バランスHPアンプ製作(製作編2)

f:id:torusanada98:20170727072218j:plain

製作編2

引き続きトランジスタのhfe測定を行い、その結果からコンプリメンタリペアを選別します。

終段のトランジスタのhfe測定

終段にはサンケンの2SC3851A/2SA1488Aを使用します。このトランジスタBTL A級DCパワーアンプのドライバ及び終段に使ったもので、Pc=25W, Icmax=4A, ft=15MHzと特性上、特に目を引く点はありません。パッケージはTO-220タイプで、フルモールドされている点は使いやすいと思います。

f:id:torusanada98:20170727072235j:plain

しいて言えば、このクラスのトランジスタとしては比較的安価(50円/60円)で選別して使用することを考えるとメリットがあります。DCパワーアンプを作った際の余りがありますが、当時はパワーアンプの終段で使用することから、選別時のIcを0.5Aとしてhfe測定しました。測定時の電源電圧は6Vでその際のトランジスタの発熱は無視できず、小型の放熱器を取り付けて測定を行いました。測定の効率が悪いため、在庫も含めてIc=0.1Aで測定し直します。PNPトランジスタから測定を行います。測定回路は以下のとおりですが、ジグはジャンパワイヤで組み替えて前回の記事で使用したものを流用してます。

f:id:torusanada98:20170727072324p:plain

測定時のトランジスタには約5Vの電圧がかかり、Ic=0.1Aなのでトランジスタの損失Pcは約0.5Wになります。測定開始から1分くらいで温度が上がり、指でつまんだままでいると触っていられない程ではありませんが、かなり熱くなります。50℃は越えていると思われます。これら確認から測定時の安定待ち時間を約1分としました。(本記事キャッチ写真参照)残りの在庫を含めた測定結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20170727072401p:plain

No.21以降が再測定を行った残りのトランジスタですが、こちらの方が全般的にhfeが高くなっています。続けてPNP品の測定を行います。測定回路は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20170727072441p:plain

こちらも同様にNo.21以降が在庫の再測定品です。結果に偏りが感じられませんが、コンプリメンタリペア選別時にhfe順に並べ替えたら何か傾向が解るかもしれません。

f:id:torusanada98:20170727072818p:plain

コンプリメンタリペア選別

今回製作するHPアンプのドライバには、2SC1815/2SA1015のコンプリメンタリペアを、終段には2SC3851A/2SA1488Aのコンプリメンタリペアを使用します。

f:id:torusanada98:20170727072927p:plain

ヘッドフォンをバランス駆動するため、それぞれのトランジスタが片チャンネル当たり2ペア、ステレオ分で4ペア必要となります。初めに2SC1815/2SA1015のコンプリメンタリペアを選別します。選別しやすいように、それぞれの測定結果をhfeの値で昇順に並べなおしました。

f:id:torusanada98:20170727073008p:plain

全般的に2SC1815のhfeの方が小さめですが、2SA1015のhfeの結果とオーバーラップしているため、4ペアの選別は問題ありません。2SC1815の網かけ品が今回購入したものですが、この結果からも前回購入品がはずれであった事がわかります。選別した4ペアは以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20170727073040p:plain

同様に終段用の2SC3851A/2SA1488Aのコンプリメンタリペア選別を行います。それぞれの測定結果を同様にhfeの値で昇順に並べなおします。

f:id:torusanada98:20170727073214p:plain

こちらの結果も全般的にNPN品の方が小さな値となっていますが、幸い、2SA1488Aのhfe値とオーバーラップしていましたので、コンプリメンタリペア選別ができました。選別した結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20170727073257p:plain

今回はわざわざhfe測定を行った甲斐があり、hfeパラメータによる理想的なコンプリメンタリペア選別ができました。

トランジスタの保管

前に一度紹介しましたが、測定済みのトランジスタの保管は、封止可能な部品用の小袋に1から40までナンバリングして、それぞれのトランジスタを該当するNoの小袋に入れます。それを4つに仕切られたプラケースにナンバー順に10づつ並べて保管します。現状では各袋に4個のトランジスタが入っています。アクセス性もよく、保管効率も悪くないので重宝しています。

f:id:torusanada98:20170727073426j:plain

次回は初段のJ-FETの変換基板実装を行い、アンプ基板の製作を開始します。

 

