1000Mのマルチアンプ駆動(構想編)

構想編

学生時代からやってみたいと考えていた1000Mのバランスマルチアンプ駆動システムの構築を改めて構想します。

1000Mのバランスマルチアンプ駆動

1000Mは説明するまでもなく、YAMAHAの密閉型3wayスピーカーです。学生時代に塾の講師のバイトをして買ったもので、購入後約35年が経過しています。特徴は堅牢なエンクロージャに30cmウーファーを組み込み、スコーカーとツイーターには真空蒸着ベリリウム振動板が採用されています。ウーファーを含めた各ユニットのエッジはウレタンが使用されていないため35年が経過しても現役として機能しています。

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ネットワークのクロスオーバー周波数は500Hzと6KHzで、-12dB/octでクロスさせています。特筆なのは、各スピーカーが正相接続されており、クロスオーバーでディップを発生させないために、ネットワークになんらかの工夫がされている可能性があります。

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このスピーカーですが、2017-05-16「マルチアンプ実験3」の記事で紹介したとおり、マルチアンプ駆動に対応できるように、改造を行っています。具体的には、ネットワークを取り出し、そこに各ユニット用のターミナルを取り付けて、独立して駆動できるようにしています。

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現状はセミマルチアンプ駆動しているため、ツイーターとスコーカーにアッテネータが入っていますが、フルマルチアンプ駆動の際にはバイパスさせてアンプにダイレクトに接続します。

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Lowチャンネル用パワーアンプ

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ウーファー用にはBTL方式のバランスDCパワーアンプ(モノラル)を使用します。(2016-07-11の記事「BTL A級DCパワーアンプ」~を参照)終段用の電源には10,000uFの電解コンデンサを10本使用して安定した電力供給をします。

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終段は、パラレルコンプリメンタリー方式により、スピーカーの駆動力を高めています。

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Midチャンネル用パワーアンプ

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EL34を使ったバランスシングルパワーアンプを使用します。(2016-10-14の記事「バランス入力シングルパワーアンプ」~を参照)EL34ppパワーアンプと条件を揃えて比較試聴をするために、終段はパラレル構成で製作しました。

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初段は、デュアル3極管12AX7を使った差動回路に定電流ダイオードを組み合わせたハイブリッド構成として、差動アンプを理想的な状態で動作させています。

Highチャンネル用パワーアンプ

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Highチャンネルは、バランスEL34プッシュプルパワーアンプです。(2016-06-26の記事「真空管アンプの製作」~を参照)見た目は、先に紹介したEL34シングルパワーアンプと変わりませんが、終段がプッシュプル構成となっています。この点以外は、EL34シングルパワーアンプとほぼ同じ仕様です。

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周波数特性がEL34シングルパワーアンプに比べて良好なので、こちらをHighチャンネル用としました。

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12チャンネルアッテネータ

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バランス3wayステレオ信号のボリューム制御は、12チャンネルアッテネータで行います。(2018-06-01記事「チャンネルデバイダーのVR制御」~を参照)アッテネータはリレーをマイコン制御して実現しています。

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実装スペースに余裕がなかった為、何点か妥協した仕様となっています。例えばミュート用リレー回路は出力段ではなくアッテネータブロックの最後に搭載されていて、電源オンオフ時のノイズ発生を運用によって防ぐ必要があります。とにかく実装に苦労しました。

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バランス3wayチャンネルデバイダー

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前回までの製作記事で紹介したものなので説明は省きます。

1000Mマルチアンプ駆動システム

上記で紹介したユニットを使用して1000Mをフルマルチアンプ駆動します。システムのブロック図は以下のとおりです。

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現状のセミマルチアンプ駆動システムと比較して、信号処理系のアンプの段数が増えてしまいますが、スコーカーとツイーターのアッテネータとネットワークをバイパスしてアンプとダイレクトに接続できるため、間違いなく音は変わると考えます。私の好みの変化をする事を期待して構築を進めます。

 

つづく(構築編1)

チャンネルデバイダ製作2(製作編24)

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製作編24

フィルター基板の信号配線を行いチャンネルデバイダーを完成させます。

フィルター基板入出力配線

前回行ったXLRコネクタ配線の基板側の接続を行います。作業済みの配線がじゃまにならないように、短い電線から行います。最初はL-chのLow出力配線です。適当な長さでカットされた電線の線長を合わせます。短すぎると作業がしにくくなり、長すぎると取り回しが汚くなります。こんな感じで配線しました。

