真空管HPアンプの製作(製作編10)

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製作編10

初段の配線が終わったので、終段用のバイアス基板の実装を行います。

バイアス基板

バイアス基板には2つの回路を実装します。1つ目は、終段のIpのバランス調整用の回路です。終段の2つのグリッド電圧のバランスをボリュームとC電源を使ってとります。2つ目は終段のプッシュプル回路の電流の和を一定にする定電流回路です。下記の点線枠内の回路を実装します。

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基板上には3極(GND, -5V, カソード)と2極(2つのグリッド抵抗)の端子台を実装します。

バイアス基板実装

最初に端子台の位置を決めます。配線の取り回しを考慮して、グリッド抵抗接続用の2極の端子台は終段の真空管側に、3極の端子台はアンプのリア側の位置に配置しました。

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端子台を仮留めしたら次はボリュームの位置出しをします。ボリュームは運用状態でボンネットだけ外せば調整できるように端子台と反対面に実装します。基板のスルーホールの数の関係でボリュームのセンターが基板のセンターからずれてしまいました。

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シャーシのボリュームアクセス用の穴位置をそこまで考慮しておくべきでした。基板を取り付けるとこんな感じになります。

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それでもシャーシ外からボリュームへのアクセスができ調整は問題ありませんでした。グリッドバイアス回路から実装を行います。ボリューム以外は抵抗のみですが、全て端子台取り付け面に実装します。いまひとつすっきり実装できませんでしたが、完了しました。続けて定電流回路を実装します。エミッタバイアス用の2Vのツェナーダイオードの購入が漏れていました。在庫を確認したところ3.6V品があった為、定数変更して実装を続ける事にしました。回路は以下のとおりです。

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なんとか実装完了しました。

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続けて2枚目の実装を行います。アンプのレイアウトは左右対称の為、基板の部品実装も左右対称とします。

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最初に実装した基板を見ながら実装を進めましたが、左右対称の為に頭が混乱します。

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通電確認

通電確認前に、シャーシに実装してみました。

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他の実装部品との干渉もなく問題なく取り付けができました。一旦基板を取り外して通電確認を行います。電源はユニバーサル電源から供給しました。初めに定電流回路の動作を確認します。終段真空管のカソードの想定電圧が6Vなので、カソード接続用の端子台に6Vを印加しました。ユニバーサル電源の電流の読み値は約28mAでした。ほぼ設計どおりの結果です。続いて、グリッドバイアス回路の動作確認をします。ユニバーサル電源から-5V端子に電源を供給します。一部ハンダ不良があって手直しをしたものの動作上は問題ありませんでした。ボリュームセンター位置でグリッド抵抗用の端子台電圧が2つともに約-3,8Vで、ボリュームを回すと各端子電圧は対称に動作し、0Vまで変化します。ここではたと問題に気づきました。バランス調整用のバイアス回路が約-3.8Vとなるので、この時のカソード電圧は約2.2Vまで下がり、定電流回路のトランジスタに電圧がかかりません。もっと考えてから定数変更をすべきでした。

バイアス回路設計変更

バイアス回路と定電流回路ともに定数の見直しをしました。

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ツェナーダイオードの代わりに、LEDの順電圧(約1.8V)を使用する事にしました。定電流ダイオードと併用なので、実用になると考えます。グリッドのバイアス回路は分圧抵抗を4.7KΩから47KΩに変更しました。この変更で調整の範囲は小さくなりましたが、ボリュームセンター時のグリッド電圧が約-1.2Vとなります。見直した回路に従い実装を変更しました。

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改めて通電確認を行います。初めに定電流動作の確認をします。電流値は31mAで問題ありません。

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ユニバーサル電源から供給する電圧を下げてゆき、動作限界を確認しました。その結果3.5Vまで印加電圧を下げても動作する事を確認しました。もう1枚の基板も同様に実装変更を行い動作確認を行いました。最近ミスが多いので、気を引き締めねば!次回は終段回路の配線を行います。

 

つづく(製作編11)

真空管HPアンプの製作(製作編9)

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製作編9

電源基板の実装と通電が完了したので、初段から配線を再開します。

電源ライン配線

初段の配線前に、電源系ラインの残りを配線します。具体的には、電源用ラグ端子板へB電源の配線と、電圧モニタ用のチップジャックへB電源とGNDの配線です。初めに電源基板B電源出力とラグ端子板間の配線をします。空中の配線は、後で束線しやすい用に位置を決めています。続けてB電源とGNDのチップジャックへの配線をします。電源・GNDと配線済みのラグ端子板と接続します。