つづく(製作編3)

バランスHPアンプ製作(製作編1)

f:id:torusanada98:20170724071932j:plain

製作編1

前回の記事で設計、および部品選定できなかった部分の検討を行い、平行して基板の製作準備を開始します。

ケースの選定

従来の製作では、タカチ電機のUS-260LHを使用してきました。今回は実装基板が1枚増えるため、このケースでは収まりそうにありません。タカチのカタログを確認したところこのシリーズにはまだ1サイズ上のものがありました。US-320LHです。シリーズ最大サイズのものとなりますが、型式が示すとおり幅が320mmとなり、今まで使ってきたものより60mm大きくなります。全体のサイズはW320xH84xD230と使用する基板を長手方向に3枚横並びが可能です。詳細の配置検討は後回しとしますが、このケースを仮決めとします。

ヘッドフォンジャック

前回の記事の部品表には、設計構想で掲げた2.5mm 4極ステレオジャックが見つからず、3.5mm 4極ステレオジャックを掲載しましたが、マルツオンラインにラインナップされていたため設計構想どおり2.5mm品を採用します。これで通常のヘッドフォンの誤挿入によるショートを防ぐことができます。

f:id:torusanada98:20170724072012j:plain

念のためショートした際のアンプの保護用として2Ωを出力に入れていますがショートさせないに越したことはありません。

トランジスタの選別

製作編恒例のトランジスタの選別からスタートします。

f:id:torusanada98:20170724072103j:plain

初めにオーディオ用の東芝製のバイポーラトランジスタ2SC1815GR/2SA1015GRです。(本記事アイキャッチ写真参照)すでに生産終了しているため購入できない事も覚悟していましたが、各20個入手しました。hfe測定は過去に実施した条件で行い、手持ちの残りも含めて選別対象としました。

■NPNのhfe測定回路

f:id:torusanada98:20170724072141p:plain

■2SC1815GR hfe測定結果

f:id:torusanada98:20170724072222p:plain

水色の網掛け部分が、使用済みで欠品していた部分で、今回購入した物の測定結果を記載しています。前回はGR品でありながらほぼ全てのトランジスタのhfeが200を割っていましたが、今回購入ロットは半数が200を越えていました。続いて2SA1015GRのhfe測定を行います。同様に残りの在庫も含めて選別対象としました。

■2SA1015GR hfe測定結果

f:id:torusanada98:20170724072255p:plain

2SA1015GRは在庫のhfeは200を10%以上、上回っていましたが、今回購入したロットは200のすぐ上のレベルで、コンプリメンタリ品の確保には都合のいいロットと言えます。コンプリメンタリペアの選別は後日改めて行います。

セカンドソース品

東芝の2SC1815/2SA1015が在庫のみの販売になっていることから、UNISONIC TECHNOLOGIES(UTC)のものがセカンドソースとして秋月電子の通販サイトにラインナップされています。

f:id:torusanada98:20170724072328j:plain

価格はオリジナルと同じに設定されています。通販サイト上にもFAQが掲載されていますが、要約すると以下のとおりです。

・ユニソニックは台湾の半導体製造メーカーでディスコン品を多く生産している

・このトランジスタの仕様書上にはオリジナル品との互換性に関する記載はない

・互換品として使用する時は使用者が仕様書を確認いただき判断してください

・大量に使用する際には、試作・実証実験によって動作を事前に確認してください。

ということで、仕様書を比較してみます。最初に電気的特性を比較します。上の表がオリジナルで、下がセカンドソース品です。

f:id:torusanada98:20170724072409p:plain

掲載された数値はCob maxを除き同等です。次にftのグラフを比較します。左がオリジナルで、右がセカンドソースです。

f:id:torusanada98:20170724072527p:plain

Ic=10mAくらいまでは同レベルとなっていますが、オリジナルはIc=50mAでft=500MHzとピーク値となりますが、セカンドソース品はIc=10mAでピーク値ft=400となります。続いてfheのIc依存特性の比較です。同様に左がオリジナルで右がセカンドソース品です。

