トランジスタアンプ位相補償(改造編1)

改造編1

自作した運用中のトランジスタアンプに出力位相補償回路を追加します。

対象アンプ1

現在マルチアンプシステムのウーファーを駆動しているアンプの出力部分に位相補償回路を追加してみます。運用中の状況ですが、特段発振をしているわけではありませんが、電源オン直後に定位が左右に短時間ずれる現象があり、気になっていました。症状はすぐに治まる為、状況確認はした事はありませんが、発振起因と考えて今回の対応をとってみる事にしました。

ウーハー駆動用パワーアンプ

簡単に紹介します。電源トランスのみ別筐体で、本体はモノラル構成です。

上がアンプ本体で、下がパワートランスユニットです。今回の改造はアンプ出力に位相補償回路を追加するだけなので、パワートランスユニットは触りません。

改造

初めに改造回路図を作成します。

位相補償回路のカットオフ周波数は以下のとおりです。

fc = 1 / (2π x 27 x 0.022E-6) = 268KHz

まずはトップカバーを外します。

私のアンプ製作再開後初期に製作したアンプなので、メンテナンス性の考慮が十分されていません。今回の改造で電圧増幅段用の電源ポストを3極の端子台に変更したいとおもいます。

ケースのボトムカバーを改造している為、ボトムカバーを取り外さずにサイドパネルを取り外す事ができます。

オリジナルの電源ポスト周りの配線は以下のとおりです。

ポストを端子台に置き換えると、ピン間隔が広がるので、そのまま付け替えはできません。現状の配線であれば変更は大変ではありません。さっそくポストを端子台に変更しました。

配線はあまりきれいではありませんが、簡単に変更ができました。それでは本題の出力位相補償回路の追加を行います。上のサイドパネルの写真からわかるとおり、終段用のトランジスタ基板にはGND配線がきていません。いろいろ考えた上で、電圧増幅段用基板に部品追加する事にしました。基板にはドライバ段まで実装されていますが、ドライバ段の出力は、アンプ出力と接続されています。このラインへ位相補償回路を追加します。回路部品以外で、終段用電源のGND配線用の端子台も追加したいとおもいます。あ!やらかしてしまいました。コンデンサ0.022uFを購入するところ、2200pFを購入してしまいました。この勘違いよくやってしまいます。念のためfcを再計算してみます。

fc = 1 / (2π x 27 x 2200E-12) = 2.68MHz

ん~、どうしよう?発振周波数は経験上、8~10MHzあたりなのでこのカットオフ周波数でも効果はありそうです。アンプの改造を始めてしまっているので、今回はこの周波数で進める事にします。念のため回路図を修正します。

気を取り直して、改造を進めます。

改造基板をサイドパネルに取り付けました。

さらにサイドパネルをシャーシに取り付けて、反対側のサイドパネルを取り外します。

もう1枚の基板も同様に改造してシャーシに取り付けました。元どおり配線をすれば、1台の改造は完了です。

もう1台同じ改造を行いましたが、紹介は省略します。

試聴

改造後の試聴は、フルレンジスピーカーと組み合わせて行いました。元々、発振していたわけではないので、変化はありませんが、当面電源オン直後の音像の偏りの発生がない事を気にかけたいとおもいます。次回はツイーター駆動用のアンプの改造を行います。

 

つづく(改造編2)