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これで電源系の配線は完了したので本題の初段の配線を行います。

初段配線

過去の製作では、初段部の配線用にラグ板を使用しましたが、今回は初段の真空管ソケットに直接部品を取り付けて、ラグ板を使用しませんでした。初段に取り付ける部品は以下のとおりです。

・グリッド入力抵抗2.7kΩ2個

・定電流ダイオード1mA1個

・負荷抵抗120kΩ2個

・出力カップリングコンデンサ4.7uF2個

一番大物部品のカップリングコンデンサの実装からスタートします。使用するコンデンサは、以前のネットワークの実験で購入したCross Capです。容量は0.47uFでも十分ですが、在庫の有効利用するために4.7uFとしています。実装は初段真空管のプレート端子と終段真空管のグリッド抵抗間に接続します。他の部品の実装の妨げにならないようにポジション決めをしました。

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ポジションが決まったら、終段のグリッド抵抗(2.7kΩ)も合わせてハンダ付けします。

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次は負荷抵抗120kΩ2個を実装します。上記で実装したCross Capが接続されているプレート端子とB電源間です。プレート端子と反対側の端子は2本を接続して、B電源へは1本の電線で配線します。

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続いて定電流ダイオードを実装します。2本のカソードをショートしてそこからC電源に配線します。

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初段の最後は、グリッド抵抗を実装します。接続先はボリュームです。それぞれのグリッド端子に2.7kΩを実装します。ここで合わせて入力信号配線と、GND配線を行います。入力信号配線は、いつも使用しているベルデンの2芯シールド線1503Aを使用します。初めにパネルコネクタ側を配線します。

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続いてボリューム側の配線をします。ボリュームはフロントパネル側をR-chとしました。

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ボリュームと真空管のグリッド間の配線も2芯シールド線を使用します。Hot/Coldともにグリッド抵抗に接続し、シールド線にGND配線します。GNDラインはこのルートの配線でループの発生はありません。

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これで片チャンネル分の初段の配線が完了しました。残りのチャンネルも同様に配線を行います。真空管の配置が左右で異なるので配線時に混乱します。とはいえ、配置が決まっているので気分的に楽に配線できました。初段配線完了時は写真のとおりです。

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これで両チャンネルともに初段の配線が完了しました。

初段通電確認

初めに真空管を挿さずに通電確認を行います。確認は初段真空管ソケットの各端子の電圧を観測します。電源コードを繋ぎ電源オンしますが、電源電圧が高いため、トランジスタアンプ以上に緊張します。

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結果は以下のとおりです。

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特に問題はありませんでした。次は真空管を装着して確認します。まずは1本のみ装着します。

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電圧確認は逆さの状態で行います。ネットで検索したところ、傍熱管の動作時の姿勢は寿命に影響を与えないとの事でしたので、配線時と同様に電源トランスで支えた状態で通電確認を行いました。差動回路のIpにやや差はありましたが、特に問題はありませんでした。残りの1本も装着して同様に確認を行いました。以下が確認結果です。

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カソード電圧がやや低いですが、大きな信号入力をしない前提でこのまま進めます。初段までの確認が完了しました。次回は終段の配線を行います。

 

つづく(製作編10)

真空管HPアンプの製作(製作編8)

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製作編8

B電源の配線を行い、電源の通電確認を行います。

基板外部回路の実装

初めに平滑用コンデンサの実装と配線を行います。560uF/400Vの電解コンデンサ実装済みなので、0.47uF/450Vのフィルムコンデンサを並列に接続して基板端子台へ配線します。Lラグ端子の上部にコンデンサはハンダ付けして、下部端子から配線を引き出しました。

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無駄なく配線できたとおもいます。続いて隣に、リップルフィルター用のコンデンサを実装します。実装方法は平滑用コンデンサと同じです。電解コンデンサの容量のみ異なり100uF/450V品です。

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次にリップルフィルタ用のトランジスタを実装します。前の記事で説明が漏れてしまいましたが、B電源電圧確認用にチップジャックを2個実装しました。実装位置は、先にトランジスタ固定用に穴を空けた近くです。