f:id:torusanada98:20170724072612p:plain

オリジナル品はIc=100mAまで特性をキープしますが、セカンドソース品はIc=30mAくらいからhfeの値が低下します。総じてIcが大きなレンジはオリジナル品の方が良好な特性となっていました。音質は特性に直結していませんので、最終的には音を聴いてみる必要があるとおもいますが、トランジスタの音質比較はどうやるべきなのでしょうか?今後の課題としておきたいとおもいます。次回は引き続き、使用トランジスタのパラメータ測定を続けます。

 

つづく(製作編2)

バランスHPアンプ製作(設計編2)

f:id:torusanada98:20170720125004j:plain

設計編2

前回、プリアンプとパワーアンプの設計が終わったので、残りの設計と製作に備えて部品の発注を行います。

電源の設計

必要な電源は、プリアンプが+/-12V、ヘッドフォンアンプの電圧増幅段も+/-12V、ヘッドフォンアンプの電力増幅段が+/-9Vです。必要な電圧としては4種類ですが、これを左右独立とすると倍の8系統の出力が必要になります。4系統と8系統では実装量が大きく異なりますが、今回の目的のバランス駆動ヘッドフォンの大きな特長は、左右のユニットの片側のラインが共通とならない為、良好なセパレーションが得られる事なので、ここは少し無理をしても左右独立電源としたいと思います。8系統の電源回路は実装を考慮して三端子レギュレータを使用します。

電源の放熱設計

電源トランスの二次電圧出力をAC12Vと設定して、各レギュレータICの損失を見積もります。初めに+/-12V電源の片チャンネル分の出力電流を見積もります。プリアンプはオペアンプ2個構成で、1個当たり10mAとするとトータルで20mAとなります。ヘッドフォンアンプの初段が約2mA、二段目が約8mAなのでヘッドフォンアンプ側がBTL構成で2倍となりトータル20mAとなります。両者を合計すると+/-12V電源の出力は約40mAとなります。AC12Vの整流後の電圧は約16.3Vとなるので、+/-12Vのレギュレータの損失P12は、

P12 = (16.3 - 12) x 0.04 = 0.17 W

となります。このレベルであればレギュレータの放熱は必要ありません。次に+/-9V電源の出力電流を見積もり、同様にレギュレータの損失を計算します。終段のアイドリング電流が70mAでドライバ段のアイドリング電流が約7mAなので、BTL構成で2倍となりトータルで154mAの電流となります。12V系と同様に+/-9Vレギュレータの損失P09を計算します。

P09 = (16.3 -9) x 0.154 = 1.12 W

このレベルになると放熱処理が必要です。合計で4カ所必要となりますが検討をすることにします。負荷時の整流電圧は16.3Vより下がりますが、設計上のマージンとして無負荷時理想電圧を計算に使用しました。

放熱器の選定

基板に実装するレギュレータ用の放熱器を探します。秋月電子の通販サイトを検索したところ手頃なものが2つ見つかりました。

f:id:torusanada98:20170720125021j:plain

高さはどちらも25mmで一緒ですが、幅と奥行きが異なります。右側が16Wx25Hx16Dで熱抵抗が20℃/W、左側が15Wx25Hx11Dで熱抵抗は37.9℃/Wです。サイズの小さな方から温度平衡値を計算してみます。環境温度を30℃とすると温度平衡値t1は、

t1 = 1.12 x 37.9 + 30 = 72 ℃

となりかなり温度が上がってしまいます。つづいてサイズの大きな方で温度平衡値t2を計算してみます。

t2 = 1.12 x 20 + 30 = 52.4 ℃

温度は高いですが、問題ない範囲と判断します。基板への実装方法は、実際に現品を入手してから考えることにします。

トランスの選定

いつも使っているトロイダルトランスは、12V/0.5A x2の二次出力をもっています。今回は、12V系の消費電流が40mA x2で9V系が154mA x2となり、単純に合計すると388mAとなります。さすがに500mA品では余裕がないと考えて、共立エレショップのサイトを検索してみました。同一系列のトロイダルトランスで1サイズ上で二次出力12V/1A x2が見つかりました。(アイキャッチ写真参照)今回はこれを採用することにします。ここまでの設計を反映した電源の回路図を掲載します。

