DACユニットの検討(製作編35)

f:id:torusanada98:20200825081102p:plain

製作編35

DACユニットブレッドボードの音出しまで終わったので、ブレッドボードのユニット化に向けてソフト設計をします。

実装する機能

実装する機能は今まであまりちゃんと考えていませんでした。ユーザーインターフェース用の部品は、漠然とモーメンタリーのプッシュスイッチ3個と16桁2列表示可能なLCDパネルを準備しています。改めてDACの仕様書を眺めてみます。この仕様の中から実装する機能の候補を選んでみました。

1)アッテネーター

2)ΔΣ変換オーバーサンプリング倍率

3)位相反転

1)アッテネーター

デジタルアッテネータは、再生時の分解能を下げるため使いたくはないですが、以下の理由により軽い範囲でアッテネーションがかけられる仕様を検討します。私の12chアッテネータは実用上の音量を考慮して下記の減衰量の9ステップとしています。 Mute, -36dB, -29dB, -25dB, -21dB, -16dB, -11dB, -9dB, -6dB 上記を決めたときに使ったディスクは80年代にリリースされたCDでした。実用時のアッテネーションレベルは-11dB or -9dBとなるように設定しました。しかし最近のCDは平均録音レベルが当時のディスクと比較して6dB以上高く、実用時のアッテネーションレベルが-21dBや-25dBとなってしまうディスクもあり、ステップが荒く使いづらい仕様となっていました。この荒いステップを補完するために、-1dB, -2dB, -3dB程度の軽いアッテネーションがかけられるようにしたいとおもいます。

2)ΔΣ変換オーバーサンプリング倍率

この効果はよくわかりませんが、デフォルトが64倍設定で、最大で128倍の設定が可能です。64倍時と128倍時の比較をしてみたいとおもいます。

3)位相反転

たいした機能ではありませんが、システムの位相を簡単に反転できるので、実装しておきたいとおもいます。

オーバーサンプリング倍率設定

ソフトのベースを作りながら、各機能の確認を進めていきます。最初は効果が不明なΔΣオーバーサンプリング倍率変更機能を実装します。効果以外に、再生中に切り替えた場合にノイズの発生等、問題がないか確認をします。最初にソフトのジェネラルフローを作成しました。

f:id:torusanada98:20200825081132p:plain

メインループは、キー検出とキー処理のみです。DACのモノラル設定はイニシャル処理で行います。

f:id:torusanada98:20200825081110p:plain

イニシャル処理では、他にライブラリの登録、マイコンのポート設定や、DACのデフォルト設定も行います。それでは、オーバーサンプリング倍率選択仕様を確認します。

f:id:torusanada98:20200825081053p:plain

オーバーサンプリング倍率は32倍の選択も可能ですが、今回は64倍と128倍の選択とします。このOSビットはレジスタ20にマッピングされています。

f:id:torusanada98:20200825081135p:plain

レジスタ20には、モノラルモード設定とチャンネル選択設定ビットもあるので、各DAC毎にレジスタ20の設定値の保持が必要となります。レジスタ20の変数設定は下記のように修正しました。

f:id:torusanada98:20200825081106p:plain

これに伴って、各DACのモノラルL/R設定関数も下記のとおり変更しました。

f:id:torusanada98:20200825081050p:plain

OS設定確定後のキー処理のフローと該当処理のソースは以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200825081128p:plain

f:id:torusanada98:20200825081058p:plain

キー処理の中では、DAC ICへのコマンド発行以外に、LCDパネルの表示処理も行います。これでOSビットの設定処理は完了です。

キー検出処理

12chアッテネータで実装したキー検出はごてごてしてしまったので、今回はシンプルに実装します。下記はキーステータス(KSTS)のタイムチャートです。

f:id:torusanada98:20200825081125p:plain

kdelayはチャタリング吸収用に設定したタイミングで、この時間経過後1度キー検出を行い確定判定してKSTSをインクリメントします。

f:id:torusanada98:20200825081115p:plain

まずは1つのキーのみ実装しますが、ポート7を使用しました。ポート設定はプルアップ抵抗付きの入力設定なので、単純にタクトスイッチを接続するだけです。処理は各KSTSごとにチェックを行い、不一致の場合所定のKSTSに変更してループを出る処理としています。

f:id:torusanada98:20200825081045j:plain

f:id:torusanada98:20200825081120p:plain

次回はコーディングしたソフトを使って動作確認を行います。

 

