1000Mのマルチアンプ駆動(構想編)

構想編

学生時代からやってみたいと考えていた1000Mのバランスマルチアンプ駆動システムの構築を改めて構想します。

1000Mのバランスマルチアンプ駆動

1000Mは説明するまでもなく、YAMAHAの密閉型3wayスピーカーです。学生時代に塾の講師のバイトをして買ったもので、購入後約35年が経過しています。特徴は堅牢なエンクロージャに30cmウーファーを組み込み、スコーカーとツイーターには真空蒸着ベリリウム振動板が採用されています。ウーファーを含めた各ユニットのエッジはウレタンが使用されていないため35年が経過しても現役として機能しています。

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ネットワークのクロスオーバー周波数は500Hzと6KHzで、-12dB/octでクロスさせています。特筆なのは、各スピーカーが正相接続されており、クロスオーバーでディップを発生させないために、ネットワークになんらかの工夫がされている可能性があります。

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このスピーカーですが、2017-05-16「マルチアンプ実験3」の記事で紹介したとおり、マルチアンプ駆動に対応できるように、改造を行っています。具体的には、ネットワークを取り出し、そこに各ユニット用のターミナルを取り付けて、独立して駆動できるようにしています。

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現状はセミマルチアンプ駆動しているため、ツイーターとスコーカーにアッテネータが入っていますが、フルマルチアンプ駆動の際にはバイパスさせてアンプにダイレクトに接続します。

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Lowチャンネル用パワーアンプ

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ウーファー用にはBTL方式のバランスDCパワーアンプ(モノラル)を使用します。(2016-07-11の記事「BTL A級DCパワーアンプ」~を参照)終段用の電源には10,000uFの電解コンデンサを10本使用して安定した電力供給をします。

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終段は、パラレルコンプリメンタリー方式により、スピーカーの駆動力を高めています。

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Midチャンネル用パワーアンプ

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EL34を使ったバランスシングルパワーアンプを使用します。(2016-10-14の記事「バランス入力シングルパワーアンプ」~を参照)EL34ppパワーアンプと条件を揃えて比較試聴をするために、終段はパラレル構成で製作しました。

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初段は、デュアル3極管12AX7を使った差動回路に定電流ダイオードを組み合わせたハイブリッド構成として、差動アンプを理想的な状態で動作させています。

Highチャンネル用パワーアンプ

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Highチャンネルは、バランスEL34プッシュプルパワーアンプです。(2016-06-26の記事「真空管アンプの製作」~を参照)見た目は、先に紹介したEL34シングルパワーアンプと変わりませんが、終段がプッシュプル構成となっています。この点以外は、EL34シングルパワーアンプとほぼ同じ仕様です。

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周波数特性がEL34シングルパワーアンプに比べて良好なので、こちらをHighチャンネル用としました。

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12チャンネルアッテネータ

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バランス3wayステレオ信号のボリューム制御は、12チャンネルアッテネータで行います。(2018-06-01記事「チャンネルデバイダーのVR制御」~を参照)アッテネータはリレーをマイコン制御して実現しています。

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実装スペースに余裕がなかった為、何点か妥協した仕様となっています。例えばミュート用リレー回路は出力段ではなくアッテネータブロックの最後に搭載されていて、電源オンオフ時のノイズ発生を運用によって防ぐ必要があります。とにかく実装に苦労しました。

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バランス3wayチャンネルデバイダー

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前回までの製作記事で紹介したものなので説明は省きます。

1000Mマルチアンプ駆動システム

上記で紹介したユニットを使用して1000Mをフルマルチアンプ駆動します。システムのブロック図は以下のとおりです。

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現状のセミマルチアンプ駆動システムと比較して、信号処理系のアンプの段数が増えてしまいますが、スコーカーとツイーターのアッテネータとネットワークをバイパスしてアンプとダイレクトに接続できるため、間違いなく音は変わると考えます。私の好みの変化をする事を期待して構築を進めます。

 

つづく(構築編1)