f:id:torusanada98:20170720125112p:plain

部品の発注

まだ細かな設計は残っていますが、基板の製作が始められるように部品の発注をかけます。そのための部品表を作成しました。プリアンプ部、HPアンプ部、電源部と3枚構成です。基板の製作と平行してケースおよび残った他部品の選定を進めたいと考えています。

■プリアンプ部部品表

f:id:torusanada98:20170720221104p:plain

■HPアンプ部部品表(片ch分)

f:id:torusanada98:20170720221015p:plain

■電源部部品表

f:id:torusanada98:20170720221147p:plain

 

つづく(製作編1)

バランスHPアンプ製作(設計編1)

f:id:torusanada98:20170717080909p:plain

設計編1

バランス対応ヘッドフォンを入手したのでそれ用のヘッドフォンアンプを構想して、設計を行います。

f:id:torusanada98:20170717080943j:plain

設計構想

今回の1番の目的は、ヘッドフォンのバランス駆動時の音を聴いてみることですが、せっかくつくるので欲が出てしまいます。今は比較的環境に恵まれていて、スピーカーからそれなりの音量で音楽を鳴らすことができますが、この環境もいつ変化が訪れるかわかりません。それに備えてヘッドフォンでの鑑賞環境を整えておくことも目的としたいとおもいます。最近の設計ではいろんな制約で設計的な妥協を行っていますが、2番目の目的を加えたこともあり、ここで一旦自作の原点に戻ってできる限り設計的な妥協は排除して進めたいとおもいます。それでは恒例の設計構想を箇条書きにまとめたいとおもいます。

・A級BTL駆動方式

・DCアンプ

・入力はアンバランス、バランス選択式

・出力はバランス2.5mm 4極ジャック

トロイダルトランス+レギュレータIC電源 ・放熱設計

それでは構想に従って具体的な設計を進めます。

プリアンプ

入力は利用範囲を増やすためにアンバランスとバランスの両方を設けます。アンバランスはRCAピンジャックを、バランスは3極のXLRコネクタとします。切り替えは4回路のロータリSWを使う予定です。アンバランス入力はオペアンプを使ってバランス変換します。バランス入力は各信号をボルテージフォロワで受けます。回路図はいつものとおり水魚堂様のBSch3V回路エディタを使って作成します。(本記事アイキャッチ写真参照)書き上げた回路は以下のとおりです。オペアンプは以前購入して交換により余っているMUSES8920を使用します。

f:id:torusanada98:20170717081031p:plain

ヘッドホンアンプ設計

回路は定番のdual JFET入力差動二段構成とします。ヘッドホンとはいえ、A級動作させるため終段にはそれなりのアイドリング電流を流す必要があるため、パワーアンプ同様にドライバ段+終段の構成とします。初めに終段のアイドリング電流を決めます。今までヘッドフォンを鳴らすことに真剣に取り組んだ事がなかったので、出力がどの程度出せれば十分かわかりません。とりあえずの値として500mWを設定しました。購入したヘッドフォンのインピーダンスが45Ωなので、最大出力時の電流の実行値Imrmsは、

Imrms = SQR (0.5 / 45) = 0.1 A

その時のピーク電流Ipeakは、

Ipeak = 0.1 x 1.41 = 0.141 A

このピーク電流をA級動作で流すためのアイドリング電流Iidelは、

Iidel = Ipeak / 2 = 0.07 A

仮に終段の電源電圧を+/-12Vとしたときの終段トランジスタの損失Pidleは、

Pidel = 12 x 0.07 = 0.84 W

電源電圧を9Vまで下げられれば、ヒートシンク無しで進められそうですが、+/-12Vの場合、簡単な放熱器の実装が必要と考えます。終段に必要な電源電圧を見積もります。Ipeakが流れる時のピーク電圧Vpeakは、

