チャンネルデバイダ製作2(製作編20)

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製作編20

ケースの加工と組立を続けます。

加工図の作成

ボトムパネルの加工図作成の為に基板配置を決めます。アクティブフィルター基板位置さえ決めれば、ケースサイズに余裕があるので電源基板とトランスは現物合わせで問題ありません。まずはざっくりと基板を置いてみます。

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写真はリア側の基板の配置状態です。フレームを避けてスタッド用の穴をあければリアパネル取り付け部品との干渉を避けられそうです。サイド側も写真の程度余裕が取れれば問題ありません。正面パネルのアクティブフィルタ基板側には、4連ボリュームが2個つきます。

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ボリュームはアルプスのRK27です。いつもは駆動用のモーター付きのものを選択していましたが、今回は干渉を避けるために値段は高くなりましたが、モーター無しを選択しました。モーター付きの方が安いとは流通のマジックですね?基板のスタッドも5mm長の物を選択して極力ボリュームと基板実装部品の干渉を避けます。シャーシのフロント部にボリュームを置いてみました。

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正面パネル位置にボリュームの固定部を合わせて置くと、基板と数ミリ干渉します。基板のスタッド長を5mmとしたので、基板自体との干渉はせず、基板位置を調整することで実装部品との干渉も回避できます。この確認結果を基にパネルの加工図を作成します。

パネル加工図

初めに正面パネルの加工図を作成します。取り付け部品は電源SWと電源ランプ、4連ボリューム2個の合計4部品です。従来使用してきたスイッチとフランジ付きLEDを購入済みでしたが、ケースを変えたので、もう少しおしゃれな物に変えようと思い、秋月電子の通販ページを検索してみました。LEDランプ内蔵のオルタネートプッシュスイッチで手頃な物が見つかりました。LAS2-16HEです。LEDランプは12V用ですが、電流制限抵抗を入れて調整すれば32Vでも使えます。ランプの色は白、青、赤の3種類ありましたが、青を選択しました。

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4連ボリューム用のつまみは、あまりいじる事がないのでφ13.7の物を購入していましたが、ボリュームの回り止め用のボスが正面から見えてしまうので、径の大きな物を買い直しました。

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写真右が購入し直した物で、径は23mmです。これであればボリュームのボスが隠せます。加工図はいつものとおり、ARCADで作成します。パネルサイズは81x314です。3部品をパネルの上下センターに配置してみました。

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続いてボトムパネルの加工図を作成します。パネル自体のサイズはW344xD294ですが、フレーム部を各辺の端から13mmを確保すると加工の有効範囲はW288xD268となります。アクティブフィルタの基板サイズは、155x114で、各辺から5mm入った四角に固定用のネジ穴が開いています。基板配置は、フロントパネルのボリュームと基板実装部品の干渉を避ける為に、やや後方に配置しました。

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先に述べたとおり、電源基板とドランスの取り付け位置は、後で現物合わせで決定します。

電源スイッチ

32V電源で点灯させる為の電流制限抵抗値を決めます。全部で5端子ありますが、秋月電子のHPに掲載されている部品仕様では、回路が良くわかりませんでした。

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仕方がないので通電を含めた確認を行います。初めに電流制限抵抗を決めます。まずは定格電圧で点灯させてみました。

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いい感じで点灯しています。この時の電流値は14mAでした。

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電流値14mA時に20V(=32-12)ドロップさせる為の抵抗値は、約1.5KΩ(20V/14mA)となります。選定した電流制限抵抗で点灯させてみました。

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問題なく点灯しました。次はSW回路の確認です。仕様はオルタネートで、オン/オフ時のSW位置は微妙に変わります。

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掲載回路からLEDマイナス電極側の端子がコモンでノーマルオンがプラス電極側、センターがノーマルオフと当たりをつけて確認してみました。確認の結果、この仕様で間違いありませんでした。次回はフロントパネルおよびボトムパネルの加工と組立を行います。

 

つづく(製作編20)

チャンネルデバイダ製作2(製作編19)

