終段スイッチング電源検討(製作編44)

製作編44

電源ノイズに起因するアンプ出力の残留ノイズ対策をします。

現状の構成

改善検討を行う前に、現状の電源構成をおさらいします。12Vのスイッチング電源を2台使ってアンプ用の+/-12V電源を構成しています。各アンプへの給電は配電基板を通して行っています。配電基板の回路図を再掲載します。

入力用端子台の脇に100uFと0.1uFのコンデンサを置いていますが、ドライバ段と終段にそれをそのまま給電しています。電圧増幅段用の電源は、さらにインダクタと電解コンデンサフィルタをとおして給電する方式となっています。このLCフィルタはノイズ対策というよりも発振対策として挿入しています。現状はドライバ段と終段は高周波ノイズに対してほぼ対策を行っていない状態となっています。いまさらながら対策検討を行います。

部品選定

DC電源用の対策部品がないか秋月電子のラインナップを検索してみました。「ノイズ対策」で検索すると何件か対策部品が表示されました。その中から使ってみたいものが見つかりました。村田製作所製のコモンモードチョークPLT10HN450180P0です。価格は550円のやや高いですが、定格電流18Aと今回の用途には余裕があり、コモンモードインピーダンスは45Ω(10MHz)と効果が期待できます。

本来の使い方とは異なりますが、プラマイ電源に対して1個使用して効果を確認したいとおもいます。回路図作成前に等価回路と特性を確認します。

インピーダンスは1MHz~10MHzの間で10~45Ωという状況です。このインピーダンス値でどの程度効果があるのでしょうか?普通の使い方とは異なりますが、プラマイ電源で1個する前提で回路図を作成します。

回路図は2つありますが、配線変更により両パターンが試せるようにフィルター基板を製作したいと思います。チョークコイルは小型で、18Aも流せる物にはみえません。

効果確認実験というスタンスなので、廃基板をカットして実装します。

両側に4極の端子台が配置していますが、片側が+電源の入出力、反対側がー電源の入出力となります。配線は大電流が流れるのでポリウレタン線を使用しました。

ポリウレタン線の線長が短いので、ハンダ付けの際に途中のポリウレタン被覆にダメージが見られますが、気にしません。最後にフィルムコンデンサーを取り付けたら完成です。

実装は、スイッチング電源と配電盤の配線の途中に挿入します。現段階はあくまで効果確認の実験の為、空中配置しました。

写真はマイナス電源の入出力の配線を逆にしているので、上記回路図の逆相接続に相当します。

効果確認実験

対策前の電源ノイズ波形をモニタ結果を先の掲載します。

まずは、フィルターを正相接続で適用した場合の電源ノイズ波形を確認します。

あらら、かえってノイズが増えてしまいました。気を取り直して逆相接続の電源ノイズ波形も確認します。

ノイズ波形の見た目がだいぶ変わりました。若干改善されているようにも見えます。アンプ出力の残留ノイズについても正相接続と逆相接続を比較しました。

上が正相接続時で下が逆相接続時です。黄色がR-ch/Hot、青がR-ch/Cold出力です。この結果も電源ノイズ波形と同様の変化が確認できました。それでも、可聴帯域外とは言え、50mVppのノイズが残留する事は見逃せません。次回も引き続き電源ノイズの対策検討を行います。

 

つづく(製作編45)