マルチアンプ実験2(製作編2)

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製作編2

急遽LPFの特性をベッセル特性に変更して、もう片チャンネル分のLPF基板を製作し、改めて動作確認をします。

LPF特性変更

部品の発注ミスでCR2段特性(K=1)でもう1枚の基板が組めないことがわかり、部品追加発注LTで休日を無駄にしたくなかった事から、急遽LPFの特性をベッセル特性(K=1.4)に変更しました。回路図は以下のとおりです。

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フィルター用コンデンサの接続に誤りがあり、回路図を修正しました。詳細は、2018-02-09「女神たちの争い(製作編3)」を参照ください。

R2=12KΩとC2+C5=6900pFはK=1.4とした場合とややずれていますが、気にしないことにします。

基板改造と動作確認

1枚目の基板を改造して動作確認を行います。1対のポストに2個のコンデンサーをハンダ付けしますが、特段不都合はありません。

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改造前と同様に周波数特性の測定を行います。前回同様に1Vppを入力して測定をしました。出力レベルが下がった高域のレベル測定の方法を、オシロのVpp表示からカーソルによる読みとりに変更したことで10KHz以上のデータの信頼性が上がりましたが、40KHz以上は読みとり限界を越えているため、変更前と同様に結果の信頼性はありません。

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遮断域の特性差はあまりありませんでしたが、しいて言えば通過域の特性がよりフラットになっています。せっかくなので矩形波応答の確認もしてみました。

矩形波応答波形

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矩形波応答波形(拡大)

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ベッセル特性の特長のとおり、リンギングは発生せず素直な立ち上がり特性です。立ち上がりの遅れ時間は0.34ms/1Vppでした。

製作続き

もう片チャンネル分の基板実装は、せっかくなので前回よりも詳細に紹介します。初めにICソケット2個を前の基板と同じ位置に仮止めします。

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次にLPF用のCR取り付け用のポスト8個の前処理をします。背面ガードをニッパを使って約3mm切ります。

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つづいて前処理したポストを出力側のICソケットの両脇に実装します。このポスト加熱しすぎるとベースモールドが溶けてピンがずれてしまうので、手早く作業する必要があります。また2極をいっぺんにハンダ付けする際は、ポストが落ちないように支えてハンダします。

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次に入力側ボルテージフォロワから信号ラインの接続をします。配線には部品のリードを流用しました。

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電源入力用の端子台とパスコンおよび電源の配線を行います。

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同様に信号入出力用の端子台を取り付けます。

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最後にLPF用のCRをポストに取り付け、オペアンプを挿せば完成です。

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動作確認

電源を接続し、出力オフセット電圧の確認と周波数特性の測定を行いました。測定結果は以下のとおりです。

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先に組み上げた基板とほぼ同じ特性です。Hot/Cold間で遮断域に差がありますが、測定レベルが小さい事による測定誤差です。せっかくなので2KHzの入出力応答の確認を行います。

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レベルは-5.7dB、位相差は91°でした。

バラック組立用電源

今回は実験なので、専用ケースに納めずにバラック組み立てで音を聴きます。バラック用電源を新たに製作するのはもったいないので、バランス変換ボリュームをディスクリート化した際に余った電源基板を使用します。トランスの電流容量が極端に小さいですが、左右完全独立電源です。オリジナル状態は、外部配線は全てハンダ付けでしたが、使い回しを考えて基板端子台に変更しました。基板上のLEDは反対チャンネルが駆動するパイロットランプ用のLEDの消費電流とバランスをとるためのものです。

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これで電源を含めて3枚の基板が完成したので、次回は音だしにむけてバラック状態で組み上げします。

 

つづく(製作編3)

 

マルチアンプ実験2(製作編1)

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製作編1

ウーハー駆動用のチャンネルデバイダーを製作します。

設計詳細

回路は前回の記事で紹介しましたが、改めてチャンネルデバイダ部のみを切り出して掲載します。図は片チャンネル(Hot/Cold)分です。前回の記事でも紹介したとおり、8連のボリュームはないため、今回の実験では4連を2個使いとしています。LowとHighのバランスを簡単に変えられますが、通常の使用時の使い勝手が悪いです。