Vpeak = Ipeak x 45 = 6.3 V

ヘッドフォンはBTL駆動されるので、終段の最大出力電圧Vfpeakは、

Vfpeak = Vpeak / 2 = 3.2 V

この結果から終段の電源電圧は+/-9Vとします。この時の終段トランジスタの損失Pidelは、

Pidel = 9 x 0.07 = 0.63 W

となり、ぎりぎりヒートシンクなしでいけるレベルになりました。ドライバ段のアイドリング電流は、終段のアイドリング電流値の1/10として約7mAとします。バイアス回路は、今までラインアンプで使ってきた定数の場合、コレクタ電流が小さくなりすぎる為、定数を見直します。初段および2段目の設計は従来の設計を踏襲します。これら設計を反映して回路図を起こします。

f:id:torusanada98:20170717175745p:plain

回路図にはすでに記入済みですが、終段はA級BTL DCパワーアンプの修理の際に購入し、結局使わずに済んだ2SC3851A/2SA1488Aを使用します。ドライバを含めた他のバイポーラトランジスタは2SC1815GR/2SA1015GRを使用します。入力のJ-FETは定番の2SK2145GRを使用します。終段はサンケン電気製ですが、それ以外は東芝製です。オーディオ用として使いやすい2SC1815GR/2SA1015GRはすでに製造が終わっていて在庫販売のみのようです。ビルダー部品の調達は生命線なので今後一層厳しい状況になっていくものと思われます。次回は残る電源設計と製作にむけた部品の調達を行います。

 

つづく(設計編2)

バランスHPアンプ製作(構想編2)

f:id:torusanada98:20170713072425j:plain

構想編2

バランス対応ヘッドフォンを購入しましたので現品のレビューを行います。

ヘッドフォンの購入

前回の記事でバランス対応のヘッドフォンについて調べてみました。バランス対応ヘッドフォンの統一された端子の規格はありませんが、総じてケーブルの交換ができるようになっていて、バランス、アンバランスをケーブルの交換で対応するようになっていることが解りました。今回購入したものは、価格がお手頃でバランス用のケーブルが付属しているパイオニアのSE-MHR5です。アマゾンで14,592円でした。

着荷の確認

アマゾンからはとてもヘッドフォンとは思えない大きな梱包で届きました。内情を知る友人に聞いたところ、適合した梱包のラインが混んでいると、自動的に大きな梱包箱のラインに回るとのことでした。ボーナス支給後の間もないタイミングでしたので説明どおり梱包ラインが混んでいたものと思われます。

SE-MHR5レビュー

ヘッドフォン自体の梱包はシックでありながら高級感もあり好感がもてます。

f:id:torusanada98:20170713072455j:plain

外箱は上から被せるタイプなので、上に引き抜きます。中箱は白箱に金文字でメーカーロゴのみ印刷されています。さらに開けると、クッション材の中に携帯用バッグが納められています。携帯用バッグのファスナーを開けると、中にはヘッドフォン本体と2本のケーブルが納められていました。

f:id:torusanada98:20170713072543j:plain

折り畳まれたヘッドフォンを取り出しイヤーパッド部分を広げてみます。

f:id:torusanada98:20170713073246j:plain

まず目に付いたのは、イヤーカップ部ダクトです。

f:id:torusanada98:20170713073334j:plain

メーカーのサイトによるとバックチャンバーを2重構造として遮音性を高め、なお且つ低域特性のコントロールをしているとのことです。果たしてどこまで効果があるのでしょうか?

