チャンネルデバイダ製作2(製作編13)

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製作編13

三端子レギュレータを使った電源の性能がいまいちだったので、安定化電源を作り直します。

安定化電源

2018-04-13「安定化電源の性能改善」で紹介した電源を再製作します。回路図は以下のとおりです。

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誤差アンプには単電源オペアンプNJM2742を使用し、ドライバには高周波特性が良好な、2SC3422/2SA1359を使用しています。何も考えずに前回の製作をまねる予定です。

+12V安定化電源実装

通電確認の確実性を確保するため、+12V回路が完成した時点で通電確認と動作確認を行う予定です。始めにドライバ用の小型放熱器を取り付けます。放熱器にはφ1.4のボスが1本ありますが、基板にささるように穴を広げます。

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安物のドライバビットセットとピンバイスですが、基板加工であれば便利に使えています。放熱器は均等の間隔で配置しましたが、他の部品の実装の都合から基板上片側に寄せて配置させています。一番端の放熱器は基板から少しはみ出しています。

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続いて出力の端子台を設置してGND配線を行います。

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オリジナルの製作時は、部品の配置検討用に4回路分を最初に敷線しましたが、すでに配置は確定しているので、+12V動作に必要な部分のみ敷線しました。次は+12V電源用ドライバ2SC3422を放熱器に取り付けます。フルモールドタイプなので特段絶縁は必要ありませんが、念のためプラネジを使っています。

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その手前に、電圧調整用のボリュームとオペアンプ用ソケットを取り付けます。

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続いて、出力に位相補償用のCRを取り付けます。コンデンサはフィルムコンです。

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今回、1Ω抵抗を100本セットで購入しましたが、他の1/4W品よりサイズが小さかったため、1/2W品または1W品を購入すべきでした。次は、基準電圧回路を実装します。今回5.6mAの定電流ダイオードと9.1Vの定電圧ダイオードを各10本づつ購入しましたが、小袋に何の記載もなく、確認に苦労しました。データシートで表示を確認し、虫眼鏡を引っ張り出して蛍光灯の下でボディーの捺印を確認しました。いい年頃の私にはまるで罰ゲームです。

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+12V回路の残りは、ドライバのベース回路です。オペアンプの負荷の1KΩは、負荷電流を流す事で応答性を上げるために入れています。10Ωと1KΩのリードが部品面で接触していますが、ハンダ面で接続しているので良しとします。

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+12V回路を通電するために、電源入力部の全波整流回路を実装します。部品は電解コンデンサとブリッジダイオード、入力端子台です。電解コンデンサはいつも使用しているニチコンオーディオ用のKW4,700uF/50V品です。

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全波整流回路のGND配線のみ被覆電線を使用しました。

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これで+12V通電確認に必要な実装は完了です。オペアンプを装着すれば通電確認Readyです。

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カメラ

記事の写真撮影にはSonyNEX-C3を使っています。台湾に単身赴任していた時に会社の厚生プログラムを利用して購入したものです。

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購入後7年が経過していますが、内蔵のバックアップ電池はヘタリ、さらに最近レンズ交換後にレンズを認識できない不具合の発生頻度が高くなっていました。代わりを捜しましたが、αの一番安いボディーだけでも5万円弱します。どうしようかと思案していたところ、娘が最初に買ったNEX-5Tが放置されている事を思いだし、譲ってもらう事にしました。尚、娘は現在キャノンの一眼を使ってます。

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このNEX-5Tは頻繁にカメラエラーが発生する為、そのまま使えません。仕方がないので、引き取り修理サービスを利用する事にしました。修理代金3万円以下であれば見積もり不要で修理依頼をかけています。引き取り修理サービスは、2,000円強の手数料がかかりますが、全てネット上で手続きできたので大変便利です。この結果については改めて紹介します。次回は実装完了した安定化電源の通電確認を行います。

 

つづく(製作編14)

チャンネルデバイダ製作2(製作編12)

