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マルチアンプ実験3(設計編)

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設計編

NS-1000Mをマルチアンプ駆動するための改造設計をします。

チャンネルデバイダー改造設計

fc=500Hz, K=1.4(ベッセル特性)前提でCRの定数を決めます。基板は今までの実験で使用した暫定仕様のもの改造して使います。

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上記の回路で最初にC1とR1を決めます。入手性を考慮してC1=0.033uF前提で計算してみます。fc=1/(2πC1R1)からR1が決まります。

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続いてC2とR2を決めます。K=1.5となってしまいますがC2=0.022uF前提で計算します。関連する式はR2=kR1, C2=C1/k, fc=1/(2πC2R2)です。

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上記表の計算結果から、fc=483Hz, K=1.5のパラメーターで改造を進める事にします。下記が定数を反映した回路図です。

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チャンネルデバイダーの改造

fcを決定するCR類は全てポストにハンダ付けしてあるので容易に改造ができます。最初に現状のfc=2kHz前提のCRを取り外します。代わりに上記で決定した定数のCRをハンダ付けします。見た目はあまり代わり映えしません。

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動作確認

最初に無信号入力状態で出力オフセット電圧の測定を行いました。

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続いて周波数特性の測定を行います。前回同様に1Vppの正弦波を入力して測定を行いました。

■ch1周波数特性

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■ch2周波数特性

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前回同様に、10kHz以上の結果は出力信号が小さく信頼性はありません。グラフは青がHotで紫がColdです。ch1は減衰領域でHot/Cold間で特性差がありますが、測定誤差でしょうか?念のため100Hzの矩形波応答も確認しました。k値がベッセル特性のk=1.4からK=1.5とずれていますがリンギングはありませんでした。

■100Hz矩形波応答

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■100Hz矩形波応答(拡大)

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所望の特性となっていることが確認できたので次に進みます。

NS-1000Mの改造設計

裏板にねじ止めされているターミナルパネル兼ネットワークの代わりにターミナルパネルを製作します。オリジナルターミナルパネルの図面はないので現物を測定して図面を作成します。測定の為にネットワークを取り外しました。部品はきれいな状態です。(本記事アイキャッチ写真参照)密閉型なので、吸音材がふわっと目一杯つまっています。学生時代に内部配線を日立電線のSX-104に変更し、オリジナルのコンデンサに高域特性改善目的で小容量のフィルムコンデンサが取り付けていました。(本記事アイキャッチ写真参照)写真には写っていませんが、基板のパターンに沿ってφ1.0の無酸素導線が配線されていました。

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ターミナルパネルの設計

加工性を考慮してt=0.8のアルミ板で製作します。強度が不足するので、14mm厚のラワン材を裏側にねじ止めします。製作したパネルのスピーカーの裏板への取り付けは、位置も含めてオリジナルのねじをそのまま流用します。この対応によりオリジナル状態へいつでも戻すことができます。取り外したパネル兼ネットワークの取り付け用のねじ穴を測定してアルミパネルの加工図を作成しました。取り付け穴以外にはターミナル3組用のφ11mmと、ラワン材固定用のねじ穴10個です。

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図面上の取り付け用のねじ穴の間隔は46としていますが、縦方向(図面上は横方向)については、センターの穴位置合わせで間隔を46.5として現物との位置あわせしました。アルミ板とラワン材は、いつものようにビバホームで購入しました。価格はそれぞれ948円と398円です。ビバホームでは有料のカットサービスがありますが、アルミ板は扱っていませんでした。仕方がないのでラワン材の外形カットのみを依頼しました。1カット29円です。ラワン材の加工図は作成していませんが、外形は120mm x 160mmです。ターミナルを逃がすための角穴をあけますが、穴開けのカットサービスも扱っていません。仕方がないので、アルミ板のカット用に金切りはさみと、ラワン板の穴開け加工用に押引鋸を購入しました。価格はそれぞれ648円と680円でした。

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次回は準備した部材と工具を使ってターミナルパネルを製作します。

 

