チャンネルデバイダーのVR制御(製作編27)

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製作編27

一通りの動作確認が終わったのも束の間、また新たなトラブルが発生したので対処します。

新たなトラブル

前回、安っぽいドラマのような終わり方をしてしまいましたが、新たなトラブルの発生です。4チャンネル分ですが、総合動作確認が正常に終わり一息ついた日の夜に改めてATTユニットの電源をオンしてみました。あれ!電源が入らない?電源スイッチをオフして電源コードを確認しようとしたところ、ミュートリレー動作音がしました。再度電源オンして、スイッチを操作したところ、リレーは正常に動作しているにも関わらず、表示が一切点灯しません。まずは配線から確認です。

表示不具合検討

トップカバーを外し、表示基板への配線を確認します。

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写真のとおり怪しい点は見つかりませんでした。続いて、電圧および信号を確認します。まずは供給電源5Vですが、これも特に問題ありませんでした。次に、シリアル信号ラインを確認します。

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ポケットオシロスコープでシリアル信号の波形を確認します。適当にトリガ条件を設定して、表示が変わるような操作をします。

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写真は、ミュート状態の時のもので、0.5s毎にBrightness control用のコマンドが発行されています。水色がCL、黄色がDAです。正しくコマンドは発行されていました。残るは、表示モジュールの故障くらいしか考えられません。表示モジュールが故障することもあるのかと思いつつ、交換することにしました。

表示モジュール交換

表示モジュールの故障も想定して、新たに購入を進めていました。以前購入したスイッチサイエンスのサイトを確認したところ幸運にも在庫がありました。単価1,617円で、今後の事も考えて2個購入しました。スイッチサイエンスは、3,000円以上の購入で送料が無料となるので、2個購入するとお得です。念のため技術資料を確認したところ、一部仕様が変わっている事に気づきました。下記が今回購入したもののコマンド一覧です。

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brightness controlのData byte rangeが0-100となっていますが、私が今使っているものは、0-255で点滅時の制御に255を使用しています。このモジュールを使うには、ソフト変更が必要になります。せっかく購入しましたが、どうしようか・・・?

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できればソフト変更をしたくなかったので、デバッグ環境に実装していた表示モジュールを載せ替える事にしました。

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なんとか、表示モジュールの基板にダメージを与えずに取り外す事ができ、無事載せ替える事ができました。

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次に表示モジュールが故障した際には、ソフト変更して新たに購入したモジュールを使わざる得ません。次に備えて新たに購入したモジュールを確認してみました。

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左が故障したモジュールで、右が今回購入したものです。実装されているLSIはAtmelの捺印があるので、おそらく簡単なマイコンかと思われます。社名以外の捺印が変わっている事から、ソフト変更によってコマンドの仕様が変わったものと思われます。基板自体は、相違がないのでユニットへの組み込みは問題ありません。ソフトの実装次第ですが、現状のATTユニットのソフトでも同様に動作するかもしれません。

動作確認

表示モジュールを交換した表示ユニットを元通り取り付けます。

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緊張しつつ電源オンしました。無事デモが表示されました。どうして故障したかが気になりますが、1点思い当たるのは、基板実装したまま、スタッドの干渉を回避するためフロントパネルをヤスリで削った事です。配線も一部接続したまま行ったので静電気で破壊された可能性があります。今後は注意したいとおもいます。これで12ch中の4ch分の製作が完了しました。あとはATT基板を2枚製作すれば残り8ch分が完成します。なんとか最終形の製作も目処がたちました。

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つづく(制作編28)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編26)

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製作編26

前回4ch分ですが、組立が完了し総合動作確認を行ったところ、ノイズ発生を確認したため、原因の特定と対策を行います。

ノイズの状況

前回、システムに組み込んで音楽再生をしましたが、左チャンネルにノイズの発生を確認しました。特にATT倍率抵抗が30kΩ時で減衰量が一番小さい設定の際が顕著に聴こえました。左右チャンネルで状況が異なり、減衰量設定でも症状が違うため、初めにATT基板を確認してみる事にしました。