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同様の手順でL-chの出力配線を完了しました。

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パネルコネクタの配置と出力端子台の配置が合っていないため、出力線がクロスしていますが、いまさらなので気にしない事にします。さらに全パネルコネクタ8本分の配線を完了させませした。単純な作業にもかかわらず手間がかかりました。特に基板の信号入力線は長いうえに、端子台挿入の向きと反対側から接続するため、接続がやりにくく、線長を短くすると端子台への挿入が厳しくなり、逆に長くすると電線の取り回しが汚くなるため、線長の決定を慎重に行いました。

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ボリューム配線

2個の4連ボリュームは、向かって右側をHighチャンネル用、左側をMidチャンネル用としました。4連の並びは、一番手前をR-ch/Hot, その手前をR-ch/Cold、L-ch/Hot, L-ch/Coldの順番としました。初めにR-ch Highの配線です。ボリュームのHot/ColdのGND端子を単線で接続して、ボリュームの出力線から配線します。続いてボリューム入力線の配線をしました。線長は適当な長さにして、基板側の接続も行いました。後の配線がやりにくくならないように、電線の取り回しに注意しました。

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全8本の電線の配線を行い、配線作業は完了です。

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端子台のネジしめは注意を払って行います。一旦締めてもしばらく置くと芯線が塑性変形するのか?ねじが緩んでしまいます。増し締めは必須ですが、ドライバのサイズがネジと合わないと、ネジを潰してしまうので注意が必要です。上記理由から端子台ネジしめ用にドライバを準備しています。

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柄のゴムは滑り止めの為に巻いています。

通電&動作確認

この状態で通電確認を行います。確認項目は供給電源電圧と、フィルタ出力のオフセット電圧です。結果は以下のとおりで問題ありませんでした。

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続いて動作確認ですが、しばらくどのように行うかを考えた結果、手軽な聴感確認を行う事にしました。方法は普通に音声信号を入力して、各出力を順にヘッドフォンアンプに接続して音を聴いてみました。初めはLow-chです。

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カットオフが500Hzでウーファーが受け持つ帯域ですが、聴感上の帯域は広く感じました。多くのファンだメンタルを含んでいるので当然でしょうか?今も使用されているかわかりませんが、NHK時報の低い音が440Hz(ラ)なのでこの音は帯域内ですが、高い音は1オクターブ上の880Hzは帯域外となります。本題に戻りますが、確認結果は問題ありませんでした。次はMid-chです。

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このチャンネルのカットオフは、500Hzと6KHzです。ファンダメンタルを含む約3オクターブ半を受け持ちます。実際に音を聴いてみると、薄っぺらい感じがします。聴感確認上は問題ありませんでした。最後はHigh-chです。

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最初の印象は音が小さい事でした。今まで、ツイーターのみの音を聴く機会があまりありませんでしたが、こんなものでしょうか?このチャンネルをEL34ppアンプで駆動する予定ですが、8Wも出力はいらないように思えました。聴感確認は全チャンネルともに問題ありませんでした。

仕上げ

電線をフォーミングします。最初は電源系の配線をインシュロックを使って束線しました。

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信号配線も同様に束線しました。

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最後にボトムパネルに脚を貼り、トップパネルを被せれば完成です。

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今年の年初から構想を開始して約3ヶ月間、バランス3wayチャンネルデバイダーの製作におつきあいいただきありがとうございました。次回からは「1000Mのマルチアンプ駆動」として、今回作成したチャンネルデバイダーを使ったマルチアンプ駆動システムの構築をレポートします。

 

おわり(製作編24)

チャンネルデバイダ製作2(製作編23)

製作編23

組立の大詰めとなりましたが、あせらず組立を続行します。

電源SW保護

狭い範囲に電源1次側端子とLED用電源端子があり、見た目上危険な感じがしたので、熱収縮チューブを電源一次端子に被せてみました。

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正直、熱収縮チューブの絶縁性はあまり期待できませんが、見た目の安心感は上がったとおもいます。

フィルター基板電源配線

組立の残りは、フィルター基板の配線のみですが、初めに電源配線を行います。電源基板から左右独立に+/-12Vを供給します。手前側の基板の配線距離は5cm以上あるので、電源線を編んでみました。