つづく(製作編36)

DACユニットの検討(製作編34)

f:id:torusanada98:20200824073219j:plain

製作編34

完成したDACユニットブレッドボードの音を聴いてみます。

準備

完成したブレッドボードの音を聴く前に現行システムで耳を慣らします。さらに前々から気になっていた吸音ボードを購入したので、これを機会に使ってみる事にしました。部屋は2辺が外に面していて、それぞれ窓があります。1つはシステムの背面側です。この窓の外は道路を隔てて、小田急線が通っていて電車の音が気になっていました。リッスニングポイントの左側は出窓があり、外は駐車場となっていて、ここからも小田急線が見えます。今回本格的な対策をするつもりはなく、お手軽にできる方法を試してみました。購入した吸音ボードは以下のものです。

f:id:torusanada98:20200824073250j:plain

サイズは90x60cm、厚さ1cmと大きいですが、アマゾンから普通に購入できました。梱包されたダンボールは大きいものの、軽いので運搬の際取り回しに問題はありません。参考として添付されていた説明書を掲載します。

f:id:torusanada98:20200824073246j:plain

説明書によると500~1000Hz以上の帯域で吸音の効果を発揮するようです。材料は100%ペットボトルからの再生品との事で、燃やしても有害なガスが出ないので廃棄も心配ありません。取り付け用に養生テープを購入しましたが、単純に窓に立てかけるだけにしました。普段は上下するカーテンを下ろしっぱなしなので、部屋の中の風景はなんらかわりません。材質は白で厚さが約10mmの為、光は通しますが若干部屋が暗くなった程度です。効果としては電車の通過時の音が若干小さくなった印象です。電車が通らない時の印象は、無響室の中で感じるのしかかるような静けさの片鱗が体感できました。まずは現行システムで音を聴いてみます。第一印象は音がスッキリして定位が良くなった感じがします。しばらくホワイトキューオンの効果を楽しみ、次は待ちに待ったDACユニットブレッドボードの音聴きです。

セットアップ

普段はテーブルにチャンネルデバイダと12chアッテネータを置いて音楽を聴いていますが、今回はその上にブレッドボード状態のDACユニットを乗せました。

f:id:torusanada98:20200824075002j:plain

心配していたハムも出ませんでした。

DACユニット音聴き

ブレッドボードの電源を一番最初にオンして、念のため出力オフセット電圧を確認しました。出力オフセットは、調整時の状態を維持していて安定している印象です。次にチャンネルデバイダ、12chアッテネータ、パワーアンプ4台の電源をオンしました。普段聴いているCDを演奏してみました。DAC-1000を比較元としてその音の印象を箇条書きしてみました。

■ジュピター/惑星

f:id:torusanada98:20200824073225j:plain

・音が生き生き鳴ってます。

・中域のブラスと弦楽器の重なりの奥行き感が表現されています。

■時代/時代(井筒香奈江)

f:id:torusanada98:20200824073241j:plain

・ボーカルの定位が良いです。

・ピアノの音の広がりもいい感じで再現されています。

■海風/海風(風)

f:id:torusanada98:20200824073236j:plain

・アコスティックギターの音の離れが良く、前に出る印象です。

ファランドール/BJ2(Bob James

f:id:torusanada98:20200824073230j:plain

・中低域の音の分離がいい感じです。

・ブラスの音が突き抜けます

■音の印象のまとめ

改めて明記しますが下記はDAC-1000との比較結果です。パワーアンプの音の比較と比べて差は小さいですが、上記の印象をまとめました。

・音が生き生き鳴る

・音が前に出る

・中低域の音の分離がいい

・奥行き感の再現が良い

・突き抜ける様な高音

今回はIV変換、平衡不平衡変換回路ともに電源電圧を+/-15Vにあげて、再生時の信号レベルをめいっぱいあげました。中高域に真空管アンプを使用する事を前提として、フィルターを1次x3段と軽くして、8xオーバーサンプリングの特性を考慮してフィルターのカットオフ周波数を比較的高目に設定した効果かも知れません。第一印象は良かったので、製作を引き続き進めます。次回はソフト設計を進めます。

