チャンネルデバイダーのVR制御(構想編4)

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構想編4

番外編で2回分間があきましたが、Arduino UNOを使ったアッテネータ用リレー制御を具体的に構想します。

制御回路基本ブロック

今回のシステムを大きく下に示す3つのブロックに分けて構想を進めます。

1)キーブロック(Up/Dwon/Muteの3つのSWで構成)

2)リレー駆動ブロック(6 x stereo x 3 way = 36個のリレーを制御)

3)表示ブロック(ATTがどのポジションにあるかを表示します)

キーブロック

Up/Down/Mute用の3つのタクトSW相当を使います。3つのSWの状態を検出しソフトの状態を遷移させます。ここでソフトの基本処理を作り込みます。表はソフトの状態遷移をまとめたものです。

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state0(アイドル状態)でSWオンを検出すると各SWに対応した奇数stateに遷移します。各奇数stateの中では、SWのチャタリングを考慮してSWオンを確定し、次のstate(偶数state)へ移行します。偶数stateの中でもSWのチャタリングを考慮してSWオフを確定して、state0(アイドル状態)へ戻ります。アイドルを除く各stateの中では、非同期のタイマを使ってSWオンまたはSWオフ状態を10ms以上継続して検出するとstepを1つ進めます。この処理を繰り返し、step5を越えた時点でSWの状態を確定し、次のstateへ進めます。ここまでの処理の中では、ローカルループ処理となるdelay(ms)関数は使用せずに、プログラムの基本処理をできる限り回すようにしています。

キーブロックコーディング

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本編はまだ構想編ですが、プログラムが作成できるかあたりをつけるために、基本コードを書いてみます。3つのSWは下記のとおり接続します。

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ポートの設定にはpinMode(pin, mode)関数を使用します。modeの部分にINPUTの代わりにINPUT_PULLUPを設定するとマイコン内部で対応ポートがPull Upされるため、回路は以下となります。

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さっそくコーディングを始めます。コンソールがエディタとなっているのでそこに直接記述します。

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C++のソースと同様に、(SWブロックでは使用しませんが)標準ライブラリwire.h(Serial通信用)を記述(Include)します。続いて変数、定数を宣言してセットアップ用のvoid setup()を記述します。void setup()中では、マイコンのI/O設定と電源投入時の表示(型式表示)を行う予定です。さらに続けてviod main()でプログラム処理本体を記述し、最後に必要な関数を記述します。Arduino用のソースコードはスケッチと呼びますが、上述のとおりC++のソースとほとんどかわりません。

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コーディングが終わったら確認用に左上のコンパイルボタンを押します。画面下のバーエリアに進捗が表示され、コンパイルが終わった時点(エラー終了を含む)で下のステータスエリアにメッセージが表示されます。上図は、millis()関数の記述を間違えた時のメッセージです。このような場合は直接エラー箇所が示されるのでわかりやすいですが、たとえば'{'ぬけのような場合は、影響を受けた箇所がメッセージとして表示されるので間違った箇所の特定が少しやっかいです。確認コンパイルが正常終了したら、バイナリを基板に送ってデバッグをします。コンソール左上の確認用コンパイルボタン右隣の矢印ボタンを押すと、最初にコンパイル実行し、完了後に基板へバイナリが転送されプログラムの実行がスタートします。

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メッセージエリアには、コンパイル終了時に使用されたリソース情報が表示されます。標準ライブラリ使用の注意事項に、Includeされたライブラリは、仮に処理で使用されなくてもバイナリに展開されメモリを消費するとありました。試しに今回使用しないI2C用の標準ライブラリを外してコンパイルして、リソースの使用量の差を確認してみました。結果は以下の通りです。

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それなりにリソースを消費している事が確認できました。注意のとおり使用しないライブラリのIncludeすべきではないようです。早々にデバッグを始めます。デバッグにはシリアルモニタを起動します。現状のデバッグ環境には表示ブロックがないので、代わりにシリアルモニタ画面へ必要なメッセージや数値を表示させて動作状態を確認します。表示にはSerial.print()関数を使用します。