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オヤイデの通販で購入した電線ですが、被覆が固く編みにくいです。配線するとこんな感じになります。

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長さを合わせたので、いいかんじで配線できました。続いてリア側基板の電源配線を行います。配線長が5cm程度なので、電線の編み込みは断念しました。配線の結果はこんな感じです。

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後で気づきましたが、写真のフィルター基板側の接続が間違っています。+/-が逆になっていて、このまま電源を入れていたらフィルター基板1枚を壊してしまうところでした。2枚の基板の配線の電線色の順番が違っている事に気づき、難を逃れました。見た目でわかる仕様の大事さを実感させられました。

XLRパネルコネクタ配線

リアパネルに入力用2個、出力用6個のコネクタを取り付けましたが、そのコネクタ配線を行います。リアパネルをケースに取り付けた状態では、コネクタ端子のカット形状が上下逆になり、ハンダ作業ができません。

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仕方ないので、リアパネルを外した状態でハンダ付けを行う事にしました。すでに電源一次配線がされているので、自由な配置はできませんが、ケースのトップ位置に置くことで作業性が改善します。

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作業中の基板の取り回しを考えて、L-ch(短い配線)の入力から作業していきます。尚、パネルのコネクタ配置は、上段をR-ch、下段をL-ch、出力は、入力コネクタ側からLow、Mid、Highとしています。

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基板は、リア側がL-ch、フロント側がR-chです。前回のアッテネータ製作でパネルコネクタの配線を間違えてしまったので、今回は注意したいとおもいます。1pin=GND, 2pin=Hot, 3pin=Coldです。オスとメスでは、1pinと2pin位置が逆になるので注意が必要です。それではL-chの入力配線から開始します。電線は従来の製作と同様にベルデンの1503Aを使用します。アマゾンで扱われているので入手は容易です。被覆を剥きます。シールドはシースの内側のアルミホイルが行い、内接する電線でGNDに接地されています。シースを剥く際は、アルミホイルもいっしょにカットします。Hot/Cold電線も適当な長さで剥きます。

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L-ch入力コネクタ配線を行います。パネルコネクタ側の配線のみを行い、基板側は適当な長さでカットしておきます。

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続いて、L-chの出力配線を行います。入力コネクタ側から、Low, Mid, Highの順に行いました。

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GND, Hot, Coldの配線は写真のとおりです。

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シースを長めに剥き、GND電線は短めにカットし、Hot, Cold電線は長めにして必要な端子に接続しました。この手順で8個のXLRコネクタ側の配線が完了しました。

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リアパネルを所定の位置にセットするとこんな感じになります。

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次回は信号線の基板側配線とボリューム配線を行います。

 

つづく(製作編24)

チャンネルデバイダ製作2(製作編22)

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製作編22

組立の大詰めです。スタッドの取り付けから再開します。

ボトムシャーシ組立

前回、ケースの穴開け加工が完了しました。穴開け加工したボトムパネルに基板固定用のスタッドを取り付けます。基板1枚づつ取り付け確認を行います。初めはフロント側のフィルター基板を取り付けます。固定用のスダッド4本を緩めに取り付けてそれに基板をゆるめに固定し、この状態でスタッドを増し締めします。増し締めには小型のモンキーとドライバーを使用しました。

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この手順を踏むことで、スタッドを基板固定用のねじ穴位置に合わせることができます。2枚目のフィルター基板のスタッドも同様の手順で問題なく取り付け取り付けられました。ここまで固定用の穴の後加工は発生していません。順調なスタートです。次は電源基板固定用のスタッド取り付けです。穴開けの際に、切削油(食器用液体洗剤の原液で代用)が切れてしまい、最後の穴開けの際に材料がねばり、なかなか穴があけられませんでした。案の定、その穴位置は大きくずれていました。

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写真のとおり、1mm以上ずれています。仕方がないので、やすりを使って追加工を行いました。位置ずれ方向に楕円の穴に加工して、あとはフィルター基板の取り付けと同様の手順でスタッドを取り付けました。合計で12本のスタッドの取り付けが完了しました。

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念のため、加工したボトムパネルをフレームに被せてフレームと干渉がない事を確認しました。

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一旦、フレームを取り外して、その状態で基板とトランスを取り付けました。

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さらにこのボトムパネルとフレームを合体させ、ボトムシャーシを完成させました。

