改造編2
ツィーターを駆動している、モノラルBTL方式A級DCパワーアンプを改造します。
改造対象アンプ
今回のアンプは、未改造のトランジスタアンプ最後となります。まずはオリジナルの状態の回路図を掲載します。
アンプの回路構成は、差動2段+ドライバ段+終段と特別ではありませんが、終段は、高域特性の良いトランジスタでシングルプッシュプル構成として、駆動力よりも、高域特性を重視した回路としています。電源回路は、電圧増幅段用が三端子レギュレータを使った安定化電源で+/-15Vを供給しています。終段は全波整流回路コンデンサインプット電源です。それぞれの電源のトランスは、専用にトロイダルトランスを採用した事でA級パワーアンプとして余計な発熱を抑えた電圧を電圧増幅段とドライバ段終段へ供給しています。アンプの外観を簡単に説明します。
アンプケースは、ウーファー駆動用アンプと同じものを採用していますが、このアンプには、電源トランス2個を内蔵しています。アンプAC電源供給されると電源ランプが赤く点灯し、スイッチを入れるとグリーンに点灯します。右下の写真は、ツィーター接続用のスピーカーケーブルで、ユニットを保護する為に、大容量のフィルムコンデンサーを直列に入れています。私のマルチアンプシステムでは、以下のとおり使われています。
システム中の既製品は、CDプレーヤーとスピーカーユニットのみで、アナログ電送は全てバランス方式となっています。
改造
まずは改造回路図を準備します。
出力部の位相補償回路は、R=27Ω、C=0.01uFとしています。カットオフ周波数は以下のとおりです。
fc = 1 / (2π x 27 x 0.01E-6) = 590KHz
2段目の位相補償用コンデンサも合わせて交換します。HPアンプの改造で一旦変更したものの、発振により戻してしまった双信製の20pFのディップマイカコンデンサを使用します。うんちくはこのくらいにして、改造をスタートします。最初にR-chとして使っているアンプを改造します。
まずはトップカバーをあけます。
このアンプもボトムカバーを改造しているので、ボトムカバーを外さずにサイドパネルを取り外す事ができます。
改造の為に電圧増幅回路基板を取り外します。
2段目の位相補償用コンデンサは、水色のセラミックコンデンサが付いています。始めにこれを双信製ディップマイカコンデンサー20pFに交換しました。
本題の出力部位相補償回路を追加します。ウーファー駆動用アンプ改造と同様に部品は電圧増幅段回路基板に実装しました。
配線は、2つの3極の端子台より上の部分ですが、シンプルに改造する事ができました。改造した基板をサイドパネルに取り付けて、さらにケースに戻します。最後に配線を元通りに戻すと1回路分完成です。
同様の改造をあと3回路分行います。改造は2枚目およびL-ch駆動アンプの1枚目までは順調に進められました。最後の回路の改造を行う為に、電圧増幅段用基板を取り外した際に大問題が発覚しました。写真は終段トランジスタです。
トランジスタを固定しているプラスチックねじが溶けています。コンプリメンタリの2つのトランジスタがほぼ同じ状況となっていました。修理の為に全基板を取り外しました。溶けた固定用のプラネジは、1本はトランジスタにくっついた状態で取り外す事ができましたが、1本は折れていて、ヒートシンク内につまった状態です。
改造の最後で想定外の大変な状況となってしまいました。次回は修理と改造について紹介します。
つづく(改造編3)