原因の調査

ATT基板を取り外し、配線を確認します。

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特に左チャンネルのATT倍率切り替え用の抵抗およびリレー回りを念入りに確認しました。参考に回路図を再掲載します。

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ハンダ不良や、配線間の接触等疑って確認を行いましたが特に怪しい部分は見つかりませんでした。再度ATT基板を取り付けて症状の確認を進めます。確認した項目は以下のとおりです。

・使用していないオペアンプと当該チャンネルのオペアンプ交換。変化なし

・ATT基板入力端子配線を外す。変化なし

・バッファ基板の入力端子配線を外す。ノイズ消える

上記の確認結果から、バッファアンプの発振が原因なのではと思い至り、出力波形を確認しました。

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写真は、水色がHotチャンネル、黄色がColdチャンネルで、ともに約1.5MHzで発振していました。振幅レベルは4.4Vです。今までMUSES01のボルテージフォロワで発振した経験がなく、またバラック確認では発振していなかった事から、発振が原因と考えに至らず、波形の確認を行ってきませんでした。さらに追加の確認を行ったところ、出力のXLRコネクタに接続しているバランスケーブルのコネクタを抜いても発振が止まる事を確認しました。という事で、バッファの出力にダンピング抵抗を入れてみる事にしました。とりあえず抵抗値は100Ωとします。試しに右チャンネルに抵抗を追加してみました。

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見栄えは良くありませんが、出力端子台の脇に抵抗2本を追加しています。出力XLRコネクタにプラグを挿して、電源オンして波形確認を行ったところ効果があり発振が消えました。左チャンネルも同様にダンピング抵抗を追加しました。

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写真右上と右側中央の白とオレンジの配線が曲がっている部分に抵抗を追加しています。これで改めて総合動作確認ができます。

総合動作確認

残りのチャンネルの改造は後回しにして、改めてシステムに接続して音を聴いてみます。使用ディスクはKenny Drew「Special」です。

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初めにミュート状態で音を聴きます。当然の事ながら音は聴こえません。ミュートを解除して、-36dB状態とします。夜中にひっそりと鳴らすレベルでしょうか?Upボタンを押し、-29dB状態とします。いい感じで鳴っています。この-29dB~-21dBあたりは、周りに配慮して音楽を再生する場合に選択する感じです。さらにUpボタンを押して-17dB状態とします。少し音量を落として音楽を聴く場合に選択する感じです。さらにUpボタンを押して-11dB状態とします。普通に音楽を聴く音量となりました。さらにUpボタンを押して-9dB状態とします。大きめの音量で聴く感じです。CDの録音レベルが低い楽曲の再生時にも使えそうです。さらにUpボタンを押すと最小減衰量の-6dBとなりますが、このCDではクリッピングはしないもののフルボリューム再生となりました。今回は、ロクハンのフルレンジスピーカー(能率90dB)との組み合わせですが、減衰量の設定は必要な最小限の選択ができているとおもいます。

また一難

上記の確認で、安心してマルチアンプシステム用のATTユニットの製作が続けられると思った矢先、その日の夜にATTユニットの電源を入れたところ・・・。やれやれ。

 

つづく(製作編27)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編25)

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製作編25

制御系の配線が終わったので一旦動作確認を行い、信号系の配線を行って総合動作確認を行います。

制御系動作確認

前回、制御系の配線が完了したので、制御系の動作確認を行います。電源ケーブルを挿して、電源オンし、改めて制御系の動作確認を行います。電源オンすると無事にデモ表示がスタートしました。その後、-36dBの点滅表示に入ります。Upボタンを押すと、表示が点滅から点灯に代わり、さらにUpボタンを押すと、-29dBの点灯表示に変わります。動作音ですが、ミュートオン、オフ時は、カチッっとリレーの動作音が1回聞こえます。ミュートオフ状態で減衰量を切り替えた場合は、3回動作音が聞こえます。1回目がミュートオン、2回目が減衰量切り替え、3回目がミュートオフで、設計上の動作間隔は100msです。以前、基板単体確認時と違った印象でした。