つづく(製作編)

 

マルチアンプ実験3(構想編2)

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構想編2

今回の実験の中で1番の暫定項目のウーファーを中心にマルチアンプ用のスピーカーを検討します。

はじめに

16cmフルレンジをウーファーとして使った実験用スピーカーであの迫力ある音が再生できたので、本来のウーファーをマルチアンプ駆動したらと思うと気持ちがはやります。今回は本格運用に向けてマルチアンプ用のスピーカーを検討します。

ウーファーの選定1

まずは定番のFostexのラインナップを確認してみます。PW、FW、Wの3つのシリーズがあります。PWはカンスピと呼ばれている入門用のものなので対象外とします。Wシリーズはアルニコマグネットを使用した高級なシリーズで30cmと40cmの2機種がラインナップされています。値段が高いことと口径が自作するには大きいのでこれも除外します。そうすると残りはFWシリーズになります。FWシリーズは10cmから80cmまでの7機種がラインナップされています。今回の対象としては、20~25cm口径のものを考えていたので、対象は1モデルしかありませんでした。FW208HSです。簡単に仕様を転記します。

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外観はまずまずですが、残念ながら仕様の1点が希望にマッチしません。それは能率87dB/Wです。現状のシステムは能率90dB/Wのスピーカーを部屋で十分に鳴らす前提で出力を決めています。3dBの差は倍の出力が必要となりますので影響が大きいです。価格も私の希望よりも少し高めです。仕方ないので他をあたってみます。

ウーファーの選定2

つづいてスピーカービルダーのメッカ、コイズミ無線の商品をあたってみます。海外製の私の知らないメーカーのユニットが多数ラインナップされています。価格は3,000円くらいから高額のものまで多様です。いくつか目についた物をピックアップしてみます。

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この中では、20cmのSPH-200KEが使いやすそうです。ここまで調べて改めて考えてみましたが、実は一番の問題は、これ以上スピーカーをどうやって置くかです。この問題を後回しにしてでも使ってみたいユニットが見つかったのであれば話は別ですが・・・。これは簡単に解決できる問題ではありません。とはいえマルチアンプの実験をさらに1歩進めることはあきらめられません。しばらく考えた結果方針を決めました。

実験3用スピーカー

置き場所がないのであれば、今あるものを使うしかありません。お気づきの方もいるかとおもいますが、私のメインスピーカーのNS-1000Mをマルチアンプ駆動してみる事にしました。ネット検索をしてみると、少なからず先人がいました。参考にさせてもらいつつ検討をしてみます。実験を進める上での構想を整理します。

・元の状態に戻せるように進める

・スコーカーとツイーターは、オリジナルのネットワークを使用する

具体的な対応

NS-1000Mの裏板には、ターミナルのパネルと兼用のネットワークがねじ止めされています。(本記事のアイキャッチ写真を参照)これを外して、自前でターミナルパネルを作ります。このターミナルパネルには、ウーファー、スコーカー、ツイーター接続用に3組のターミナルを取り付けます。このうちスコーカーとツイーターのターミナルは取り出したネットワークのそれぞれの端子と接続します。ネットワークのウーファーの出力端子は、実験3構想1で行ったように8Ωのダミー抵抗を接続します。残りのウーファーのターミナルは、BTLアンプとダイレクトに接続します。

NS-1000Mのネットワーク

久しぶりにNS-1000Mの取扱説明書を引っ張り出しました。

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クロスオーバー周波数は500Hzと6kHzで減衰特性は-12dB/Octです。まだ具体的な作業を進めていないので、ネット上にアップされたネットワークの外観写真を転載させていただきます。

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今回のマルチアンプはウーファーのみダイレクト駆動なので、クロスオーバー周波数500Hzの定数検討を行う事になります。

次回は実験3として具体的な設計を進めていきます。

 

つづく(設計編)

 

マルチアンプ実験3(構想編1)

 