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製作編19

基板の製作が完了したので、ケースの加工と組立をスタートします。

ケースおさらい

従来の製作で使ってきたタカチのUSシリーズが昨年の9月で廃番となった為、新たなシリーズのケースを選定しました。アルミサッシケースOSシリーズです。フレーム部にスタッドが立てられない為、少し大きめのケースを選定しました。品番はOS88-32-33BSです。88はケースの高さ(mm)、32は幅(cm)、33は奥行き(cm)寸法を示しています。同一形状のケースとしてSLシリーズがありますが、OSシリーズがオールアルミ製に対して、SLシリーズはトップとボトムパネルにSPCCが採用されています。加工性を考慮してOSシリーズを選択しました。今回の製作では、リアパネルにXLRパネルコネクタを8個取り付けます。加工が大変なのでタカチのカスタム加工サービスを利用しました。

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タカチのカスタム加工サービスは、穴開け加工の場合、正規発注後実働5日発送を謳っています。1/18に見積を入手して発注しましたが、ケースの一部の部品が欠品のため、3月中旬納期との事で待っていました。見積はケース代込みで22,588円でした。ケースの定価が11,620円なので、加工費は10,968円となります。この加工費はDXFデータ割引1,000円が適用されています。発注時納期から吸上がり、3/1に届きました。

ケース部品

先日の記事で、加工済みのリアパネルに部品取り付け確認を行いましたが、それ以外の部品の確認を行います。これが全部品です。

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その中から小型の包みを取り出します。品番はSK-88で数量は2個となっています。

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包みを開けてみます。

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1パッケージ2個入りの金具で、合計4個入っています。パネル固定用の部品と思われますが、説明書等ないので現時点では特定できません。次は平板状の棒です。品番はSF-304-320Sで数量4となっています。

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包みを開けてみます。レール状の部品4個が入っていました。

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写真は2本分ですが、パネル板厚分の溝が付いているので、パネル固定用のレールと思われます。続いての部品はパネル部品です。品番はOS88-330Sで数量は2個です。

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包みを開けてみます。

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ブルーのシートが貼られたパネルが2枚入っていました。サイドパネルと思われます。残りは、トップおよびボトムパネルとフロントパネルおよびネジと脚です。

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ケース組立

初めに先日部品の取り付け確認を行ったリアパネルを完成させます。前回取り付けたXLRパネルコネクタは写真の状態です。

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いい感じの取り付けできています。残りのコネクタも取り付けます。信号入力用にメスを2個と出力用にオスを6個を取り付けました。

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続いてボトムパネルにレールが取り付けられそうだったので、つけてみました。

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組立時のキズ防止のため、パネルのボトム側にビニールシートを貼ってみました。

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次はサイドパネルに金具を取り付けます。方法は位置は手探りです。

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取り付け位置と向きを捜し当て、取り付ける事ができました。

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続いて、サイドパネルとボトムパネルを合体させようとしたところ、ボトムパネルに塞がれてサイドパネル金具の一部のネジ穴にアクセスできない事がわかりました。ボトムパネルに取り付けたレールを一旦取り外し、それをサイドパネルに取り付けたところ、フレームが完成しました。

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この状態でボトムパネルをはめ込むとボトムシャーシができあがりました。

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サイドと前後のフレームの状態は写真のとおりです。

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部品を取り付け済みのリアパネルを取り付けてみます。サイドパネルの金具とパネルコネクタのクリアランスがぎりぎりでしたが、取り付ける事ができました。

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完成した基板とトランスを並べてみました。

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フレーム構造を警戒してケース選択したため、余裕の配置となりました。1サイズ小さくしても良かったかも知れません。次回はケース板金の加工および組立を行います。

 

つづく(製作編20)

チャンネルデバイダ製作2(製作編18)

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製作編18

電源基板で最後に残った電源ランプ回路の実装から再開します。

電源ランプ回路実装

下記が回路図ですが電源ランプの電流で、ch1とch2のバランスを崩さないように、全波整流の+/-出力から電力供給しています。

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電流制限抵抗と2極の端子台は以前製作したものと位置を合わせました。

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たいした回路ではありませんが、念のため通電確認を行いました。

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本題とは逸れますが、写真のLEDの発光は黄緑がかっていて見た目の色と異なっています。カメラのCCDの特性なのか使用されているフィルターの特性なのか気になりました。これで電源基板の実装は完了です。写真のとおり被覆線は2本ですみました。