シャーシ追加加工

信号ラインの配線前に、残していたシャーシ加工をしてしまう事にしました。このまま組立を続けると、さらに加工が大変になるためです。残る加工は、3枚目のATT基板固定用のスタッド取り付けです。未実装基板を使って慎重に位置だして、穴開けも実装済の基板をつけたままだったので慎重に行いました。隣どうしの基板への配線をしやすくするために、基板の高さ位置を変えていますが、最終的に以下としました。

・ATT基板1(右奥)35mm

・ATT基板2(右前)10mm

・ATT基板3(右前2枚目)7mm

・バッファ基板(右奥2枚目)5mm

微妙に高さを変えているのは、フロントおよびリア基板への取り付けた部品との干渉を回避するためです。写真は、左奥がバッファ基板、右奥ががATT基板1で、手前右ががATT基板2用スタッドで、左手前が追加したATT基板3用スタッドです。

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スタッド取り付けが終わり、正面パネルを取り付けようとしたところ、取り付けたスタットとパネルのフランジが干渉して正面パネルが取り付けられません。仕方がないので、干渉部2カ所を削って対処しました。

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バッファ基板とのクリアランスを少しでも稼ぎたかったことから、右隣のスタッド位置よりも気持ち手前に穴開けした事が原因です。

信号ラインの配線

一度バラック状態で音出しをした際に、信号ラインの配線を行っています。その際に使った2芯シールド線がそのままコネクタに付いています。正規位置の基板に対して長さが微妙に長いですが、そのまま使用する事にしました。

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入力用XLRコネクタとATT基板入力間、ATT基板出力とバッファ基板入力間、バッファ基板出力と出力用XLRコネクタ間の左右チャンネル用で合計6本です。写真は、後で気が付き修正しましたが、バッファ基板は左右独立電源としていますが、同一電源回路のアンプに左右チャンネル分を配線していました。

総合動作確認

制御動作確認は完了しており、アナログ系は一度バラック状態で動作確認をしているので、あまり心配せずに動作確認ができます。念のため、ATTユニット単体で制御動作を確認してから、システムに組み込みました。環境は、以前バラック状態で確認したものと基本的には共通です。DCパワーアンプにフルレンジスピーカーを接続し、パワーアンプに製作したATTユニットをダイレクトに接続します。ソースのUSBDAC出力をATTユニットに接続しました。電源オンして、音を聴いてみました。ATT動作は正しいようですが、左チャンネルからノイズが聴こえます。倍率抵抗=30kΩで減衰量た一番小さい-21dB時た特に顕著でした。全般的に音も今一つです。なかなかうまくいかないものです。次回は、この状態の原因を特定して対策を行います。

 

つづく(製作編26)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編24)

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製作編24

前回配線が終わった電源回路の動作確認を行います。

電源動作確認

まだ、配線の途中ですが、電源回路の動作確認を行います。電源基板の単体動作確認は終わっているので、今回の確認のポイントは、トロイダルトランスからの電力供給と正しく配線ができているかになります。改めて配線を確認し、ヒューズホルダにヒューズをセットします。

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電源コードをつないで電源を入れます。異常がないか確認の為に、全チャンネルの出力電圧をまず初めに確認しました。確認結果は以下のとおりです。

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次に、アナログ用の+12/-12V電源の確認を行います。トロイダルトランス2巻き線を使って、センタータップ巻き線化しているので、基板への入力波形を確認しました。

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波形は問題ありませんでした。仮に接続を間違えても、2巻き線がパラレル動作する状態となり、動作はしますが、平滑回路のレギュレーションが悪くなります。次に、リレー用の12V電源の確認を行います。この電源の平滑回路は、アナログ用電源に比べて遙かに負荷が重いですが、電解コンデンサの容量をアナログ用電源の4,700uFに対して、3,300uFにケチっています。但し、信頼性の観点から105℃品を選定しました。このため、最大負荷時にも、三端子レギュレータに所定の電圧がかかっている事の確認を行います。電源基板の単体動作確認で使用したダミー負荷抵抗50Ω/5Wのセメント抵抗を引っ張り出し、出力端子台に接続します。

