終段スイッチング電源検討(試作編2)

試作編2

試作したDCオフセット検出回路の動作確認を行います。

DCオフセット検出回路動作確認

動作確認は発振器から信号入力して、出力波形をオシロスコープで確認します。(本記事アイキャッチ写真参照)初めは、入力段の一次LPFをスキップさせて絶対値回路の動作確認を行います。最初に2Vppの1KHzの正弦波を入力してみました。入出力波形は以下のとおりです。

黄色が入力波形で、青が出力波形です。出力波形は入力波形の絶対値出力となっています。続いて波形をのこぎり波に変えてみました。

のこぎり波も絶対値変換される事が確認できました。但し出力が減衰に転じるタイミングでヒゲが発生していますが、おそらく加算回路に入力される波形の遅延によって発生しているものと考えられます。実使用状態では、入力段にfc=1Hzの一次LPFが入るため、このようなクリティカルな状態は発生しないと思われます。

一次LPF効果確認

次は入力段の一次LPFを有効にして、この効果を確認します。入力波形は正弦波に戻しました。最初に2Hz/2Vppの正弦波を入力してみました。

初段で信号を10倍している為、出力波形は1.91Vppでした。周波数を10Hzに上げてみました。

出力波形は452mVppまで下がりました。さらに周波数を20Hz/40Hzに上げました。

出力波形はそれぞれ240mVpp/130mVppに下がりました。一次LPFの効果の確認ができました。この結果を見ると、音楽再生時の誤検出を防ぐためには、スイッチのチャタリング処理と同様の検出確認が必要かもしれません。試作回路は一次LPFのコンデンサに代替部品を使用した為、実基板実装部品と比べて容量が2倍以上になっている事も考慮が必要です。確認結果を表にまとめます。

DCオフセット検出確認

発振器出力を400Hz/2Vppにセットし、オフセットの設定を変更して出力を確認します。最初はオフセット0%を確認します。

黄色が入力波形で、青が出力波形です。どちらも感度は1V/divですが、出力はほぼ0となっています。この状態でオフセットを+10%としてみました。

出力レベルが約0.9Vまであがりました。さらにオフセットを+20%に変更しました。

さらに出力レベルが上がり約1.8Vとなっています。次にオフセットをマイナスに振ってみます。

オフセットをマイナスとしても絶対値回路の働きにより出力は約0.9V/1.8Vとなっています。DCオフセット検出はできているようです。

出力保護回路確認

最後にツェナーダイオードを使用した出力保護回路の確認を行います。初めに保護が働かない状態を改めて確認します。結果がわかりやすいように入力段の一次LPFはスキップさせています。入力波形は三角波10Hz/4Vppです。

この状態では出力保護は働いていません。入力レベルを8Vppまで上げてみます。

出力保護が働き、出力レベルのピークは2.48Vに押さえられています。もっとシャープに出力がカットされると考えていましたが、ツェナーダイオードはソフトに効いています。TL072のデータシートを確認し、負荷抵抗を10KΩから約3KΩ(4.7KΩを並列接続)してみました。結果は以下のとおりです。

出力レベルのピークが2.48Vから2.76Vに上がったものの、波形自体はあまり変わりません。試作ではツェナーダイオード3.6V品を使っていますが、低い電圧から電流が流れ始めるようです。気休めかもしれませんが本番基板では負荷抵抗を2KΩまで下げたいとおもいます次回は今回の結果を参考に本番基板の実装を行います。

 

つづく(製作編1)