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フィルター用コンデンサの接続に誤りがあり、回路図を修正しました。詳細は、2018-02-09「女神たちの争い(製作編3)」を参照ください。

回路実装にあたり、基板の仕様を整理します。

・入力は3極の基板端子台とし、バランス受けする
・出力はスルー(High用)とLowの2系統を3極の端子台でバランス出しする
・LPF用のCRは基板上のポスト(2極x8個)にハンダ付けする
・+/-電源は3極の基板端子台で入力する
・片チャンネルを1枚の基板に実装する
オペアンプを使用し、交換できるようにソケットを基板実装する

部品レイアウト

LPF用のCRがオペアンプの両サイドへの配置となることからそのスペースを確保する為に基板の長手辺から信号を入力し、ボルテージフォロワ、LPFアクティブフィルタをとおり、反対の長手辺に並べて配置したLPF信号とスルー信号用の基板端子台から出力します。電源端子台脇にMUSEのケミコン(100uF/25V)を配置し、オペアンプ電源端子近くに473のフィルムコンデンサーを取り付けます。

フィルムコンデンサ

間に合わせの部品発注をしたので、LPF用のコンデンサーはポリエステルフィルムコンデンサー(5%品)を購入しました。測定の精度はさておき、使用するコンデンサーの容量測定を行いました。使用する測定ジグは、「DCパワーアンプメンテナンス」で電解コンデンサの劣化判定の参考として使用した簡易LCRメーターです。結果は以下のとおりです。

■簡易LCRメーター

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■測定結果

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予想よりも定格容量に近い値となっていました。

製作

最初にLPF用CRを取り付けるポストの位置決めをします。Hot/Coldに分けて後から見ても解りやすい配置とします。オペアンプとCR取り付け用ポストの配線が短くなるようにポストとICソケットの位置を決めます。2個のオペアンプが基板の中心となるように全体の配置を決めます。CR取り付け用のポストは、タイコエレクトロニクス製の基板コネクタ用ポストを流用しました。背面のガードのモールドを3mm程度切って部品のハンダ付けの作業性を改善しています。

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回路全体は写真のとおり、余裕を持った実装となっています。

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参考としてハンダ面も掲載しておきます。

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オペアンプは、オペアンプディスクリート化記事で余ったMUSES01を使用しました。アクティブフィルタ用には、オペアンプ自体の特性を欲張ったものの方が良いかもしれないので、同様にディスクリート化記事で余ったMUSES8920への交換も試してみたいと考えています。

動作確認

ユニバーサル電源で+/-12Vを供給し、出力オフセット電圧を確認します。特に問題がなかったので続いて周波数特性の測定を行います。入力を1Vppとしました。測定結果は以下のとおりです。なお、60KHz以上の結果はノイズを計っているようなものなのであまり当てにはなりません。

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Hot/Coldともに測定しましたが、同じ特性なので結果は1本のラインとなっています。設計上fc=2KHzとしましたが、結果を見ると-6dBとなっているようです。尚、写真は-6dBのポイント波形(f=2.005kHz)です。入出力の位相差は約90°でした。

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次回はもう片チャンネル分の実装と、音出しに向けてバラック組み立てを考えます。

 

つづく(製作編2)

 

マルチアンプ実験2(設計編)

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フィルター用コンデンサの接続に誤りがあり、回路図を修正しました。詳細は、2018-02-09「女神たちの争い(製作編3)」を参照ください。

設計編

前回組み上げた2Wayスピーカーのウーハー駆動用のチャンネルデバイダーの設計をします。

初めに

前回組み上げたフルレンジユニットを使ったネットワークによる2Wayスピーカーの音が思いの外良かったです。中音域はNS-1000Mとは違った良さを感じました。低音にほんの少しゴリゴリした感じが出せればさらに1段クラスアップする印象です。そこをチャンネルデバイダーを使ったマルチウェイでウーハーをダイレクトに駆動したときにどのように変わるのか楽しみです。中高音域の駆動には響きが美しい真空管アンプを使う予定です。ネットワークをつかってクロスさせますが、ウーハーの逆起電力による電圧の戻りがなくなることから、さらに中高域の質の向上が期待できます。

