チャンネルデバイダーのVR制御(製作編22)

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製作編22

全6チャンネル中の2チャンネル分の基板動作確認が終わったので、2チャンネル分でATTユニットを一旦組み立てます。

実装基板

ATTユニットは、最終的にATT基板3枚、バッファ基板1枚、マイコン基板1枚、電源基板1枚とトロイダルトランス2個を実装します。全部で大物8個です。今回は、ATT基板が1枚しか実装できていないので、その2枚を除く大物6個を実装します。選択したシャーシは、実装する基板に対して余裕がないため、隣どうしの基板の設置高さを変える事によって、基板をぎりぎりまで寄せて配置しても端子台への配線ができるような工夫を行う予定です。

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それでは、シャーシ加工に入ります。

スタッド取り付け

基板取り付け用のスタッドの位置だしを行います。実装済みの基板と、未実装基板を使って、現物合わせで穴開け位置を決めていきます。リアパネルのXLRコネクタと、実装済みの基板の干渉を確認して、基板位置を決め、その位置に未実装基板を置いて、基板の固定用の穴のセンター位置にマーキングします。

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その隣は、バッファー基板を配置します。ATT基板と同様にXLRコネクタとの干渉を確認して、配置位置を決めて、その位置に未実装基板に置き換えて固定用穴のセンター位置にマーキングします。

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同様にして、電源基板、マイコン基板、トロイダルトランスをシャーシに配置して、取り付け穴部分に全てマーキングしました。マーキングした位置にポンチで穴開け用に位置出しをしました。

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ボトムシャーシ単体にして、穴開けします。最初にφ2mmのドリルで穴を開け、仕上げにφ3.2mmで穴を広げました。

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穴開けした状態はバリが残り、スタッドが正しく取り付けられません。手間はかかりますが、バリ取りをします。バリ取り用の工具がないので、丸形状のヤスリで削りました。

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スタッドを取り付けて、基板を実装しますが、現物合わせの位置だしをしたにもかかわらず、基板固定用のネジが2本しか入りませんでした。

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1カ所は結構位置がずれてしまっています。

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以前は、基板の取り付け用の穴を削って無理矢理取り付けていましたが、基板が変わると同じ処置が必要となるため、最近はシャーシのスタッド取り付け用の穴を削って、スタッドを正しい位置に立てるようにしています。

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まだ少し位置はズレていますが、一旦スタッド4本を緩めて締め直した結果、なんとか4本のネジで基板が固定できるようになりました。2枚目の基板固定も同様な対応が必要でした。正面から右端の2枚の基板の固定ができるようになりました。

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リア側右から2枚目は、バッファ基板を設置しますが、スタッド位置の調整無しで取り付ける事ができました。

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その隣の電源基板取り付けも、スタッド位置の調整が必要でした。基板4枚中、修正が不要な基板はたった1枚でした。現物合わせの精度アップを別途考えたいとおもいます。残ったマイコン基板は、基板付属の樹脂製の台を使って固定する事にしました。M3ネジで固定しても基板と干渉しない固定用の穴が4点ありましたが、そのうち2点を使って台を固定します。

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樹脂台への基板の固定は、台のネジ穴にタップをきって固定しようとしましたが、樹脂へのタップがうまくいかず結局樹脂ネジとナットで固定する事にしました。

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固定強度的には十分ではありませんが、輸送を前提としていないため、このまま進めます。

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最後に、左端にトロイダルトランスを2個縦並びに固定します。トロイダルトランスの固定板の穴は、M4ネジを前提としているので、M3ネジで固定する場合は、位置が多少ずれていても調整できるので問題ありません。そのかわりM3のネジに平座金をいれて固定強度を高めています。

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これで大物部品の取り付け用の加工が終わりました。次回は基板を取り付けて配線を行います。

 

つづく(製作編23)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編21)

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製作編21

前回製作した電源基板の動作確認を行います。

動作確認

確認は、アナログ電源、リレー用12V電源、デジタル12Vと5Vの3回に分けて行います。電力は、トランスを使わずにユニバーサル電源からDC電圧を供給します。供給電圧は、トランス二次巻き線出力の正弦波の振幅に相当する16.9Vとしました。