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上図はキーブロックのデバッグ中のシリアルモニタ画面です。プログラムがスタートすると「start」(void setupで記述したもの)が表示され、Upボタンを押すと「+」が表示されアッテネータのステップ(ATTstate)に1加算されます。Downボタンを押すと「-」が表示されてアッテネータのステップ(ATTstate)が1減ります。Muteボタンを押すと「M」が表示されます。モニタ中の「@」マークは、アイドル状態に戻ったことを示しています。キーのチャタリング処理も問題なさそうです。キーの複数押しもアイドル状態の戻ったときに最初にオン検出したSW処理に進むので問題なさそうです。当初、SWを確定させるためのstep数を10としていましたが、SW連打したときにキーの取り落としがあったため、現状の5に変更しました。簡単なソフトとは言え、C++言語によるソフト作成の経験がなかった為心配でしたが、第一関門はクリアできたとおもいます。次回は表示ブロックを構想します。

 

つづく(構想編5)

2018アナログオーディオフェア(番外編22)

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番外編22

前回に引き続きアナログオーディオフェア2018協賛雑誌社主催の講演を紹介します。

伝説のカセットデッキを聴く

中学生時代にAIWAカセットデッキ(AD-7350)を購入してから、途中でYAMAHA(K-1d)のデッキに買い換えましたが大学を卒業するまで、カセットは毎日使っていました。主にFM放送のエアチェックやレコードのダビングでしたが、録音レベルやバイアス量などダビングする人の技量が問われる部分があった事がおもしろかった気がします。今回の講演は、その懐かしさから聴いてみる事にしましたが、進行の方が始まる前に、参加者へカセットデッキの試聴会である事を再確認するほどにお客様が集まっていました。主催は音楽の友社で、講師として月刊Stereoから吉野編集長が、ステレオ時代から澤村編集長が参加されました。(写真は吉野編集長)

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今回試聴するカセットデッキの紹介に入りますが、そのデッキの所有者がそのまま進行に加わりました。

AIWA KX-S9000(福田先生)

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AIWA最後のカセットデッキフラグシップモデルとの事で、4モータークローズドループデュアルキャプスタンメカ、12層ラミネートピュアアモルファス録再ヘッド、センダスト消去ヘッド。発売は1991年、定価は135,000円で、福田先生の倉庫に眠っていたものを1年かけて修理されたとの事でした。

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ナカミチ RX-505/DRAGON(生島店長)

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RX-505はオートリバースデッキですが、この機能をカセット自体を反転させる事で実現したモデルです。このモデルは、リバース動作を見せたいが為に持ち込んだと説明されていました。DRAGONは、言わずと知れたナカミチカセットデッキの集大成と言えるデッキで、カセットデッキの最大の弱点だと私が考える、アジマス調整をNAACシステムで再生テープ毎に自動調整する機能を搭載しています。所有者はディスクユニオンJazz東京の生島店長です。

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TANDBERG TCD-3014A(加藤館長)

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TANDBERGノルウェーのメーカーで、今回持ち込まれた機種は1980年代中頃に発売されたモデルで定価は破格の49万円との事でした。所有者は、Web上でなつかしのカセットテープ博物館を主催する加藤館長です。(はじめに掲載した吉野編集長写真の左奥の方です)オークションで競り落として、調整をされた物とのことでした。ここからは条件別の比較対決、およびデモンストレーション紹介をします。最初は各デッキを使った自己録再比較試聴です。

■自己録再比較
・KX-S9000自己録再

事前に福田先生が自宅で'75年録音のブラザースフォーのCDからダビングしたものの再生です。使用テープはTDKメタルテープMA-XGです。

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録音にドルビー等のノイズリダクション機能は使っていないとの事ですが、比較的大音量の再生にもかかわらず、ハイポジション同等のEQ設定のため、ヒスノイズもそんなに気になりませんでした。ちなみに私も学生時代にカセットを使っていた時もノイズリダクション機能を使いませんでした。音量によってヒスノイズのレベルが不自然に変動する点が気持ち悪かったためです。最近のデジタルTV放送に、DBXのような?ノイズリダクション機能がかかっているようで気になっています。余談はこのくらいにして、肝心の音の印象ですが、厚い低音、安定した再生でしたが、昔使っていたAIWAのデッキの音を思い出すなつかしい音だと感じました。