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いい感じになってきました。ミスの元なので、はやる気持ちを押さえて着実に作業を進める事を心がけます。さらに組立済みの正面パネルとリアパネルを取り付けて基板と干渉しない事を確認しました。

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ケースサイズに余裕があり、事前確認も行った為、特に問題はありませんでした。ここまできたらいても立っていられずに、つまみを取り付けて、買い直した電源ランプを点灯させてみたくなり、余計な手間をかけてしまいました。電源ランプには、ユニバーサル電源から12Vを供給して点灯させています。

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なかなかいい感じではないでしょうか?寄り道は早々に切り上げて、組立を続行します。次は電源回路の配線をします。トランスの1次巻き線は100Vと120Vタップがあるため、不要な120Vタップを処理します。適当な長さでカットして、いつものように端末キャップを被せてインシュロックで固定しました。

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トランス1次側配線、ヒューズ配線、SW配線、トランス2次側配線を行いました。いつもの手順なので効率良く進められます。唯一、電源基板出力として電源ランプの配線をおこないました。電源スイッチの配線は狭い範囲に電源ランプと電源一次配線が集中していて見た目に心配な状況です。後で、なんらか対応したいとおもいます。

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全体の配線は写真のとおりとなりました。

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配置に余裕があるため、配線もすっきり見えます。ヒューズをセットして今度は自前で電源ランプを点灯させてみました。

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自前点灯なので、ランプは電源SWに連動します。現状は電源の負荷が電源ランプのみなので、電源を切った時に電源ランプがゆっくり消灯します。フィルター基板を配線後に再度確認してみたいとおもいます。次回はフィルター基板の配線を行います。

 

つづく(制作編23)

チャンネルデバイダ製作2(製作編21)

製作編21

前回点灯確認を行った電源ランプ用制限抵抗の変更を行い、引き続きケースの加工を行います。

電流制限抵抗変更

前回の確認で、電流制限抵抗1.5KΩを設定しました。現状はLED単体を前提として電流制限抵抗2.7KΩが搭載されているので変更します。

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配線用のジャンパを取り外し、抵抗を交換しました。

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注意点としては、仕様変更して電源ランプを単体LEDタイプに切り替えた場合は、忘れずに抵抗値を再変更する必要があります。

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正面パネルの加工

久しぶりに加工用のテーブルをひっぱり出しました。

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穴開けの際の逃げ穴がある事と、材料の固定ができる事がメリットです。ARCADで作成した加工図を等倍印刷します。

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それをパネル外形に沿って切り取り、パネルに貼り付けます。

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穴は全部で5個です。それぞれのセンターにポンチで印をつけます。

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加工図を剥がし、印の位置に穴を開けていきます。最初は2mmのドリルで印の位置に正確に穴開けします。続いて3mmのドリルで径を広げます。

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ドリルのビットをステップドリルに交換してさらに穴径を広げます。ボリュームの軸用の穴は10mmまで広げます。スイッチ用の穴は16mmです。

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加工部のバリを取り、部品の取り付け確認を行います。最初は電源スイッチを取り付けてみます。写真のとおり問題なく取り付けができました。

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次はボリュームを取り付けます。回り止めの穴に余裕がないため、そのままでは取り付けができませんでした。リーマーで回り止め用の穴を少しづつ広げて取り付け確認を繰り返し、取り付けできるようになりました。

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ボリュームの軸が長いので、カットする必要があります。もう1カ所も同様の対応でボリュームの取り付けができました。続いて、ボリュームの軸をカットします。カットには金属用の糸鋸を使います。

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ボリュームの軸は何でできているのでしょうか?比較的柔らかい材質ですが、それでもカットは大変でした。2個共にカットして取り付け確認を行います。

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カット寸法は、軸の回りの取り付け用のネジのトップから8mmとしました。つまみを取り付けてみます。

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まあまあな感じではないでしょうか?