アナログ用電源確認

参考として回路図を再掲載します。

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実回路は、トランスの2つの2次巻き線の一端を接続し、センタータップ付きの二次巻き線として使用して、整流回路に供給します。今回の動作確認は、上記で説明したとおり、ユニバーサル電源から+/-16.9VのDC電圧を供給して行います。各出力の負荷電流は、バッファ基板動作確認時に測定した26mAとなります。大きくないので、今回の動作確認は無負荷時の出力電圧のみとします。確認用の接続が完了し、緊張しながら電源オンしました。

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2系統ともにほぼ+/-12V出力となっていて問題ありませんでした。

リレー用12V電源確認

上記と同様に確認を行います。入力は+16.9VのDC電圧を供給します。まずは無負荷状態の確認を行います。出力はほぼ+12Vで問題はありませんでした。このチャンネルは、一番負荷が重く、そのために三端子レギュレータに放熱器を付けているため、負荷試験を行います。ATT基板1枚あたりの操作コイル電流の実使用時の最大値は約72mAでした。最終的に3枚のATT基板を駆動するので、トータルの電流は、216mAとなります。12V出力でこの電流が流れる場合の等価抵抗は、約56Ωとなります。抵抗の在庫を確認したところ、50Ω/5Wのセメント抵抗があったので、これをダミー負荷として使用します。この抵抗を直接出力用の端子台に接続しました。

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この状態で改めて電源オンしました。入力用のユニバーサル電源の電流値は、246mAを示しており、試験条件としては良い感じになっています。

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この状態でしばらく放置してから放熱器に触れてみました。触れないほどではありませんが、かなり熱くなっています。温度を確認するために、以前購入した非接触温度計を久しぶりに引っ張りだしてみました。

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一旦電源オフして、温度が下がるのを待ってからヒートシンクの温度を測定しました。この非接触温度計は、レーザーポインタ機能がついていて、測定対象箇所にレーザーを当てることでその部分の温度測定ができます。写真は、三端子レギュレータの頭の部分に赤色に光っている点がレーザー照射ポイントです。

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初めに常温時の温度測定です。

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結果は27.7℃でした。室温はもう少し低かったですが、温度が下がりきるまで待ちきれませんでした。電源オンしてしばらく放置します。初めにダミー負荷抵抗の温度を念のため測定してみます。

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結果は45,9℃でした。実際触ってみると触りつづける事が厳しい状況で、触ると放熱が阻害されて、表面温度はもっと上がっているように感じました。続いて本題のヒートシンク温度を測定します。

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結果は、35.7℃でした。測定時の室温が約25℃で、ケース内に納めて夏場の使用を考えても余裕の温度になっていました。

デジタル系電源

最後にデジタル系用の12Vと5V電源の動作確認を行います。どちらも三端子レギュレータの定格どおりの出力電圧となっていました。12V電源用の三端子レギュレータには、5V電源の電流も流れますが、リレー用12V電源の半分以下の電流値なので、放熱器の温度確認は省略します。最後に全チャンネル分の出力電圧を整理します。

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次回は、いままで製作した基板をシャーシに実装して実動作確認を行います。

 

つづく(製作編22)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編20)

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製作編20

総合動作確認に向けて、最後に残った電源基板を製作します。

ATTユニット電源基板

製作に入る前に設計をおさらいします。特徴を列記します。

・ダブルトロイダルトランス

・アナログとデジタル独立電源(別トランス)

・左右独立アナログ電源(共通トランス)

・リレー操作コイル用専用12V電源(デジタルと共通トランス)

・全7チャンネル三端子レギュレータ式電源

回路図を参考として再掲載します。

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今回は、「安定化電源性能改善」記事で発覚した三端子レギュレータの電解コンデンサ負荷の弊害を避けるために、レギュレータ以降の電源系に一切電解コンデンサを入れていません。

実装構想

私が常用する標準基板(95 x 72)に三端子レギュレータ方式とはいえ、7チャンネル分の電源回路を乗せるとなると、慎重な部品配置検討が必要です。また、リレー用12VとArduino用の12V電源の三端子レギュレータには、念のため小型の放熱器を取り付ける予定です。三端子レギュレータは、実装の効率を上げる為に電源電流の向きに沿って配置し、出力端子台の方向に出力端子がくるように実装します。まずはじめに、アナログ用の4チャンネル分を基板の半分以下のエリアに実装をします。

アナログ系電源実装

実装部品は、入出力用に3極の端子台3個と、三端子レギュレータ4個、平滑用ダイオードブリッジと、平滑用電解コンデンサ2個、フィルムコンデンサ6個です。フィルムコンデンサー以外を基板上に並べてみました。

