番外編23
今年も10/7-10/8に開催された真空管オーディオフェアに行ってきましたので紹介します。
第24回真空管オーディオフェア
今年は、三連休の日曜、月曜開催でした。場所は例年どおりお茶の水の損保会館です。
私の自宅の最寄駅は小田急線駅なので、代々木上原で千代田線乗り換えして新御茶ノ水を利用すると楽に現地入りできました。今回も昨年同様、おなじみの企業が出展を行っています。
私が参加したのは、初日でイベントを中心に見てきました。参考としてイベントルームのタイムテーブルを掲載します。
イベントルーム講演1
タイトルは、「戦闘機メッサーシュミットやUボートに使われた幻の送信管」で柳沢先生による講演でした。
タイトルの幻の送信管とは、Telefunken RL12P35です。
戦時中にドイツで移動無線機用に開発されたもので、管壁には国防軍のマーク、ハーケンクロイツがマーキングされています。頭にはG3変調用のピンが2つ付いていますが、使用しないのでウレタン製のキャップを被してありました。プレート損失が30Wでgmは2800?との事でした。幻とのタイトルですが、イーベイで5,000円程度で売られているとの紹介がありましたが、ソケットが特殊なので使用するハードルは高そうに思えました。また、カソードピンがなく、真空管のベースがカソードとなっているため、その引き出しにも工夫が必要との事です。この真空管をプッシュプル構成で製作されたものが今回のアンプです。下は会場で配布された機材紹介のチラシです。
終段は5極管のまま使用し、オーバーオールのNFBはかけていません。前段とはトランス結合させています。出力は23Wで、5極管の特性からくるのかダンピングファクターは低めの1との事でした。一方、比較用のアンプは300Bのシングルアンプで、出力を除き、数値上の特性はこのアンプの方が勝っています。使用されたスピーカーは、マクソニックの3way構成でスコーカーはホーンが使用されていました。
このスピーカーの最大の特徴は、励磁型ユニットが使用されている事で、スピーカーのバックに24V供給用の回路が設置されていました。
励磁型スピーカーは、反応が早くスピード感のある音が特長と紹介されました。下のチラシが、今回の講演の曲目リストです。
日付が1ヶ月ずれていますがご愛敬です。最初にテレフンケンの送信管アンプを聴き、途中で比較用のWE300Bのアンプに切り替え、その後テレフンケンの送信管アンプに戻す進行です。大半の曲がmono LP/SPで、GEのバリレラカートリッジが使用されています。途中、2曲ご自身がCM製作に関われた時のタイアップソング2曲が組まれています。最後に、恒例となっている瀬戸カオリさんによるライブ2曲の構成でした。
■RL12P35プッシュプル印象
奥行き感があり、全体的にマイルドで聴きやすい感じでした。低域も適度に厚く、スピーカーに鳴らされている感じもなく、好印象でした。1曲目Diana Krall/Turn Up The Wuiet「Like someone In Love」出だしのベースのソロもたつきなく、いきいきと再生されDF=1の特性の音には感じられませんでした。女性ボーカルも素直で、ギターも甘い感じで良かったです。
4曲目のGisele Mackenzie「Beyond The Sea」女性ボーカルの音離れが良く、前に出る印象でした。励磁型スピーカーによるところかもしれません。
■300Bシングル印象
RL12P35プッシュプルに比べて緻密な感じですが、奥行き感が後退し、つややかさも少ない印象でした。5曲目のBarbara Lea/A Woman In Loveから「Thinking Of You」は両アンプの聴き比べが行われましたが、300bシングルは女性ボーカルの奥行き感がRL12P35プッシュプルに比べて少なく感じました。
7曲目のTerry Gibbs/Vibes On VelvetからSmoke Gets In Your Eyseはマリンバのアタック音がリアルでいい感じで鳴っていました。
■おまけ
過去に先生ご自身が、化粧品のCM製作に関わられた際のタイアップソングのドーナッツ盤を2枚持参されて演奏されました。1曲目はヴィーナスの「キッスは目にして」で、81年のカネボウ化粧品CM曲で、演奏前から録音を今一つとおっしゃられていたとおり、このようなシステムで聴く感じではない印象でした。
もう1曲は桑名正博の「セクシャルバイオレットNo.1」で、79年のカネボウ化粧品のCM曲です。前曲と同様に、録音は奥行き感や定位感は意識されていない印象でした。
帰宅後にネットで検索すると、当時の資生堂vsカネボウのCM対決に関する記事が沢山ヒットしました。
■瀬戸カオリさんライブ
最後は、恒例となった瀬戸カオリさんのライブです。今回は、「My Blue Heaven」と「When Your Smiling」の2曲を唄われました。事前にホーンスピーカーを外側に向けてハウリング対策をとっていましたが、ややハウリングぎみで、ハウリングを防ぐために位置を後退して(スピーカーの間に入る感じ)唄われていました。同じシステムを介しているので、アンプの試聴時と変わらない印象でした。カオリさんのお人柄か、楽しく歌を聴くことができました。
次回も引き続き真空管オーディオフェアを紹介します。
つづく(番外編24)