チャンネルデバイダー

設計に入る前に、既製品を確認してみました。まずヒットしたのは楽器/PA用のものを格安で提供しているベリンガーのものです。入出力はXLRバランス/アンバランス、24dB/Oct外いろんな機能が実装されて実売1万円からという感じです。アナログ式とデジタル式の両方があり、デジタル式の方が高機能ですが、価格設定は高くなっています。残念ながらネット上のレビューをみる限り、HiFiオーディオ用としては問題ありそうです。

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次に、FOSTEX製のおもちゃのようなチャンネルデバイダーもヒットしました。EN15で定価9000円です。2Way用で-12dB/Oct、クロスは1KHz~6KHzの連続可変です。簡単にマルチアンプを始めるには手軽なアイテムだとおもいます。当然ながら入出力はアンバランスのみです。

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あとはオーディオメーカーが過去に発売したものが中古でヒットするくらいでした。写真はアキュフェーズが1987年に発売したバランス入出力をもつチャンネルデバイダーです。

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チャンネルデバイダーの設計

仕方がないので自作することとします。今まであまりフィルターの設計はしたことがなかったのでネットから情報を仕入れ、オペアンプを使ったsallen-key2次LPFの設計してみることにしました。基本回路は本記事のアイキャッチ画像のとおりです。ここで、K=2.4とするとバターワース特性となり、K=1.4とするとベッセル特性に、K=1とするとCR2段のフィルターと等価の特性になるとのことです。それぞれの特性の特徴は以下のとおりです。

バターワース特性

通過域の周波数特性が平坦で遮断周波数付近の減衰が比較的良好な点が特徴です。市販のチャンネルデバイダーに多く使用されているようです。欠点としては遮断周波数付近の位相の群遅延特性が良くないことからステップ応答でリンギングを生じる点です。

■ベッセル特性

通過域の群遅延特性が平坦なため、ステップ応答でリンギングを生じることがありません。その代わりに遮断域での減衰はバターワースよりも劣ります。このような特性から波形の伝送が必要な場合に使用されます。

■RC2段の特性

こんな特性の分類はありませんが、参照したトランジスタ技術の記事にはRC2段フィルタと等価な特性のため自然な音と表現されていました。

LPFの設計

LC構成のネットワークの置き換えるため、RC2段等価の特性(K=1)でLPFを設計してみます。R=8.2kΩ、C=0.01uFとするとfc=1.94kHzとなります。その前段にボルテージフォロワを入れてHigh側(スルー)はその出力を使います。バランス方式とするためには8連ボリュームが必要となりますが、そんなものはないので、今回の実験では4連ボリュームを2個並べて使います。この点はバランスシステムのチャンネルデバイダを組み込む場合の大きな課題です。

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今回はRC2段等価特性でLPFを設計しましたが、いずれベッセル特性やバターワース特性も体験してみたいので、アクティブフィルタのCRは容易に交換できるようにしておきます。

次回はフィルタを製作してその特性を確認してみたいとおもいます。

 

つづく(製作編1)

 

マルチアンプ実験1(実験編)

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実験編

比較元となるネットワークによる2Wayスピーカーシステムを組み上げて音を聴きます。

2Wayシステムの構築

とにかく音を聴いてみたいと思い、前回の記事で紹介した格安2Wayネットワークと2組のスピーカーを使って比較元の2Wayスピーカーシステムを組み上げます。とりあえずの組立なので、通常入れる高域側のアッテネータは入れていません。(本記事アイキャッチ写真参照)早々にCDの再生を行ったところ、Lチャンネルは音が出ず、Rチャンネルの高域も音が出ていません。そうこうしているうちにLチャンネルアンプのパイロットランプが消えました。アンプはBTL A級DCパワーアンプを使用していました。

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アンプの電源を切り確認したところ、Lチャンネルアンプはヒューズが飛んでいました。ヒューズ交換後も、短時間でヒューズが飛ぶことから、どうやらアンプを壊してしまったようです。接続したネットワークを確認したところ、アンプに接続する端子間の抵抗値が0で、ネットワーク側でショートしているようです。出だしからつまづいてしまいました。禁断の手法と考えていることから、見えない力が働いたのではと勘ぐってしまいます。やれやれ