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構想編1

今後の方針の構想を行います。その前にまとめ編でやりきれなかった事を確認します。

ウーファーダミー抵抗

まずはオープンとなっているネットワークのウーファー用出力に8Ωのダミー抵抗を付けてみます。仮止めして音を聴き効果があれば、本格運用のために部品の調達をしたいとおもいます。

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写真のとおり、16Ωの3W品をパラレル接続しファストン端子の根元にハンダ付けしました。取り付け前に、時々高音が崩れる感じがありましたが、取り付けてからは1度もありません。使用しているEL34ppの終段は負荷抵抗8Ω前提でロードライン設計をしています。ウーファーの端子がオープンの場合、ロードラインが寝て終段管に定格を越えたプレート電圧がかかる恐れがありました。これで安心して鳴らすことができます。

ネットワークのフィルムコンデンサ

比較元の2wayスピーカーの音出しの際にBTL A級DCパワーアンプを壊してしまい、その原因がネットワークのフィルムコンデンサと考えてCrossCapを購入していました。結局、私の配線上のミスによるショートが原因で、CrossCapは放置されたままでした。せっかくなので交換して音を聴いてみます。今回のマルチアンプ駆動では、ウーファー側回路は使用していませんので、今回はツイーターに直列に入るコンデンサのみを交換しました。ウーファーも含めた2チャンネル分のコンデンサー(3.3u/400V品を2個と4.7uF/400Vを4個)価格は送料別で3,126円でした。一方クロスオーバーネットワーク2チャンネル分は、ツイーター用のATT付属で7,980円でした。

■交換前の写真

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■交換後の写真

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ネットワークの価格から推定すると、交換によってフィルムコンデンサーの質は上がると考えられます。それ以前に使用実績からくる安心感もあります。早速音を聴いてみます。高域は静かになり、ツイーター系を変えただけなのにベースが弾む感じがします。差はそんなに大きくないですが、この音気に入りました。

ボリューム

今回の実験では、4連のボリュームを2個並べて使用しましたが、使い勝手を考えると、8連ボリュームが必要です。改めて探したところ、ありました。三栄電波ドットコムで東京光音製のボリュームを受注生産の受付をしています。シリーズ名8CP2500で価格は26,730円といいお値段です。

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写真は4連タイプのものですが、最大8連タイプまでラインアップされています。抵抗値は私の希望レンジとして、600Ω、1KΩ、5KΩがラインアンプされ、log減衰特性の指定ができます。受注後1~1.5ヶ月のLTとのことです。次の選択支は電子ボリュームです。MUSESシリーズにもラインアップされていますが、面実装タイプしかないので選択支から外していたところ、秋月電子でキット販売されているものを見つけました。

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1セット4,200円です。8ch分にするには4セット購入して改造が必要で、コントロール用のマイコンも別途必要となります。キット中には、オペアンプが同梱されていないため高音質のオペアンプも含めると、8チャンネル分で2万円以上の出費と、かなりの手間がかかります。それでも音がよければと思い、ネット検索をしたところありました。「Innocent Key」にてこのキットではありませんが、試作音聴きをした結果が公開されています。この結果を見ると、これだけのお金と手間をかけて試作する気は失せてしまいました。このブログでは、まだデジタルボリュームの方が音がいいと結論付けていますが、私のシステム構成上はデジタルボリュームの選択支はありません。今回の結論としては、価格は高いですが、東京光音製の8連ボリュームを試すしかないということになりました。

レベル調整

ボリュームに8連タイプを使うと、別途High/Low間のレベル調整が必要となります。ツイーター系の方が能率が高い前提で、入力段のボルテージフォロワをHigh/Low専用として、High(Throgh)系のボルテージフォロワの入力にアッテネート用のボリュームを入れて調整したいとおもいます。プリアンプの前段にボリュームを入れる事は、私のポリシーに反しますが、絞る量は大きくないことから致し方ないとしてあきらめます。

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最後は最大の懸案事項、スピーカー本体をどうしようか悩みつつ次回悩んだ結果を紹介したいとおもいます。