 

つづく(製作編35)

DACユニットの検討(製作編33)

f:id:torusanada98:20200818072532j:plain

製作編33

実験基板を使った動作確認が終わったので、実装用のミュート回路を作成して回路実装を行い最終動作確認をします。

実装用ミュート回路

基本回路は変わりませんが、リレーを2個駆動する必要があるので、実験回路をベースとして修正します。部品点数は増えますが、終段の駆動用トランジスタはそれぞれのリレー用に専用としました。

f:id:torusanada98:20200818072538p:plain

リレーの操作コイル電流は12.5mAで、2SC1815のhfeは200以上の為、ベース電流は0.06mA以下となります。負荷が2系統となっても初段のトランジスタの動作に影響がないレベルなので、初段のトランジスタはこのまま1回路としています。

ミュート回路実装

先日の記事でも掲載した実装する基板の写真を再掲載します。

f:id:torusanada98:20200819072140j:plain

実装スペースがなくミュート用のリレーは基板からはみ出した状態です。左上の空きスペースに制御回路を実装するため、電源およびGEN_FLAG入力用の3極の端子台を左端に配置します。終段のトランジスタは、実装スペース効率をあげる為、各リレー脇に配置する事にしました。写真は実装完了した基板の部品面です。

f:id:torusanada98:20200818072558j:plain

リレー脇には、終段トランジスタ以外に逆起電力吸収用のツェナーダイオードとエミッタに接続されたダイオードおよびベースの入力抵抗を配置しています。ハンダ面はこんな感じです。

f:id:torusanada98:20200818072604j:plain

だいぶごちゃごちゃさせてしまいました。せっかく基板をとりはずしたので、出力のボリュームと並列に0.01uFのコンデンサを取り付けています。

f:id:torusanada98:20200818074821p:plain

目的はディザ信号を減衰させるためで、本当は0.022uFをとりつけたかったのですが、手持ち在庫がなくこの容量値としました。フィルタをモデル化して追加前後のDAC出力以降の周波数特性をグラフ化してみました。

f:id:torusanada98:20200819072209p:plain

あまり特性を欲張らずにいい感じで追加できたとおもいます。

動作確認

最初は基板単体で、ミュート回路のみ動作させてみます。ユニバーサル電源で12Vと3.3Vを供給して、3.3Vの供給オンオフで所定の電流が流れる事を確認します。所定の配線を行って電源オンしました。3.3Vをオンした場合は電源電流が約1mA、オフすると約26mA流れているので、GEN_FLAGの入力により、2個のリレーが正しく動作していると判断しました。次に基板をブレッドボードに搭載して動作確認を行います。配線の本数がとにかく多いので、間違えないように接続を戻しました。

f:id:torusanada98:20200818072526j:plain

確認は音で判断するので、出力にXLR変換コネクタも接続して真空管ヘッドホンアンプへ接続しました。ヘッドホンアンプをオンCDの再生をスタートします。あれれ?Rチャンネルの音がでません。単体動作確認では問題なく動作していたのに・・・。Rチャンネルのコレクタ電圧をモニタしたところ、Highレベルでミュートがかかりぱなしの状態となっていました。せっかく多くの配線を再接続したのに、すぐに取り外しです。基板の配線を見て、すぐに原因がわかりました。終段トランジスタ保護用に追加したツェナーダイオードをGNDに接続するところ、間違ってアナログの+15V電源に接続されていました。基板単体の動作確認では、アナログ用の+/-15V電源は接続していなかった為、問題なく動作したと考えられます。さっそく配線を修正して再確認を行ったところ問題なく動作しました。ミュート解除時にツェナーダイオードを負荷として終段のトランジスタに過電流が流れて両素子を破壊した事を心配をしましたが、トランジスタのベース電流を押さえていたため、そんなに大きなコレクタ電流は流れなかったようです。ヘッドホンをしたまま、ディスクのローディングを繰り返しましたがノイズの発生はありませんでした。実装状態の波形も念のため確認を行いました。

f:id:torusanada98:20200818072542j:plain

f:id:torusanada98:20200818072545j:plain

上がRチャンネルで下がLチャンネルです。黄色が終段のトランジスタのコレクタ電圧で、青色はGEN_FLAGです。どちらも想定どおりの波形となっていました。ミュート回路追加で6日間も使ってしまいましたが、これで完成です。次回はようやくブレッドボード状態での音聴きをします。