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アクティブフィルター基板改造

アクティブフィルタ基板には7個のオペアンプが実装され、それぞれの電源端子に0.47uFのパスコンが実装されています。

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電源は左右独立なので、1つの電源回路あたり、0.47uF x7 = 3.29uFの容量負荷となっています。大は小を兼ねるとの考えからあまり考えず容量選択していましたが、電源回路の動作確認の中で、負荷の総容量を1uF以下に抑えるべき事を確認したため、パスコンの交換改造を行います。アクティブフィルタ基板のハンダ面は以下の写真のとおりです。

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具体的には、実装済みの0.47uFのパスコンを取り外し、代わりに同シリーズの0.1uFを取り付けます。

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この場合の1電源当たりの総容量は、0.7uFになります。パスコン交換には被覆ジャンパ線を一旦外す必要があります。それでは端から地道に交換していきます。電源供給用のジャンパー線を取り外し、他の回路へ影響を与えずに実装済みの0.47uFを取り外します。

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使用したフィルコンは高い部品ではないので使い回しは考えずに取り外しました。代わりに0.1uFのフィルムコンと取り付けて、元のとおりジャンパー線を接続しました。写真は+/-両電源用のパスコンの交換が終わったものです。改造部が若干フラックスで汚れていますが、許せる範囲ではないでしょうか?

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この作業を基板当たり14回繰り返します。取り付けに比べて数倍の時間がかかり、考えなしの容量選択を恨みました。なんとか14個のフィルムコンデンサーの交換を終えました。

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苦労の後が残るハンダ面は以下のとおりです。

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地道な作業は嫌いではありませんが、記事の進捗に影響を与えるのでのんびりやっていられません。続いてアクティブフィルター基板2の改造を行います。この基板も14個のフィルムコンを交換します。今回、0.1uFは20個しか購入していませんでしたが、幸い在庫が10個以上あったため、交換用部品の追加調達をせずに済みました。基板2の改造もなんとか完了しました。

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同様にハンダ面は以下のとおりです。

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作業の疲れや飽きにより、基板1よりも改造品質が下がっていないか心配です。

改造確認

改造内容を考慮して、通電電流の確認と出力オフセット電圧のみの確認を行います。ユニバーサル電源から+/-12Vを供給します。他はなにも接続しない状態で電源オンします。+/-12Vの供給電流は以下のとおりです。

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基板1/2のプラスマイナスともに60mAで特に問題ありませんでした。その状態でLow/Mid/Highそれぞれの出力オフセット電圧を確認します。

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各ポイントともに問題ありませんでした。2枚の基板ともに問題なく改造できている事が確認できました。次回はケースの組立を行います。

 

つづく(製作編19)

チャンネルデバイダ製作2(製作編17)

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製作編17

安定化電源ch2+12V回路実装から再開します。

ch2+12V安定化電源実装

ch2の実装は、ch1の実装と-12V回路の配線が一部異なりますが、基本同じなので飛ばしていきます。初めはドライバを放熱器に取り付けます。

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次は電源ラインを配線します。全波整流回路とドライバのコレクタを接続します。

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続いてch2の電源出力用端子台を取り付けます。位置は以前製作したものに合わせています。

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次はGNDと電源出力配線です。ここも前回の基板の敷線に合わせています。

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続いてオペアンプのソケットと出力電圧調整用のボリュームを実装します。

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さらに基準電圧回路を実装します。ch1+12V回路実装を見ながらなので効率的です。

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次はドライバのベース回路を実装します。

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最後に誤差アンプの位相補償コンデンサを取り付けて完成です。

ch2+12V電源通電確認

オペアンプを装着して出力電圧調整用ボリュームを3.8KΩに調整して電源オンします。出力電圧調整も正常に働いています。出力電圧を12.0Vに調整して各部の電圧を確認しました。

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誤差アンプの入力電圧がやや高いですが、設計値どおりの状態を確認できました。

ch2+12V電源動作確認

ch1と同様に等価出力インピーダンスを測定します。負荷条件は平均電流が30mAで、0-60mAに正弦波状に振っています。結果は以下のとおりです。

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青のラインがch2の結果ですが、ch1と同等の特性でした。続いて容量負荷時の確認を行います。ch1と同様に0.1uFと1uF時の測定を行いました。

