終段スイッチング電源検討(まとめ3)

まとめ3

電源回路からまとめの続きを行います。

電源回路

最終的な電源回路は以下のとおりです。

大きく3系統あり、回路図の上段と中段がパワーアンプ用の+電源とー電源です。下段がマイコンおよび周辺回路用電源です。全て12V/50W品のスイッチング電源を使用しています。

マイコン用電源は余裕がありますが、パワーアンプ用は定格の80%弱の負荷状態でディレーティングを考慮するとほぼ上限で使っている事になります。構成としては、スイッチング電源の後段にフィルター基板、配電基板の構成となっています。設計当初は、フィルター基板はありませんでした(下記)が、スイッチングノイズ対策で回路規模が大きくなりました。

フィルター基板の外観は以下のとおりです。

フィルター基板も製作後の結果が良くなかった為、当初の設計から変更して入出力を入れ替えた為一部の部品をハンダ面に取り付けています。配電基板は設計構想時に想定していましたが、大電流ラインをポリウレタン線で配線した為、アクロバティックな引き回しとなっています。

追加したフィルターの効果の確認結果を掲載します。

波形は上から、フィルター基板出力、電圧増幅段用電源、終段用電源です。各画面ともにch2(青)はスイッチング電源出力です。各波形写真ともにSW電源出力のノイズは約200mVppとなっていますが、フィルターの追加により50~60mVpp程度に抑え込まれています。もっと改善したいところですが、対策による弊害がありこのレベルで検討を終了しました。

制御回路

制御回路のコントローラーとしてarduino UNOを使用しています。

このマイコンで以下の制御を行っています。

・電源オン直後の安定待ち(5秒間電源ランプ点滅)

・出力リレー制御

・出力オフセット監視

・電源オフ監視

・出力保護時状態制御(電源ランプ点滅)

上記を制御するマイコン回路図は以下のとおりです。

設計当初は、電源監視機能はありませんでしたが、組み立て後に電源オフ時のボツ音対策として追加しました。マイコン系電源に比べて、アンプ系電源の方が電源オフ後の電圧降下が早い事を利用しています。電源ランプ制御およびリレー制御回路は以下のとおりです。

マイコンポート出力でトランジスタスイッチをオンオフして電源ランプとリレーを制御しています。回路規模が小さいので、標準基板を半分にカットして実装しました。

リレー出力回路は、リレーの2つの接点を並列で使用し、かつ配線にはポリウレタン線を使用しています。制御回路の最後は、DCオフセット検出回路です。

回路構成は、一次LPFの後段は絶対値回路です。アンプのオフセット信号検出用で、+/-のオフセット電圧を+信号に変換&増幅してarduino UNOのアナログ入力ポート(A/Dポート)で読取ります。音声信号に反応しないようにLPF回路も実装しています。検出レベルと周波数の関係は以下のとおりです。

この回路ですが、アンプ組立後の検討・評価中に何度も的確に動作しました。逆に音楽再生中に動作した事はなく、意図通りの動作ができているとおもいます。機能で考えると贅沢な回路構成だと思います。次回はケースに関するまとめを行います。

 

つづく(まとめ4)