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バランス変換ボリューム2(製作編7)

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製作編7

本題の製作に戻り、もう1チャンネル分の回路実装を進めます。合わせてサブタイトルも元に戻しました。

反転アンプの実装

実装の手順は同じなので、詳細の説明は省略します。先の基板は、バランス出力アンプから改造を行ったため、基板上に不自然な空きエリアができてしまいましたが、新たに実装するこの基板は、気にせず普通に実装を行います。

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いつもの手順どおり、初段実装後に通電確認を行いましたが、その確認結果の紹介は省略します。2段目以降の実装を行い調整を行いました。下記が調整後の各部電圧です。

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動作確認も兼ねて周波数特性の測定を行います。写真は測定時の入出力波形で、正しく反転動作していることが確認できました。

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グラフは周波数特性測定結果ですが、確認を行った範囲ではフラットな特性です。

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ボルテージフォロワの実装

このアンプの実装も、今までどおりということで詳細を省略しようと考えていましたが、予想外に手間をかけてしまいましがので、状況を簡単に紹介します。いつもどおり、初段を実装し通電確認を行ったところまでは問題ありませんでした。

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2段目以降を実装し、調整をおこなったところ、終段の電流がうまく調整できません。各部の電圧を確認するために、テスタのリードを2段目の負荷抵抗部分に当てた際に時々動作モードが変わるようです。ユニバーサル電源の電流値表示が目にとまり、通常40mAとなっているところ、動作モードが変わるタイミングで70mAに跳ね上がる現象を確認しました。このように大きな電流が流れる原因は、終段くらいしか考えられず、通常よりも30mA余計に流れた事になり、その時の消費電力は12V x 40mA = 480mWとなって、終段のトランジスタの絶対定格400mWを少し越えてます。最後の最後で・・・、なかなかうまくいかないものです。ハンダ不良や、部品の実装ミスは見あたらないため、次に原因として考えられるのは発振ですが、出力をオシロスコープでモニタしていましたが、発振波形はみられませんでした。その代わり、動作モードが変化した時にDCが出力されるため、発振起因のラッチアップが疑われます。発振対策は、いままでどおり2段目のトランジスタに22pF + 10pFをつけていますが、手始めに 22pF + 22pFに変更してみました。この対策により、終段の電流が正しく調整できるようになりました。調整結果は以下のとおりです。

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短時間とはいえ、絶対定格を越えた電流を流してしまいましたが、正しく動作しているようなので、特性を確認した上で終段のコンプリメンタリペア交換の判断をしたいとおもいます。

ボルテージフォロワ動作確認

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終段トランジスタへのダメージ有無の判断も含めて周波数特性の測定を行いました。手順は今までと同様です。

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測定の範囲ではフラットな特性を確認しました。発振対策で容量変更した影響はありませんでした。残りのダメージ確認は全回路(バランス変換)の動作確認で行います。

バランス変換動作確認

ボルテージフォロワの出力を反転アンプの入力に接続し、全回路の動作確認を行います。初めに1KHzの矩形波を入力しバランス出力波形を確認しました。

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上段が非反転出力で、下段が反転出力ですが正しく出力されています。つづいて先の基板と同様に反転アンプのディレイ量の確認を行います。入力500KHzに上げて確認を行いました。先の基板と同様に反転出力でリンギングが観測されます。

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掃引速度を上げて反転アンプのディレイ量を確認します。先の基板よりもやや大きく0.056uSの遅れが観測されました。ちなみに、この波形ですが入力を1KHzの矩形波に変えてもまったく同じ波形が観測されます。考えてみればあたりまえですが。

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まとめ

ようやっと2枚の基板が完成しました。写真のとおり、反転アンプの部品実装が異なっていますが、次回現行の電源と組み合わせて比較の第一弾を行いたいとおもいます。

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つづく(製作編8)

 

バランス変換ボリューム2(番外編8)