f:id:torusanada98:20170713073413j:plain

次に目についのが、片出しのジャックです。

f:id:torusanada98:20170713073446j:plain

付属のケーブルをみると、4極の3.5mm端子となっており、抜け防止の鍵のような特殊な形状となっていて、位置を合わせて差し込み捻ってロックします。

f:id:torusanada98:20170713073518j:plain

f:id:torusanada98:20170713073559j:plain

簡単な構造ですが、接続部の信頼性が高められています。話がケーブルに及んだので、付属のケーブルを確認してみます。アンバランス用とバランス用の2本が付属されてます。

■アンバランス用ケーブル

f:id:torusanada98:20170713073715j:plain

■バランス用ケーブル

f:id:torusanada98:20170713073637j:plain

本体側は上で紹介したとおり、4極の3.5mm端子が採用され薄ピンクの金属ボディーとなっています。他方アンプ側は、使い勝手を考慮してアンバランス・バランスケーブル共にL字の端子が採用されています。アンバランスケーブルのアンプ側は普通の3.5mmステレオ端子となっています。一方バランス用は4極2.5mm端子が採用されています。バランス方式のヘッドホンアンプの保護の観点では、通常のヘッドフォン用ステレオ端子が刺さらないように4極2.5mm端子の採用は意味があると言えます。すでに別のメーカーからもこのタイプのバランス対応のヘッドフォンケーブルが発売されており、デファクトの流れに乗るかもしれません。イヤーパッドは人工皮革のやわらかい物が採用されていますが、耳を押さえるタイプの為、ネット上には長時間の鑑賞には向かないとの書き込みがありました。

f:id:torusanada98:20170713073751j:plain

細かな点ですが、L/Rのマーキングはオーバーヘッドバンドの根元に刻印されていて目立ちませんが、親切なデザインとなっています。

f:id:torusanada98:20170713073830j:plain

前回の記事には書きませんでしたが、このヘッドフォンも強磁力希土類マグネットが採用されています。

携帯用バッグ

私は外で使用する予定はありませんが、付属のバッグは保管の際に埃の防止とポケットにケーブルをいっしょに保管することで必要な時に探し回る心配が減らせる利点があります。

f:id:torusanada98:20170713073918j:plain

今回は音のレビューはしませんでしたが、作りは価格の割に良いと感じました。次回はこのヘッドフォン用のヘッドフォンアンプの構想および設計を行います。

 

つづく(設計編)

バランスHPアンプ製作(構想編1)

f:id:torusanada98:20170708212900j:plain

構想編1

バランス駆動に対応したヘッドフォンを選定して、それ用のヘッドフォンアンプの製作構想を始めます。

ヘッドフォン

今まで真剣にヘッドフォンについて考えた事はありませんでした。とはいえ、通勤中のタブレット用にパイオニアのインナーイヤータイプを、デスクトップTV用にゼンハイザーのインナーイヤータイプを使っています。今回は、少し前から情報は目に入っていましたが調べることすらしていなかったバランス駆動に対応したヘッドフォンについて調べてみたいとおもいます。所有のシステムのほぼ全てがバランス対応している自称バランス派としては、ヘッドホンのバランス駆動を1度は体験してみたいとおもいます。

バランス対応ヘッドフォン

まずはどんなものがあるか調べてみました。

■AH-D7200/DENON

発売は2017年1月で同社ヘッドフォン発表50周年を記念したモデルで、木製ハウジングを採用した同社のフラグシップモデルです。

f:id:torusanada98:20170708212951j:plain

・ダイナミック密閉型

ネオジウムマグネット

・25Ω

・105dB/mW

・1800mW

バランスケーブル別途

・89,792円(Amazon参考価格)

f:id:torusanada98:20170708213053j:plain

ケーブルは上の写真のとおり、ヘッドホン側に左右独立の3.5mmミニプラグが採用されていて、バランス接続時は比較的簡単に接続ケーブルが製作できるようになっています。

■TH610/FOSTEX

発売は2016年6月でこれも木製ハウジングが採用されています。同社ではプレミアムリファレンスヘッドフォンに位置づけられています。

f:id:torusanada98:20170708213148j:plain

・ダイナミック密閉型

・25Ω

・5~45000Hz

・98dB/mW

・1800mW

バランスケーブル別売(4極XLRコネクタ

・61,845円(Amazon参考価格)

f:id:torusanada98:20170708213228j:plain

ヘッドフォン側は左右それぞれに2極の専用コネクタがついています。着脱式の祖ゼンハイザーの物とほぼ同じ仕様との事ですが、ロック機構の有無の違いでゼンハイザーのケーブルを挿した場合ぐらついて外れやすいとの情報がネットにありました。