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この状態で各部の波形確認を行います。初めに出力電圧を確認しました。問題ありません。次に整流回路の波形確認を行います。測定点はブリッジダイオード+端子と出力用端子台GND端子です。参考として回路図を再掲載します。

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波形の最低電圧が15.1Vとなっているため、三端子レギュレーターには15.1 - 12V = 3.1Vが印加されており、動作に必要な電圧がかかっている事が確認できました。最後は、デジタル系の+12Vと+5V出力を確認します。どちらも正しい電圧が出力されている事が確認できました。

バッファー基板動作確認

全バランス6ch分(Hot/Cold別で12ch)の回路が実装されていますが、独立した電源ごとに配線を行い動作確認を行います。+/-12V電源用の電線は3本の電源線を編み込みました。これで電源出力とバッファー基板電源端子間を接続します。

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この状態で一旦電源オンして、バッファアンプが所定の状態になっている事を確認しました。同様に残りのバランス3ch分も同様に配線し、状態の確認を行いました。全12ch分の出力オフセット電圧をまとめました。

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マイコン基板配線

初めに電源の配線を行います。動作確認時に作成したDCプラグ付きの電線を使用します。必要な線長にカットして接続しました。マイコン基盤のDCジャックの位置が表示基板下で、フロントパネルと近いためプラグを挿すのが大変でした。

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次は、表示基板の配線をします。3極なので、しばし考えて2芯のシールド線を使う事にしました。ノイズ面で有利に働きます。

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表示基板の電源を配線して一旦制御系の動作確認を行いました。

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キー操作、表示共に正しく動作していました。

ATT基板配線

ATT基板への配線は、制御線5本(GND線込み)と12V/5V電源線です。制御線5本はマイコン基板上のシールド基板へ配線します。平行線2本と、平行線の黒の被覆ラインを使って5本を配線しました。

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5V電源は、電源基板上の端子台から表示基板とATT基板へ供給します。1つの端子台へ2本の電線の接続は問題なさそうでした。12V電源は、電源基板上のリレー用電源端子台から配線します。今回は配線しませんが、残り2枚のATT基板への電源配線は、1枚目の基板の電源端子台から配線する事にします。

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これで電源を含めて制御用の配線が完了しました。次回は制御動作確認およびアナログ信号ラインの配線を行います。

 

つづく(製作編25)

チャンネルデバイダーのVR制御(製作編23)

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製作編23

ボトムシャーシの加工が終わったので大物部品の取り付けを行います。

電源基板の取り付け

前回加工した、ボトムシャーシにリアパネルを取り付けてから電源基板を取り付けます。基板固定用のスタッドへ電源基板を取り付けようとしたところ、基板の電解コンデンサとリアパネルのヒューズホルダが干渉して取り付ける事ができませんでした。

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現物確認も、ここまでくると節穴と言わざる得ません。気をとりなおして、スタッドの位置を変更して干渉を回避することにします。幸い、右隣のバッファ基板との間に余裕を取っていたため、スタッドを約5mm右にずらす事で干渉を回避しました。無駄な穴が4個開いてしまいましたが、気にしない事にします。

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スタッド位置を移動することで、ヒューズホルダと電解コンデンサ間にクリアランスが確保できました。

バッファ基板&ATT基板取り付け

電源基板の右隣にバッファ基板を取り付け、さらに右隣にATT基板を取り付けます。XLRパネルコネクタとの干渉は、現物合わせをしたので微妙に回避できています。

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但し、これらの基板を取り外す際には、リアパネルを外す必要があります。メンテナンス性を確保するために、リアパネルへの配線は余裕を持たせておきたいとおもいます。

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ここまで取り付けたところで、ATT基板の一部の配線をしていない事を思い出しました。一旦ATT基板を外して、追加の配線を行います。

ATT基板完成

ATT基板は、実装後の確認を早く行いたかったため、単体動作確認に不要な配線を残して単体動作確認を行いました。その後、残りの配線をせずに放置し、今に至っています。未配線部分は、制御信号をデージーチェーン接続するための出力コネクタへの配線です。