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チップジャックの間にトランジスタを設置する予定ですが、トランジスタ固定用に空けた穴位置ではチップジャックと干渉してしまいます。仕方がないので上記確認の位置に固定用の穴を開け直しました。

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すでに写真に写っていますが、トランジスタの配線はB:白、C:橙、E:赤で配線済みで、ショート防止としてハンダ部を熱収縮チューブでガードしています。トランジスタの固定は、絶縁放熱シートを挟みプラネジを使用しました。

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さらにもう2点ミスが発覚です。1点目は、端子台の並びをトランジスタの端子配置に合わせたつもりでしたが、ハンダ面から見て合わせてしまった為、並びが逆になってしまいました。配線をクロスさせて対処します。

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メンテ時のミス防止の為に、先日購入した剥がせるシールで配線の並びを明記しています。最後の1点は極めつけ、トランジスタの購入間違いです。前回の製作で使用した東芝製の2SC3309を購入したつもりが、MOSPEC製の2SC3039を購入していました。なんでこんな間違いをと思い確認したところ、このトランジスタも耐圧が400VのTO-220形状のものだった為にちゃんと確認せずに指定してしまったようです。基本スペックを比較してみます。

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仕様書上の数値では、2SC3309を上回っているので、このままこのトランジスタを使用する事にしました。最後にトランスからの電源配線を行い、B電源の配線は完了です。

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通電確認

高圧の電源回路なので、通電確認はいつも緊張します。念の為、テスタを使って配線の確認を行います。基板上の部品の端子と各端子台間の導通確認を行いました。特に問題はありませんでした。電源ケーブルを接続して緊張しながら電源オンしました。

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特に何も起こりません。ふ~、一安心です。各部の電圧を確認します。確認結果は以下のとおりです。

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トランジスタのエミッタ-コレクタ間の電圧は約14Vでした。リップルフィルタ用トランジスタの実働時の損失は0.87Wです。10Vくらいまで印加電圧を下げるべきでしょうか?その他はほぼ設計どおりに動作しています。負荷電流が100KΩの抵抗だけなので、実使用時には全体的にやや下がると思われます。また、基板に実装されている1kΩ1W品の抵抗の温度を非接触温度計で測定してみましたが、約30℃と問題ありませんでした。参考として、電源回路の最終版を掲載します。

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変更点は以下のとおりです。

・C電源の平滑コンデンサを1000uF/16Vに変更

・C電源の出力の電解コンデンサを10uF/16Vに変更

・電源ランプの電流制限抵抗を330Ωに変更

リップルフィルタのTrを2SC3039に変更

本記事のアイキャッチ写真は、現時点のシャーシ内実装状態です。次回は初段の配線を行います。

 

つづく(製作編9)

真空管HPアンプの製作(製作編7)

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製作編7

ヒーター回路の実装が終わったので電源回路を実装します。

電源回路

改めて電源回路を掲載します。

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電源はプレート用175V電源(B電源)とバイアス用-5V電源(C電源)の2系統です。実装する基板のサイズは47x36mmです。従って、大型の電解コンデンサや放熱が必要なトランジスタは、基板外へ実装します。初めに大枠の部品レイアウトを決めます。

基板端子台の配置

そんなに複雑な回路ではないので、基板端子台の位置が決まれば、概ね部品の配置も決まります。初めに基板端子台の配置を検討します。搭載する基板端子台は以下のとおりです。括弧内は接続先です。

・B電源電入力:2極(電源トランス)

・C電源入力:2極(電源トランス)

・平滑コンデンサ:2極(電解コンデンサ

リップルフィルタコンデンサ:2極(電解コンデンサ

リップルフィルタTr:3極(トランジスタ

・電源出力:3極

・電源ランプ:2極(LED)

配線が短くなるように各端子台の位置を決めました。

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1点問題に気づきました。C電源のトランス巻き線は12Ax7のヒーター電源と共用していて、ヒーター配線の際に0VタップをGND接続していました。今回C電源用にGND配線を行うと、大きなループができてしまいます。C電源用のノイズを優先させるため、折角配線しましたが12AX7のヒーター配線のGND接続を外しました。

基板実装

初めに基板内のGND配線をします。基幹となるラインはポリウレタン被覆の銅線で配線する事にしました。被覆をあらかじめヤスリで剥がさないと、15Wのコテではハンダできません。手間はかかりますが後の作業を考えて実施します。