ボトムパネル加工

正面パネル加工時と同様に、加工図をカットしてパネルにかぶせました。この状態でフレームにはめ込み、加工図の穴位置に合わせて基板を置き、正面パネルのボリュームとフィルター基板のクリアランス確認を行いました。

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写真は正面パネル裏を横から見ている状況です。この結果、フィルター基板を加工図に対して5mm後ろにずらすと、基板に実装された端子台のネジとボリュームが重ならなくなり、配線の作業性が良くなる事がわかりました。手前のフィルター基板のみ固定用のネジ穴のポンチの位置を後ろに5mmずらす事にします。リア側の基板は、基板間のクリアランスが十分あった為、ずらす必要はありません。

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基板固定用の穴位置にポンチで印をつけます。手前側の基板の固定ネジ穴は、定規で4カ所ともに5mm後ろにずらした位置に印を付けました。残った電源基板用のネジ穴とトランスのネジ穴の位置だしを行います。未実装の基板を適当に配置して、固定用の穴のセンターにマジックで印をつけました。同様にトランスを適当に配置して、固定用の穴のセンターにマジックで印を付けました。印をつけた8カ所にポンチで印をつけて穴開け加工Readyです。穴径は全て3.2mmです。合計16カ所に穴を開けました。

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これでパネルの穴開け加工は全て完了しました。次回はケースの組立を行います。

 

つづく(制作編22)

チャンネルデバイダ製作2(製作編20)

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製作編20

ケースの加工と組立を続けます。

加工図の作成

ボトムパネルの加工図作成の為に基板配置を決めます。アクティブフィルター基板位置さえ決めれば、ケースサイズに余裕があるので電源基板とトランスは現物合わせで問題ありません。まずはざっくりと基板を置いてみます。

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写真はリア側の基板の配置状態です。フレームを避けてスタッド用の穴をあければリアパネル取り付け部品との干渉を避けられそうです。サイド側も写真の程度余裕が取れれば問題ありません。正面パネルのアクティブフィルタ基板側には、4連ボリュームが2個つきます。

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ボリュームはアルプスのRK27です。いつもは駆動用のモーター付きのものを選択していましたが、今回は干渉を避けるために値段は高くなりましたが、モーター無しを選択しました。モーター付きの方が安いとは流通のマジックですね?基板のスタッドも5mm長の物を選択して極力ボリュームと基板実装部品の干渉を避けます。シャーシのフロント部にボリュームを置いてみました。

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正面パネル位置にボリュームの固定部を合わせて置くと、基板と数ミリ干渉します。基板のスタッド長を5mmとしたので、基板自体との干渉はせず、基板位置を調整することで実装部品との干渉も回避できます。この確認結果を基にパネルの加工図を作成します。

パネル加工図

初めに正面パネルの加工図を作成します。取り付け部品は電源SWと電源ランプ、4連ボリューム2個の合計4部品です。従来使用してきたスイッチとフランジ付きLEDを購入済みでしたが、ケースを変えたので、もう少しおしゃれな物に変えようと思い、秋月電子の通販ページを検索してみました。LEDランプ内蔵のオルタネートプッシュスイッチで手頃な物が見つかりました。LAS2-16HEです。LEDランプは12V用ですが、電流制限抵抗を入れて調整すれば32Vでも使えます。ランプの色は白、青、赤の3種類ありましたが、青を選択しました。

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4連ボリューム用のつまみは、あまりいじる事がないのでφ13.7の物を購入していましたが、ボリュームの回り止め用のボスが正面から見えてしまうので、径の大きな物を買い直しました。

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写真右が購入し直した物で、径は23mmです。これであればボリュームのボスが隠せます。加工図はいつものとおり、ARCADで作成します。パネルサイズは81x314です。3部品をパネルの上下センターに配置してみました。

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続いてボトムパネルの加工図を作成します。パネル自体のサイズはW344xD294ですが、フレーム部を各辺の端から13mmを確保すると加工の有効範囲はW288xD268となります。アクティブフィルタの基板サイズは、155x114で、各辺から5mm入った四角に固定用のネジ穴が開いています。基板配置は、フロントパネルのボリュームと基板実装部品の干渉を避ける為に、やや後方に配置しました。

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先に述べたとおり、電源基板とドランスの取り付け位置は、後で現物合わせで決定します。

電源スイッチ

32V電源で点灯させる為の電流制限抵抗値を決めます。全部で5端子ありますが、秋月電子のHPに掲載されている部品仕様では、回路が良くわかりませんでした。

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仕方がないので通電を含めた確認を行います。初めに電流制限抵抗を決めます。まずは定格電圧で点灯させてみました。

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いい感じで点灯しています。この時の電流値は14mAでした。