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製作編12

プラス電源の動作確認が終わったので、マイナス電源の動作確認を行います。

マイナス電源発振

プラス電源と同様に動作確認を行う為に出力にオシロを接続して電源オンしたところ、発振していました。

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周波数は40KHz弱で、レベルは64mVppです。三端子レギュレータで発振の経験がなかった為、ch2も確認を行ったところ同様に発振していました。原因としておもいあたった点は、電源ランプ用のLEDの点灯回路です。プラス電源の動作確認の際に、電源基板への電源入力をプラスとマイナスを同時に供給するとなぜか、出力のノイズレベルが高くなったため、プラス電源のみ供給して動作確認を行いました。この場合、マイナス電源は動作していない状態で、LEDの電流が出力に流れ込みます。この影響で壊してしまった可能性を疑いました。ch1とch2ともにLEDは点灯していたとおもいます。予備の三端子レギュレータがなかったため、初期の製作でつくった電源基板から取り外します。

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現状の配線の考え方と異なり、配線が美しくないとおもいつつ、三端子レギュレータを取り外しました。

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とりあえずch1のマイナス電源用の三端子レギュレータと交換しました。交換で基板をややフラックスで汚れてしまいましたが、問題ないレベルです。

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緊張しつつ電源オンして出力をモニタします。結果は残念ながら変化なしです。その後、出力のフィルムコンデンサ0.47uFを暫定的に外したり、三端子レギュレータの入力にフィルムコンデンサーを付けたりしましたが、全く変化がありません。試しに出力に電解コンデンサを付けたところ、発振はきれいさっぱり消えました。-12Vの三端子レギュレータは、出力の電解コンデンサ接続前提だったようです。予定外に動作確認前に時間がかかってしまいました。

マイナス電源動作確認

気をとりなおして動作確認を始めます。出力には手元にあったニチコンのFG10uFを接続しました。

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プラス電源の動作確認と同様にジグを使って負荷電流を60mAppの正弦波状に制御して10Hzから100KHzまで周波数を変えて応答波形をモニタしました。結果は以下のとおりです。

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素の状態のプラス電源の特性よりは良いですが、3KHz付近から周波数が上がるに従ってインピーダンスが上昇し、20KHzで0.4Ω強の値となっています。次に出力の電解コンデンサを100uFに変更してみました。

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10KHz以上の帯域で特性が改善しました。プラス電源のように改善を始める周波数域で特性が悪化する事がありませんでした。さらに電解コンデンサの容量を1000uFにして確認してみました。

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6KHz以上の帯域でさらに特性が改善しました。念のためch2も1000uFを接続して特性の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

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ch1と同等の特性が確認できました。このレベルの特性であれば使ってもいいレベルではないでしょうか?

電源基板方針

前回の記事で紹介したプラス電源のインピーダンスの周波数特性が納得できずに、また電解コンデンサを追加してもファンダメンタル周波数域の特性が悪化してしまう状況のため、できれば使いたくありません。せっかく製作をしましたが、安定化電源の特性改善で紹介した電源を再製作する決心をしました。製作後に同様の特性の確認を行ってみたいとおもいます。

 

つづく(製作編13)

チャンネルデバイダ製作2(製作編11)

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製作編11

電源基板の通電確認が終わったので、動作確認を行います。

電源基板の動作確認

確認方法は、以前の記事で行った電源の等価出力インピーダンス測定を行います。ジグを使用して負荷電流を正弦波状に振って、その時の出力電圧の変動をモニタします。性能の判断は、負荷電流の周波数を変えて等価インピーダンスの周波数特性で行います。参考としてジグの回路図を再掲載します。

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回路は3ブロックに分かれていて、正電源用の負荷回路、負電源用の負荷回路と電圧変動増幅用のAC入力アンプです。ACアンプのゲインは10倍(20dB)に調整してあります。このアンプは、アクティブフィルタの周波数特性の測定で、測定限界を下げるために使用したものです。負荷回路は、ボリュームで調整可能なDC電圧と外部入力を加算した信号を負荷電流用のドライバ(エミッタフォロワ)のベースに入力して負荷電流を制御します。