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次に整流出力配線をします。平滑用の電解コンデンサは基板外なので、配線用の端子台へ接続します。

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続いて、整流出力に接続されるトランジスタと分圧用の抵抗と出力用の負荷抵抗を実装しました。

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これでB電源用の部品実装は完了です。

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次はC電源実装です。C電源は三端子レギュレータによる単純な電源です。部品は基板センター部に実装し、リア側となる写真下の部分を空けました。

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実装完了時のハンダ面は以下のとおりです。

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C電源通電確認

単純な回路ですが、念のため動作確認をしておきます。ユニバーサル電源からAC6.3Vの波高値に相当する-8.5Vを入力して確認しました。

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出力電圧は-4.98Vで問題ありませんでした。過去の製作で-12Vの三端子レギュレータが微少発振を経験していたので、念のため出力を確認しました。

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問題ありませんでした。次ににLED点灯確認をします。電源用端子台に直接LEDを接続して電源オンします。

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問題ありませんでした。基板単体で確認できる項目は以上です。

基板装着

実装した基板をシャーシに取り付けます。スタッド取付け時に位置だしをしているので、すんなり取り付けができました。

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初めに、-5V系を使用する電源ランプ系の配線を行います。2芯の平行電線をシャーシの端に敷線しました。

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LED部配線はショート防止の為に熱収縮チューブでガードしました。

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電源入力配線を行い、電源オンしてみました。写真のとおり問題なく電源ランプが点灯しました。

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三端子レギュレータ印加電圧が設計上小さいので念のため確認しておきます。-5V系電源の負荷大半は電源LEDです。LED点灯時のレギュレータへの印加電圧を確認します。点灯時の三端子レギュレータ入力電圧波形をDC/ACモードで観測しました。

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左がDCモード観測結果で、DC電圧は約-8.5Vとなっています。右はACモード観測結果です。リップルは約0.2Vppです。この結果から、三端子レギュレータには8V以上の電圧がかかっている事が確認できました。次回はB電源系の配線を行い動作確認を行います。

 

つづく(製作編8)

トランス唸り対策(番外編30)

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番外編30

ウーハー駆動用のA級BTL方式DCパワーアンプのトランスの唸りを絶縁トランスを使って対策します。

絶縁トランス落札

数日して、想像よりも数倍大きく重いダンボールが届きました。

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箱を開けて中身を取り出します。

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手前にコテを置いたので大きさがわかるとおもいます。重さは約16kgもありました。こんな物を扱っていると持病のぎっくり腰が再発しそうで怖い為、早々にキャスターを付けた板の上に設置する事にしました。板はビバホームで購入し、カットサービスで希望の寸法にしました。キャスターの取り付けの際に下穴をちゃんと空けずに木ねじを打ったために、1カ所だけ板にひびが入ってしまいました。

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電源の入出力は、5mのテーブルタップを途中で切って流用しました。コンセント側は短く(約1m)タップ側は長くして、運用時にこのトランスをできるだけパワーアンプから離して設置できるようにしました。タップ側は個別SW付きの物です。

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使用するパワーアンプはコンセントに接続すると電圧増幅段の電源が入る仕様となっている為、その電源のスイッチとして使用します。絶縁トランスへの電線の固定は写真の金具を1次側と2次側ともに取り付けて、トランスのターミナル部に力がかからないようにしました。

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トランスの1次巻き線には、念のためヒューズを入れています。ヒューズホルダは配線の途中に入れられるタイプで、暫定的に10A品を入れました。

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これで組立は完了です。火入れする前に各部の抵抗確認をしました。1次巻き線2次巻き線ともに0.1Ωでした。定格容量が1.5KVAなので各巻き線の直流抵抗は低く、仮に巻き線に絶縁不良が起こっていても抵抗値で確認はできません。両巻き線ともにフレームとの導通はありませんでした。これ以上の確認はできないので、意を決して電源を入れてみましたが何もおこりません。入力電圧が約104Vで出力が106Vと2次側の電圧がやや高くなっています。

音聞き

製作した絶縁トランスは、リッスニングポイントの背後に移動しました。絶縁トランスに通電して、さらにA級BTL方式DCパワーアンプの電源もオンしてしばらく様子を見てみました。しばらくすると、絶縁トランスからジーというハムの高周波成分が聞こえました。その時のパワーアンプのトランスの唸りの状態はあまり変化がありませんでした。耳につきやすいハムの高周波成分が絶縁トランス側に移った印象です。