格安2Wayネットワーク

原因を特定するために、回路図を起こします。基板および実装部品が大きく、部品点数が少ないため、容易に回路図ができました。

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パターン上の不具合は見つからないので、大容量フィルムコンデンサーが怪しいです。この際なのですべて信頼できるフィルムコンデンサーに交換するため、交換用のフィルムコンデンサーを注文しました。真空管アンプの段間のカップリングに使用したCrossCapです。

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翌週、フィルムコンデンサーが届き、交換前に改めて入力端子間の抵抗値を測定したところ抵抗値に問題ありません。不思議に思い、配線を確認したところ原因はハンダ付け部のテープによる絶縁に問題がありショートしている事を確認しました。原因は私の加工にあったなんて情けない・・・。

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気を取り直して絶縁のテーピングをすべてやり直しました。

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組み上げた2Wayシステムの音出し

壊してしまったパワーアンプは別途修理します。メンテナンス性が非常に悪いため気がおもいです。修理については番外編としていづれ紹介をしたいと考えています。仕方がないので続きは、久しぶりにエルサウンドのBTLモノラルパワーアンプを引っ張り出して使用します。エルサウンドは、関西のガレージメーカー(失礼?)ですが、ビルダーから見て納得できる仕様のものが、比較的リーズナブルな価格で提供されているとおもいます。

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音の印象

16cmフルレンジスピーカーは低音の量感を稼ぐために床置きとしました。10cmフルレンジスピーカーはその上に横倒して置きます。

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初めにいつも聴いているBJ2です。床置きの効果で低音の量感は十分です。アッテネータを入れずに10cmフルレンジを接続しましたが、バランスは問題ありませんでした。思いの外良く鳴っています。印象的なのはフルレンジで使用している時に比べて音量を上げても中高域が耳障りにならない点です。続いて風の「海風」です。出だしのアコスティックギターいいです。フルレンジユニット2発としているためか、中音域の質はいい感じです。次に八神純子の「夢見る頃を過ぎても」です。ボーカルも艶やかに再生されベースの量感も十分です。比較元が思いの外いい感じで今後の展開が心配です。

次回、マルチアンプ実験2としてチャンネルデバイダの設計を行います。

 

おわり(マルチアンプ実験1)

 

マルチアンプ実験1(構想編)

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構想編

マルチアンプの効果を体感するために、所有するフルレンジスピーカー2組を使って実験を行います。

マルチアンプの構想

「ウーハーとアンプ間の配線からネットワーク素子を取り除きたい!」と漠然と思いつづけていました。気づくとステレオで5チャンネル分のアンプを所有し、計らずとも環境は整っていました。マルチアンプはシステムの汎用性を著しく損なうので、禁断の手法と思う反面、ウーハーとパワーアンプがダイレクトに接続される事のメリットを想像すると、1度は体験してみたいと考えていました。マルチアンプの経験が一切ないところから、いきなりシステム構築はハードルが高いので、小規模な実験を積み重ねて、その効果を体感して、課題をまとめてみたいとおもいます。

私がやってみたいマルチアンプ

ウーハー+小口径フルレンジの2wayスピーカーをチャンネルデバイダーを使って、ウーハーのみパワーアンプでダイレクトに駆動し、小口径フルレンジは通常のネットワークを使ってクロスさせてみたいと考えています。この方式の私が考えるメリットは以下のとおりです。

・一番効果が高いと考えるウーハーがマルチアンプ駆動される
・高価な低域用ネットワーク素子が不要
・チャンネルデバイダーがシンプルとなり、バランス対応しやすい

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ウーハーのマルチアンプ駆動

ネットワークによるマルチウェイの場合、-6dB/octや-12dB/octの減衰特性を得るためには、通常ウーハーと直列にコイルが入ります。カットオフ周波数とコイルの構造にもよりますが、例えばFOSTEXが販売する3.5mHの空芯コイルの場合、ネット情報によると直流抵抗値が0.6Ωとのことです。

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コアを入れるとコイルの巻き数を減らすことができますが、コアの質が音に影響を与えるとのことでした。一方、高価な超弩級パワーアンプには出力インピーダンスを低く抑えてダンピングファクター1000 /8Ω等唱っているものもあります。