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この配置ならば、残りエリアにデジタル用電源もなんとか配置できそうです。初めに整流回路とGNDラインを配線します。

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続いて、三端子レギュレータ周りの配線を行います。

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次に、出力回路へフィルムコンデンサを接続します。各チャンネル分を出力用の端子台脇に配置しました。

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さらに電解コンデンサと並列にフィルムコンデンサを接続したら完成です。

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結局、被覆ジャンパー線は使わずに配線が完了しました。

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デジタル系電源実装

アナログ系電源の隣に、リレー用12V電源、その隣にデジタル系12V、5V電源と並べます。これら2系統ある12V用の三端子レギュレータには小型の放熱器を取り付けます。放熱器2個の配置を中心に全部品の配置検討をします。放熱器は秋月電子で購入した、サイズが15x25x11mmのもので、熱抵抗37.9℃/Wのものです。気休め程度ですが、ないよりましなので採用しました。目検討でだいたいの位置をきめて、その場所に実装できるように固定用のピンが基板に刺さるように、基板の穴を広げます。1.3mmのドリルで広げたところいい塩梅でささりました。

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出力端子台との位置関係が気に入らず、結局1つの放熱器あたり3カ所の穴を広げてしまいました。決定した位置に、三端子レギュレータを取り付けて配置してみます。

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放熱器の位置が決まったので、リレー用12電源の平滑回路から実装を進めます。

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配線は先の回路にほぼ合わせて行いました。残りのフィルムコンデンサ2個を実装して、この系統の電源実装は完了です。

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残りは、デジタル系12Vと5V電源です。デジタル12V系は先のリレー用12V電源の実装をほぼそのままコピーしました。

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最後のデジタル5V電源は、入力を上記で実装した12Vから供給します。それ以外はほぼ12V電源の実装をコピーしました。

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電源7系統分の実装ができるか心配でしたが、無理無く実装できたとおもいます。写真は半田面の配線ですが、被覆ジャンパーを使用せずに完成させる事ができました。

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デジタル系とリレー電源のGNDは、ターゲット基板側で共通となりますが、電源基板上では、現在のところ独立しています。状況を見て接続したいと考えています。次回は電源の動作確認を行います。

 

つづく(製作編21)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編19)

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製作編19

ATTユニットの減衰量ヒアリングで発覚したノイズの対策の検討します。

原因の推定

原因を考える前に症状を簡単におさらいします。ミュート状態でホワイトノイズが発生。減衰量を下げていくと別のノイズが載って音楽再生できる状態ではありませんでした。今回は実減衰量のヒアリング確認ということで、ATTユニットをバラック組み立てしていますが、ここに原因が潜んでいる可能性があります。(希望的観測)まずは考えられる原因を整理してみます。

1)マイコン基板のノイズが大きい

2)ユニバーサル電源1台で電源供給した事で、A-GNDとロジック用GNDが共通

3)上記と同様に+12V電源がアナログとロジックで共通

4)そもそもユニバーサル電源のノイズ面の品質が悪い

5)ATTユニット基板の実装がノイズに弱い

6)それ以外の見落としによる原因

1)項は、前回の記事でマイコン基板への電源供給をやめた状態(ミュート状態)のノイズを確認して状況に変化がなかった事から原因の可能性は低いと考えられます。さらに原因を絞り込むために、バッファ基板以外の基板と取り外して音を聴いてみる事にしました。これでノイズが改善すれば、2)3)5)項が原因として絞り込めます。

本当の原因

バッファ基板以外の基板を取り外す作業に着手しようとした際に、ふとチャンネルデバイダのリアパネルとATTユニットのリアパネルを見比べた所、あれほど注意して配線したにもかかわらず、XLRパネルコネクタの2芯シールドの配線が間違っている事に気がつきました。原因は想定外の6)項の可能性が高くなりました。配線の間違いとは、シールド線とHotラインの接続が逆となっていました。一旦リアパネルを取り外して、4本とも正しい接続にやりなおしました。

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間違った接続の回路について念のため確認しておきます。下記が間違った状態のブロック図ですが、へんてこな事になっています。L/RのHotチャンネル間がショートしていて、L/Rの信号差分のショート電流が流れた事になります。駆動側のオペアンプに負荷がかかったかもしれませんが、短時間だった為悪影響はないと判断し、音を聴いてみる事にしました。