音聴き

この状態で音楽を聴いてみました。リッスニングポイントの背後に置いたトランスから聴こえるハムは音楽と分離して聴ける為に、正面から聴こえるハムに比べて気になる度合いが低く感じました。最終的には絶縁トランスの位置をさらに移動してリッスニングポジションから絶縁トランスのハムが聞き取れないようにする予定です。スコーカーチャンネルのハムは相変わらずですが、当初リッスニングポイントで気になったハムのレベルは、DCパワーアンプと一直線上にスコーカーが配置されたために、DCパワーアンプのトランスの唸りも含めてスコーカーから発生していると錯覚した事に起因していたようです。但し、スコーカーに耳を近づけるとハムは相変わらず聞こえるので、何れ対策は必要です。

音の印象

再生音は、低音の堅さがやや取れた印象ですが、悪くはありません。普段よりも1ステップ音量を上げて聴きたいと感じましたが、今までの経験からそのように感じた時は改善している可能性が高いように思えます。

波形確認

絶縁トランスは負荷がつながっていなくても、供給電源の状況により唸りのレベルが変化します。その時の1次側の電流を観測したいとおもい、格安の電流プローブを購入しました。

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絶縁トランスが無負荷状態で、唸りが大きい時と小さい時の一次電流を比較してみました。左が唸りが小さい時で右が大きい時の一次電流波形です。

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測定時のレンジ設定はは1mV=10mAです。ややレベルは違う物の、この数値の違いが唸りの大きさにつながるとはおもえませんでした。もう少し観測を続けたいとおもいます。今回はたまたまオークションで手頃な価格で絶縁トランスを手に入れられた為、リーズナブルなコストで対策を試す事ができました。当面この状態で運用したいとおもいます。次回は真空管HPアンプの製作に戻ります。

 

終わり(番外編30)

トランス唸り対策(番外編29)

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番外編29

真空管HPアンプを製作中ですが、2回に渡り1000Mマルチアンプ駆動システムのウーハー駆動用のA級BTL方式DCパワーアンプのトランスの唸り対策を行います。

1000Mマルチアンプ駆動システムその後

大げさなシステムとなってしまいましたが、バランス3wayマルチアンプシステムにより、1000Mがモニターの本領を発揮できている印象です。週末に時間を忘れて聴きいってしまい、いきおい製作の時間が圧迫されてしまいます。システム構築のまとめ編で紹介したスコーカーチャンネルのハムは現状放置していますが、それよりも、最近、ウーハーチャンネル用のパワーアンプのトランスの唸りが時折酷く、優先対策課題となっています。

A級BTL方式DCパワーアンプの電源

BTL方式は、アンプから見た負荷インピーダンスは、1/2となり8Ωのスピーカーはアンプから見ると4Ωを駆動している事になります。使用しているA級方式のDCパワーアンプは、発熱を押さえるために終段の電源電圧を下げていますが、その代わりにスピーカーの駆動力を高めるために、トランスの電源容量を定格出力時の電流に対して余裕を持った選定をしています。この選定は、通常のアンプの定格出力電圧に対して、定格出力電流を大きく取っている為にパワーアンプとしては特殊な要求となっています。

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そもそもトランジスタアンプ用として販売されているトランスの種類が少ない中で、特殊な要求の電源トランスは販売されていません。この様な理由から仕方なく汎用の電源トランスから選定をしています。選択肢は広がりますが、唸りに対しては不利になっています。汎用トランスから選んだ定格は6V-CT-6V/5Aですが、オーディオ機器以外の周辺装置の動作状況によって盛大に唸るときがあります。

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対策の経緯

ネット情報によると状況によりレベルが変化する唸りの原因は、トライアックやインバーターによる位相電力制御機器による電源のDCバランスのズレ起因との事で、以前にダイオードブリッジによる対策を試した経緯があります。その時の結果は「DCパワーアンプ製作まとめ編3(2016-08-08)」で紹介していますが、効果が小さい上に音質への影響があった為に試作したきり使用していませんでした。

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他の対策

さらにネット検索をすると、絶縁トランスを電源ラインに入れる事で改善するとの情報があったので、試してみる事にしました。理屈はおそらく、絶縁トランスを入れる事でアンプに供給する電源のDC成分がなくなりパワーアンプのトランスの唸りが押さえられるのだとおもいます。