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番外編8

設計変更により進行が思わしくないことと、回路について何れ触れておきたかったため番外編を入れさせていただきました。

使用回路について

私の手がけたアンプは、基本差動2段構成ですが、その2段目に良く使われるカレントミラー負荷を使っていません。音を聴いて決めたわけではなく、私のトランジスタアンプのバイブル金田明彦先生著作の「最新オーディオDCアンプ」を参考にさせてもらった結果です。この本については、BTL方式A級DCパワーアンプ(構想編)で紹介しましたが、大学生の時に購入して以来手放さずにもっています。簡単にその内容について紹介します。

カレントミラー回路

図は抵抗負荷の差動2段アンプと、2段目の負荷をカレントミラー回路としたものです。

■抵抗負荷の差動2段アンプ

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■カレントミラー負荷の差動2段アンプ

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初めにカレントミラー負荷の動作原理を簡単に説明します。2段目の反転側負荷のベースとコレクタが接続されたトランジスタは、ベースエミッタ間のPN接合と等価となり、ダイオードとして動作します。このダイオードの特性は非反転側のトランジスタのBE間特性と選別により合わせることができます。この等価ダイオードに流れる電流をIc1とすると、カレントミラー回路の反転側のトランジスタのベース電位は、

Ic1 x 220 + 0.6 V となります。

一方、非反転側のカレントミラー回路のトランジスタに流れる電流をIc2とすると、その時のトランジスタのベース電位は、

Ic2 x 220 + 0.6 V となります。

トランジスタのベース電圧は同じなので、

Ic2 = Ic1 となります。

名前のとおり、非反転側の電流が反転側の電流を鏡に写したように同じとなります。この結果、差動アンプの非反転側が、コンプリメンタリの様な動作となり、この時の2段目差動アンプのゲインは、

k x RL x hfe x 2 となります。

ここで各パラメーターは、RL=次段の入力抵抗、hfe=差動アンプTrの直流電流増幅率、k=アンプの使用環境で決まる定数です。RLは抵抗負荷の差動アンプのコレクタに接続される負荷抵抗(回路図では5.6kΩ)よりも大きくなります。また、カレントミラー負荷は電流源のため理想的には内部抵抗は無限大となり無視することができます。さらに、疑似的なコンプリメンタリ動作によってゲインは2倍となるため、カレントミラー負荷採用によりアンプの裸ゲインをより高く設定する事ができます。アンプのオーバーオールのゲインを一定とした場合、より深く負帰還をかけることができ、アンプの周波数特性や歪率特性面で有利となります。これがカレントミラー負荷回路が採用される理由です。

カレントミラー回路を採用しない理由

いいことずくめに思えるこの回路をなぜ使わないかというと、前出の私のバイブルに掲載された差動2段アンプの歪率測定結果を参考とさせてもらったからです。

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抵抗負荷の差動2段アンプに比べてカレントミラー負荷を採用した差動2段アンプの歪率が遙かに悪い結果となっています。理由として説明されているのは、2段目の差動アンプの両トランジスタのバランス動作が崩れることによって、偶数次歪みの発生量がアンバランスとなり、その抑圧量が減ったためと説明されています。悪くなった特性を、より深く負帰還をかけて改善させることは合理的ではありません。

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高校生のときにTRIOのKA-8100というアンプを使っていましたが、カタログにはハイスピード回路採用と唱われており、すばらしい歪率特性と周波数特性が載っていました。カレントミラー回路が使われていたか定かではありませんが深い負帰還で特性改善していたものと思われます。このアンプ、外観のデザインはすばらしく、電源の設計方針も悪くありませんでしたが、音が平面的で生々しさが感じられないつまらないものでした。こんな経験を経て裸ゲインを稼ぎ、深い負帰還をかけるよりも裸の歪み特性の方が大事と考えるようになり、以来カレントミラー回路を使っていません。この結論は、音を聴いてきめたわけではないので、機会があればカレントミラー負荷回路の有無の違いを聴いてみたいとおもいます。次回は本題の製作に戻ります。