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結果はch1と同様に0.1uF負荷時は観測周波数範囲ではほぼ特性に影響はなく、1uF負荷時は10KHz以上の帯域でやや特性が悪化しています。この結果もch1と変わりません。

ch2-12V回路実装

最初にも説明していますが、この回路用の放熱器は回路実装の都合により基板から数ミリはみ出しています。トランジスタ取り付けには全く影響ありません。

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オペアンプ用のソケットとボリュームを実装し、続けて基準電圧回路を実装します。ここまではch1の実装と全く同じです。

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次に出力の位相補償回路とドライバのベース回路を実装します。

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部品実装位置はch1と変わりませんが、一部引き回しを変えています。実装エリアが他回路に比べて1穴分狭いため同じ実装ができない為です。最後に誤差アンプの位相補償用のコンデンサを取り付けてオペアンプを装着すれば完成です。

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ch2-12V通電&動作確認

出力電圧調整用ボリュームを3.8KΩにプリセットして電源オンします。動作は問題ありません。出力を-12Vに調整して各部電圧を確認しました。

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設計値どおりの電圧で問題ありません。続いて負荷時の等価出力インピーダンスを測定します。下記は容量負荷がない状態の特性です。

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ch1と同等の特性です。最後に0.1uFと1uF容量負荷時の特性も確認します。

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容量負荷時の特性もほぼch1-12V回路と同等でした。電源回路の実装はこれで完了です。無負荷状態の消費電流は写真のとおり47mAです。

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プラス電源の電流はch1およびch2のプラス電源に供給されているため、1電源あたりの消費電流は約24mAとなります。電源自体の消費電流としては大きいですが、半分はオペアンプの負荷抵抗で消費されています。残りはオペアンプ自体と基準電圧回路、出力電圧調整用ボリュームで消費されています。

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次回は残った電源ランプ回路実装と、今回の結果を反映してアクティブフィルタ基板の改造を行います。

 

つづく(製作編18)

チャンネルデバイダ製作2(製作編16)

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製作編16

組み上げたマイナス電源の通電確認でまったく出力がでないトラブルが発生したので原因の特定から再開します。

動作不良

前回の記事は、-12V電源の通電確認で出力がでない(0V)状況で終わりました。原因を特定する為に、各部電圧を当たったところ、-9.1Vの基準電圧が生成されておらず、0Vとなっていました。電源を切ってハンダ面を確認したところ、すぐに原因がわかりました。基準電圧回路の定電流ダイオードが本来マイナス電源に接続されるはずの部分がGNDに接続されていた為に、基準電圧回路に全く電圧がかかっていない状態でした。

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定電流ダイオードが接続されていたGNDラインと平行に敷線されたマイナス電源ラインに定電流ダイオードを接続しなおしました。

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改めて電源オンで正常動作を確認しました。出力電圧を-12.0Vに調整して通電確認は完了です。各部の電圧は以下のとおりです。

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上記のとおりマイナス電源も各部電圧は設計値どおりでした。

マイナス-12V動作確認

プラス回路と同様に等価出力インピーダンスの周波数特性の確認を行います。負荷条件は今までの測定に合わせて、平均電流30mAで負荷電流を0~60mAppの正弦波状に制御しています。初めは容量負荷がない状態で確認を行いました。結果は以下のとおりです。

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ピンクのラインが今回測定した結果です。青のラインは容量負荷なしの同一条件時のプラス電源の結果です。ほぼ同等の結果です。せっかくなので、三端子レギュレータの結果とも比較してみます。三端子レギュレータは発振対策で出力に10uFを接続した状態の結果です。

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大きな差はありませんが、1KHz以上で安定化電源に比べて三端子レギュレータの等価出力インピーダンスが大きくなり始め、20KHzで約2倍の値になっています。プラス電源と同様に、影響があまりない負荷容量を確認するために、0.1uFと1uF容量負荷時の特性の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

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結果はプラス電源と同等で、1uF容量負荷時は10KHz以上で特性がやや悪化するものの、0.1uF時はほとんど影響がない事が確認できました。この結果からも、アクティブフィルタ基板のパスコンの電源当たりの総容量を1uF以下にすべき事がわかりました。