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写真中央の5極の端子台への配線です。5pin中の一番右はGND配線で、ここだけは配線されていました。残りの4端子への配線を行います。

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見栄えは良くありませんが、緑の電線で入力端子台とパラレル接続しました。せっかく基板を外したので、この基板に供給されている5Vと12V電源ラインに0.1uFのパスコンも追加しました。

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これでATT基板は完成です。改めてATT基板を再取り付けします。

トランス一次側配線

正面パネルを取り付けてから、電源の1次側の配線を行います。トロイダルトランスの1次巻き線には120Vタップがありますが、今回は使用しないため処理をします。適当な長さでカットして、以前にも使用した端末キャップ(2.5mm)を切断ポイントにかぶせて、インシュロックで固定しました。

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写真は、1本のみインシュロックで固定を行ったところです。続いてトランスの一次側の配線を行います。2個のトロイダルトランスの一次側の0Vの電線を2本からげてACインレットの一端に接続します。ACインレットのもう一方の端子は、隣のヒューズホルダと接続します。

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トロイダルトランスの一次側100V電線は、正面パネルの2回路のトグルSWへ接続し、トグルSWのもう一方の2つの端子は、一本の電線でヒューズホルダへ配線しました。

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トランス二次側配線

手前側のトロイダルトランスを、デジタル系電源用にしました。2つの二次巻き線をそれぞれ電源基板のデジタル系電源入力端子台配線しました。リア側のトロイダルトランス二次電線は、一方の巻き線の12V電線と他方の巻き線の0V電線をからげて、電源基板のアナログ電源回路入力用端子台のGND端子に接続しました。残る2本の電線をそれぞれAC入力端子に接続してトランス配線は完了です。

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次回は、配線が終わった電源回路の動作確認と残りの基板の実装を行います。

 

つづく(製作編24)

2018真空管オーディオフェア(番外編24)

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番外編24

前回に引き続き真空管オーディオフェアを紹介します。

イベントルーム講演3

タイトルは、「24ビット/96kHz録音, リニア生データの実力を聴く」です。講演者は加藤しげき先生で、企画は「ラジオ技術」のアイエー出版社です。

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最初に使用機材を紹介します。昨年同様にプリアンプ、パワーアンプともにマックトンの真空管アンプが使用されていました。

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パワーアンプは、MS-2000で、昨年使用されたMS-1500と見た目はあまり変わりませんが、出力がさらにパワーアップし、真空管アンプでありながら200W+200Wの高出力を叩き出します。出力部は、ロシア製のKT120をパラレルプッシュプル構成として高出力を実現しています。プリアンプは、XX-7000で、昨年使用されたXX-5000から更新されていました。HPを参照するとプリアンプでありながら出力段を3極管のパラレルSEPP方式としているとの事でした。スピーカーは、JBL4429を使用する予定でしたが、調子が悪く急遽マックトンで試聴用に使用しているJBLのS143が使用されてました。

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発売は2001年なので使い込まれていると推察されます。35cmウーファーにホーンツィーターの2way構成にスーパーツィーターが追加されています。それでは講演の紹介に進みます。下記が曲目リストですが、殆ど加藤先生が録音に携われたものだそうです。今回の講演では、「アンビエンス」と「レベルの話」がフィーチャーされました。1曲目は「I'm Getting Sentimental Over You」です。1曲目という事で自信の録音の選曲かとおもいますが、奥行き感、定位ともに申し分がなく、スピーカーが負けている印象でした。96kHz/24bitで録音されたものをマスタリングしてCDにしたものとの事でした。

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■アンビエンス

ブラスとサックスの重なりパートをエンジニアに任せると、ブラスが大きくなる傾向にあるとの事など現場の裏話がありました。楽器の音をそのまま録るとつまらない音になり、ルームアンビエンスを録ってまぜるか、マシンで付加するかエンジニアの技量にまかされる部分のようです。次の曲「Lester Leaps In」は、テナーのカルテットでしたが、デッドに録ったとの事で、ミュージシャンとやりあった上で発売されたとの事でした。各楽器の音が明瞭で、テナーがオンに聴こえます。先の説明にあったとおり、華やかさはあまり感じられず、普通に録った印象の音です。録音は96kHz/16bit 2chでレベル調整した程度との事でした。