・RX-505/DRAGON自己録再

所有者の生島店長のこだわりで、使用テープはマクセルのUD-Ⅰです。ナカミチのデッキは、ノーマルテープの音がいいということが選択の理由です。

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録音はRX-505で行ない、ソースはエセル・エニスのデビューアルバム「Sings for Lullabys for Losers」からです。RX-505の再生は自己録再のためバランス良くかつ安定して鳴っていました。さすがにノーマルテープのヒスノイズは大きく無音時の音量調整をおっかなびっくり行っているのが印象的でした。続いてそのテープをDRAGONで再生します。NAACシステムにより、高域の再生は問題ありませんでしたが、自己録再のRX-505よりも窮屈ななり方をしていました。

・TCD-3014A自己録再

ソースはマドンナCDで、使用テープはマクセルのメタルバーテックスでした。

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ビートの利いた楽曲で、バランス、ダイナミック感は申し分ありませんでした。webで確認しましたが、このデッキはドルビー回路を除き、すべての回路がディクリートで構成されているとの事で、私好みのしっかりした音で鳴っていました。欲を言えば、繊細な部分の音を別の楽曲で聴いてみたいとおもいました。

■ミュージックテープ再生比較

福田先生が温存していた、メタルマスターシリーズが持ち込まれて、各機種の再生比較が行われました。1984年発売の伊藤たけしの「ディアハーツ」です。この比較では、NAACシステムが有効に働いたDRAGONの圧勝だと感じました。

■39年前のエアチェックテープ再生

生島店長が中学生時代にエアチェックしたテープをDRAGONで再生しました。当時YAMAHAのチューナー&ビクターのデッキを使用していたとの事です。テープはTDKの初代ADでした。ソースは当時目黒のパイオニアスタジオからライブ放送された物とのことで、デビューしたての尾崎亜美さんが歌っていました。39年前の録音とは思えない鳴り方で、経時劣化はほとんど感じられませんでした。

■生録会テープ再生

生島店長が企画した生録会で録音されたテープを持ち込みDRAGONで再生しました。録音はSONYのカセットデンスケTC-D5Mとの事です。

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シュアーのダイナミックマイクによるワンポイントステレオ録音されたものですが、アコースティックギターの演奏が目の前に広がるようなダイナミックな鳴り方で、カセットの実力を改めて認識させられました。

まとめ

紙面の関係で、会場での録再対決の紹介は省略させていただきましたが、カセットの楽しさ、実力が伝わる比較イベントが順序良く並べられ、講師人数の多い進行を生島店長がうまくまとめられて、なつかしくまた楽しい時間を過ごす事ができました。このような企画を今後も期待したいとおもいます。

 

おわり(番外編22)

2018アナログオーディオフェア(番外編21)

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番外編21

アナログオーディオフェア2018をレポートします。

アナログオーディオフェア

2018年6月9日と10日に開催されたアナログオーディオフェア2018に行ってきましたので紹介します。今回で4回目とのことですが、私は初参加となります。場所は他のオーディオイベントでおなじみのお茶の水の損保会館です。入場無料で、全開催イベントを楽しむ事ができます。主催はアナログアーディオフェア実行委員会で、オーディオ関連の出版社を中心とした7社と共同通信社の計8社が協賛しています。出展ブランドは約60社で、物品の即売も行われていました。

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私が行ったのは、6月9日(土)です。土曜の講演スケジュールを参考に掲載します。

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今回は、協賛雑誌社が主催する講演を中心に見てきました。

最新MCカートリッジ比較試聴

会館の中で即売スペースを除き、一番広い部屋で行われました。主催は音元出版で、進行は小原由夫先生です。

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下のチラシが比較試聴される12のカートリジッジです。

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学生時代には、アナログレコードを中心にシステムを構築していて、少なくとも当時はCDよりもアナログレコードの方が音がいいと考えていました。その後、諸般の事情によってレコードを含めてアナログ関連の機器を全て処分されてしまいましたが、その当時の考えを検証してみたいと思っています。当時との大きな違いはアナログ再生システムは贅沢なもになってしまい、環境を含めてちゃんと再生するためにはそれなりのお金がかかる点です。このような理由から、現時点ではアナログレコード再生に手を出してはいませんが、何れは環境を整えたいとの考えから、今回の講演を聴いてみました。