 今回の1枚

エマーソンレイク&パーマーの展覧会の絵です。ライブ盤ですが、16cmフルレンジ+10cmフルレンジ2発で迫ってくるような音が出せるなんて、ウーファーをダイレクトにBTLアンプで駆動するマルチアンプの実力をあらためて感じました。

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つづく(構想編2)

 

マルチアンプ実験2(まとめ編)

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まとめ編

実験用のチャンネルデバイダが組み上がったので、音を聴いてみます。

準備

改めて比較元の音を聴きますが比較条件も改めて紹介します。スピーカーはFostexのフルレンジユニットをウーハーとツイーターとして使います。ウーハーは16cm、ツイーターは10cmのユニットです。ネットワークは、アマゾンで購入した格安品です。クロスオーバー周波数は2KHzで、減衰量は-12dB/Octです。ウーハー用のアンプは自作のBTL A級DCパワーアンプを使いたかったですが、この2Wayスピーカーの音聴きの際に壊してしまいまだ修理できていないため、エルサウンドのBTLモノラルパワーアンプを使用しました。

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比較元の音

フルレンジを2wayにして使用する事はナンセンスとのご指摘を受けそうですが、今回はマルチアンプ駆動の実験ということでご了解ください。実際音を出してみたところ、思いの外良い結果で驚きました。低域の量感もあり、音量を上げても中高域がうるさくなりません。いつも聴いているCDを一通り聴いて音の印象を記憶します。写真左が10cmフルレンジユニットFE103Enで右が16cmフルレンジユニットFF165WKです。

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マルチアンプ試聴準備

ネットワークと16cmフルレンジユニット間の配線を外します。ネットワークには10cmフルレンジユニットがツイーターとしてのみ接続されます。

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これをEL34pp真空管アンプで駆動します。ウーハーとして使用する16cmフルレンジユニットは、ダイレクトにエルサウンドのBTLモノラルパワーアンプに接続します。チャンネルデバイダのスルーとLPF出力用のボリュームを手元で操作するため、リスニングポイント手前にテーブルを置いてそこにチャンネルデバイダーを仮置きしました。USB-DACバランス出力とチャンネルデバイダの入力間は、今回の実験用に購入した2mのバランスデーブルで接続しました。BTLモノラルパワーアンプは、スピーカー横に置いたため、チャンネルデバイダとの接続は普段使っている1mのバランスケーブルで間に合いました。EL34ppパワーアンプは、普段アンプを設置する場所に置いたため、「自作アンプで年末を聴く」の記事を書く際に購入した3mのバランスケーブルで接続しました。試聴準備はこれで完了です。

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音出し

チャンネルデバイダのボリュームを絞り、電源を入れます。つづいてEL34ppアンプとBTLモノラルパワーアンプの電源を入れます。CDをセットして再生状態にして、LPF出力とスルー出力用のボリュームを上げていきます。BTLモノラルパワーアンプのゲインが小さいため、ボリュームの位置はアンバランスになりますが、この操作感は思っていた程悪くはありませんでした。

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音の印象

予想どおり中高域は、真空管アンプの美しい響きの音となり、低音はメリハリのあるBTLパワーアンプの音がします。低音の量感はネットワーク接続時の方があるように聴こえましたが、ウーハーをダイレクトに接続したことで、スピーカーの制動力が上がり余計な共振が押さえられている為だとおもいます。音のつながりですが、違和感はありません。ツイーターの極性は正相と逆相を試しましたが、逆相の方が中域のレベルが上がるため、逆相で試聴をすることにしました。

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試聴

■BJ2

中高域の響きが美しく、音の奥行きを感じました。低音の量感は後退しましたが、ベース自体の音が聴き取れます。

■卒業写真/井筒香奈江

ボーカルとウッドベースのみのシンプルな演奏です。少しくせのある女性ボーカルですが、自然に再現できてます。ウッドベースは無駄に響かず、明瞭に再現されます。16cmフルレンジの限界まで鳴らしている印象です。