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リアパネルを再度取り付け、バラックの配線をやり直します。そして試聴の再開です。

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ATTユニット試聴

ボリュームとして接続したチャンネルデバイダのボリュームを絞った状態でシステムの電源をオンします。ATTユニットは、-36dBの点滅していてミュート状態となっています。恐る恐るチャンネルデバイダのボリュームを上げてゆきます。前回の確認で聴こえていたホワイトノイズはありません。少しボリュームを上げた状態で、ATTユニットを操作してミュートを解除して、減衰量を下げていきます。前回の確認で、追加で乗っていたノイズの発生もなく、音楽再生できています。ATTユニットの全ステップを確認しましたが、特に問題はありませんでした。

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減衰量のヒアリング

表示を-11dBに合わせて、チャンネルデバイダのボリュームを上げてゆきます。ほぼMax状態で、いつも聴いている音量となりました。狙いどおりの設定です。この状態でATTユニットを操作します。-9dBとすると、通常時よりも大きな音量になります。さらに-6dBとするとフルボリュームのイメージとなりました。逆に-17dB、-21dB、-25dB、-29dB、-36dBと音量を下げていくと、普段使いには十分なステップとなっていました。この状態でミュートをかけると、スピーカーに耳を近づけるとわずかにホワイトノイズが聴こえます。専用電源とする事で改善する事を期待しています。なんとか、製作をつづけられる状態である事が確認できました。次回は、電源基板を製作して、2チャンネル分ですがミュート時のノイズの状況確認を含めた総合確認をしたいとおもいます。

おまけ

今年も3連休に台湾へ旅行にいってきました。台湾は、10ヶ月間ですが単身赴任した経験があり、私にとって第二の母国のような所です。先月の長野旅行時と同様に、旅行進行を組んでいました。前回は、戻ったあとの製作に支障を出してしまいましたが、今回は無事乗り切れそうです。アイキャッチ写真は、台北の電脳街のメインのビルです。

■電脳街ビル内フロア

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中正紀念堂

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■朝市

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つづく(製作編20)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編18)

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製作編18

電源基板を除き、一通りの基板の動作確認が終わったので、実動作減衰量のヒアリング確認を行います。

確認の概要

フルレンジを接続したA級DCパワーアンプの入力段に今回製作したATTユニットを接続して確認します。ATTユニットの出力をそのままA級DCパワーアンプに入力するのはリスクがあるので、ボリュームの代わりとしてA級DCパワーアンプとATTユニット間にチャンネルデバイダーのスルーチャンネルを入れる事にします。この確認が最低限できるようにATTユニットをバラック組立をします。

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ATTユニットバラック組立

リアパネルに6チャンネル分の入出力用XLRコネクタがありますが、そのうち2チャンネル分を使って信号の入出力をします。配線にはいつも使っているベルデンの2芯シールドケーブル1503Aを使用します。線径があまり太くはなく、シールドラインの処理が容易な事が選択の理由です。信号入力用にリアパネル向かって左よりの2個に2芯シールド配線をします。

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2芯とシールド配線位置をまちがえないように注意します。同様にL-ch用の配線も行います。続いて信号出力用にメスのパネルコネクタに配線をします。

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下の写真は入力コネクタ用の配線ですが、水平に並んだ端子の接続が出力コネクタ配線と反対になります。具体的にはシールドと赤の配線がオスとメスコネクタでは入れ子になり、注意が必要な点です。

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リアパネルの4個のコネクタの配線が完了しました。

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続いて、上で配線した入力配線をATT基板の入力端子台へ接続します。

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次に、バッファ基板出力と出力パネルコネクタ間とATT基板出力とバッファ基板入力端子台間を接続します。電源基板はまだ製作していないので、+/-12Vと+5Vの電源全てをユニバーサル電源から供給します。このため、基板上分離しているA-GNDも全て共通となります。ノイズの影響が気になりますが、とにかく配線します。