■比較試聴方法

再生するレコードを含めて、ヘッドシェルからスピーカーまでを共通な環境で比較試聴する事ができました。スピーカーは、昨年の東京インターナショナルオーディオショウのLUXMANブースのデモで好印象だったfocalのスピーカーです。LUXMANのデモで使用されていたのは、MAESTRO UTOPIA EVOでしたが、今回使用されたものは、scala UTOPIA EVOでした。

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アナログプレーヤーはThechnics SL-1000R, ヘッドシェルはOrtofon LH-4000, フォノイコライザーAccuphase C-37, プリアンプLUXMAN C-900u, パワーアンプLUXMAN M-900uです。

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使用されたレコード1枚目はGEORGE SHEARING & MEL TORMEライブレコードです。小原先生が未知の製品に対して最初の試聴で使うレコードとの事で、1982年サンフランシスコのホテルで行われたライブレコーディングをコンコードレーベルから発売されたものです。今回はB面から「ユッド・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥー」が使われました。

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レコード2枚目はRESPIGHIのローマの松でREINER指揮シカゴ交響楽団の1959年の演奏を録音したもので、2013年にアナログプロダクションズが重量盤復刻リリースしたレコードです。使用された部分は、第一部ボルゲーゼ荘の松で特徴はラチェットやトライアングル等なりものがきらびやかに鳴るところです。

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紙面の関係から12の試聴モデルの中から私の印象に残った5種のカートリッジの試聴結果を紹介します。

Accuphase AC-6

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特徴は以下のとおりです。

・ベースに金イオンプレーティングによる硬化処理をしたチタン削り出し素材

・ボディーは金色アルマイト処理したアルミ削り出し素材

・無垢ボロンカンチレバー

・セミラインコンタクト型スタイラス

・磁気回路にネオジウムN50採用

音の印象は、1曲目ベースが生々しく、音が前に出る印象。バランスも良い。2曲目は鳴り物の広帯域感、奥行き表現に影響する響きが綺麗。

■IKEDA Sound Labs 9XX

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特徴は以下のとおりです。

・チタン合金のベース

・ブラックロジウムメッキ処理したアルミニウム合金製のボディー

・ボロン製カンチレバー

・マイクロリッジ形状スタラス

音の印象は、1曲目再現性、音の分離、奥行き感のそれぞれが良くボーカルが自然な感じに再生されました。2曲目は鳴り物は明るい感じで聴きやすく余韻が綺麗に再生されました。

■Ortofon MC Windfeld Ti

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特徴は以下のとおりです。

・センター部メインフレームをチタン粉末の立体成形タイプにアップグレード

ネオジウムマグネットを採用したFSE磁気回路

・ボロン製カンチレバー

レプリカント100スタイラス

音の印象は、1曲目ベースの音に厚みがあり響きが美しい。ボーカルが前に出る印象。2曲目は鳴り物はきらきら感があるが聴きやすい音で、余韻もきれい

■My Sonic Signature Platinum

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特徴は以下のとおりです。

・ベースにチタンを採用

・ボロン製カンチレバー

・セミラインコンタクト針

ネオジウム#50

音の印象は、1曲目ベースに躍動感があり弦を弾く音がリアル。余韻が綺麗。2曲目は鳴り物のきらきら感がありながら聴きやすい音。全体的に綺麗に鳴る。

■TOP WING 朱雀

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特徴は以下のとおりです。

・コアレスストレートフラックス方式の発電構造

・チタン, ドライカーボン等採用による軽量化

・アルミニウム製カンチレバー

・ラインコンタクト針

音の印象は、1曲目ベースの音が厚く躍動感がある。ボーカルが自然で前にでる。余韻が美しい。2曲目は鳴り物の響きが美しく明るく聴きやすい音でした。

感想

ヘッドシェルを含めたカートリッジの交換作業は繊細な調整が必要ですが、短時間で12種類もの製品の聴き比べできたのは貴重な体験でした。それぞれのカートリッジの音の印象の違いを体感する事ができました。交換調整は2名で行われましたが、事前に練習をされていたとの事で、その成果が発揮されていたとおもいます。非常に手のかかる比較試聴をうまくまとめられていた印象です。次回もアナログオーディオショウのレポートをします。