 

つづく(製作編34)

DACユニットの検討(製作編32)

f:id:torusanada98:20200817072616j:plain

製作編32

ミュート回路実験基板の単体動作確認が終わったので、ブレッドボードに搭載して改めて動作確認を行います。

実験基板搭載確認

確認項目は、片チャンネル分ですが、GEN_FLAGによってディスクロード時のノイズにミュートが正しくかかる事を確認します。まずはミュート実験基板がブレッドボードに搭載できるように改造します。改造項目はミュート出力用に3極の端子台の追加とGEN_FLAG入力用に2極の端子台を追加しました。改造基板は、ダイナミックレンジ測定時と同様に終段の平衡不平衡回路基板にスタッドを使って段積みしました。

f:id:torusanada98:20200817072552j:plain

ミュート出力は、平衡不平衡出力の端子台へ出力変換用のXLRコネクタ変換ケーブルと共締めしました。最初は実験基板への電源供給をユニバーサル電源で行い、GEN_FLAG配線を行わずにマニュアル操作でミュート動作確認を行います。

f:id:torusanada98:20200817072559j:plain

赤黒白の網線で12Vと3.3Vをユニバーサル電源から供給しています。DACユニットの出力を真空管ヘッドフォンアンプに接続してCDを再生をスタートします。タクトSWを押すとLチャンネルのみミュート状態になりました。次はGEN_FLAG信号を実験基板に入力して動作確認を行います。GEN_FLAG出力はDAI基板の7極のピンヘッダに割り振られています。2ピンがGNE_FLAGで7ピンがGNDです。7極のQIケーブルは購入していなかったので、4極と3極のQIケーブル2本で接続します。最初は単純に接続して動作確認をしました。

f:id:torusanada98:20200817072605j:plain

ディスクのローディングを何回も繰り返しましたが、Lチャンネルからノイズの発生はありませんでした。結果に満足し、1度痛い目にあっていますが、電線をシールドケーブルに変更してみます。入力部の基板から出力段の基板へデジタル信号を電送する事になるので、気休めかもしれませんがノイズ対策としてトライしてみました。ケーブルは他でも使用しているベルデンの2芯ケーブルを使用しました。ケーブルはこんな感じです。

f:id:torusanada98:20200817072611j:plain

改めてディスクのローディングを繰り返して音を聴いてみますが、せっかくなので動作波形のモニタを同時に行いました。先ほどと同様にノイズは想定どおりミュートされています。動作波形はいくつもセーブしましたが、特徴的なもの2枚を掲載します。

f:id:torusanada98:20200817072627j:plain

 

f:id:torusanada98:20200817073334j:plain

両写真ともに、上の波形が終段トランジスタのコレクタ電圧で0Vミュート解除です。下の波形はGEN_FLAGで'H'でミュートです。最初の写真はGEN_FLAGの暴れを吸収して安定した状態でミュート解除されている事がわかります。またミュートオン時の操作コイルの逆起電力も事前確認のとおり約25Vにクリップされています。下の写真では、途中で一旦ミュート解除されていますが、その後すぐにミュート復帰して安定した段階で改めてミュート解除されています。両方の状況でノイズの発生はなかったので、このままの回路で実装を進める事にします。気になった点は、下の写真の状況でミュート用のリレーが複数回カチカチ音をさせる事でしょうか。最後は電源の供給を電源基板から行います。デジアナ用8V/5V/3.3V出力基板を取り外して12V出力を追加するために改造を行います。電源ランプ用の2極の端子台脇に12V電源出力を取り付けました。

f:id:torusanada98:20200817073241j:plain

取り付けた端子台の背面に平滑用の4700uFの電解コンデンサがあり、その端子へ被覆線で接続するだけだったので改造は簡単に終わりました。改造した電源基板を元通り取り付けて、配線を行います。配線の本数が多いので間違えないように戻しました。追加した電源出力と、実験基板の電源端子を接続して動作確認の準備完了です。確認は問題なく終わったので、回路はこれでフィックスとします。次回は実装用に回路図を改めて作成し、ミュート回路を正規実装します。