 

つづく(妥協編2)

 

バランス変換ボリューム2(妥協編1)

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妥協編1

バランス変換アンプの設計ミスのため、製作の方針を見直します。

妥協編

前回、格好良く「復活編?つづく」としましたが、1週間考えましたが妥協解しかみつからなかったため、サブタイトルを変更しました。

対策案

対策案として以下の2案を検討しました。

案1)反転アンプと非反転アンプのみをディスクリート化し、入力段のボルテージフォロワをオペアンプとしたハイブリッド構成とします。入力段のボルテージフォロワの実装スペースを確保するために、電源を3端子レギュレータ構成として、電源基板空いたスペースにボルテージフォロワを実装します。

案2)入力段のボルテージフォロワと出力段の非反転アンプを兼用し、チャンネル当たり2つのアンプですませます。

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2つの案の特徴と製作の方針

案1)電源が3端子レギュレータ構成、入力段がオペアンプを使ったボルテージフォロワとなり全回路をディスクリート化する事ができません。入力段のボルテージフォロワがアンバランス動作となり、電源に信号電流が流れます。

案2)反転出力と非反転出力信号にディレイが生じます。そのかわりディレイがあるものの回路はバランス構成となり、電源に信号電流が流れません。当初の予定どおり、電源も含めた全回路がディスクリート化できます。

暫く考えた結果、今回はディスクリート化が1つの目的なので、反転アンプのディレイを確認した上で案2で製作を再開することとします。

基板改造

初めに実装済みのバランス変換アンプを反転アンプに改造します。改造する反転アンプの回路は以下のとおりです。

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反転出力側の出力段およびそのバイアス回路、帰還回路を削除します。基板上には不自然な空白エリアができましたが、気にしないこととします。

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部品削除したハンダ面は、ハンダ吸い取り網で余分なハンダを取り除きます。改造基板ですが、見栄えも最低限整えられたとおもいます。

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動作確認

改めて調整をやり直します。手順はボルテージフォロワと同じです。調整結果は以下のとおりです。

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念のため、反転アンプの周波数特性の確認も行いました。測定した範囲では特性はフラットです。

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次に回路全体の動作確認を行います。ボルテージフォロワ出力を反転アンプに入力して、バランス変換動作を確認します。1KHz/1Vppの正弦波を入力して反転・非反転出力をモニタしました。写真のとおり正しくバランス変換されています。

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反転アンプのディレイ

バランス信号合成後の反転アンプのディレイの影響は、下記の2点です。

1)周波数が高くなるに従い位相が遅れる

2)偶数次歪みの抑圧量が下がる

測定は、500KHzの矩形波を入力し、反転アンプの入出力波形の比較を行いました。写真はバランス出力波形です。

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反転アンプ出力にリンギングが観測されますが、測定した範囲(600KHz)よりも高い周波数にピークがあると推定します。信号の変化点を拡大してディレイを確認します。

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写真からは0.039uS程度の遅れが観測できました。この遅れ時間は、25.6MHzに相当し、20KHzに対する位相に換算すると約0.3°となります。この数値の影響度はわかりませんが、この特性を理解した上で音を聴いてみたいとおもいます。リンギングの影響を確認するために、20KHzの矩形波を入力してみました。(キャッチ写真参照)この写真にはリンギングが確認できませんが、掃引速度を上げて観測すると、上記の写真のリンギングが確かに観測できました。この結果から影響は小さいと考えられます。参考としてボルテージフォロワのディレイも測定してみました。誤差かもしれませんが、ディレイ量は反転アンプより小さい事が観測されました。

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次回はもう1チャンネル分の実装を進めます。

 

つづく(妥協編2)

 

バランス変換ボリューム2(製作編6)

