製作編15
安定化電源を壊してしまったので修理してアンプ本体の組立を再開します。
安定化電源状況
負荷側の故障も考えられるので、電源の出力を外して改めて出力電圧を確認しました。
配線を外す前と同様に+出力のみ出ていません。ー出力は正常出力していました。やれやれ、早速修理が必要です。
メンテナンス性の改善
電源の修理の前に、当初から予定していたアンプ本体構造に関わるメンテナンス性の改善対応を行います。アンプ本体は、両サイドのヒートシンクに正相逆相のアンプを搭載しています。アンプ故障時にヒートシンク単体で取り外せるとメンテナンス性が向上します。現状は、トップカバーとボトムカバーを取り外し、それぞれのカバーで覆われた、フロントおよびリアパネルとの固定用ネジを外すとヒートシンクの取り外しができます。これを、ボトムカバーを外さずにヒートシンクのみ取り外しができれば、メンテナンス性が著しく向上します。具体的には、ボトムカバーに穴をあける事でボトムカバーを外さずに、フロントとリアパネルとの固定用ネジにアクセスできる様にします。ボトムカバーの4角にφ7.5の穴をあけました。
この穴からヒートシンク取り付け用のネジに直接アクセスできるようになりました。
対象のヒートシンクを取り外す手順は、以下のとおりとなりました。
1)トップカバーを外す
2)トップ側ヒートシンクとフロントパネル固定用のネジを外す
3)トップ側ヒートシンクとリアパネル固定用のネジを外す
4)ボトムカバーとヒートシンク固定用のネジを外す
5)ボトム側ヒートシンクとフロントパネル固定用のネジを外す
6)ボトム側ヒートシンクとリアパネル固定用のネジを外す
従来は、5と6項を行う為にボトムカバーを取り外す必要があり、その為に別チャンネルの電源配線も全て外す必要がありましたが、この手順が不要となりメンテナンス性を向上させる事ができました。
安定化電源修理
安定化電源修理の為に、電源基板を取り外して単体通電ができるように準備しました。
初めにこの状態で各部電圧の確認を行いました。結果は以下のとおりです。
出力電圧が0Vの為、誤差アンプが電圧を上げようとドライバのベース電圧をめいっぱい上げていますが、ドライバが正しく動作していません。基準電圧回路の動作は問題なさそうです。この結果から、過電流によりドライバが故障したと考えられる為、ドライバのみ交換する事にしました。トランジスタの端子をカットして、ヒートシンクからボディーを取り外しました。
この状態では3本の端子は簡単に取り外しができました。交換後のハンダ面は以下のとおりです。(写真センター部)
念のため修理後に通電確認を行い、正しく修理できている事を確認しました。アンプ本体をせっかくばらしたので、製作編13で発覚した電源ランプの+/-の配線間違いも直しました。
アンプ単体通電確認
前回の通電確認の際にアンプ本体に何らかのダメージがない事を確認する事にしました。具体的にはヒートシンクごと取り外した状態で通電確認と調整を行う事にします。
電源はユニバーサル電源から供給します。電圧増幅段用電源は、+/-13.5Vをメインチャンネルから、終段用の電源はサブチャンネルから供給します。サブチャンネルは電圧をあまり上げられない為、+/-6.15Vを供給しました。早々に調整を行ってみましたが、アンプ基板は正しく動作していました。
調整の方法は以下のとおりです。
1)Vol3を絞って終段のバイアス電流をカットオフさせる
2)Vol2を調整して、2段目の差動アンプ負荷電流をそろえる
3)Vol3を調整して終段のバイアス電流を少し上げる
4)Vol1を調整して出力オフセットを0に調整する
5)2~4項を繰り返し実行して所定の電圧・電流に調整する
この手順によって設計値どおりの状態とする事ができました。次回は改めてアンプを組み上げて通電確認を行います。
つづく(製作編16)