オシロFFT活用検討(構想編1)

構想編1

オスロスコープ付属機能FFTの活用について検討します。

オシロスコープFFT機能

私のオシロスコープはOWONブランドのSDS1102です。以前DAC製作の際にダイナミックレンジ測定の為に1度FFT機能を使用した事がありました。その時に、アンチエイリアスフィルタの外付けを行い、同条件(設定)でレベルのみの比較を行いましたが、表示されるレベルの絶対値が理解できていませんでした。今回は絶対値を理解した上で、ハム改善検討用に測定システムを作りたいとおもいます。

SDS1102の仕様

Verticalの仕様は以下のとおりです。

・分解能:8bit(2ch同時)

・感 度:5mV/div(x1設定時最大)

FFTの仕様は以下のとおりです。

・ch1/ch2選択(1chのみ)

・Window選択可(Hamming/Rctangle/Blackman/Hanning/Kalser/Bartlett)

ハム観測用設定

発振器で50Hzを入力してハム観測に適した設定(Time Scale)決めます。条件は以下のとおりです。

・50Hzのピークが容易に観測できる事

・ハムの高調波も観測できる事

・上記条件を満たした上で、サンプリング時間を短くする事

上記条件で決定したTime Scaleは1KS/secです。この時のサンプル時間は10秒でした。

入力信号は50Hz/4Vppの正弦波です。50Hzのレベルが約0dBとなっていますが、入力電圧を調整した結果です。

Vertical仕様の確認

基準信号を100Hz/4Vppの正弦波としてオシロの設定を変更して測定結果を比較してみます。最初は入力信号を変えずに、オシロのプローブ設定をx1からx10に変えてみました。結果は以下のとおりです。

左がx1設定で右がx10設定です。しかし設定変更しても100Hzのピークレベルは変化がありません。波形画面の縦軸が1V/divから10V/divに変わっているにもかかわらずです。ここから推定される仕様は、オシロの設定にかかわらず、FFT画面のレベル表示はオシロの入力レベルにのみ依存するという事になります。これを検証するために、プローブの倍率設定を変更してみました。

左はプローブ倍率x1、オシロプローブ設定がx10で、右はプローブ倍率x10、オシロプローブ設定がx10です。画面上の波形レベルをあわせるために、右は感度を10倍に上げています。この結果右は左に比べて信号の入力レベル1/10となっています。この入力レベルの変化によりFFT画面のピークレベルが約20dBダウンしています。上記の推定仕様どおりの結果となっています。さらに念のためオシロの感度を6dB下げてみました。

オシロの画面上の波形レベルは半分になっているものの、オシロの入力レベルに変化はないため、ピークレベルは変化しません。右は感度を6dB下げた事で、暗騒音レベルが約6dB下がっています。ここまでで確認できた事項を整理します。

FFT画面レベル表示はオシロスコープの設定には関係なく入力信号レベルで決まる

FFT画面レベル表示は4Vppの正弦波入力時に約0dBとなる

アンチエイリアス確認

このオシロを使って正確なレベルを観測する為には、アンチエイリアスフィルターが必要な事はわかっていますが、念のため確認してみました。確認は400Hzと600Hzの正弦波を入力してFFT画面波形の比較をします。結果は以下のとおりです。

測定時の設定は、サンプリング周波数が1KHzの為500Hz以上の周波数の信号はFFT画面上で折り返されて表示されます。従って600Hz入力時は400Hz入力時とまったく同じFFT画面となっています。この結果から、正確なスペクトルレベルを測定する為には、500Hz以上の周波数をカットする急峻なフィルターを準備する必要があります。次回はハムのスペクトルレベルを観測するためのフィルターの設計をします。

 

つづく(設計編1)