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製作編6

バランス変換アンプを実装した基板にボルテージフォロワを実装して片チャンネル分を完成させようと考えていましたが・・・

回路実装

残りのエリアに引いた電源線にパスコンを実装し、先に実装した端子台から給電します。このエリアには電源の端子台の代わりに入力信号用に2極(アンバランス信号入力用)の端子台を実装します。初段の実装はバランス変換アンプとほぼ同じです。

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バランス変換アンプと比較して、帰還用の抵抗が3本少ないですが、見た目の実装はほとんど変わりません。初段の実装が終わった段階でいつもどおり通電確認を行います。各部の電圧は以下のとおりです。

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2段目以降の実装

バランスボリュームの基板への回路実装と同じですが、バランス変換アンプ実装でより効率的な配置ができたので、その一部を反映させました。写真からはバランス変換アンプとの実装部品の差がわかります。

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発振対策は、バランスボリュームと同様に2段目の非反転側を22pF、反転側を10pFとしています。バランス変換アンプの周波数特性と同様の結果とならないか気になるので、調整後に確認を行う予定です。

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通電・調整

バランス変換アンプの調整で、より手順を明確にできたので、その手順を実行してみます。VR2とVR3を抵抗値を大きくプリセットします。電源オンし、2段目の非反転側の負荷抵抗の出力側(終段のベース電圧)の電圧が-0.6V前後となっていることを確認します。つづいて2段目の反転側のコレクタ電圧をVR2で-0.6Vに調整します。次に、VR3で終段のアイドリング電流を調整しますが、終段の2本のエミッタ抵抗間の電圧が200mVに合わせます。最後に出力のオフセット電圧をVR1で調整します。この手順を数回繰り返すと調整が完了します。調整後の各部の電圧は以下のとおりです。

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周波数特性の測定

バランス変換アンプで、2段目の発振対策アンバランスな容量が周波数特性に影響していました。反転アンプの帰還の影響と考えていますが、念のためボルテージフォロワの周波数特性を確認します。過去に製作したボルテージフォロワと同様に2段目の発振対策の定数はアンバランスとしています。早速周波数特性の測定を行いますが、バランス変換アンプの測定と同様に基準電圧は1Vppとしています。測定結果は以下のとおりです。

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全帯域で-0.18dBと0dBを少し割っていますが、これは測定誤差でしょうか?測定範囲内では、フラットでしたので、予想どおりバランス変換アンプの結果は、反転出力の帰還の影響と言えます。これで片チャンネル分の回路の実装が終わりました。

片チャンネル全体動作確認のはずが・・・

念のためボルテージフォロワ出力をバランス変換アンプに入力して、回路全体の動作確認を行います。その確認のために日を改めて電源を入れたところ、バランス変換アンプの各出力オフセットが-0.22Vとなっていました。先に触れたとおり、バランス出力で見るとオフセットは押さえ込まれています。この事象について改めて検討をしてみます。下図がバランス変換アンプのブロック図です。

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回路の使い方は、反転入力が接地されていて、非反転入力から信号を入れますが、ここでは出力オフセットを議論するため、非反転入力も接地しています。アンプの裸ゲインA=∞とおくと、アンプの正相および反転入力電圧Vi+とVi-が等しくなり、その結果出力Vo+とVo-も等しくなってバランス出力が0となります。ここまでは問題ありませんが、アンプの入力Vi+とVi-は等しくさえあればどんな値をとってもこの系は安定します。その値をViと置くと、アンプの出力は、

Vo+=3Vi-=3Vi
Vo-=3Vi+=3Vi

となり、出力オフセットもどんな値でも安定します。言い換えると非反転・反転それぞれの出力オフセットに対して負帰還はまったく寄与せず、アンプの裸特性にのみ依存することになります。その裸特性もコールドスタート時に0.2V以上の値となることからこの回路でバランス変換することは断念せざる得ません。ここまでおつきあいいただき、大変申し訳ありませんが、本製作に関して少しお時間をいただきたいとおもいます。

お恥ずかしい状況となってしまいましたが、次回までに方針を決めたいとおもいます。

 

つづく(復活編?)

