終段スイッチング電源検討(製作編43)

製作編43

残る2つの問題点を平行して改善検討を行います。

残る問題点

残る問題点は2つあり、記事2回にわたって改善検討をしたものと比べて難易度が高いと思います。2つの問題点は以下のとおりです。

1)アンプが冷えた状態で発振する

2)電源ノイズによりアンプ出力に高周波の残留ノイズが観測される

根拠はありませんが、上記2つの問題点は関連がありそうな気がしたので、対策検討を平行に進める事にします。

発振問題

まずは発振波形のおさらいをします。下記写真はアンプが冷えている状態で確認した結果です。

黄色がR-ch/Hotで青がR-ch/Cold出力です。発振周波数は9.4MHzとなっています。レベルはHotとColdで異なりますが、安定していない為、一概にCold出力の方がレベルが高いとは言えません。アンプが暖まってくると発振が徐々に治まります。下記写真はその過程の状態です。

Hot/Coldともにアンプが冷えた状態と比べるとレベルが小さくなっています。さらにアンプの温度が上がると発振が止まります。

発振改善検討

現状のアンプ回路図を改めて掲載します。

発振対策としては、2段目差動アンプにC01/C02に22pFを取り付けています。まずは単純に33pFに容量を増やしてみました。効果の確認には、アンプを冷ます必要があります。結果は少なくとも発振は止まらず、レベルに関してはアンプの状態によって変化するので、レベルに対する効果は正直なところよくわかりません。発振対策は2段目の差動アンプのバランスを損なわない為にC01とC02の2つをつけていますが、試しにC02を外してみました。

この場合も明確な変化は認められませんでした。一旦、2段目の位相補償による対策検討は保留して、他に影響を与えている部分がないか検討しています。アンプをコールド状態にして発振させて、アンプ各部を触ってみました。その結果電源配線、アンプ出力配線、入力配線の敷線の仕方によりレベルが変化する事が確認されました。まずは電源配線と入力配線の敷線変更をしました。

1つのアンプの電源線を1つに束ねてループ面積を小さくする事と、入力配線を出力配線から離しています。敷線変更直後は、効果を実感できましたが、時間をおくとアンプの温度を含めて状態が変化するので、正直なところどこまでの効果があったのかよくわかりません。次は、Hot側の入力配線は基板下を通し、出力配線をアンプ基板から極力離してみました。

結果は先の敷線変更と同様に変更直後は効果を実感できましたが、時間があくとよくわからない状況です。発振問題に関しては、対策が行き詰まってきたので一旦検討を保留にします。

アンプノイズ対策

オリジナル状態のアンプ出力残留ノイズ波形を改めて掲載します。

黄色がR-ch/Hot出力、青がR-ch/Cold出力のノイズ波形です。赤は差分出力です。差分出力でも196mVppのノイズが残留しています。この波形が約100KHzの間隔で繰り返し発生しています。このノイズの原因はスイッチング電源ノイズです。まずは+/-電源のノイズをモニタしてみました。

どちらも電源をACカップリングしてオシロスコープでモニタした結果です。黄色が+12V、青が-12V電源で、上が掃引速度50ms/div、下が掃引速度2us/divの観測結果です。下の結果には、アンプ出力ノイズの原因となっているパルスノイズが周期的に発生している事が確認できます。このノイズを対策しなければアンプ出力ノイズの改善もできないとおもいます。次回は電源ノイズ改善検討を行います。

 

つづく(製作編44)