ケースその後2

1/18に見積りを入手し、一部欠品部品があり3月中旬の納期とのことでしたが、注文をして納品を待っていました。事前連絡よりも納期が吸い上がり、3/1に届きました。あいかわらず大きな梱包です。

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代理店としてマルツオンラインを指定した為、マルツの梱包で届きました。開けると緩衝材がつまっています。

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緩衝材を取り出すと、プチプチにくるまれてケースの部品がそのまま入っていました。前に購入していたシリーズとは異なり専用の箱はないようです。

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部品を取り出してみましたが、全部品があるかわかりません。気になっていたリアパネルの加工状態を確認してみます。見た目には加工状態は問題ありません。

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一通り部品を取り付けてみます。今度こそ後加工をしない意気込みで修正したXLRパネルコネクタ部図面ですが、メス側の余裕がありませんでしたが問題なく取り付けができました。(本記事のアイキャッチ写真参照)せっかくなので他の部品も取り付けてみます。ヒューズホルダを取り付けます。

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問題なく取り付けできました。最後にACインレットを取り付けます。

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全種類の部品が問題なく取り付けできることが確認できました。一旦ケース加工は後回しとして、基板が完成した後に続きを行います。次回は安定化電源ch2+12V回路実装を行います。

 

つづく(制作編17)

チャンネルデバイダ製作2(製作編15)

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製作編15

安定化電源動作確認中に、誤差アンプ位相補償コンデンサ実装忘れに気づいたので実装し、動作確認をやり直します。

位相補償コンデンサ

誤差アンプの入出力間に470pFを取り付けます。これは回路検討時に矩形波応答の確認を行い、応答波形レベルがあまりにも大きかった為に取り付けました。当然の事ながら等価出力インピーダンスの高域特性は悪化します。前回の製作と同様に、セラミックコンデンサをハンダ面に取り付けました。

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動作確認

先の測定と同一条件で等価出力インピーダンスの周波数特性の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

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ピンクのラインが今回の測定結果です。青のラインは位相補償コンデンサなしの結果です。4KHz付近から位相補償による影響が出始め、10KHzで等価出力インピーダンスが約2倍の結果となっています。この状態で先の確認で問題となった4.7uFを負荷とした場合の特性の確認を行います。

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40KHz以上の特性は変わりはありませんが、10KHz以下の特性が改善しています。位相補償追加によって微少発振が止まった事による改善です。この結果を見てしまうと、4.7uF負荷も避けるべきです。上限の容量確認の為に1uFと0.1uFの特性の確認を行いました。

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0.1uF負荷の場合、測定帯域内でほぼ影響はありません。1uFの場合は10KHz以上の帯域で若干の悪化レベルです。この結果から負荷容量の合計は1uF以下に押さえたいとおもいます。念のため配線長の影響を確認するため、約30cmの配線の先にコンデンサを取り付けて同様の確認を行ってみましたが、観測帯域内の特性は変わりませんでした。これらの結果から、アクティブフィルタ基板に取り付けたパスコン14個については容量を見直し、1電源あたりの合計容量を1uF以下に抑えたいとおもいます。

-12V安定化電源実装

続いてch1の-12V安定化電源回路を実装します。初めはドライバを放熱器に取り付けます。トランジスタはプラス電源用ドライバコンプリメンタリ品の2SA1359です。

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次は誤差アンプ用のオペアンプのソケットを取り付けます。回路実装の都合上、プラス電源回路と逆向きに実装します。

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プラス電源実装時には触れませんでしたが、採用したオペアンプは2回路品ですが、1回路は使用していません。未使用回路はボルテージフォロワ接続して、+入力に他チャンネルと同じ誤差信号を入力しています。出力はオープンです。続いて出力電圧調整用のボリュームを取り付けます。

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大物部品の実装位置はプラス電源とほぼ合わせています。続いて、-9.1Vの基準電圧回路を実装します。ツェナーダイオードおよび定電流ダイオードともに極性があるので注意して実装します。マイナス回路は、GNDからマイナス電源に電流が流れるので両部品の極性確認時に頭が混乱します。

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部品面実装最後は、ドライバベース回路と出力の位相補償回路です。ドライバベース回路の実装はプラス電源と変えています。