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これでATTユニットのバラック配線は完了です。

実動作確認

確認前に、試聴するためのシステムの動作を確認します。久々にロクハンフルレンジの音を聴きます。

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ボリュームとして使っているチャンネルデバイダのスルーチャンネルを間違いなく使用しているため、高域もちゃんと出ています。普段使っているNS-1000Mと比べて、床を振るわす低音再生はできない為、物足りない感じです。さっそくこのシステムにATTユニットを組み込んで、ATT機能の実動作確認を行います。チャンネルデバイダーのボリュームを絞りきって電源オンして、CDの再生をスタートさせます。ATTユニットは-36dB点滅表示でミュート状態となっています。おそるおそるチャンネルデバイダのボリュームを上げていきます。ヒスノイズのようなホワイトノイズが聴こえます。ATTユニットを操作して減衰量を下げていきます。曲は聴こえますが、さらに別のノイズがのり、音楽再生どころの状態ではありません。さらに減衰量を下げていくと、音楽の音量は上がっていきます。最小減衰量の-6dBまでボリュームを上げてみましたが少なくともATT動作は正常に機能しているようです。各ステップのノイズの状態は以下のとおりです。

-36dB:ホワイトノイズ

-29dB:別のノイズが加わる

-25dB:加わったノイズレベルが上がる

-21dB:ややレベルが下がる

-17dB:ホワイトノイズのみに戻る

-11dB:-17dBとあまり変わらない

-09dB:-29dB時と同様に別のノイズが加わる

-06dB:さらにノイズレベルが上がる

試しにArduino UNOへの電源供給をやめて、ミュート状態のノイズを確認しましたが、-36dB時と同様にホワイトノイズが聴こえます。心配していたとはいえ、このように盛大なノイズ発生を目の当たりにすると、ちょっと凹みました。ということで考える時間をおきたいとおもいます。次回は考えた結果からスタートしたいとおもいます。

 

つづく(製作編19)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編17)

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製作編17

バッファ基板の動作確認の続きを行います。

オペアンプ実装確認

前回、バッファ基板にオペアンプを実装しない状態の確認まで完了しました。今回は実装状態で動作確認を行います。まずは付属のソケットにオペアンプを実装します。

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以前にも紹介しましたが、MUSES01は音質の観点から無酸素銅フレームを使っています。その為一般のオペアンプの端子に比べて強度が低いです。以前は、音質最優先とするために、そのまま使用していましたが、いくら注意しても使い回しの際に端子を曲げてしまった経験から、最近は付属のソケットを使用する事にしています。「せっかくの無酸素銅フレームの意味がないのでは?」とのつっこみが聞こえてきますが、実用性を選択しています。最初にch1~ch3の確認をします。3つのオペアンプをICソケットごと実装します。

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写真では、ソケットが2段積みになっている事がよくわかりません。電源オンして各端子の電圧を確認しました。電源端子以外は、入力が0Vで、出力には出力オフセット電圧が観測されます。特に問題はありませんでした。出力オフセット電圧は、全オペアンプ分を後でまとめて整理して掲載します。残りのch4~ch6のオペアンプも実装します。

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実装点数は多くはありませんが、高価な基板です。注意してあつかわなければ・・・。同様に電源オンして各端子電圧を確認しました。問題はありませんでした。電源の供給は左右独立なので、電源1系統でオペアンプ3個分の供給となります。消費電流は26mAでした。

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電源設計時の見込みでは、1個あたり20mAとしましたので、半分以下の電流値です。通電確認で観測した出力オフセット電圧をまとめます。

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チャンネルによってばらつきはありますが、問題ないレベルです。

周波数特性測定

動作確認の最後の項目で、恒例の周波数特性の測定を行います。測定条件は、1Vppの正弦波を入力し、ポケットオシロで出力波形をモニタします。出力抵抗として10kΩを接続しています。アイキャッチ写真が測定時の物ですが、写真右端にラジアル抵抗を直接端子台に接続していいるところが写っています。周波数の測定は10Hzから1MHzの周波数範囲で行いました。最初のチャンネルの測定でトラブル発生です。信号入力しているにもかかわらず、出力が出ません。再度落ち着いて確認をしたところ、入出力を逆に接続していました。バッファ基板は縦置きするとほぼ左右対称の部品配置で、オペアンプの1pin側の端子台を入力側と思いこんで接続していました。幸い発振器の出力抵抗が50Ωであった事と、そのレベルを一気に上げなかった為に大事には至りませんでした。接続を直して測定再開します。結果はどのチャンネルも大差はありませんでしたので、代表してch1の観測波形を抜粋して掲載します。

■10Hzと1kHz

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■100kHzと1MHz

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画面の上の波形が入力で下が出力です。測定の範囲ではゲイン低下はありませんでした。1MHz時もゲイン低下はありませんが、わずかに位相遅れが認められます。それでは、全チャンネルの結果をグラフ化しましたので、参考に掲載します。