■冬京/風

ベースをフィーチャーした楽曲です。音量を上げるとベースが生き生きなります。それでいて中高域がうるさくなりません。

木星/惑星

中高域の響きの美しさ、奥行き感、低域は素直に再現されます。演奏がより雄大な感じに聞こえました。

実験2まとめ

今回の実験の結果は予想以上に良かったです。1点気になるのは、真空管アンプの終段のロードラインへの影響です。駆動するネットワークのLow側を外しているため、アンプから見たインピーダンスが上がっていると考えられます。ネットワークのLow出力に8Ω抵抗を付けて比較試聴してみたいとおもいます。今回の試聴で確認できたことを改めて整理します。

・中高域は真空管アンプ駆動することで真空管アンプの響きが得られた
・低域はDCパワーアンプで駆動することで超低域まで素直に再生できます。
・ウーハーのネットワークを外した事で制動力が上がりタイトな低音の再生ができた

以下の項目は継続して検討、確認が必要な項目です。

・ツイーター再生に対するウーハーの逆起電力の影響
・今回は聴いた印象でしかできなかったクロスオーバー付近の調整
バランス駆動マルチアンプシステムにおける音量調整の方法

次回、今回の結果を受けて今後の方針をマルチアンプ実験3構想編としてまとめたいとおもいます。

 

つづく(構想編)

 

マルチアンプ実験2(製作編3)

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製作編3

基板が全て組み上がったので、音だし用にバラックで組み立てます。パネルはバラック組立専用に製作しました。

バラックの構想

今回は実験のため、バラック状態で組み上げて音聴きをします。操作はスルーとLPF出力レベルコントロール用の4連ボリュームが2個のみです。さすがにボリュームを転がしておくわけにはいかないので、バラック組立専用にパネルを製作します。基板3枚とパネルは段ボールに固定してバラックでありながら最低限の使い勝手を確保します。一方、XLRコネクタは入力用2個と出力用4個は転がしておきます。

パネルの設計と製作

ボリューム固定用のパネルはビルダーの強い見方、ビバホームでt=1.0でサイズ100x200のアルミ板を購入して加工しました。お値段は313円と手頃です。厚みはこの上に1.5, 3.0と必要に応じて選択可能です。部品箱を見たらL字のアングルがあったのでパネルの固定はこれを使います。

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いつものようにフリーの2次元CAD(AR CAD)を使って図面を書きます。4連ボリューム固定用の穴(φ9とφ3)を2組と、L字アングル固定用にφ3x2を2組の合計8個の穴あけです。

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等倍に印刷して外形に沿って切り取り加工するアルミ板に貼り付けます。穴のセンターにポンチで印をつけていきます。

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図面をはがしてドリルで穴をあけます。最初に2mmであけて、続いて3.2mmで穴を広げます。ボリュームの軸の部分はさらに4.2mmで穴を広げて、その後はリーマーで9mmまで広げました。最後にヤスリでバリを取り、完成です。

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早々にボリュームとツマミ、L字アングルを取り付けてみました。

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アルミ板は何の処理もしていないので手の油がついてきれいになりません。ツマミはいままで使用したものは、アルミ削りだしで1個2000円以上しましたが、今回はバラック組立なので、秋月電子で1個60円の物で済ましました。裏側はこんな感じです。4連ボリュームx2個は迫力があります。

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バラック組立

バラック組立のベースは段ボールです。アマゾンの梱包の中敷きの段ボールを再利用しました。基板とフロントパネルを適当に段ボール上に置き、位置が決まったら基板を段ボールに押し当てて、スタッドのねじをダンボールに突き刺します。フロントパネルは、L字金具の穴位置に印をつけます。基板とフロントパネルを退けて、キリで3mmのねじが入る穴をあけます。全部で16個の穴をあけたら基板とフロントパネルを固定していきます。

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最後に基板の配線です。まずは電源の配線をします。電源の入力は、廃棄家電から確保しておいた電源コードを再利用しました。電源コード用の端子台以降は左右完全独立電源なので、それぞれの基板へ3線で電源を供給します。続いて入出力用のXLRコネクタの配線をします。配線はベルデンの2芯シールド線を使用しました。XLRコネクタは固定せずに直置きです。ベルデンの2芯シールド線とオス、メスのXLRパネルコネクタはアマゾンで購入しました。