 

つづく(番外編22)

チャンネルデバイダーのVR制御(構想編3)

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構想編3

アッテネーターのリレー制御にArduino UNOを使う宣言をしてしまったのでArduinoの概要を紹介し、開発環境を準備します。

Arduinoについて

初めにArduinoについてネット上から得た情報を簡単にまとめます。Arduinoプロジェクトは、2005年にイタリアで、大学教授等が教育用に安価なシステムを作ることを目的にスタートしました。マイコンはAtmel AVRシリーズが採用されてました。安価なシステム構築の狙い通り統合開発環境IDE)が無償で提供されていて(ダウンロード対応)Arduino基板とPCがあればすぐにソフト開発が開始できます。C++風のArduino言語を使い、Arduino用のソースコード(スケッチと呼びます)を記述します。現時点では、Arduino LLCおよびArduino SRLが設計製造を担当しています。数多くの周辺回路(シールドと呼ばれるマイコン基板に段積みして使用するものやモジュール基板等)がサードパーティーから発売されていて、その機能を簡単に利用することができる事も大きな特長です。

Arduino UNO

Arduino UNOはArduinoシリーズの1つで2010年に発売され、現在ではArduinoのスタンダードとなっていて、多くのシールド(周辺回路基板)がUNOに対応しています。本体はアマゾン、秋月電子他いろんなサイトで扱われていますが、シールド含め周辺機器を豊富に扱っているのがスイッチサイエンスです。スイッチサイエンスの2018年6月現在のArduino UNOの価格は3,240円でした。

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写真は、Arduino UNO R3の外観です。マイコンDIPタイプのATmega328Pがソケットに実装されています。デジタルI/Oおよびアナログ入力ポートがピンソケット端子として基板の両サイドに配置されています。シールドは、周辺回路が搭載された基板に接続用のピン端子が実装され、マイコン基板の上に直接接続して使用します。写真はイーサーネット機能を実装するためのシールドです。

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基板下のピンをArduino UNO基板上のピンソケットに差し込んで接続します。このシールド基板にもピンソケットが実装されているので、さらに他の機能をもったシールドを段積みして接続する事ができます。話を戻し、Arduino UNOの特徴をまとめます。

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見てのとおり、クロック周波数が16MHzなので高速な処理や、メモリの制約から複雑な処理はできませんが、簡単な回路制御には十分なスペックで、今回のアッテネータ用のリレー制御も余裕で対応できます。

統合開発環境IDE

Integrated Development Environmentの頭文字をとって通称IDEと呼ばれています。Arduino用のIDEは、Arduino公式ページから無償でダウンロードする事ができ、エディタ、コンパイラとデバッガ(シリアルモニタ)で構成されています。具体的なインストール方法は、数多くの解説サイトがあるので紹介を省略いたしますが、Arduino UNOをUSBでパソコンと接続した状態でセットアップを起動するだけでインストールは完了します。写真はデバッグ中の画面で、バックがエディタとコンパイラ機能含む基本コンソールで、手前にポップアップしているのがシリアルモニタ画面です。ソースにSerial.print文を入れることで、数値や文字列をシリアルモニタ画面にリアルタイムに表示する事ができ、デバッグの効率を上げる事ができます。

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デバッグ環境

写真は、スイッチサイエンスが取り扱うArduino UNO用のベースに本体とブレッドボードと呼ばれるピンワイヤーに対応した基板を取り付けたものです。

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本体は、USBケーブルでPCと接続します。ここを介して、電源の供給、ソフトの書き込み、デバッグ時のシリアルモニタ用の文字列の入出力を行います。ブレッドボードは、簡単な回路であれば半田を使わずに実装ができます。このように大変手軽にソフト開発ができます。次回は、この環境を使って基本ソフトの作成デバッグを行っていきます。