 

バランス変換ボリューム2(製作編5)

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製作編5

前回バランス変換アンプの調整ができなかったので、原因を特定して調整を完了させます。

おさらい

非反転出力終段のコンプリメンタリトランジスタの実装の向きを間違え、終段のアイドリング電流の調整ができませんでした。新品のコンプリメンタリペアを正しく実装し直しましたが、それでも調整ができなかったため私自身の冷却期間を1週間とりました。その時測定した各部電圧を1週間眺めましたが、それほど異常な値となっていませんでした。

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原因の特定

仕方がないので、一旦反転出力側の帰還ラインを外して調整をしてみることにしました。この場合のフィードバックループの動作は、2倍の非反転アンプと等価となるので、ボルテージフォロワの調整経験が参考となります。再調整の結果、非反転出力側は、ボルテージフォロワと同様に調整できました。反転出力側は出力オフセットは無視して、終段のアイドリング電流を初めに調整します。その後、VR2で2段目のバイアス電流を調整してオフセット電圧を合わせ込みました。反転出力のオフセット電圧は、回路がフィードバックループ外のため安定せず、約150mV程度変動します。温度が安定した状態で、-10mV程度までに合わせ込んで反転出力の帰還をもとどおりかけます。出力オフセットは反転非反転出力共に約30mV程度変動しましたが、バランス出力で観測すると変動自体は1mV以下と非常に安定していました。尚、バランス出力のオフセット調整はVR1で容易にできました。温度平行した時の各部電圧の測定結果は以下のとおりです。

■非反転帰還切断時

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■非反転帰還接続時

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この回路の場合、非反転・反転出力ともに出力オフセットはある程度変動しますが、両出力がほぼ同じレベルで変動し、バランス出力として見るとオフセット電圧は押さえ込まれているようです。帰還を完全にかけた状態で調整ができなかったのは、この変動によって調整値がわかりずらかったためでした。反転出力側の帰還を外し、非反転側の調整を安定した状態でできる今回の手順は理にかなっていると言えます。次にこの状態で非反転、反転アンプの周波数特性を確認します。基準電圧(入力)を1Vppとして測定をおこないました。写真は測定時の非反転・反転アンプの入出力波形(画面上段が入力、下段が出力波形)ですが、正しくバランス変換されている事が確認できます。

■非反転アンプ入出力波形

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■反転アンプ入出力波形

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発振器の出力インピーダンスは50Ωですが、入力抵抗手前で入力電圧を見ているので、出力インピーダンスの影響はありません。周波数特性は以下のとおりです。

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100KHz以上で、非反転アンプはゲインが下がり、反転アンプは逆に上がっていました。この特性は、2段目の発振対策用コンデンサ容量のアンバランス起因と推定し、反転側の対策用のコンデンサも22pFに変更して再度周波数特性の確認を行いました。対策後の回路定数は以下のとおりです。

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予想が的中し、非反転・反転アンプともに確認を行った周波数範囲ではフラットな特性となりました。

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アンプの出力のオフセットは、次段のボリュームにとって良くありませんが、今回はこの設計で製作を進めます。仮にオフセット電圧が50mVとした場合、2KΩの抵抗に流れる電流は25uAと小さい事が唯一救いです。

次回は入力段のボルテージフォロワを実装し、片チャンネル分の実装を完了させます。

 

つづく(製作編6)

 

バランス変換ボリューム2(製作編4)

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製作編4

初めにバランス変換アンプ回路の実装を行います。

回路実装方針

設計編でも言及しましたが、一枚の基板にボルテージフォロワとアンバランスバランス変換回路を実装します。構成はバランスボリュームの基板とほぼ同じですが、実装部品として以下のものが増えます。

