終段スイッチング電源検討(製作編14)

製作編14

前回製作した終段用トランジスタ実装基板の残り2枚を製作し、ケース加工依頼を考慮してケースの選定を行います。

終段用トランジスタ実装基板追加製作

この基板の実装は、見た目以上のストレスを感じましたが、理由がわかった気がします。最初に端子台の取り付けをすると、残りの大半の作業は配線となります。手間をかけても、部品実装が進まずに達成間がない事がストレスの要因のように思えます。最初に標準基板を2枚にカットしてスペーサー取り付け用の穴を開けて、スペーサーを取り付けました。

次に端子台を取り付けます。この端子台ですが、ほぼそのままでは取り付けできません。φ1.2のドリルの刃でスルーホールを途中まで広げます。貫通させてしまうとガバガバになってしまうので注意が必要です。

続いてエミッタ抵抗を取り付けます。1W品は取り付けスペースをとらないので選定を見直して良かったと思います。

次はベース配線を行います。NPNとPNPは別端子に配線します。

配線最後は電源配線をします。+12VをNPNのコレクタへ、-12VをPNPのコレクタに接続します。GND配線は出力用2極端子台へ接続しました。

電源配線を行ったところで、入力端子台と出力間の配線を見直すべきと気づきました。現行の配線では、終段のアイドリング電流により実出力とは異なった電位のポイントが、ドライバ段の出力と接続される事になります。これを回避する為に、入力端子台と出力間を専用のラインで接続する事にしました。

写真上が改造前で、下が改造後の状態です。どの程度効果があるかはわかりませんが、大電流が流れるラインの配線による電圧ドロップの影響をなくした事になります。最後に電源用パスコンを実装して完成です。

配線確認

最初に実装した基板と同様に端子台間の導通確認を行います。端子台が3辺に実装されていますが、2辺間の各端子間の導通の有無を全パターン確認を行いました。電源-GND間のチェックでは、パスコンの影響で一瞬表示が乱れますが、チャージが完了すると非導通となります。今回エミッタ抵抗は0.47Ωを選定しましたが、入力端子台とエミッタ接続用端子台間の抵抗値は、0.4Ωと表示されました。きわどい配線をしていますが、今回も問題ない事が確認できました。

次行程

前回のトランジスタアンプ製作時は、メールトラブルでケースの入手に想定外の時間がかかってしまいました。それを考えると、早めにケースの加工図をタカチ電機へ送る必要があります。気分的には、終段用トランジスタ基板実装で貯まったストレスをアンプ基板の実装で晴らしたい気もします。仕方がないので、両方を平行して進める事にしました。

ケース最終決定

現状ケースはHY149-33-33SSを候補としていますが、ボトムシャーシの型紙を作って、そこに実装部品を並べてみました。配電用の基板は未実装なので、別の基板で代用しています。尚、ボトムシャーシの型紙は図面上の有効寸法を使っています。

両サイドの終段トランジスタ実装基板は、サイドパネルに取り付けますが、ボトムシャーシの有効寸法内に配置されるので、実装基板ではありませんが、置いています。この結果を見ると、基板間の距離が短く、端子台への配線に不都合が起こりそうです。ケースの幅を1ランク大きくしてみたいとおもいます。現状が330mmなので次は430mmとなります。差は100mmなので、幅は片側50mm拡大されます。型紙を新たにつくるのは面倒だったので、終段用トランジスタ実装基板の配置をずらして確認してみました。

これであれば端子台配線も問題なくできそうです。この結果からケースはHY149-43-33SSに決定します。放熱検討を行った時は、高さ寸法が133mmでしたので、改めて確認します。放熱器の高さが124,5mmから141mmにアップする事で熱抵抗が0,89℃/Wから0.83℃/Wに小さくなります。片ch当たりの終段の無信号時の消費電力は約38Wなので、温度上昇は下記のとおり算出できます。

0.83 x 38 = 31.4℃

30℃環境で61.4℃とややヒートシンク温度は下がると考えられます。次回は選定したケースを前提に加工図の作成を行います。

 

つづく(設計編4)