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今回は忘れずに誤差アンプの位相補償用コンデンサを取り付けます。

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これでマイナス電源回路実装は完了です。

ch1-12V電源通電確認

通電するために、オペアンプをソケットに装着します。

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オペアンプを装着すると見た目が引き締まります。出力電圧調整用ボリュームをプラス電源通電確認時と同様に3.8kΩにプリセットして、ユニバーサル電源から-16.9Vのみ供給します。出力電圧をモニタしながら電源オン。あれれ?出力がでません・・・。ユニバーサル電源の電流計はほとんど電流が流れていない事を示しています。なにかやらかしてしまいました。回路ダメージがなければいいのですが。次回は通電確認の続きから再開します。

 

つづく(製作編16)

チャンネルデバイダ製作2(製作編14)

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製作編14

実装完了した安定化電源+12Vの通電確認と動作確認を行います。

通電確認

電力を扱う回路の通電確認はいつも緊張します。もう一度実装の目視確認を行います。特に問題なかったので、出力電圧調整用のボリュームをプリセットしました。基準電圧が9.1Vなので、GNDからの抵抗値を約3.8kΩ(=5x9.1/12)とします。ユニバーサル電源の過電流保護を100mAにセットして16.9Vを供給します。緊張しながら電源オンしましたが、過電流保護も働かず問題なさそうです。出力電圧調整用のボリュームも正常に機能しており、出力を12Vに調整しました。この時の各部の電圧は以下のとおりです。

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各部の電圧は設計値どおりとなっています。

動作確認

三端子レギュレータ版電源の動作確認と同様に等価出力インピーダンスの周波数特性の確認を行います。負荷条件は三端子レギュレータ版の測定と合わせて、平均電流を30mAで波高値を0-60mAに正弦波状に振ります。写真は10KHz時の応答波形です。

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変動レベルは押さえ込まれていて、良好な結果が期待できます。負荷電流の周波数を10Hzから100KHzまで振って等価出力インピーダンスの周波数特性をグラフ化しました。

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青のラインが今回測定した結果です。CDの再生帯域は、ほぼ0.1Ω以下の結果となっており、特性は良好です。+12Vの三端子レギュレータの結果と比較していますが、200Hzくらいから特性差が発生し、10KHz付近では、安定化電源の出力インピーダンスが1/10程度と差が拡大しています。次に実動作時に近い条件で確認を行います。+12Vの負荷には、オペアンプが7個接続されます。各オペアンプの電源端子に0.47uFのパスコンを接続しているため、負荷の容量の合計は、3.5uFとなります。手持ちに4.7uFのフィルムコンデンサがあったので、それを接続して同じ評価をしてみます。結果は以下のとおりです。

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40KHz以上の帯域で動作が不安定となり、等価出力インピーダンスが増大しています。低周波数域も微少発振の影響で、等価インピーダンスが2倍程度悪化しています。どうしたものかと思案していたところ、誤差アンプの位相補償コンデンサ470pFの実装を忘れている事に気がつきました。やれやれ。

カメラ修理その後

NEX-5Tの修理ですが、引き取りが2/19(火)でした。引き取り修理の場合の費用処理は、修理後の配達時の代引です。事前に配達日時と修理金額の連絡をいただける事になっていましたが、2/22(金)にいきなり届いてしまいました。

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後で気づきましたが、前日の夕方に見知らぬ番号の着信履歴が残っていましたが、これが連絡だったかもしれません。できれば合わせてメール連絡いただけると確実だとおもいました。修理はシャッターユニット交換で部品代が1,000円でした。

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本体は、湿気防止の為、真空パックされて返却されました。写真右の部品が交換されたシャッターユニットです。見た目には故障しているようには見えませんでした。その他費用は、技術料が15.000円、送料2,000円でした。今回の修理ですが、ネット上の手続きのみで、引き取りから配送まで正味3日でした。引き取りと配送時の対応ができれば、本当に手軽で便利だとおもいました。現行のαのボディー(α5100)が約45,000円なので、娘には10,000円渡して、合計30,000円でNEX-5Tが手に入りました。次回は誤差アンプに位相補償追加して再動作確認を行います。

 

つづく(製作編15)