 トランジスタ:3個
 半固定抵抗 :1個
 抵抗    :6個

写真は先日紹介したバランスボリュームのディスクリート基板ですが、写真奥の終段の実装エリアに少し余裕があるので、増える部品をなんとか詰め込むことはできそうです。

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バランス変換回路実装

手順はバランスボリューム回路実装と大きく変わりませんが、前回より詳しく紹介します。1枚の基板にボルテージフォロワとバランス変換アンプの2つを実装するため、+/-電源線で基板を2つの領域に分けます。

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電源線にパスコンと電源入力用の端子台を接続します。電解コンデンサは、ニチコンMUSE KZの100uF品を購入してありましたが、サイズが大きくトータルの実装部品量を考慮して前回同様に1グレード下のニチコンFGで我慢しました。

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初段を+電源側の部品から実装していきます。基板スペースがないので、抵抗等のラジアル部品は立てて実装します。立てて実装する際の部品の向きは、回路検討時に確認したい端子側が基板上にリードが出る様にすると便利です。バランスボリュームのボルテージフォロワと比較して、フィードバック用の抵抗が3本増えましたが問題なく実装できました。

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初段単体で通電確認を行います。反転入力側は帰還抵抗10KΩで接地されていますが、非反転入力はオープンなので、入力を通電確認用に接地します。通電時の各部電圧は以下のとおりです。

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引き続き2段目以降の実装を進めます。2段目の差動アンプの出力にそれぞれ終段が接続されるため、2段目の差動トランジスタをバランスボリュームディスクリート基板の実装時の位置よりも後方にずらして終段を含めて対象に実装する方針としました。このアンプの実装エリアに出力用の端子台の取り付けスペースがとれませんでしたが、無理なく実装できました。実はこの実装で大きなミスを犯してしまっていますが、写真でわかるでしょうか?私が気づくのは通電確認時になります。

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バランスボリューム実装時の経験から発振防止のディップマイカコンデンサを始めから取り付けています。写真のジャンパー線は、オレンジが帰還用で、黄色が初段出力と2段目の入力接続用です。黒のジャンパーは、非反転入力の暫定接地用のものです。

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バランス変換アンプ通電確認

通電前の準備として半固定抵抗をプリセットしますが、これは電源オン時に過大な電流が流れてトランジスタにダメージを与える事を防ぐ為です。2段目の差動用トランジスタのエミッタに接続された半固定抵抗VR2および、終段バイアス設定用の半固定2個VR3/VR4はそれぞれ抵抗値を大きく設定しておきます。それでは通電を開始します。VR2を調整し、2段目の差動アンプの負荷抵抗R12とR13の電圧をそれぞれ約-0.7Vとなるように調整します。バランスがとれない場合は、初段のVR1を調整します。大体調整できたら、VR3/VR4を調整して終段のアイドリング電流を合わせます。終段のコンプリメンタリトランジスタのNPN側のエミッタ電圧を100mV、PNP側を-100mVに調整します。それぞれの調整が他の調整に影響を与えるため、上記の調整を繰り返し追い込みます。回路が発振していると、正しく調整ができないため、出力にオシロを接続して発振していないことを確認しながら調整を進めました。(キャッチ写真参照)問題発生です。非反転出力のアイドリング電流が全く調整できません。関連端子の電圧を当たっていたところミスに気がつきました。終段は2段目の差動アンプに対して対象に実装したため、コンプリメンタリペアトランジスタの実装の向きが反転するにもかかわらず、間違って同じ向きに実装していました。その結果非反転出力側のコンプリメンタリペアトランジスタのエミッタとベースの接続が反対となってしまっています。泣く泣く、新たなコンプリメンタリペアに付け替えました。(写真一番下の2個のトランジスタ

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交換後、通電を再開しましたが症状は変わったものの調整ができません。他のトランジスタもダメージを受けた可能性があり、時間をとって検討することとしました。通電確認時の電圧を参考に掲載します。状態が安定しないため、各部電圧のつじつまが合わない部分もあります。