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ジグへ供給する電圧の都合により、今回の負荷電流は平均30mAで、60mAppの正弦波とします。

ch1+12V電源特性測定

ジグへ入力する信号レベルを絞り、ジグの平均電流調整用ボリュームも負荷電流がカットオフする方向に調整して電源オンします。負荷電流をオシロでモニタしながら電流調整ボリュームを回して平均電流を30mAに調整します。ジグの負荷抵抗が50Ωなので、電圧換算で1.5Vです。この状態で発振器の出力レベルを上げて、負荷電流変動の波高値を60mAppに調整しました。電圧換算で3Vppです。写真は周波数1KHz時の応答波形です。

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上の波形が負荷電流で、下の波形が出力変動を10倍増幅した波形です。出力変動波形はやや歪んでいますが、0.106Vppを示しています。10倍のアンプで増幅しているため、実際の出力変動は、0.0106Vppです。この時に電流の変動量は60mAppなので、等価出力インピーダンスは約0.18Ωと計算できます。この方法で10Hzから100KHzまで等価出力インピーダンスを測定してグラフ化してみました。

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約100Hz位までは良好な特性を示していますが、そこからインピーダンスが上昇を始め、500Hzで0.1Ωを越えます。さらにインピーダンスは上昇を続け、10KHzで1Ωを越えて、それ以上の周波数では1Ω強で安定します。正直この特性を見てしまうと、そのまま使いたくなくなりました。写真は10KHz時の応答波形です。

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波形は素直なので、安定して動作はしていると考えられます。三端子レギュレータの特性のばらつきによる可能性もあるので、ch2の+12V電源も同様に測定してみました。結果は以下のとおりです。

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ch2の+12V電源の同様の結果となりました。以前の測定では、出力に100uFの電解コンデンサが接続された状態だったので、同じ条件で測定をしてみました。

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ch2+12出力用の端子台に100uFを接続して同様に測定を行いました。結果は以下のとおです。

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以前に測定した結果と同じになりました。3KHz付近で出力変動がピークとなり、等価インピーダンスが約0.7Ωとなります。それ以上の周波数では、電解コンデンサの効果によりインピーダンスが下がっています。この時の1KHzと10KHzの応答波形は以下になります。

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1KHz時の変動波形は歪みが大きく、波高値を使って等価インピーダンスを計算すべきではない気がします。10KHzになるとは波形が安定しています。実験として、出力に接続する電解コンデンサの容量を50uFと1000uFに変えて特性を測定してみました。

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特性の傾向は変わりませんが、容量が大きくなると出力変動のピーク周波数が下がり、高周波数域のインピーダンスの全体的に下がります。電解コンデンサによる効果は、負荷電流に依存するため、今回の結果はあくまでも平均電流30mAで電流の変動量が60mApp時の結果と考える必要があります。今回測定した結果と、今回の電源基板は実装回路量から余裕がある事を考慮してどうするか考えたいとおもいます。次回は-12V電源も同様に動作確認を行います。

 

つづく(製作編12)

チャンネルデバイダ製作2(製作編10)

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製作編10

フィルタ基板が完成したので、電源基板の実装を行います。

電源基板

+/-12Vを左右独立電源とするので、三端子レギュレータ4個を使って構成します。

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出力にはフィルムコンデンサのみで電解コンデンサを搭載していません。今まで三端子レギュレータに絞って特性評価をしていなかったので、完成後の動作確認にて特性評価をする予定です。その際に、出力に電解コンデンサを追加して比較評価をする予定で、結果によっては後付けの検討します。

電源基板実装

基板は私の標準基板(95 x 72mm)を使用します。搭載部品が少ないので余裕で実装できそうです。まずは実装部品をガードするために、四角にスタッドを取り付けます。

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次に実装する大物部品を準備して、入出力用の端子台の位置を決めます。出力用端子台は、基板の両端から同じ位置に取り付けました。入力用端子台は一方の出力端子台の位置の反対側に取り付けました。電源ランプ用端子台は、基板実装の向きを考慮して配線の取り回しを考慮して取り付けました。

