終段スイッチング電源検討(製作編36)

製作編36

引き続き全基板通電時の確認を行います。

電源の温度上昇

前回の記事で、アンプ用スイッチング電源の温度上昇の確認を行いましたが、追加で検証します。使用しているスイッチング電源は50W品の為、電流の最大定格値は4.17Aとなります。一方、アンプ基板は1枚あたり約800mAの電流を消費するため、4枚で3.2Aとなり、電源の最大定格電流値の約77%の電流を常に消費します。電源のディレーティングを考慮してもそんなに厳しい使用条件ではありません。それにしても電源のフレームにずっと触っていられない程熱いので、事前に対策を検討したいとおもいます。対策案は以下のとおりです。

①ボトムシャーシとトップシャーシに放熱用の穴をあける

②超低騒音ファンを取り付ける

①項については、そんなにハードルは高くないので具体的な方法はさておき、対策として適用したいとおもいます。②項は、超低騒音ファンを取り急ぎ探してみました。アマゾンで検索したところ、お手頃な物が見つかったので、試しに購入してみました。

このファンは、XPGブランドのVENTOファンで購入価格は720円でした。ゲーミングPC用で回転数を1200rpmに抑える事で騒音値23dBAを実現しています。電源電圧は12Vなので、マイコン用電源から供給可能です。風量は無制圧で45.3CFMと大きくはありませんが、電源冷却の効果は期待できます。XPGブランドはADATAのブランドでこのファンの設計はNIDECが行っているとの事なので品質は問題なさそうです。使用の要否は、対策①の放熱穴の効果で決めたいと思います。

追加起動確認

全基板接続時の電源オン時の確認を追加で行いました。まずは電圧増幅段および終段の+電源の立ち上がりの確認です。

黄色が電圧増幅段、青が終段のそれぞれ+電源の立ち上がり波形です。電圧増幅段用電源の立ち上がりは、配電基板に実装したLCフィルタの影響で終段電源の立ち上がりに比べて遅れています。続いて、終段用電源の+とーの立ち上がり確認を行いました。

ー電源の起動が+電源に比べて100msも遅れています。マイナス用電源とした為か、個体ばらつきなのかが気になります。各アンプの電源オン時の出力のノイズは、この差に起因していると考えられます。マイコン基板駆動用にもう1台スイッチング電源があるので、確認すべきか悩ましいですが、スピーカー保護回路で本影響はマスクされるので、判断は保留とします。続いて、念のために電源オフ時の電源電圧を確認しました。

上が、終段用電源オフ時の電源電圧モニタ結果です。電源オフのタイミングで電圧が2/3程下がり、以降はダラダラと電圧が下がっています。下は、黄色が電圧増幅段+電源、青が終段+電源の波形です。どちらも電源オフのタイミングで電圧が2/3程度に下がり、その後はダラダラと電圧が下がっています。電源確認の最後は、電源ノイズをオシロスコープのACモードで確認しました。初めに終段の電源のモニタ結果です。

どちらも、黄色が+電源で青がー電源です。上が掃引速度50ms/div, 下か2us/divの結果です。ノイズのピークレベルは60mVppでした。続いて電圧増幅段の電源ノイズを確認します。

終段電源ノイズ確認時と同様に上が50ms/div, 下が2us/divの結果です。電圧増幅段用電源は配電基板にLCフィルタを入れているため、電源ノイズは13.2mVppと終段用電源に比べて小さくなっています。低ノイズとはいえませんが、ハムフリーで一般的な終段用電源のコンデンサインプット方式と比べてレギュレーションは良くなっています。次回はボトムシャーシの加工を行い、部品実装を進めます。

 

つづく(製作編37)