つづく(製作編33)

DACユニットの検討(製作編31)

f:id:torusanada98:20200816093307j:plain

製作編31

手持ち部品でミュート実験回路を設計して動作確認をします。

ミュート回路

リレーは2cタイプをノーマリーオフで使用します。従って再生中は常に操作コイルに電流を流し続ける必要がありますが、選定したリレーは操作電流が12.5mA/chなのであまり影響はありません。ロジックできっちり回路を組みたかったですが、急遽作成する事にした為、手持ち部品で構成を考え、なお且つ終段の平衡不平衡回路基板の空きスペースがあまりない事から最低限必要な動作をする回路を検討しました。検討結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200816093158p:plain

初段のトランジスタは反転用です。負荷のコンデンサはミュート復帰にディレイを持たせる為の時定数決定用です。終段のトランジスタが操作コイルのオンオフ用で、エミッタのダイオードはオフ時に確実にトランジスタをカットオフするために入れています。

実験回路製作

基板は標準基板を使用します。入力は+12V電源とGNDおよびGEN_FLAGの3本なので、3極の端子台を取り付けました。また、検討で変更する可能性がある部品は2対のピンヘッダ間に取り付けます。

f:id:torusanada98:20200816093254j:plain

回路が簡単な上、スペースが十分あるので実装は楽でした。

f:id:torusanada98:20200816093301j:plain

時定数決定用のコンデンサは、動作確認の中で決定して取り付けます。まずはディレイ用のコンデンサなしで動作させてみました。写真上の波形はGEN_FLAGを想定した入力信号で、下の波形は終段トランジスタのコレクタ電圧です。Highでミュートします。ミュート立ち上がりの遅れは約2usです。

f:id:torusanada98:20200816093215j:plain

次の写真はミュートオフ時の波形です。75us遅れてミュート解除しています。

f:id:torusanada98:20200816093221j:plain

回路は想定どおり動作しているようです。

ミュート解除時定数

時定数を決める為に、GEN_FLAGの挙動を確認してみました。何度もディスクのローディングを繰り返してGEN_FLAGの暴れと復帰の状況をモニタします。写真は繰り返した中で復帰時の暴れが大きかった波形です。

f:id:torusanada98:20200816094908j:plain

約1.3msごとにGEN_FLAGオンを繰り返しています。この確認結果からミュート解除ディレイのターゲットを約2msに決めました。手持ちのコンデンサをとっかえひっかえしてディレイが約2msとなる定数として1uFに決定しました。写真はミュート解除時の波形です。先ほどとは反対に上がトランジスタのベース電圧で、下が入力信号です。

f:id:torusanada98:20200816093230j:plain

念のためミュートオン時のタイミングも確認しました。

f:id:torusanada98:20200816093225j:plain

初段トランジスタのオン抵抗との時定数によってミュートオンの遅れが38usと大きくなりましたが、体勢に影響なしと判断しました。

ミュート実験回路2

今までの確認は、リレーの代わりに抵抗を負荷としていました。念のため負荷をリレーに交換して確認を行います。回路および基板は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200816093203p:plain

f:id:torusanada98:20200816093153j:plain

早速動作確認をします。

f:id:torusanada98:20200816093245j:plain

上が終段トランジスタのコレクタ電圧で、下が入力信号です。ミュート解除ディレイは約1.2msに短くなってしまいました。リレー操作コイルの抵抗値は実験回路1の抵抗値の390Ωに対して約2.5倍高くなっている事が影響しているようです。次にミュートオンのタイミング確認をしました。

f:id:torusanada98:20200816093235j:plain

操作コイルオフのタイミングでコイルの大きな逆起電力が発生しています。波高値は156Vに達しています。2SC1815のVCEOの絶対最大定格は50Vなので、この動作を続けたら確実に故障します。対策として手持ちの在庫からツェナーダイオードを選定して取り付けました。回路図は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200816093249p:plain

