べて平板な印象です。赤外線リモコンを使った操作は、ATT-1の操作性に比べて格段に良くなりました。録音レベルの大きなCDは一旦ダイレクトに-19dBとしてから、キー操作で-22dB前後に調整します。録音レベルの小さなCDはダイレクトに-10dBとしてから、キー操作で-8dB前後に調整しました。現行のアッテネータATT-1は、リレーの切り替えタイミングのばらつきを考慮して、減衰量変更時に一旦ミュートをかけていましたが、ATT-2では通常のボリューム操作と同じでミュートはかけていません。ボリューム操作時の音への影響も感じられません。今回の製作の目的、アッテネータの操作性の改善は達成できました。
音質改善
ATT-2のバッファ基板にはMUSES8920が搭載されています。MUSES01を搭載する予定でしたが、市場の在庫がなかった為に代替搭載しました。
一方、現行のATT-1のバファ基板にはMUSES01が搭載されています。
ATT-1は予備機となるので、オペアンプの載せ替えを行いました。
音聴き前に念のためオフセット電圧確認を行いました。R-ch/Mid-ch hotのオフセットが約2.6mVとやや大きい事を確認しましたが、Mid-chは真空管アンプの為スピーカーユニットへの影響はないので、音聴きを進める事にしました。MUSES8920時との音の違いの印象は以下のとおりです。
・音はあっさりした印象から艶のある印象に変わった
・低音の持続感がある
プラシーボ効果も含まれていると思われますが、このまま運用する事にします。次回からは本製作のまとめを行います。
つづく(まとめ編1)