オシロFFT活用検討(運用編3)

運用編3

2台の真空管アンプのノイズ特性を測定して比較し、最後にヘッドフォンアンプのノイズ特性の測定を行います。

Mid-ch用真空管アンプノイズ測定

前回の記事で測定の準備を進めたMid-ch用真空管アンプのノイズ測定を行います。

測定結果は以下のとおりです。

結果はそれぞれHot, Cold, Balanceモード時で、それぞれのピークレベルは-88.0dB, -88.0dB, -80.4dBでした。トランジスタアンプとは異なり、Balanceモードのピークレベルが悪化しています。これは、信号入力後(アンプ回路内の出力トランス等)で電源トランスの影響を受けた結果と推測します。負帰還をかける事で多少は軽減されているはずです。という事で続いて、ほぼ同一構成のEL34pp無帰還アンプのノイズ特性を測定して比較してみます。

EL34pp無帰還アンプ

このアンプは一時期マルチアンプシステムはHigh-ch用として使用するために製作しました。当時の構成は、Lo-chは現行のトランジスタアンプで、Mid-ch, High-chをEL34pp無帰還アンプで駆動していました。音は悪くはありませんでしたが、録音エンジニアが聴く音を目指す私の方向性とは異なるように感じた為、その後のシステムの変遷の中で現状控えのアンプとなっていました。回路図は以下のとおりです。

Mid-ch用が持っている入力段のアンプはありません。但し無帰還の為、トータルのゲインはほぼ同じになっています。電源回路は以下のとおりです。

回路構成は帰還アンプと同等で、初段バッファーアンプ用電源が省かれているだけです。測定結果は以下のとおりです。

上からHot, Cold, Balanceモードのノイズ特性です。それぞれのピーク値は-93.2dB, -90.0dB, -97.6dBでした。2つのEL34ppアンプのBalance出力のノイズスペクトルを比較してみます。

予想に反して、Mid-ch用(NFB有り)アンプの方がノイズレベルが大きくなっています。要因としては以下の点が考えられます。

・NFB機は真空管アンプ初号機の為配置の考慮がnonNFB機に比べて劣る

・NFBをかけるために、大きな回路ループがある

・NFB機は初段バッファーアンプを搭載している

常用アンプの特性が劣る事は悔しいので、別途改善検討をしたいとおもいます。

ヘッドフォンアンプのノイズ特性

最後にヘッドフォンアンプのノイズ特性の測定を行います。まずはBTLバランストランジスタヘッドフォンアンプの特性測定を行います。回路図は以下のとおりです。

このヘッドフォンアンプはプリアンプがあり、アンバランス入力もバランスヘッドフォンで聴くことができます。アンプ回路はディスクリート構成で回路はパワーアンプとほぼ同じです。ヘッドフォンはスピーカーに比べて能率が高い為、ハムの影響を無くす事に苦労しました。当時、使用するヘッドフォンで聞こえないレベルまでなんとか抑え込んだところで力つきた感じでした。その結果を数値で確認したいとおもいます。測定は、常用のバランスヘッドフォンのインピーダンス45Ωにほぼ合わせる為に、フィルタ基板の入力部に47Ω抵抗を取り付けました。

測定結果は以下のとおりです。

上からHot, Cold, Balance出力のノイズ特性です。それぞれのピークレベルは、-72.0dB, -66.8dB, -112.4dBでした。アンバランス出力は盛大にハムが出ていますが、Balance出力では、ノイズが打ち消されている事がわかります。精神衛生上よくないので、これも機会を見て改善したいとおもいます。次回は真空管ヘッドフォンアンプのノイズ特性の測定を行います。

 

つづく(運用編4)