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スピーカーシステムから見れば確かに低出力インピーダンスと言えますが、ウーハーユニットから見ると間にネットワーク素子が入るため、駆動側の実効インピーダンスが上がってしまいます。仮に上述のFOSTEXの3.5mHのコイルが入った場合、スピーカーシステムから見たダンピングファクター1000 /8Ωは、ウーハーからみると一気に約13 /8Ωまで低下してしまいます。

実効ダンピングファクター = 8 / (8/1000 + 0.6) = 13.2

ウーハーは他の帯域のユニットに比べ逆起電力の発生レベルが高いと考えられるため、実効的なダンピングファクターが上がることの効果は大きいと言えます。

実験準備

ウーハーのマルチアンプ駆動の効果を確認するために、比較元のスピーカーシステムを構築します。ウーハーの代わりに16cmフルレンジユニットを使ったスピーカーを、ツイターの代わりに10cmフルレンジユニットを使ったスピーカーで、ネットワークによる2wayスピーカーシステムを組んでみます。単なる実験なので、格安の2wayネットワークをネットで探して購入しました。クロスオーバー周波数は2KHzで、-12dB/octの減衰特性です。(本記事アイキャッチ写真参照)本当は、クロスオーバー周波数を1KHz以下に下げてファンダメンタルを10cmフルレンジで再生させたかったんですが、既製品の2wayネットワークに所望のクロスオーバー周波数のものが見つかりませんでした。

実験のねらい

組み上げたネットワーク式の2Wayスピーカーシステムの音を聴きます。その後ウーハーのみチャンネルデバイダーを使ってパワーアンプとユニット間のネットワークを削除してダイレクトに接続します。この切り替えによって音がどのように変化するかを確認してみたいと考えています。ポイントは下記の2点です。

1)ウーハーの駆動力(制動力)の変化による音への影響
2)ウーハーの逆起電力によるツイーターへの影響

使用するユニットおよび部品は間に合わせの物なので、再生される音の質というよりも構成を変えた時の音の変化に着目したいと考えています。

 

つづく(実験編1)

 

ウィークエンド・オーディオ(総集編2)

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総集編2

前回に続き総集編です。今回は残りの21記事(スピーカー組立、メンテナンス、番外編)について紹介します。

スピーカー組立記事

1.ロクハンフルレンジスピーカー導入

記事掲載開始:2016-12-23(3記事)
FE103を使ったスピーカーのメンテナンスを終えて、フルレンジの定位の良さに満足したものの、低音がもう少し欲しいとおもい、フルレンジスピーカーの王道のロクハンユニットを使ってスピーカーを組みあげました。既製品の箱を使ったため、容易にそれなりの音になりましたが、さらにユニットの実力を引き出すためにエンクロージャーの自作をしたい衝動にかられています。現在、このスピーカーを使って遊んでみたいと画策中です。

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メンテナンス記事

1.DCパワーアンプメンテナンス

記事掲載開始:2016-08-20(8記事)
このアンプは、私が大学生時代に設計製作した本格的なオーディオアンプ1号機です。入力はdual J-FETを使った差動アンプ構成で、終段はコンプリメンタリトランジスタのAB級動作(A級動作範囲1W)としています。製作から30年以上経過していますが、一応動作はしていました。さすがに音は輝きを失っていたため、メンテナンスする事にしました。メンテナンスに際して、簡易LCRメーターを購入し、電解コンデンサの劣化判定の参考としました。正面パネルに大型のVUメーターが付いていますが、この記事の中でメーター用の照明の工作も行いました。このアンプ、今では貴重なNEC製のメタルキャンパッケージのエミッタバラストトランジスタ(ハイftトランジスタ)を終段に使っています。メンテナンス後は製作当時の状態に戻り、学生時代に購入したNS-1000Mと組み合わせて鳴らせば、当時の音がよみがえり、当時の記憶が戻ってきます。今後も大事に使っていきたいとおもいます。

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2.小型スピーカーメンテナンス(FE103)

記事掲載開始:2016-09-23(3記事)
就職のため社員寮引っ越し用に組み立てた小型スピーカーのメンテナンス記事です。使用スピーカーのFOSTEX FE103は、マイナーチェンジはされているものの超ロングセラーユニットで、私の年齢といい勝負をしています。何のメンテナンスもしていなかったため、エッジの接着が剥がれてしまっていたので、新品のユニットと交換しました。明るく元気のいい音がよみがえりました。帯域を欲張らないアカペラ曲などは、いい感じで鳴ります。