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続いて、上で準備した平滑用の電解コンデンサを実装します。ニチコンのオーディオ用電解コンデンサKW 4,700uF/50V品です。リードが太く、電源用配線としては理想ですが配線がやりにくいです。

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実装した電解コンデンサと出力端子台間のGND配線をします。電解コンデンサのリードくらい太い電線で配線すべきですが、作業性を考慮して他で使用する単線で配線しました。このGND配線を基準に部品実装を進めます。

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次は、+12V用の三端子レギュレータを実装します。出力端子側を端子台の向きに合わせて、GND配線に平行に実装しました。

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出力に0.47uFのフィルムコンデンサのみを実装します。

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同様に他方のチャンネルも+12V用の三端子レギュレータを実装しました。実装をまねるだけなので効率が良いです。

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次は-12V用の三端子レギュレータを取り付けます。向きはプラス電源用と同じく、出力端子側を出力端子台の向きに取り付けます。

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プラス用と比べて入力とcommon端子位置が逆になっているため注意が必要です。

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続いてブリッジダイオードを実装して、平滑回路の配線を行います。ブリッジダイオードは、ショットキーバリヤダイオードを採用した2A品です。合わせて電解コンデンサと並列にフィルムコンデンサを実装します。

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次は、電源ランプ用の端子台配線と、他チャンネルのバランスを取るために同様の回路を実装します。先に掲載した回路図では抵抗のみですましていましたが、手元にLEDの余分があったのでバランス元の回路と同じに変更しました。

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続いて、三端子レギュレータの入力配線を行います。ジャンパ線を使って被覆電線を使わずに配線しました。

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これで実装が完了しました。

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通電確認

いつものように電源はユニバーサル電源から供給します。電圧は無負荷時の平滑回路電圧が同じとなるように+/-16.9Vを供給しました。

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各チャンネルの出力電圧は以下のとおりでした。

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若干の誤差はありますが、問題ありません。基板上のLEDも問題なく点灯しています。

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通電確認が完了したので、次回は動作確認を行います。

 

つづく(製作編11)

チャンネルデバイダ製作2(製作編9)

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製作編9

基板2のLowブロックの動作確認から再開します。

Lowブロック動作確認

バッファアンプ用オペアンプMUSES01を実装します。他と同様にソケットに挿した上で基板実装しました。

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最初にバッファアンプの出力オフセット電圧を確認します。-2.2/-0.8mVで問題ありませんでした。次にLPFアクティブフィルタ用オペアンプを実装します。オペアンプはMUSES8920です。トータルの出力オフセット電圧は-2.1/-0.4mVで問題ありません。続いて正弦波応答を確認します。波形はColdチャンネル700Hz時の正弦波応答です。

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減衰量は約9.1dBで遅延量は0.467mS(117°)です。カットオフはもう少し低い周波数と考えられます。10Hzから1MHzまで波形応答を確認してグラフ化しました。下図はLowブロックColdチャンネルの周波数特性です。

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減衰域は-55dBまで確認できています。同様にHotチャンネルも確認してグラフ化しました。

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Hot/Coldチャンネルともに同等の特性の確認ができました。

Highブロック動作確認

Lowブロックと同様にバッファアンプ用にMUSES01を実装します。出力オフセット電圧は0.1/-2.5mVでした。次にHPFアクティブフィルタ用にMUSES8920を実装します。Highブロックトータルの出力オフセット電圧は、-0.5/0.2mVで問題ありません。続いて他ブロックと同様に正弦波応答を確認します。波形はColdチャンネル7KHz時波形応答です。

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減衰量は約6.6dBで、遅延量は30uS(76°)でした。Hot/Coldチャンネルともに10Hzから1MHzまで波形応答を確認して結果をグラフ化しました。

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基板1の結果も同じですが、低域の減衰量約47dBと、他のブロックに比べて測定限界が下がりません。原因はノイズレベルの違いです。実用時に影響がでるかは不明です。