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通電確認

念のため組み上がった状態で通電確認を行います。それぞれの基板のスルーおよびLPF出力のオフセット電圧の確認を行います。結果は以下のとおりです。

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出力オフセット電圧は調整機構がないので、念のための確認のみです。通常、ツイーターはウーハーに比べてDCオフセット電圧に影響(ダメージ)を受けやすいですが、今回の構成では、ツイーターのみネットワークが入りDC電圧がカットされるのであまり神経質になる必要がありません。よく考えたら今回の試聴はHighを真空管アンプでドライブするためDCオフセットの心配はありませんでした。

これで2wayウーハーのマルチアンプ駆動実験の準備が整いました。次回は評価用に組み上げた2wayスピーカーを鳴らしてみます。

 

つづく(まとめ編)

 

マルチアンプ実験2(製作編2)

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製作編2

急遽LPFの特性をベッセル特性に変更して、もう片チャンネル分のLPF基板を製作し、改めて動作確認をします。

LPF特性変更

部品の発注ミスでCR2段特性(K=1)でもう1枚の基板が組めないことがわかり、部品追加発注LTで休日を無駄にしたくなかった事から、急遽LPFの特性をベッセル特性(K=1.4)に変更しました。回路図は以下のとおりです。

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R2=12KΩとC2+C5=6900pFはK=1.4とした場合とややずれていますが、気にしないことにします。

基板改造と動作確認

1枚目の基板を改造して動作確認を行います。1対のポストに2個のコンデンサーをハンダ付けしますが、特段不都合はありません。

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改造前と同様に周波数特性の測定を行います。前回同様に1Vppを入力して測定をしました。出力レベルが下がった高域のレベル測定の方法を、オシロのVpp表示からカーソルによる読みとりに変更したことで10KHz以上のデータの信頼性が上がりましたが、40KHz以上は読みとり限界を越えているため、変更前と同様に結果の信頼性はありません。

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遮断域の特性差はあまりありませんでしたが、しいて言えば通過域の特性がよりフラットになっています。せっかくなので矩形波応答の確認もしてみました。

矩形波応答波形

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矩形波応答波形(拡大)

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ベッセル特性の特長のとおり、リンギングは発生せず素直な立ち上がり特性です。立ち上がりの遅れ時間は0.34ms/1Vppでした。

製作続き

もう片チャンネル分の基板実装は、せっかくなので前回よりも詳細に紹介します。初めにICソケット2個を前の基板と同じ位置に仮止めします。

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次にLPF用のCR取り付け用のポスト8個の前処理をします。背面ガードをニッパを使って約3mm切ります。

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つづいて前処理したポストを出力側のICソケットの両脇に実装します。このポスト加熱しすぎるとベースモールドが溶けてピンがずれてしまうので、手早く作業する必要があります。また2極をいっぺんにハンダ付けする際は、ポストが落ちないように支えてハンダします。

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次に入力側ボルテージフォロワから信号ラインの接続をします。配線には部品のリードを流用しました。

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電源入力用の端子台とパスコンおよび電源の配線を行います。

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同様に信号入出力用の端子台を取り付けます。

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最後にLPF用のCRをポストに取り付け、オペアンプを挿せば完成です。

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動作確認

電源を接続し、出力オフセット電圧の確認と周波数特性の測定を行いました。測定結果は以下のとおりです。

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先に組み上げた基板とほぼ同じ特性です。Hot/Cold間で遮断域に差がありますが、測定レベルが小さい事による測定誤差です。せっかくなので2KHzの入出力応答の確認を行います。