早々に動作確認をしてみました。

f:id:torusanada98:20200816093240j:plain

約2.5ms間ツェナーダイオードによって逆起電力の電圧を約25Vに押さえる事ができました。ツェナーダイオードの動作状態が心配で、念のため保護時の電流値を観測しました。測定は直列に100Ωの抵抗を接続して両端電圧をモニタします。

f:id:torusanada98:20200816093210j:plain

最大13mAの電流が流れますが、逆電流の絶対定格は50mAなので問題ありません。次回は実験基板をブレッドボードに取り付けて実動作確認を行います。

 

つづく(製作編32)

DACユニットの検討(製作編30)

f:id:torusanada98:20200814211046j:plain

製作編30

音だしで確認されたノイズの対策検討を行います。

ノイズの原因

ノイズの発生は、ディスクがロードされたタイミングで発生する事がわかりました。その時の同軸デジタル信号を確認してみたところ、何か変化が起こっているようです。変化を捕らえるために、オシロスコープの掃引速度を変化させ、波形がロール状態となるほど遅くしたところ、現象が捕らえられました。

f:id:torusanada98:20200814211058j:plain

ディスクがロードされたタイミングで、約0.4秒間波形の出力が止まっています。これではノイズの発生も致し方ありません。この状況をDAI IC wm8805はどのように判断しているのでしょうか?デジットキットの組立説明書に参考情報がありました。

f:id:torusanada98:20200814211032p:plain

ロード直後の状態の各出力ピンの波形をモニタしてみました。(本記事アイキャッチ写真参照)上からTRANS_ERR、GEN_FLAG、NON_AUDIO、UNLOCKピンの結果です。

f:id:torusanada98:20200814211103j:plain

f:id:torusanada98:20200814211108j:plain

f:id:torusanada98:20200814211113j:plain

f:id:torusanada98:20200814211118j:plain

それぞれの端子なりにエラーを検出している事が解りました。この信号をDAC基板に入力する事で、対策がとれないかPCM1792の仕様書を改めて確認してみましたが、そんな都合の良い入力はありませんでした。デジタル信号入力が途切れてノイズが出る事は当たり前と考えてこのままとする事も考えましたが、通常の操作中にノイズが発生する事は品位に関わると思い直して対策検討を継続する事にしました。

対策検討

こんな事もあろうかと、DACユニットの最終段の平衡不平衡変換基板にミュート用のリレー搭載を想定していました。

f:id:torusanada98:20200814211007j:plain

写真は平衡不平衡変換基板の部品配置検討を行ったときのものです。リレーは12チャンネルアッテネータ製作時沢山買って在庫になっているもので、操作コイル12Vの2c仕様のものです。しかし、この基板の実体は以下のとおりで想定した場所にリレーを搭載する事ができません。

f:id:torusanada98:20200814211014j:plain

考え方は良かったですが、詰めが甘かったです。無理やり乗せる方法を検討してみました。

f:id:torusanada98:20200814211021j:plain

使用しない端子2本が基板外に出てしまいますが、何とか実装出来そうです。制御回路は左上のスペースに実装したいとおもいます。

回路検討

4本あるステータスフラグのうち、どの信号を使用するか決めます。各端子についてをLSIの仕様書で確認してみました。その結果GEN_FLAGが全エラーステータスを'or'している事が解りました。

f:id:torusanada98:20200814211028p:plain

この信号を入力として使用する事にします。この信号は、エラー発生時にオンなので、使いづらいです。信号を反転させてリレー制御に使用する事にします。DAI基板には未使用の74HC04の回路がありますが、基板の改造は極力したくないので、手持ちの部品で回路を作成する事にしました。初めに使用するリレーの仕様を確認します。

f:id:torusanada98:20200814211036p:plain

操作コイル電圧は12Vで、駆動電流は12.5mAです。最低でも9.6Vあれば動作させる事ができます。電源は他回路への影響を考慮して、マイコン駆動用の8V電源の元の全波整流回路から取る事にしました。

f:id:torusanada98:20200814211042p:plain

実働時の電圧を測定したところ、12Vを少し切って11.4Vでした。まあなんとか成るでしょう。手持ちのトランジスタから操作コイルを駆動できそうな物を選定します。下表は東芝の2SC1815の絶対最大定格です。

f:id:torusanada98:20200814211053p:plain

各数値は今回のリレーの操作コイルを駆動するのに丁度良い感じです。次回はこのトランジスタを使って検討用にミュート回路を設計してみます。

 