総合特性

基板2のいままで測定したLow/Mid/Highブロックの特性をまとめてみます。

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特徴的な点は、Midブロックの2~3KHzで減衰量が下がりますが、0dBまで下がっていません。基板1も同様の特性です。先ほども書きましたが、Highブロックの低域の減衰量がノイズの影響で下がりません。Midブロックとの違いはどこからきているのでしょうか?クロスオーバー周波数は、700Hz弱と約7KHzとなっていて基板1とほぼ同等でした。これでアクティブフィルター基板2枚が完成しました。

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ケースその後

設計編3にて、従来使用してきたケースは販売終了となり、従来とは別のケースを選択して、リアパネルの加工図を作成した事を紹介しました。

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作成したリアパネルの加工図をDXF変換して、タカチ電機のHPからカスタム加工の見積もり依頼をしました。

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見積もり申し込み用フォームに必要事項を記載して、準備したDXFファイルを添付します。また、今回の取引で使用する代理店を記載します。私の場合は部品購入の実績があるマルツオンライン様を指定させていただいています。今後の必要なやりとりは全てマルツオンライン様と行います。この見積もり依頼を1/15に送信したところ、1/18に見積もりを入手しました。価格は22,588円です。指定のケースOS88-32-33SSの標準価格が11,620円なので加工費は10,968円ということになります。価格はこんなものかと思いましたが、問題は納期です。下記が見積書のコメントです。

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カスタムサービスは、穴加工だけであれば、受注後5日目発送を唱っていますが、選択したケースの部品の一部か欠品しているため、最短納期が3月上旬との事でした。他に選択肢がないため、記事を途中で中断する覚悟の上、発注しました。やれやれ。次回は電源基板の実装を行います。

 

つづく(制作編10)

チャンネルデバイダ製作2(製作編8)

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製作編8

基板2の実装が完了したので、通電確認から再開します。

基板2通電確認

基板1の記事では触れませんでしたが、CRの実装後にも通電確認を行いました。方法は、CR実装前と同様に電源端子台から+/-12Vを供給して、各オペアンプのソケットの端子電圧の確認をします。ユニバーサル電源の過電流保護は100mAに設定しています。

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Midブロックのバッファアンプ用オペアンプソケットの端子から確認していきます。アクティブフィルタのCRを実装した事で、HPFアクティブフィルタ用のオペアンプソケットの端子電圧が変わります。参考に回路図を再掲載します。

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順調に確認が進みましたが、HighブロックHPF用オペアンプソケットの端子電圧が、CR実装前と変わりません。具体的には3pinと5pinが不定のままです。本来は3.9KΩでGNDに接続されるため、0Vとなるはずです。配線を確認したところ原因がすぐにわかりました。CR取り付け用ポストの一番端(写真下)の外側の端子が未接続で、GND配線を忘れていました。

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ご丁寧にHot/Coldともに配線を忘れていました。追加で配線します。

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他には問題なく確認は完了しました。下記が確認結果です。基板1に比べて基板2はミスが多く、まさに慣れによる注意不足が原因と考えられます。気を引き締めなければ。

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基板2動作確認

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ブロック単位でオペアンプを実装していき、その都度動作確認を行います。動作確認は正弦波を入力して、波形応答をポケットオシロで確認します。Midブロックのバッファから確認を行っていきます。MUSES01を付属のソケットに挿して基板ソケットに実装しました。

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この状態で電源オンして、出力オフセット電圧を確認します。0.1/-1.7mVで問題ありません。次にLPF用にMUSES8920を実装します。同様に出力オフセット電圧を確認しました。0.4/-1,8mVで問題ありません。この状態で正弦波応答確認を行います。入力電圧は2.0Vppです。現状でLPFとなり、高周波域で減衰するので、10倍(20dB)のプリアンプを使用して測定限界を広げます。

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Coldチャンネルから確認を行います。写真は7KHz時の正弦波応答波形です。

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減衰量は約6.4dBで位相差は38.3us(96°)です。設計どおりの応答です。10Hzから1MHzまで確認し、結果をグラフ化しました。