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番外編記事

1.インターナショナルオーディオショウ(番外編1)

記事掲載:2016-10-04
2016年9/30~10/2の3日間、東京国際フォーラムで開催された展示会の参加報告です。この記事中では、ヤマハフォステクスのブースを紹介しています。フォステクスのフルレンジスピーカーはいい感じで鳴っていましたが、既製品のエンクロージャーを使用するとお値段もいい感じになってしまいます。全盛期に比べるとオーディオ製品の価格は全般的に高くなっているとおもいます。

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2.インターナショナルオーディオショウ(番外編2)

記事掲載:2016-10-07
上記番外編のつづきです。この記事中では、トライオード、ラックスマン、アキュフェーズのブースを紹介しています。トライオードは個人的にあまりなじみがありませんでしたが、このデモを見て良い印象を受けました。

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3.真空管オーディオフェア(番外編3)

記事掲載:2016-10-11
2016年10/9~10/10の2日間、秋葉原損保会館で開催された参加型の展示会の参加報告です。インターナショナルオーディオショウとは異なり、参加者の平均年連が高く、私が若手という状況でした。この展示に触発されてシングルパワーアンプの設計製作を最終決意しました。

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4.ツール紹介(番外編4)

記事掲載:2016-12-20
私がこのブログをつくるために使っているツールの紹介記事です。アイキャッチ画像は、社会人になって唯一私が担当したオーディオ製品(マイナーチェンジ対応)の写真です。息抜きのような内容ですが、気が向いたら読んでみてください。

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5.自作アンプで年末を聴く(番外編5)

記事掲載:2017-01-03
年末恒例の放送を、この年に製作したパワーアンプを使って聴いてみました。このために、HDMI信号から光デジタル信号を分離するアダプタを購入してソースとしています。「N響の第9演奏会」は内容、音も良かったので次回も聴いてみたいとおもいます。

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6.パワーアンプの周波数特性(番外編6)

記事掲載:2017-02-13
中古でケンウッドの発振器を手に入れたので、今まで測定できなかったパワーアンプの周波数特性の測定を行い、その結果を紹介しています。この記事の中では、EL34ppパワーアンプのf特を、負帰還の有無両方の測定し、それぞれの音の印象を紹介しています。無帰還の方が好みだったため、その後は無帰還の状態で使っています。

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7.パワーアンプの周波数特性(番外編7)

記事掲載:2017-02-17
番外編6に引き続き、BTL A級DCパワーアンプと、バランス入力シングルパワーアンプのf特測定を行い、その結果を紹介しています。BTL A級DCパワーアンプのf特は良好でしたが、バランス入力シングルパワーアンプのf特は、予想以上にナローでした。それでも、このバランス入力シングルパワーアンプは音楽性豊かに楽器を鳴らします。

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8.バランス変換ボリューム2(番外編8)

記事掲載:2017-03-24
バランス変換ボリューム2改造の中で設計の見直しが必要となり、検討時間を確保したかった為、記事の穴埋めのような流れで、差動2段構成のアンプに良く使われるカレントミラー負荷を私が使わない理由を紹介させたいただきました。

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以上、当ブログ現時点の全記事(88記事)の簡単な紹介でした。次回は私は禁断と考えているマルチアンプ化の実験を行う予定です。

 

おわり(総集編)

 

ウィークエンド・オーディオ(総集編1)

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総集編1

今月(2017年4月)末でブログ開設10ヶ月となり、掲載記事も88となりました。自身の整理と次の製作の準備期間を取るために総集編という形で、2回で全記事を簡単に紹介します。

パワーアンプ製作記事

1.真空管アンプの製作(EL34pp)S1503

記事掲載開始:2016-06-24(6記事)
私の初めての真空管アンプ設計製作で、さらに初めてのブログによる公開と、初めてづくしでしたが、アンプは納得できる状態にまとまったと思います。バランス入力、バランス出力、初段に双三極管12AX7を使った差動アンプ構成、終段はEL34の三極管接続A級動作のプッシュプルとし、全段バランス構成としています。出力8W+8W(8Ω)です。当初は負帰還をかけていましたが、2017-02-13「パワーアンプの周波数特性」記事で無帰還に改造しています。差動アンプ用の定電流源と電源のリップルフィルタにバイポーラトランジスタを使用したハイブリッド構成で、コストを抑えて性能を高めることができたと考えています。