■HD650/SENNHEISER

ドイツのオーディオメーカーで、昔からヘッドフォンやマイクロフォンを販売していました。このヘッドフォンの発売は2003年ですでにロングセラーとなっています。ヘッドフォン側は専用コネクタですが、ケーブル着脱式をいち早く採用したとのことです。

f:id:torusanada98:20170708213313j:plain

・ダイナミックオープン型

・300Ω

・10~39500Hz

・103dB/mW

バランスケーブル別売(4極XLRコネクタ

・45,739円(Amazon参考価格)

f:id:torusanada98:20170708213439j:plain

ヘッドフォン側のケーブルコネクタは左右独立で2極の専用タイプとなっています。ロングセラーとなっていることからサードパーティー製のケーブルの入手が可能なようです。

■MDR-1A/SONY

2014年1月にハイレゾ用のスタンダードモデルとして発売されたものです。40mmドーム型アルミニュウムコートポリマーフィルム振動板が採用されています。

f:id:torusanada98:20170708213553j:plain

・ダイナミック密閉型

ネオジウムマグネット

・3~100KHz

・24Ω

・1500mW

バランスケーブル別売(3.5mm3極 x2)

・18,268円(Amazon参考価格)

f:id:torusanada98:20170708213646j:plain

別売のケーブルのアンプ側は3.5mmステレオ用の3極ミニプラグです。何で3極なのかは不明です。

■SE-MHR5/Pioneer

2017年2月発売で、同社の新シリーズのヘッドフォンです。φ40mmのユニットが採用されています。

f:id:torusanada98:20170708213755j:plain

・ダイナミック密閉型

・7~50KHz

・45Ω

・1000mW

・102dB

バランスケーブル付属(2.5mm4極ミニミニプラグ)

・15,050円(Amazon参考価格)

f:id:torusanada98:20170708213859j:plain

本体にアンバランス用とバランス用の両ケーブルが付属されているので、買ってすぐにバランス再生が可能です。ヘッドフォンアンプ側は4極の2.5mmプラグとなっていて、デファクトを狙っているように思えます。

バランス駆動

上記のとおり、バランス駆動用のアンプ側のコネクタに統一仕様がありません。信頼性という意味では4極のXLRコネクタに分がありますが、携帯機器用としては向いていません。最近の流れとしては2.5mm4極コネクタを採用したものが複数社から発売されている状況です。Sonyの採用する3.5mm3極 x2は後は使う側で勝手に変換してね!というスタンスのものもあります。使用者の立場としては早くデファクトスタンダード化していただきたいとおもいました。

選定

正直なところ、ヘッドフォンへの思い入れはあまりないので、今回はバランス駆動の音を聴いてみることを主目的に据える事として、一番手頃なSE-MHR5/Pioneerを試してみることにします。次回はヘッドフォンを入手し、そのレビューをします。

 

つづく(構想編2)

チャンネルデバイダ製作(番外編)

f:id:torusanada98:20170706072550j:plain

番外編

部品の手配漏れで電源基板の組立ができなかったためバランス変換ボリュームから基板を流用しましたが、組立途中の電源基板を組み上げて元通りに戻します。

おさらい

前回の記事でチャンネルデバイダの製作は終わりましたが、組み上げの最後の電源基板の組立で定電流ダイオードの購入忘れに気づき、バランス変換ボリュームの電源基板を流用してチャンネルデバイダを組み上げました。

f:id:torusanada98:20170706073617j:plain

時間を開けてしまうとこのままになってしまいますので、組立途中の電源基板の組み立てを再開し、完成させてバランス変換ボリュームに元どおりに戻します。写真は中断時の基板の状態です。