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測定限界は約-55dBで素直な特性となっています。同様にHotチャンネルも同様に波形応答を確認してグラフ化しました。

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HotチャンネルもColdチャンネルとほぼ同等の特性になっています。高周波の減衰域で、やや特性があばれていますが、測定誤差の可能性が高いです。続いてMidブロックのHPF用のオペアンプを実装します。

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Midブロックのトータルの出力オフセットは、0.1/-0.2mVと問題ありませんでした。Coldチャンネルから波形応答を確認していきます。波形は700Hz時応答波形です。

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減衰量は約5.4dBで、位相差は0.476ms(119°)となっていました。Cold/Hotともに波形応答を観測して結果をグラフ化しました。

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Hot/Coldともに素直な特性が確認できました。次回はLPFの動作確認から作業再開します。

 

つづく(制作編9)

チャンネルデバイダ製作2(製作編7)

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製作編7

基板2の実装が、アクティブフィルタCRを除いて終わったので通電確認から再開します。

基板2通電確認

確認方法は基板1と同様に、電源端子台から+/-12Vを供給して、オペアンプソケットの各端子電圧を確認します。ユニバーサル電源の過電流保護を念のため100mAに設定しました。

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Midブロックのバッファ用オペアンプソケットから確認します。開始早々、3pinが-12Vとなっていました。この端子は入力なので47kΩを介してGNDに接続されているので、本来は0Vとなるはずです。隣の端子がマイナス電源なのでハンダ不良の可能性が高いと考えられます。

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予想通り、4pinと接触していました。被覆電線で電源配線を行ったときにつないでしまったようです。こてを当て直して、修正して通電確認を続けます。その後順調に確認が進み、最後のHighブロックの確認で異常が見つかりました。バッファアンプとアクティブフィルタ用両方のオペアンプの4pinにマイナス電源がきていません。不定の状態なので配線が正しくされていません。配線をたどったところ「いもはんだ」が見つかりました。

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写真中央のハンダ部で、3本のジャンパを接続したうちの1本がいもハンダとなっていました。ここもハンダを当て直して修正しました。今回の通電確認で都合2件のミスが発見できました。たいした手間ではありませんが、確認実施してよかったと思います。下記が最終的な確認結果です。

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アクティブフィルタCR実装

MidブロックのLPFアクティブフィルタから行います。基板1実装時に参照した実装図を再掲載します。

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各ポストに所定のCRをハンダで取り付けていきます。コンデンサは、フィルムコンデンサを使用し、リードをフォーミングして取り付けます。

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CRを交互に取り付け、1つのオペアンプあたり8個取り付けると完了です。

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続いてMidブロックのHPF用CR取り付けです。CRの取り付け順番がLPFと反対となりますが、同様に8個のCRを取り付けます。

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次はLowブロックのLPF用CRの取り付けです。取り付けるCRの定数は、MidブロックのHPF用CRと同じですが、取り付ける順番が異なります。

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最後はHighブロックのHPF用CRの取り付けです。取り付けるCRの定数は、MidブロックのLPF用CRと同じですが、取り付ける順番が異なります。

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これで基板2の実装が完了しました。

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ハンダこて

昨年、学生時代に購入してずっと使ってきたgoodのこての電源コードが劣化してきて危ない感じになってきたので新調しました。特に使い勝手に問題なかったのでgoodのこてにしました。ここのところ記事に余裕がないので、こての余熱時間も無駄にしない手順で作業を開始したところ、段取りが終わりコテを取ったところ、まったく熱くなっていません。やれやれ。購入後それ程使っていないのにと思いつつ、作業再開できるように近所のビバホームで調達する事にしました。残念ながらgoodのコテはなく、白光のコテのみです。ややサイズが異なりますが、こて先は細く、作業には問題なさそうです。

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購入したものは、電子工作用のセラミックヒータ15Wのもので、こて先の形状によるところか、goodのものよりも使い勝手が良かったです。購入後に、アマゾンで購入すれば、400円(約25%)程安く買う事ができた事がわかりましたが、予備を買っておくべきか思案中です。

 

つづく(制作編8)