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2.BTL_A級DCパワーアンプ S1604

記事掲載開始:2016-07-11(12記事)
学生時代から構想を暖めていた私自身のトランジスタアンプ集大成と言えるアンプです。トランジスタアンプ用の電源トランスが入手できずに汎用品を使ったことからトランスの唸りが課題です。入力はdual J-FET差動構成で、出力はコンプリメンタリトランジスタをパラレルでA級動作させてスピーカーの駆動力を高めています。 出力は8W/mono(8Ω)ですが終段の電源トランスに5A/mono、終段の電源平滑用コンデンサに100,000uF/monoと強力な電源を搭載しています。初めてシャーシメーカーの加工サービスを使ってリアパネルを製作しました。BTL構成という事もありウーハーの駆動力は私の所有するアンプの中で1番です。2017-02-07「パワーアンプの周波数特性」記事でf特の測定を行いましたが、良好な特性の確認ができました。

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3.バランス入力シングルパワーアンプ製作 S1605

記事掲載開始:2016-10-14(19記事)
シングルアンプに拘りを持つ方が多い事を聞き、拘りの秘密を探るために設計製作を決めました。プッシュプルアンプとの比較を考慮し、使用部品をEL34ppアンプと極力合わせました。その結果終段はパラレルシングル構成となっています。出力は5.3W+5.3Wです。2017-02-17「パワーアンプの周波数特性」記事で、ナローな周波数特性となっていることを確認しましたが、3つのアンプの中で一番音楽性豊かに鳴ります。

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アダプタ製作記事

1.バランス方式ボリューム製作 S1502

記事掲載開始:2016-07-07(2記事)
入力ソースとしてバランス出力を持つUSB DACを購入したため、急遽製作しました。アンプ部はオペアンプを使用し、電源は三端子レギュレーターを使った簡単なものです。このアダプタで拘った点は、JRCのオーディオ用高級オペアンプMUSES01の採用と、電源トランスにトロイダル型をを使った点です。設計編の記事の中で、私のシステムの機器について簡単に紹介しています。

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2.音楽の女神への挑戦

記事掲載開始:2017-01-06(11記事)
これは上記のバランス方式ボリュームの改造記事です。オペアンプよりディスクリートアンプの方が音が良いと言われていますが、実際に製作して検証を行いました。併せて、電源回路もディスクリート化しています。製作の結果、ディスクリートアンプの音の良さを体感できました。タイトルの「音楽の女神への挑戦」はJRCオペアンプMUSES01に挑むという事でつけました。構想編のアイキャッチ画像は、娘に音楽の女神として書き下ろしてもらったものです。

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3.バランス変換ボリューム S1501

記事掲載開始:2016-08-13(2記事)
オーディオ趣味復帰後、最初に製作したものです。まずはリファレンス環境を整えるために市販のBTLパワーアンプを購入したため、バランス変換アダプタが必要となり製作しました。アンプ部にオペアンプを、電源は三端子レギュレーターを使用した簡単なものです。非力な電源トランスを使ったこともあり、間に合わせの仕様です。製作したすぐ後に、バランス出力を持つUSB DACを購入したことで、実使用期間は短かったです。

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4.バランス変換ボリューム2

記事掲載開始:2017-02-21(15記事)
上記の間に合わせ仕様だったバランス変換ボリュームを、バランスボリュームと同様にディスクリート化しました。きっかけは、ロフトに眠るチューナーの音を良い状態で聴いてみたいとおもい、改造を決意しました。記事の途中で設計見直しのハプニングがありましたが、無事製作完了しました。構想編のアイキャッチ画像は、ロフトの主ということで娘が撮った我が家のスコティッシュホールドの写真です。この改造により、満足のできる状態となり、心おきなくアンバランス出力のソースを楽しめるようになりました。

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以上が全88記事中の67記事の簡単な紹介でした。次回はスピーカー組立、メンテナンス、番外編と残りの21の記事を紹介します。

 

つづく(総集編2)