■ch1周波数特性

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■ch2周波数特性

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■ch3周波数特性

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■ch4周波数特性

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■ch5周波数特性

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■ch6周波数特性

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グラフのラインは、1本に見えますがHotとColdの各チャンネル分が重なっています。どのチャンネルの結果もポケットオシロのADの1ステップレベルの変動はあるものの、基本はフラットな特性です。ソースがCDである事を考慮すると、ノイズ面では高域の特性を伸ばす事は不利となりますが、帯域内の位相特性を考えるとメリットがあるので、このままとします。次回は、今回確認が終わったバッファ基板を含めて実動作確認をしたいと思います。

 

つづく(製作編18)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編16)

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製作編16

ATT基板の実動作確認が終わったのでATT基板の実装について一旦整理します。続けて、作りっぱなしになっていたバッファ基板の動作確認を行います。

動作確認時消費電流

今回の動作確認で、リレーが3個動作し、表示が点灯状態で最大消費電流となります。12V系は118mAでした。

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その内訳は、Arduino UNOとATT基板の電流で、ATT単体動作確認時に確認したリレー3個動作時の消費電流が71mAだったので、Arduino UNOが47mA消費している事になります。一方5V系の消費電流は、24mAでした。

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設計編13で、ATT基板の5V系消費電流は13mAと確認したので、表示基板は11mA消費している事になります。

消費電流再見積り

設計編1で、電源設計のために消費電流を見積もりましたが上記の確認結果を反映して、消費電流の再見積もりを行い、必要があれば電源設計にフィードバックしたいと思います。下記は、設計編1で見込んだ各ブロックの消費電流値で、矢印の後ろが動作確認後の見込み値です。

・リレー駆動用12V電源(225mA)→(215mA)

・aruduino UNO駆動用12V電源(約25mA)→(47mA)

・ロジックIC&7セグモジュール駆動用5V電源(約20mA)→(50mA)

・R-chバッファアンプ駆動用+/-12V電源(約60mA)

・L-chバッファアンプ駆動用+/-12V電源(約60mA)

下記が制御系用電源の回路図です。

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ロジック系電流が2倍強となっていますが、レギュレータへの放熱への影響は心配ないレベルです。ATT基板の動作確認はこれで一旦終了します。実装の都合からノイズの影響が一番気になる点ですが、確認は後回しとします。

バッファ基板動作確認

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作りっぱなしにしていた、バッファ基板の動作確認を行います。バランス6ch分の回路を実装したので、多くの端子台が取り付けられています。各端子仕様をまとめましたので、参考に掲載します。

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確認のステップは以下のとおりです。

1)GND接続確認

2)+/-12V電源接続確認

3)入出力接続確認

4)Opアンプ未実装&電源供給状態でICソケット端子電圧確認

5)Opアンプ実装通電状態で各端子電圧確認

6)信号入力状態動作確認

■GND接続確認

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電源GNDと入出力端子台のGND間以外で、確認できる箇所は、各ICソケットのオペアンプの入力端子です。入力抵抗として47kΩが実装されているので、47kΩ表示となります。確認の結果は特に問題ありませんでした。

■+/-12V電源接続確認

端子台の各電源端子と、ICソケットのオペアンプの電源端子間の接続確認です。正負電源間の確認時にテスタ表示が一瞬乱れてすぐに無限大表示となりましたが、これは電源とGND間に0.47uFのフィルムコンデンサを実装しているため、コンデンサのチャージによる影響と考えられます。その他、特に問題ありませんでした。

■+/-12V供給時端子電圧確認

オペアンプ未実装状態の最後の確認です。電源端子台から+/-12Vを供給してICソケットの各端子電圧を確認します。電源端子以外は、オペアンプの入力端子が0Vとなります。出力端子は回路が浮いているため、表示電圧がふらつきます。特に問題ありませんでした。

MUSES01実装

MUSES01秋月電子の価格は1個3,500円。今回6個必要なのでしめて21,000円。意を決して購入しました。

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写真は、個装されたパッケージ6個分です。秋月電子のパッケージには、端子保護のためのDIPソケットが同梱されているのでお得です。また、秋月電子の場合、商品総額が10,800円以上で送料無料となりますが、このような買い物以外、この条件になかなかヒットしませんが、高額な買い物時のせめてもの救いです。次回はオペアンプを実装して動作確認を行います。

 

つづく(製作編17)