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電流値14mA時に20V(=32-12)ドロップさせる為の抵抗値は、約1.5KΩ(20V/14mA)となります。選定した電流制限抵抗で点灯させてみました。

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問題なく点灯しました。次はSW回路の確認です。仕様はオルタネートで、オン/オフ時のSW位置は微妙に変わります。

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掲載回路からLEDマイナス電極側の端子がコモンでノーマルオンがプラス電極側、センターがノーマルオフと当たりをつけて確認してみました。確認の結果、この仕様で間違いありませんでした。次回はフロントパネルおよびボトムパネルの加工と組立を行います。

 

つづく(製作編20)

チャンネルデバイダ製作2(製作編19)

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製作編19

基板の製作が完了したので、ケースの加工と組立をスタートします。

ケースおさらい

従来の製作で使ってきたタカチのUSシリーズが昨年の9月で廃番となった為、新たなシリーズのケースを選定しました。アルミサッシケースOSシリーズです。フレーム部にスタッドが立てられない為、少し大きめのケースを選定しました。品番はOS88-32-33BSです。88はケースの高さ(mm)、32は幅(cm)、33は奥行き(cm)寸法を示しています。同一形状のケースとしてSLシリーズがありますが、OSシリーズがオールアルミ製に対して、SLシリーズはトップとボトムパネルにSPCCが採用されています。加工性を考慮してOSシリーズを選択しました。今回の製作では、リアパネルにXLRパネルコネクタを8個取り付けます。加工が大変なのでタカチのカスタム加工サービスを利用しました。

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タカチのカスタム加工サービスは、穴開け加工の場合、正規発注後実働5日発送を謳っています。1/18に見積を入手して発注しましたが、ケースの一部の部品が欠品のため、3月中旬納期との事で待っていました。見積はケース代込みで22,588円でした。ケースの定価が11,620円なので、加工費は10,968円となります。この加工費はDXFデータ割引1,000円が適用されています。発注時納期から吸上がり、3/1に届きました。

ケース部品

先日の記事で、加工済みのリアパネルに部品取り付け確認を行いましたが、それ以外の部品の確認を行います。これが全部品です。

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その中から小型の包みを取り出します。品番はSK-88で数量は2個となっています。

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包みを開けてみます。

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1パッケージ2個入りの金具で、合計4個入っています。パネル固定用の部品と思われますが、説明書等ないので現時点では特定できません。次は平板状の棒です。品番はSF-304-320Sで数量4となっています。

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包みを開けてみます。レール状の部品4個が入っていました。

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写真は2本分ですが、パネル板厚分の溝が付いているので、パネル固定用のレールと思われます。続いての部品はパネル部品です。品番はOS88-330Sで数量は2個です。

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包みを開けてみます。

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ブルーのシートが貼られたパネルが2枚入っていました。サイドパネルと思われます。残りは、トップおよびボトムパネルとフロントパネルおよびネジと脚です。

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ケース組立

初めに先日部品の取り付け確認を行ったリアパネルを完成させます。前回取り付けたXLRパネルコネクタは写真の状態です。

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いい感じの取り付けできています。残りのコネクタも取り付けます。信号入力用にメスを2個と出力用にオスを6個を取り付けました。

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続いてボトムパネルにレールが取り付けられそうだったので、つけてみました。

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組立時のキズ防止のため、パネルのボトム側にビニールシートを貼ってみました。

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次はサイドパネルに金具を取り付けます。方法は位置は手探りです。

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取り付け位置と向きを捜し当て、取り付ける事ができました。

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続いて、サイドパネルとボトムパネルを合体させようとしたところ、ボトムパネルに塞がれてサイドパネル金具の一部のネジ穴にアクセスできない事がわかりました。ボトムパネルに取り付けたレールを一旦取り外し、それをサイドパネルに取り付けたところ、フレームが完成しました。

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この状態でボトムパネルをはめ込むとボトムシャーシができあがりました。

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サイドと前後のフレームの状態は写真のとおりです。

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部品を取り付け済みのリアパネルを取り付けてみます。サイドパネルの金具とパネルコネクタのクリアランスがぎりぎりでしたが、取り付ける事ができました。

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完成した基板とトランスを並べてみました。

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フレーム構造を警戒してケース選択したため、余裕の配置となりました。1サイズ小さくしても良かったかも知れません。次回はケース板金の加工および組立を行います。

 

つづく(製作編20)