 

つづく(構想編4)

チャンネルデバイダーのVR制御(構想編2)

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構想編2

前回の記事でアッテネータの減衰量切り替えにリレーの選定をしたので、具体的な構成を検討します。

実使用時のボリューム

写真は現状のシステムで使っているデバイダ兼ボリュームのパネル写真です。

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見栄えは悪いですが、2つのボリュームにそれぞれ2カ所位置を示すマーキング(三角のシール)を貼っています。これは、いつも音楽を聴くときにボリュームがとるポジションを示しています。2ヶ所あるのは、CDの録音レベルが高いものと低い物に対応するためです。普段はこの2つのポジションを中心に上下を微調整して使っています。下の図は、現システムのボリューム前後のブロック図です。減衰量は、ボリュームの位置と後段のパワーアンプの入力抵抗で決まります。

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2つのポジションの減衰量を算出するために、前段から見た負荷抵抗R1と後段から前段を見た出力側抵抗R2を測定し、それぞれの減衰量を算出しました。

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この2つの減衰量に対して上下に2段づつ減衰量を設定すれば実用上あまり不便は感じないと考えます。さらに実用上の利便性を考えて、さらに減衰方向に2段階追加して全8ステップで検討してみたいとおもいます。

リレーATT回路

8ステップを8個のリレーで構成するのは芸がないので、Muteを含めて下記の回路で検討をしてみます。Muteを含めて9ステップを6個のリレーで構成します。

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こだわるのであれば、前段から見た負荷抵抗を全ステップで同じにすべきですが、リレーの数を減らす為に妥協しています。尚、現状の回路もボリュームの位置で負荷抵抗値が変化します。この回路構成で、上から3段目を-12dB、4段目を-16dBとし、また切り替えの途中のステップとMute時にも前段から見た負荷抵抗が重くなりすぎないように抵抗値を設定してみました。下記が抵抗値を反映した回路図です。

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動作前提は、RL2~RL6のどれか1つのリレーがオンし、RL1の設定で分圧による減衰量がきまります。試行錯誤により決定した抵抗値は以下のとおりです。

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実用ポジションが-11.4dBと-16.0dBで最大音量時が-6.0dBで実用ポジションからの5.4dBのマージンが、最小音量時が-34.7dBで実用ポジションからの減衰量が-18.7dBとれています。なかなかいい感じに設定できたのではないでしょうか?念のために、各減衰量で実際に音楽を聴いてみる事にしました。現行デバイダーのウーハー用のボリュームツマミの下に紙を貼って、上記一覧表の減衰量となる位置に印をつけて、録音レベルの大きいCDと小さいCDを演奏してみます。各ポジションは、テスタでボリューム端子間の抵抗値を測定して指定の減衰量の位置を出しています。

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現状の2つの実用ポジション間が開いていますが、それ以外はいい感じの間隔となっています。実際に音楽を再生して各ポジションの音量レベルを確認しました。実用上不足はなさそうです。

リレー制御

簡単に制御するには、9ステップのロータリーSWと、Mute用のSWで構成する事もできますが、切り替え時のノイズ発生を押さえるためのディレイ制御等を考えるとマイコンによる制御が望ましいと考えました。私のようなアナログ人間には敷居が高いですが、せっかくなので今回はシリーズ初のマイコン制御を採用してみたいとおもいます。

マイコンについて

私のソフト経験ですが、大学でBASICを習い、その関係でシャープのポケットコンピューターを買って使っていたので、BASICに関してはそれなりに使いこなしていました。その後、会社に入社してから業務上必要となり、アセンブラをかじりました。そんな感じて、C系のプログラムを本格的に書いた事がありません。万が一完成できなかった場合のいいわけはこの程度にして、今回は安価に開発環境込みで手に入る、Arduino UNO(マイコンボード)を使った制御を検討してみます。