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レベルは-5.7dB、位相差は91°でした。

バラック組立用電源

今回は実験なので、専用ケースに納めずにバラック組み立てで音を聴きます。バラック用電源を新たに製作するのはもったいないので、バランス変換ボリュームをディスクリート化した際に余った電源基板を使用します。トランスの電流容量が極端に小さいですが、左右完全独立電源です。オリジナル状態は、外部配線は全てハンダ付けでしたが、使い回しを考えて基板端子台に変更しました。基板上のLEDは反対チャンネルが駆動するパイロットランプ用のLEDの消費電流とバランスをとるためのものです。

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これで電源を含めて3枚の基板が完成したので、次回は音だしにむけてバラック状態で組み上げします。

 

つづく(製作編3)

 

マルチアンプ実験2(製作編1)

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製作編1

ウーハー駆動用のチャンネルデバイダーを製作します。

設計詳細

回路は前回の記事で紹介しましたが、改めてチャンネルデバイダ部のみを切り出して掲載します。図は片チャンネル(Hot/Cold)分です。前回の記事でも紹介したとおり、8連のボリュームはないため、今回の実験では4連を2個使いとしています。LowとHighのバランスを簡単に変えられますが、通常の使用時の使い勝手が悪いです。

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回路実装にあたり、基板の仕様を整理します。

・入力は3極の基板端子台とし、バランス受けする
・出力はスルー(High用)とLowの2系統を3極の端子台でバランス出しする
・LPF用のCRは基板上のポスト(2極x8個)にハンダ付けする
・+/-電源は3極の基板端子台で入力する
・片チャンネルを1枚の基板に実装する
オペアンプを使用し、交換できるようにソケットを基板実装する

部品レイアウト

LPF用のCRがオペアンプの両サイドへの配置となることからそのスペースを確保する為に基板の長手辺から信号を入力し、ボルテージフォロワ、LPFアクティブフィルタをとおり、反対の長手辺に並べて配置したLPF信号とスルー信号用の基板端子台から出力します。電源端子台脇にMUSEのケミコン(100uF/25V)を配置し、オペアンプ電源端子近くに473のフィルムコンデンサーを取り付けます。

フィルムコンデンサ

間に合わせの部品発注をしたので、LPF用のコンデンサーはポリエステルフィルムコンデンサー(5%品)を購入しました。測定の精度はさておき、使用するコンデンサーの容量測定を行いました。使用する測定ジグは、「DCパワーアンプメンテナンス」で電解コンデンサの劣化判定の参考として使用した簡易LCRメーターです。結果は以下のとおりです。

■簡易LCRメーター

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■測定結果

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予想よりも定格容量に近い値となっていました。

製作

最初にLPF用CRを取り付けるポストの位置決めをします。Hot/Coldに分けて後から見ても解りやすい配置とします。オペアンプとCR取り付け用ポストの配線が短くなるようにポストとICソケットの位置を決めます。2個のオペアンプが基板の中心となるように全体の配置を決めます。CR取り付け用のポストは、タイコエレクトロニクス製の基板コネクタ用ポストを流用しました。背面のガードのモールドを3mm程度切って部品のハンダ付けの作業性を改善しています。

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回路全体は写真のとおり、余裕を持った実装となっています。

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参考としてハンダ面も掲載しておきます。

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オペアンプは、オペアンプディスクリート化記事で余ったMUSES01を使用しました。アクティブフィルタ用には、オペアンプ自体の特性を欲張ったものの方が良いかもしれないので、同様にディスクリート化記事で余ったMUSES8920への交換も試してみたいと考えています。

動作確認

ユニバーサル電源で+/-12Vを供給し、出力オフセット電圧を確認します。特に問題がなかったので続いて周波数特性の測定を行います。入力を1Vppとしました。測定結果は以下のとおりです。なお、60KHz以上の結果はノイズを計っているようなものなのであまり当てにはなりません。

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Hot/Coldともに測定しましたが、同じ特性なので結果は1本のラインとなっています。設計上fc=2KHzとしましたが、結果を見ると-6dBとなっているようです。尚、写真は-6dBのポイント波形(f=2.005kHz)です。入出力の位相差は約90°でした。

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次回はもう片チャンネル分の実装と、音出しに向けてバラック組み立てを考えます。

 

つづく(製作編2)