つづく(製作編31)

DACユニットの検討(製作編29)

f:id:torusanada98:20200812063433j:plain

製作編29

ブレッドボードの動作確認が終わったので、音を聴いてみます。

音聴き準備

最初に真空管ヘッドフォンアンプに接続して音を聴いてみます。接続用にXLRコネクタ変換ケーブルを作成しました。3極の端子台出力をXLRコネクタに変換します。

f:id:torusanada98:20200812063353j:plain

製作した変換ケーブルをブレッドボードに接続しました。

f:id:torusanada98:20200812063407j:plain

ヘッドフォンアンプ接続前に、再度出力オフセット電圧を確認しましたが、結果は安定していて調整直後(+/-0.2mV以下)と変化はありませんでした。どの程度効果があるかわかりませんが、固定用のアルミ板に各電源のGNDを接続しました。

f:id:torusanada98:20200812063400j:plain

追加で穴開けがしたくなかったので、+/-15V電源固定用スタッドに共締めしています。これで音聴きの準備完了です。

音聴き1

音聴きの最初は、真空管ヘッドフォンアンプを使います。万が一のトラブル時の影響を考慮した対応です。最近あまり出番がなかった真空管ヘッドフォンアンプとバランスヘッドフォンを引っ張り出しました。

f:id:torusanada98:20200812063421j:plain

f:id:torusanada98:20200812063413j:plain

ヘッドフォンアンプのボリュームを絞って電源オンし、CDの再生をスタートさせました。ボリュームを少しづつ上げていくと、無事音楽が聴こえてきました。さらにボリュームを上げましたがちゃんと鳴っています。普段ヘッドフォンは使っていないので、音の印象については、1000Mマルチアンプシステムで鳴らした際にまとめさせていただきます。停止・再生・選曲動作をさせても問題はありません。次にディスクに入れ替えてみましたが、ディスクがロードされた瞬間にノイズが発生しました。検討が必要ですが、このまま再生確認を続けます。入れ替えたディスクは以前から気になっていた録音レベルの高いJ-POPです。再生波形をオシロスコープでモニタしていたのでこれを機会に、再生状態を確認してみました。

f:id:torusanada98:20200812063327j:plain

このディスクの中でも特に録音レベルの高そうな曲(浪漫飛行のカバー曲)を再生します。カーソルラインが0dB再生時のピークレベルを示しています。案の定、クリッピングが発生していました。特に画面右端は盛大にクリップしています。話は逸れてしまいますが、CDの録音レベルについてネットで検索したところ音圧戦争(ラウドネスウォー)として議論されていました。多少クリップをさせてもクリップを感じさせないぎりぎりまで録音レベルを上げて音の第一印象を良くする手法のようです。再生機器の各段の分解能を上げる面では有効だと考えますが、どこまでやるか次第と思いました。それでは本題に戻ります。一通り音楽を聴きましたが、1回発生したノイズ以外は問題なさそうです。

ノイズ検討

これも以前から気になっていた、パルストランス前後の回路を再確認します。図はパルストランス添付の説明書の抜粋です。

f:id:torusanada98:20200812063427p:plain

現在はこの定数で回路を組んでいます。さらに下の図は、DAIレシーバー基板のデジタル入力部の回路の抜粋です。

f:id:torusanada98:20200812063347p:plain

CN1Gにパルストランスの2次側が接続されています。インバーターの入力にCRがある事から、パルストランス基板に実装したCRは不要な事に気づきました。まずはオリジナルの波形を確認します。

f:id:torusanada98:20200812063332j:plain

カーソル位置がおかしいですが、約320mVppです。次にパルストランス基板上の75Ωをカットして波形観測しました。

f:id:torusanada98:20200812063338j:plain

波形のレベルは484mVppまであがりました。次はパルス基板上の0.1uFをショートします。

f:id:torusanada98:20200812063344j:plain

ややレベルは上がりましたが、波形自体にはあまり変化はりません。この状態で改めていろいろな再生状態を確認してみました。結果は前回同様にディスクがロードされたタイミングでノイズが発生します。上記の対策は、今回の原因とは関係なさそうです。次回も引き続きノイズの対策を行います。

 

つづく(製作編30)