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次回はArduino UNOを簡単に紹介して、環境の構築およびソフトの製作について紹介します。

 

つづく(構想編3)

チャンネルデバイダーのVR制御(構想編1)

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構想編1

現行システムのフルマルチアンプ化を念頭に、現状のチャンネルデバイダーのボリューム制御を構想します。

現状のチャンネルデバイダーボリューム

前回の記事でも紹介しましたが、現状のチャンネルデバイダーは入出力がバランス方式で、LPFチャンネルとスルーチャンネルの2系統を持つので、ボリュームは全8チャンネルとなっています。

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その8チャンネル分を、2つの4連ボリュームで構成し、使い勝手としてはBass/Trebleというような感じで使っています。

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これと同じ考え方で3wayに拡張すると、Mid用のボリュームを追加する事になりますが、使い勝手が格段に悪化します。それ以前に音のバランスをマニュアルで取る事ができるか自信がありません。

12チャンネルボリューム構想

今までも、部品の調達の際のついでに、多チャンネルのボリュームやロータリーSWを探してきましたが、探すまでもなく、12チャンネルに対応したものはありません。次に4連のボリュームの連動も考えてみました。モーターボリュームを使った電気的な連動や、メカ的な連動ですが、実用に耐える設計はできそうにありません。それでは、電子ボリュームはというと、多チャンネルの連動はできそうですが、ネット上の製作記事によれば、音はそれなりとの事で採用に踏み切れませんでした。

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今回は原始的な方法ですがリレーを使った多チャンネルボリュームを構想してみます。

リレー

今まで仕事で電源用リレーを使ってきましたが、趣味(オーディオ)でリレーを使った事がありませでした。まずはオーディオ用リレーについて調べてみました。一番のポイントは小電流の開閉です。オーディオ用途ではスパークによるセルフクリーニング機能が働かず、接点の酸化膜による接触不良の防止が、オーディオ用リレーの1番のポイントのようです。

■接点材質による対策

リレーメーカーのWebページにいくつか情報が掲載されています。対策として「金クラッド接点」と「金メッキ接点」が上がっていました。どちらも安定性の高い金を接点につかったものですが、金クラッド接点は、金属母材の上に板状の金を貼り付けた構造をとり、金メッキタイプに比べて金層が厚く均一で、ピンホールの発生がなく、微少信号の開閉に適しているとの事です。

■接点構造による対策

接点開閉動作時にお互いが擦れる構造をとり、接触の信頼レベルが高まり小信号の開閉に適していると説明されています。調べた範囲では、オーディオ用途には適用されているか確認できませんでした。

■リレーの構造による対策

リレー接点部をプラスチックケース等で密閉し、接点に影響を及ぼすガスの進入を防止して、接点の信頼性を上げます。この構造もオーディオ用のものには見つかりませんでした。

リレーの選定

まずは秋月電子のラインナップを確認してみました。パナソニックの音響機器用リレーALA2F24を見つけました。操作コイルは24V仕様で接点容量は3A、接点仕様は2a品です。

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接点はAgNi系のAuクラッドタイプで、価格は180円です。秋月電子ラインナップで明快に音響用を唱っているのは、これだけでした。他を検索したところ第一電機(DEC)のDSシリーズオーディオ用を唱っています。

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接点容量は3A、接点仕様は2a品で、金クラッド接点となっています。残念ながら通信販売の取り扱いの確認はできませんでした。パナソニックとDEC製リレーのどちらもユニバーサル基板には対応していない為、私のような基板を起こさない趣味レベルの製作には不向きな仕様です。ユニバーサル基板対応のもので探してみたところ、秋月電子に手頃な物を見つけました。HSIN DA PRECISION社製941シリーズです。

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接点はAgAlloyとなっていますが、Featureに「Silver palladium overlaid gold crossbar」と記載されているので金メッキ接点のようです。接点容量は2Aで接点仕様は2cです。端子配置は以下のとおりでユニバーサル基板に対応しています。

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金クラッド品に対して接点の信頼性は下がりますが、自作なので交換用の部品さえ手配しておきば、柔軟な対応ができる事と、価格も100円と手頃なので、これを使って検討を進めたいとおもいます。次回も具体的な設計前の構想を続けます。