トランスの選定

今まで絶縁トランスを扱った事はありませんが、手始めにどんな物があるか調べてみました。

■Z-510C/東栄変成器

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価格:19,850円

容量:510VA

特徴:コンセントとタップ機能搭載なのでそのまま使用できます。

■LZ11-01KF/豊澄電源

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価格:25,793円

容量:1KVA

特徴:1次2次管に静電シールド付き

■TZ11-500A2/豊澄電源

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価格:19,900円

容量:500VA

特徴:1次2次管に静電シールド付き

容量を求めるとそれなりの値段となってしまいます。効果が確認できていないトランスに2万円以上コストをかける事に気が引けた為、勢いオークションサイトをチェックしてみました。さすがヤフオク、絶縁トランスで検索するといくつか候補がヒットしました。その中で中古品ですが、理想的な絶縁トランスを見つけました。1500VA, 見た目の状態は良いとの事ですがノークレーム品で3,140円スタートです。1万円くらいまで覚悟してオークションに参加しましたが、結局約5,300円で落札できました。次回は落札した絶縁トランスを現状のシステムに組み込んで効果の確認と音を聴いてみます。

 

つづく(番外編30)

真空管HPアンプの製作(製作編6)

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製作編6

電源の一次配線が完了したので真空管のヒーター配線から再開します。

ヒーター配線

改めて電源回路を掲載します。

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トランスのヒーター巻き線は2つあり、一方は6N6P用で他方は12AX7と-5V電源用です。巻き線の位置は写真のとおりです。

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写真上側が電源基板側で、下がフロント側です。ヒーター巻き線は上側左と下側右にあります。配線を短縮する為に、-5V電源用を基板側(写真上側)の巻き線とします。最初に6N6Pのヒーター配線を行います。図は6N6Pの端子配置(Bottom View)です。

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4pinと5pinがヒーター用の端子です。4pin側をGNDとして配線しました。どの程度効果があるかわかりませんが、電線はよって使用しました。敷線の位置は迷いましたが、フロントパネル側にはオーディオ信号ラインを敷線する予定なので、真空管よりもリア側に敷線する事にしました。

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トランス部の配線は写真のとおりです。

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GND配線は、先に取り付けたラグ端子版のGNDへ接続しました。ラグ端子板は片側をGNDに、反対側は2つに分けてB電源と-5V用電源端子としています。写真のとおりポリウレタン被覆の銅線で各端子を接続しています。

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続いて12AX7ヒーター配線をします。下図は12AX7の端子配置ですが、9pinをGNDに落とすことでヒーター電圧が6.3Vとなります。

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接続端子は4pinと5pinです。配線は写真のとおりとしました。

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反対側の真空管も同様にヒーター配線をしました。通電確認をしようとおもいますが、せっかくなので6N6Pのシールド配線を行っておきます。

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9pinをGNDに接続しました。これでヒーター回路の通電確認ができます。

ヒーター回路通電確認

初めに真空管を挿さずに電圧確認を行います。ヒューズホルダに2Aのヒューズをセットして電源に接続して電源オンします。異常はありません。ヒーター巻き線の電圧はどちらも約6.9Vでした。一旦電源を落として、真空管をセットしてみます。真空管取り付け時にいつも感じますが、ソケットがきつくてこじりながら装着しますが、その際に真空管端子部に隙間ができて空気が入る事はないでしょうか?そんな事に気を留めながら4本ともにセットしました。

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前回までの製作と違い、真空管が2本少なく、終段の真空管が小さい為にスカスカな印象です。ヒーター回路の通電確認ですが、Ipを流さずにヒーター点火を続けるとダメージを与えるとの書き込みがありましたが、真偽の程は不明です。別の書き込みによると、製造時のエージングにてヒーター点火のみ行う行程があるとの事でしたので、あまり気にしない事にします。電源オンしてしばらくすると4本ともにオレンジ色にほのかに発光しました。

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写真には写っていませんが、4本ともに点火しています。今までの製作でも思いましたが、ヒーター点火の確認でアンプが完成した錯覚をしてしまいます。半導体アンプにはない、オレンジの光は暖かみがあり時間を忘れて眺め続けてしまいます。点火が確認できたので電源オフします。ここまでの製作に問題ない事が確認できました。現状のシャーシ内の状態は以下のとおりです。

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次回は電源基板の実装を行います。

 

つづく(製作編7)