終段スイッチング電源検討(構想編7)

構想編7

予定を変更して、構想編7としてスイッチング電源の立ち上がり特性を確認後、パワーアンプ保護回路について要否も含めて検討します。

TDKラムダ製電源2台目入手

前回、パワーアンプ終段用電源としてTDKラムダ製のスイッチング電源の採用を決めました。パワーアンプの終段用電源は+/-2電源なので、もう1台の電源が必要となりましたが、在庫量が増えた為か(A→AA)2個目の電源を秋月電子から購入する事ができました。

今気がつきましたがUKCAマーキングがされています。英国版のCEマーキングです。CEマーキング代用の猶予期間が延長された為、対応のモチベーションが下がっていますがスイッチング電源の大手日本メーカーなのでちゃんとしています。念のため、2台目の電源も1台目と同様に負荷時のノイズ特性の確認を行います。負荷電流は3.2Aとし、500Hz, -24dB/OctのLPFをとおして確認します。尚、電子負荷のファンの影響を考慮してファンを止めて確認を行っています。

リップルのピーク値は約3mV(29.6mA/10)と1台目とほぼ同等でした。次にLPFを外して確認してみます。

上は低速の掃引速度で、下は高速の掃引速度でモニタした結果です。100Hzのリップル値は約5mVくらいです。下の波形から発振周波数は約100KHzと考えられます。ノイズのピーク値は26mVと読みとれます。2台目も問題なかったので、この2台を使って+/-電源を構成する事にします。

スイッチング電源立ち上がり特性

この2個の電源を使って+/-電源を構成するには以下の対応が必要です。

・2台の電源のFG同士を接続する

・一方の電源のV-とFGを接続する

・他方の電源のV+とFGを接続する

下記は2台の電源を直列接続する場合の取扱説明書上の記載です。

確認用に以下のとおり接続をお行いました。ダミーの負荷抵抗は56Ωとしています。

両電源をオンして、FGに対して+/-電源となっている事を確認します。一旦電源をオフし、オシロスコープを使って両電源の立ち上がり特性を確認します。オシロスコープのch1に+電源をch2にー電源を接続し、演算機能を使って和信号をモニタする事で立ち上がり特性の差を見ることができます。結果は以下のとおりです。

ch1(黄)が+電源で、ch(青)がー電源です。赤はch1とch2の和信号で、感度は5V/divです。この2個の電源では、ー電源の立ち上がりが遅く、電源立ち上がりから約55msの期間、和信号が+のオフセットを持っています。上記の確認は、頻繁にスイッチング電源をオンオフした状況での確認ですが、このスイッチング電源は突入電流対策として、NTCサーミスタを使用しています。下記が取り扱い説明書の抜粋です。

ここで取り扱い説明書を抜粋から以下の理解が必要です。

・コールドスタート時の電源立ち上がり時間はホットスタート時よりも長い

・スペック上の突入電流値(18A/100V)はコールドスタート時

・ホットスタート時の突入電流値は上記よりも増える

という事で、コールドスタート時の立ち上がり特性を確認してみます。スイッチング電源をオフして、30分以上放置します。改めて確認を行った結果は以下のとおりです。

ホットスタート時バランスが崩れている時間が54.4msだったところが、コールドスタートでは72.2msに増えました。上記の結果から電源オン時のボツ音対策が必要と判断します。

パワーアンプ保護回路

過去に製作してきたパワーアンプは、電源オン時に電圧増幅段の電源がオンし、その後スイッチで終段の電源をオンする事で電源オン時おボツ音対策としてきましたが、今回設計のパワーアンプでは、専用の回路を設ける事にします。具体的にはリレーを使って出力が安定状態となるまで出力回路を遮断します。この回路の仕様を整理してみました。

・電源オン後1秒間出力部リレーをオフ

・各出力のDCオフセットをモニタして規定値を越えた場合、出力部リレーをオフ

次回は上記要求仕様に基づいて保護回路の設計を行います。

 

つづく(設計編1)