 

つづく(構想編2)

1000Mフルマルチアンプ駆動化検討(構想編1)

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構想編1

セミマルチアンプ駆動している現状のシステムのフルマルチアンプ化を構想します。

現状のシステム

フルマルチアンプ化の構想の前に、現状のシステムをおさらいしておきます。

■スピーカー

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YAMAHAのNS-1000Mをマルチアンプ対応させるために改造しています。具体的には、ネットワーク兼スピーカーターミナルを取り外し、そこへ各ユニット専用のスピーカーターミナルを設置しています。

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取り外したネットワークは、スピーカーの上に置き、現状はスコーカーとツィーターのみネットワークを介して、アンプと接続しています。

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ウーハー接続用端子には、ダミー抵抗(8Ω)を接続しています。

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現状のセミマルチアンプシステムでは、ウーハーのみパワーアンプにダイレクトに接続しています。

■スコーカー&ツィーター駆動用アンプ

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自作の純A級バランス方式LE34ppパワーアンプを使用しています。参考に回路図を再掲載します。

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数年前に初めて真空管を採用したこのパワーアンプを作った時の音の印象は、響きが美しく、マルチアンプを組む場合はスコーカーの駆動に使いたいと思いました。出力段のトランスは、超低域の駆動は不利ですが、スコーカーを駆動する事を考えるとDCオフセットが発生しないため、理想的なアンプと考えます。設計は差動入出力の帰還方式でおこないましたが、運用の途中で無帰還方式に改造して使用しています。

■ウーハー駆動用アンプ

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自作のモノラルBTL方式A級DCパワーアンプを使用しています。終段はパラレルコンプリメンタリ構成をとっています。

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BTL方式なので、Hot/Cold用にそれぞれ上記の回路を1つ使用します。終段の電源には、電流容量5Aのトランスと、10,000uFの電解コンデンサを10本使用し、トータル100,000uFで整流回路を構成しています。このアンプと、1000Mのウーハーをダイレクトに接続して、ウーハーの駆動力を高めています。

■チャンネルデバイダー

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バランス入出力、セミ2way用の自作チャンネルデバイダーです。ウーハーチャンネルのみLow Passフィルターを入れ、スコーカーとツィーターはネットワークの使用を前提としているため、スルーで出力しています。

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ウーハー用のフィルターは、オペアンプJRCのMUSES03を使ったベッセル特性の2次のアクティブィルターを採用しています。出力段にボリュームを入れて、システムのレベルコントロールも行っています。

■USB-DAC

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オンキョーのDAC-1000をオリジナル状態で使っています。DACにステレオ用のもの(BB社製 PCM1795)を2個使用して、バランス出力を作っています。

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現状は、マランツのCDプレーヤーからコアキシャルのデジタル信号を入力して音楽再生しています。

フルマルチアンプシステム化構想

上記のシステムをフルマルチアンプ化するためには、現状スルーの信号ラインとしているスコーカーとツィーターチャンネルをチャンネルデバイダーラインに変更する必要があります。具体的な対応を箇条書きします。

・チャンネルデバイダーの拡張(3way化)

・NS-1000MのスコーカーとツィーターラインからATTとネットワークの取り外し

・スコーカーまたはツィーター駆動用のパワーアンプの準備

フルマルチアンプシステム化課題

上記の対応を行う上での課題を箇条書きします。

1)3Wayバランスステレオシステムのボリュームコントロール

2)3Way各ユニットのレベル合わせ

3)ステレオパワーアンプ(1台)の準備

特に今回の構想の中で一番課題として重いものは1)項です。全12チャンネルを連動させてボリュームコントロールする必要があります。正直なところ、今回の構想のハードルは高いので、現状のセミマルチアンプシステム用のボリュームコントロールを3Wayに拡張可能な仕様で一旦つくり使い勝手等の確認を行いたいとおもいます。という事で、次回からは、チャンネルデバイダーのボリューム制御を現行のシステム前提で検討したいとおもいます。

 

つづく(構想編1)