f:id:torusanada98:20170706073724j:plain

組立再開

出力トランジスタベースの基準電圧生成回路の組立から再開します。基板の実装スペースに余裕がないので基準電圧生成用のダイオード3個は立てて実装します。その際に通電時に電圧を確認したいポイントのリードが基板上に出るように実装すると後で便利です。基準電圧平滑用の電解コンデンサは実装可能なMUSEの最大限の容量の物を選択しています。並列に接続するフィルムコンデンサも容量の割にはサイズが大きいです。出力回路は、平滑用のコンデンサと放電用の抵抗10kΩです。実装スペースの余裕がないので前回の実装を忠実に守ります。出力段の電解コンデンサは、在庫の有効利用のため、今回はFG品470u/25Vを使用しましたが、オリジナル品よりも径が大きくさらに実装が難しくなりました。ー電源の構成も+電源と同じなので同様に実装を進めます。

f:id:torusanada98:20170706072721j:plain

もう1チャンネル分の+/-電源も同様に実装します。ほぼ同じ回路を4つ実装したことになりますが、繰り返しにより作業は効率は上がりますが作業に飽きてしまい効率が下がり差し引きゼロという状況です。そんな事を考えつつ全ての回路の実装が終わりました。

f:id:torusanada98:20170706072918j:plain

通電確認

通電確認前に、実装チェックをしたところ2回路ある+電源の基準電圧生成用の定電流ダイオードの向きが反対となっている事に気が付きました。写真トランジスタのセンターの足がコレクタ、向かって右がベースで、電源側(コレクタ)からベース側に電流を流す必要がありますが定電流ダイオードのマーキングが逆になっています。通電前に気づき良かったですが、この基板で一番細かな実装部なので修理を考えると頭が痛いです。

f:id:torusanada98:20170706073050j:plain

修理は、取り外す定電流ダイオードのハンダ付け部分にハンダ吸い取り線を当ててハンダを吸い取ります。これで部品が外れなかったら足をカットします。なんとか2カ所の実装間違いの修理が終わりました。それでは改めて通電確認を行います。基板への電源入力はトランスの代わりにDC電源を使います。AC入力のピーク電圧に相当する16.8Vをユニバーサル電源を使って入力しました。

f:id:torusanada98:20170706073214j:plain

いきなり出力電圧の確認を行います。最初のチャンネルは出力がほぼ+/-12Vで問題ありませんでした。次のチャンネルを確認したところ-出力はほぼ-12Vで問題ありませんでしたが、+出力が約6Vと規定の電圧が出ていません。もしやとおもい、基準電圧生成用のツェナーダイオードの電圧を確認したところ、9.1Vツェナーを実装したはずの部品の両端電圧に約3.6Vしかかかっていない事が判明しました。おそらく9.1Vツェナーの代わりに誤って3.6V品を実装してしまったものと思われます。先ほどハンダを吸い取った部分を改めて吸い取る事となり、気分消沈です。めげずに部品交換し、改めて通電確認を行いました。出力電圧は表のとおりです。尚、表にはバランス変換ボリュームに搭載後の電圧値も合わせて掲載してます。

f:id:torusanada98:20170706074418p:plain

基板の再実装

完成した電源基板をバランス変換ボリュームへ搭載します。同じユニバーサル基板を使用したので固定用のスペーサー4カ所に併せて乗せるだけで完了です。1次側の配線とPower LEDの配線をすませます。出力用の電源線はチャンネルデバイダで流用してしまったので、改めて電線を切り出して使用します。左右チャンネルともに電源の配線で再組立完了です。

f:id:torusanada98:20170706073427j:plain

通電確認

電源SWをオンし、Power LEDが点灯することを確認し、電源の出力電圧をざっと確認しました。問題なかったので念のためアンプの出力オフセット電圧を確認しました。調整機構があるためディスクリートアンプのオフセット電圧の方がオペアンプよりも優秀でした。音だし確認もしたかったですが、簡単に準備できる環境がないので確認はここまでとします。今度こそチャンネルデバイダを使ったマルチアンプ関連の記事はこれにて終了です。次回の記事については現在思案中です。

 

おわり(番外編)