■レベルの話

CDの聴感上のレベルは、信号の密度で決まるとの事です。アナログ時代は0VUを基本に、デジタルでは-20VUを基本とされていて、エンジニアは大きな音で入れたがり、デジタル録音の場合、この20dBにいかに収めるかに苦心していると紹介されました。その為のツールはいろいろあるとの事で、「South Of The Border」はアンビエンスとリミッタの機材を使った楽曲との紹介で演奏されました。事前の説明を聞いたからか、つくられた感のある音に聴こえました。録音はマルチトラック96kHz/24bitをトラックダウンしたものとの事です。

■汽車の音

昨年の講演では、碓井峠のスイッチバックの音が披露されましたが、今回は場所は説明がありませんでしたが、昭和40年代終わりに中央線スイッチバックで録音されたSLの音でした。レールの継ぎ目を越えるときの金属音、蒸気機関車のツチームの音、哀愁を感じさせる汽笛の音、普段聴く事ができないものを聴く事ができました。録音は7インチスピード6mmテープがマスターとの事でした。

■まとめ

演奏された楽曲は、加藤先生が録音に携われたものなので、それぞれ録音時の説明がリアルで興味深く講演を聴くことができました。

その他目についたもの

■ハットオーディオラボ

昨年はカセットデッキの実演をされていましたが、今年はオープンリールテープデッキがデモで使用されていました。(アイキャッチ写真参照)デモの後半から会場に入った為、すでに説明パートは終わっていました。後で入場時に配布されたパンフレットを見たところ、このオープンデッキは、発売が予定されているもので、予価550,000円がつけられていました。下記がパンフレットに掲載された製品情報です。

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この記事を見ると、30年保証をうたっていて信頼性への自信が感じられます。メカ部のプッシュSWは、現在私が製作中のATTユニットで採用したものと同じもののようで、手作り感があふれています。我々の世代は、みなオープンリールデッキにあこがれを抱いているのではないでしょうか?ランニングコストを考えると現実的ではないのかもしれませんが。

おまけ

ここ最近のオーディオイベントでは、会場で高校時代の同級生と合流しています。今回も、山梨から上京して会場で合流しました。昼に一時間程、会場の近くのタリーズで軽食を穫りながら情報交換をしましたが、結局彼は12時頃に会場到着し、3時前には会場を後にしたため、ほぼ私と話をして帰った印象です。私も同じですが、オーディオの趣味の話ができる機会がほとんどなく、この情報交換もイベントの楽しみとなっています。

 

おわり(番外編24)

2018真空管オーディオフェア(番外編23)

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番外編23

今年も10/7-10/8に開催された真空管オーディオフェアに行ってきましたので紹介します。

第24回真空管オーディオフェア

今年は、三連休の日曜、月曜開催でした。場所は例年どおりお茶の水の損保会館です。

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私の自宅の最寄駅は小田急線駅なので、代々木上原で千代田線乗り換えして新御茶ノ水を利用すると楽に現地入りできました。今回も昨年同様、おなじみの企業が出展を行っています。

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私が参加したのは、初日でイベントを中心に見てきました。参考としてイベントルームのタイムテーブルを掲載します。

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イベントルーム講演1

タイトルは、「戦闘機メッサーシュミットUボートに使われた幻の送信管」で柳沢先生による講演でした。

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タイトルの幻の送信管とは、Telefunken RL12P35です。

