終段スイッチング電源検討(製作編56)

製作編56

アンプ出力部位相補償による発振対策を行います。

出力部位相補償

対策の試行を行う前に、前回の記事をおさらいします。発振現象がスピーカーを外すと止まる事から、アンプ出力部の位相補償が対策となると考えました。対策案は私のトランジスタアンプバイブル「最新オーディオDCアンプ」の回路を参考としました。掲載回路の出力部には33Ωと0.022uFの直列回路が負荷として接続されています。

抵抗の在庫は33Ωがなく、27Ωと39Ωがありましたが、カットオフ周波数は高くなりますが、より効果が期待できる27Ωを選択しました。一応、カットオフ周波数を確認しておきます。

fc = 1 / (2 x π x 0.022E-6 x 27)= 270KHz

部品の取り付けは、抵抗とコンデンサをあらかじめ接続して、出力部の端子台へ共締めすることとします。まずは抵抗とコンデンサを半田付けします。

上記写真には写っていませんが、この作業には、先日購入したツールクリッパーが必須です。アンプ出力部端子台には、スピーカー出力の他に、オフセット電圧検出回路配線が共締めされています。さすがに1カ所に3本の共締めは厳しいので、オフセット電圧検出回路配線を上記で準備したCR回路のリードへ事前に半田付けする事で、共締めの本数を減らしました。

まずは、発振しているR-ch Hotのみ対策適用して効果を確認します。部品取り付け後、アンプをオンしてみます。無音時の波形は特に問題ありません。続いて音楽を再生してみました。

ひとしきり、音楽を聴きましたが、発振波形の確認はできません。やった!発振が止まりました。発振現象を最初に確認したのが8月17日でしがた、その後電源ノイズ対策は、放熱対策をしつつ常に発振対策も考えてきていましたが、発振を止めるまでに約2ヶ月もかかってしまいました。やれやれ…。対策後のアンプ出力ノイズも念のため確認してみます。

黄色がHotで青がCold出力です。対策済みのHot側のノイズ波形の方が素直に見えます。それではさらに、Cold側も同じ対策を適用してみます。

出力ノイズ波形は対策後の方が気持ちすっきりした波形に見えます。プラシーボ効果でしょうか?対策が確定できたので一旦回路図を更新してみます。

アンプ出力部にR20とC07を追加しました。これでまずは、発振面に関して安心して音楽鑑賞ができる状態になりました。残ったR-chも同様の対策を適用します。

検討用に写真のとおり、ずっとアンプを設置していましたが、これでこの設置状態から解放されます。R-chについては、適用の前後のアンプ出力ノイズ波形の比較をしてみました。

上が対策前で、下が対策後です。この結果を見ると、アンプ出力ノイズ波形は、対策により素直になっている事が確認できました。

発振対策について

実の所、記事にしていませんが、毎週毎週なんらかの試みを行っては効果なしの繰り返しとなっていました。記事上は、他の案件を進めてきてはいましたが、そのネタも尽きてしまったので、記事も発振対策に戻しましたが進捗は芳しくなく、本ブログ初の対策断念となってしまう覚悟もしていました。出力ノイズはまだ残っていますが、これで肩の荷を下ろす事ができました。

後日譚

記事作成後に、アンプ出力部のCR回路はゾベルフィルターと呼ばれている事がわかりました。高周波域の発振対策回路との事です。ネット検索すると詳細説明がヒットするとおもいます。

 

つづく(製作編57)