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次回までに原因を特定して対策を行います。

 

つづく(製作編5)

 

バランス変換ボリューム2(製作編3)

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製作編3

初段に使用するDual J-FETの変換基板実装とIdss測定を行います。

2SK2145の特性

今回も初段にdual J-FET 2SK2145を使用しますが、東芝製のチップなので今後が心配です。測定するIdssとは、Vgs=0の時のドレイン電流Idのことで、特性は以下のとおりです。

■2SK2145 Id-Vds特性

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グラフを見るとVdsとして2V以上印加すればIdが飽和します。今回の設計では、Vdsとして4V以上かけているので飽和領域で動作させていると言えます。あまり自信がありませんが、Vg=0Vのドレイン電流Id(Idss)を利用して定電流ダイオードが作られているとどこかで読んだ記憶がありますが、この情報が正しかったとして、一般的なダイオードとの機能の違いからこの呼び名に違和感を覚えますが、ダイオードの呼び名は単に2端子の素子と言っているだけなのでしょうか?初段に使用するので、ノイズに関するデータもついでに転載します。

■2SK2145 NF-Vds特性

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■2SK2145 NF-Id特性

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NF(雑音指数)は、入出力のS/N比(dB)の差を示し、増幅器のノイズ特性の指標となるパラメーターです。グラフを見るとNFは高電圧で使用すると悪化することがわかります。このチップの場合、Vds=15Vくらいまでに押さえて使用すべきと言えますが、電源電圧が高い場合は、カスコード接続によってVdsを下げることができます。また、Idが小さい範囲でもNFが悪化していますが、グラフからはId=0.75mA以上で使用すべき事がわかります。今回の設計は、バイアス電流としてId=1mAとしているのでクリアしています。

変換基板への実装

「音楽の女神への挑戦(製作編2)」で紹介済みですので、変換に使用した部品についてのみ簡単に紹介します。構成部品全て秋月電子の通販で購入したものです。金額は私が購入した時(2017年2月)の価格です。写真左からJ-FET 2SK2145-GR(100円/2個)、SOT23変換基板 P-04800(150円/10枚)、連結ソケット P-03758(50円)、丸ピンICソケット P-00035(15円)です。

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連結ソケットには上下がありますが、DIPソケットに装着したものを外す時の作業性を考えて写真の向きで使用しています。

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変換基板への実装は、当初罰ゲームと表現した程に苦痛でしたが、今回で3回目となり、コツもつかめたことからあまり苦になりませんでした。(キャッチ写真参照)

Idssの測定

測定の目的は、チップの故障および半田不良の確認および、dual J-FETとしてのペア特性の確認です。ペア特性については、改めてデータシートを確認してみたところ、「1パッケージに2素子を内蔵」とだけ記載があり、Idssのずれが大きくてもランク内であればクレームはつけられない状況です。今回購入したものはGRランクなのでIdss=2.6~6.0mAのものですが、この下にYランクと上にBLランクがあり、Yランクの最小値がIdss=1.2mAとなっています。アンプの設計のアイドリング電流は1mAなのでIdssの最小値の余裕を考慮して今回もGRランクを選定しています。製作編2で詳しく紹介したジグを使い、回路を下記のとおり組み替えてIdssの測定を行います。

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測定時の安定待ち時間は殆どいりません。今回実装した4個の測定結果は以下のとおりです。

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Idssはみごとに2パターンに分かれましたが、ペア特性は申し分ありません。どの程度影響があるかわかりませんが、L/Rチャンネルのバランスを考えて、入力段のボルテージフォロワの初段にIdss=3.4mAのもの(No.3,4)を、次段のバランス変換アンプの初段にIdss=4.2mAのもの(No.1,2)を使用したいとおもいます。

次回は基板への回路実装を行います。

 

つづく(製作編4)