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戦時中にドイツで移動無線機用に開発されたもので、管壁には国防軍のマーク、ハーケンクロイツがマーキングされています。頭にはG3変調用のピンが2つ付いていますが、使用しないのでウレタン製のキャップを被してありました。プレート損失が30Wでgmは2800?との事でした。幻とのタイトルですが、イーベイで5,000円程度で売られているとの紹介がありましたが、ソケットが特殊なので使用するハードルは高そうに思えました。また、カソードピンがなく、真空管のベースがカソードとなっているため、その引き出しにも工夫が必要との事です。この真空管をプッシュプル構成で製作されたものが今回のアンプです。下は会場で配布された機材紹介のチラシです。

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終段は5極管のまま使用し、オーバーオールのNFBはかけていません。前段とはトランス結合させています。出力は23Wで、5極管の特性からくるのかダンピングファクターは低めの1との事でした。一方、比較用のアンプは300Bのシングルアンプで、出力を除き、数値上の特性はこのアンプの方が勝っています。使用されたスピーカーは、マクソニックの3way構成でスコーカーはホーンが使用されていました。

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このスピーカーの最大の特徴は、励磁型ユニットが使用されている事で、スピーカーのバックに24V供給用の回路が設置されていました。

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励磁型スピーカーは、反応が早くスピード感のある音が特長と紹介されました。下のチラシが、今回の講演の曲目リストです。

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日付が1ヶ月ずれていますがご愛敬です。最初にテレフンケンの送信管アンプを聴き、途中で比較用のWE300Bのアンプに切り替え、その後テレフンケンの送信管アンプに戻す進行です。大半の曲がmono LP/SPで、GEのバリレラカートリッジが使用されています。途中、2曲ご自身がCM製作に関われた時のタイアップソング2曲が組まれています。最後に、恒例となっている瀬戸カオリさんによるライブ2曲の構成でした。

■RL12P35プッシュプル印象

奥行き感があり、全体的にマイルドで聴きやすい感じでした。低域も適度に厚く、スピーカーに鳴らされている感じもなく、好印象でした。1曲目Diana Krall/Turn Up The Wuiet「Like someone In Love」出だしのベースのソロもたつきなく、いきいきと再生されDF=1の特性の音には感じられませんでした。女性ボーカルも素直で、ギターも甘い感じで良かったです。

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4曲目のGisele Mackenzie「Beyond The Sea」女性ボーカルの音離れが良く、前に出る印象でした。励磁型スピーカーによるところかもしれません。

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■300Bシングル印象

RL12P35プッシュプルに比べて緻密な感じですが、奥行き感が後退し、つややかさも少ない印象でした。5曲目のBarbara Lea/A Woman In Loveから「Thinking Of You」は両アンプの聴き比べが行われましたが、300bシングルは女性ボーカルの奥行き感がRL12P35プッシュプルに比べて少なく感じました。

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7曲目のTerry Gibbs/Vibes On VelvetからSmoke Gets In Your Eyseはマリンバのアタック音がリアルでいい感じで鳴っていました。

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■おまけ

過去に先生ご自身が、化粧品のCM製作に関わられた際のタイアップソングのドーナッツ盤を2枚持参されて演奏されました。1曲目はヴィーナスの「キッスは目にして」で、81年のカネボウ化粧品CM曲で、演奏前から録音を今一つとおっしゃられていたとおり、このようなシステムで聴く感じではない印象でした。

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もう1曲は桑名正博の「セクシャルバイオレットNo.1」で、79年のカネボウ化粧品のCM曲です。前曲と同様に、録音は奥行き感や定位感は意識されていない印象でした。

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帰宅後にネットで検索すると、当時の資生堂vsカネボウのCM対決に関する記事が沢山ヒットしました。

■瀬戸カオリさんライブ

最後は、恒例となった瀬戸カオリさんのライブです。今回は、「My Blue Heaven」と「When Your Smiling」の2曲を唄われました。事前にホーンスピーカーを外側に向けてハウリング対策をとっていましたが、ややハウリングぎみで、ハウリングを防ぐために位置を後退して(スピーカーの間に入る感じ)唄われていました。同じシステムを介しているので、アンプの試聴時と変わらない印象でした。カオリさんのお人柄か、楽しく歌を聴くことができました。

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次回も引き続き真空管オーディオフェアを紹介します。

 

つづく(番外編24)