終段スイッチング電源検討(製作編55)

製作編55

引き続きアンプの発振対策を行います。

R-ch発振対策

前回検討を行った、温度補償用トランジスタ部へ仮追加したコンデンサーを全て一旦取り外しました。改めてアンプの回路図を掲載します。

次に試した事は、終段トランジスタベース入力間へのコンデンサ追加です。手持ちで追加した限りでは、全く効果はありませんでした。次に試す対策に悩んでいるときに、L-chとR-chの違いがある事を思いだしました。具体的には、2段目のトランジスタへ取り付けている発振対策のコンデンサーです。過去の検討では、あまり差が認められなかった為、現状、C01を取り外した状態となっています。

過去の検討時と状況が変わっているため、改めてコンデンサーを追加して試してみました。追加するコンデンサーは22pFです。

基板を元に戻し、対策結果を確認してみます。電源オンし、リレーがオンした後の波形を確認します。

オッ!発振が止まりまりました。波形は、電源ノイズ起因のもののみになっています。喜び勇んでCDを再生してみました。結果は以下のとおりです。

上がHotで下がCold出力です。曲再生の途中で発振しています。発振は継続せず、一旦止まりますが、なんらかのきっかけでまた発振します。おそらくCold出力は、Hotの信号のまわり込みと見られ、Hot側のみの問題のように見えます。無信号時の発振が止まったのに、やれやれ。

再生中の発振対策

まずは、Hot側の2段目の位相補償コンデンサーを22pFから33pFへ増やしてみました。結果は以下のとおりです。

状況はほとんど変わりませんでした。この状態で、過去に取り付けた温度補償トランジスタ配線のフェライトコアを外してみました。

全く変化はありません。取り外したフェライトコアを元のとおり取り付け、2段目の位相補償用コンデンサを15pFに小さくしてみました。

この変更も全く効果はありませんでした。Hot channelとCold channelの違いという事で、電圧増幅段への電源供給ラインを三つ編みにしましたが、これも効果はありませんでした。さらに電圧増幅段およびドライバー段の電源端子台に電解コンデンサーを取り付けてみましたが、全く変化はありませんでした。試しに、スピーカー接続を外したところ発振しませんでした。

この間も幾度となく参照していた、私のトランジスタアンプ製作のバイブル金田明彦著「最新オーディオDCアンプ」を改めて見て直してみました。確認したかった点は、アンプ出力に取り付けられている位相補償回路です。掲載のアンプ回路には、一律で33Ωと0.022uFの直列回路が出力部分に取り付けられています。

今まで、この回路の必要性を感じた事がなかったので試した事は一切ありませんでした。念のためカットオフ周波数を計算してみます。

fc = 1 / ( 2 x π x 0.022E-6 x 33)= 220KHz

現状苦しんでいる、発振波形を改めて確認してみました。

周波数は約8.8MHzでした。上記の位相補償の対象周波数域となっていました。この対策を試してみようと思い、部品在庫を確認しました。抵抗は33Ωはありませんでしたが、27Ωと39Ωがありました。0.022uFコンデンサはありました。という事で、次回はアンプ出力部の位相補償対策を試してみたいとおもいます。

 

つづく(製作編56)