DCパワーアンプ電源改良(製作編3)

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製作編3

前回、ボトムシャーシの加工が終わったので、トランスの取り付けと配線を行います。

終段用電源トランス実装

終段用電源トランスの変更は、今回の音質改善の目玉の1つです。現行5A品に対して所用電圧仕様で東栄変成器ラインナップの定格電流Maxの20A品を選定しました。20Aの定格電流は、8Ωのスピーカーに対して、出力1KW以上の電流容量を持っています。価格は税抜きで8,820円x2と出費になりましたが、この際とことん拘りたいと考えました。宅配便で2個届きましたが、腰を痛めそうな重さです。

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固定用のビス穴にネジを先に入れてその上からトランスを設置しました。

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固定用のネジはφ4mmx4です。緩み防止のバネワッシャを入れて固定しました。

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写真では、1次配線片側を行っています。コアがネジ止めされていますが、念のため増し締めしましたが、全てきっちり締まっていました。配線前に回路図を見直しました。サージキラーは、終段用電源トランスの1次側に変更しました。XLRコネクタは、1ピンが最初に接続されるとの事なので、1ピンをGND配線に変更しています。

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修正回路図に従って、サージキラーを取り付けます。発生元に取り付けると効果が高いと考えられるので、終段用電源トランスの1次側端子へ直接取り付けました。

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念のため、トランスとケースの外板とのクリアランス確認を行います。十分なクリアランスがあります。

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初めに1次配線を行います。電線は少し細いですが、0.75sqを使用しました。

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電圧増幅段用電源トランスは、アンプ本体の改造時に取り付けを行います。続いてトランスの2次側の配線を行います。

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電線は1.25sqを選択しました。もっと太い電線を使用したかったですが、XLRパネルコネクタとの接続を考慮して我慢しました。

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電源ランプ配線

センターの赤のネオン管は電圧増幅段用電源トランスの1次側に、両サイドの緑のネオン管は、左右それぞれの終段用電源トランスの1次側に接続します。

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トランス1次側への配線は、ラグ端子板へ接続しました。これで電圧増幅段用電源トランス以外の配線は完了しました。この状態で一旦通電確認を行います。

通電確認

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2Aのヒューズを装着して、まずはそのままの状態で電源オンしてみます。この状態では、トランスへの通電はされていません。

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予想よりも暗い点灯です。続いて、ワニグチクリップでトランス2個に通電状態として電源オンしてみました。

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あれれ?電源ランプが点きません。先ほど点灯した赤のネオン管も点きません。ヒューズを外してみたところ、切れていました。

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2個のトランスの励磁突入電流で切れてしまったようです。容量の大きなヒューズを調達するまで確認は延期となりました。スーパービバホームで在庫を確認したところ、2A以上のものは、4A, 5A, 8A, 10Aが販売されていました。この電源の負荷となる2台のアンプの一次側の定格電流は2A以下なので安全上、できる限り小容量のものを使いたいため、全種類を購入しました。

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2A品は、在庫を使いきってしまったため購入しました。まずは4A品をヒューズホルダにセットして確認してみます。緊張しながら電源オンしてみました。何事もなく電源ランプが点灯しました。

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念のため、数回オンオフを繰り返しましたが問題ありません。現状、電圧増幅段用のトランスが未実装ですが、運用上終段のトランスは電源オン後に、1台づつ個別にオンさせるため、この状態の確認で問題ないと考えます。電源トランスユニット自体の製作は一旦ここまでとします。次回はアンプ本体に搭載する電圧増幅段用電源基板を製作します。

 

つづく(製作編4)

DCパワーアンプ電源改良(製作編2)

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製作編2

電源トランスユニットのフロントパネルの加工から再開します。

フロントパネル加工

フロントパネルに取り付ける部品は、ネオン管3個のみです。加工図は以下のとおりです。

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取り付け穴径は3個ともにφ9.3です。いつものとおり、加工図を外形に沿って切り取り、パネルに貼り付けます。

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穴のセンターにポンチで印をつけて、ドリルで穴開けします。ステップドリルでφ8.0の穴を開けて、後はリーマーで穴を広げます。

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少し削っては、部品を挿入して広げすぎないようにします。丁度いい感じに穴が広げられました。

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同様に残り2個の穴もあけました。部品を取り付けるとこんな感じです。

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センターのみ赤で両サイドは緑のネオン管です。どのみち隠して使うので、デザインは気にしません。

ケース組立

フロントおよびリアパネルの加工が終わったので、ケースのフレームを組立ます。最初に側板にフレーム取り付け用のフランジをネジ止めします。

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添付のネジは2種類ありますが、似ているので注意して使用します。手前側は普通の皿ネジですが、奥側は天板と底板取り付け用の化粧ネジです。

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向きを間違えずに、また保護用のシートを挟まないように取り付けます。

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側板2枚に4個のフランジをネジ止めしたら、フレーム材を取り付けます。

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フレーム材の細い溝は、パネル差し込み用のスリットです。向きを間違えないようにネジ止めします。

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一旦、4本ともに仮止めします。

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その状態で、正規の向きにケースを置き直して、上側のフレームを外してパネルを取り付けます。最初はフロントパネルを取り付けました。

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改めて上側のフレームを固定し直します。続いて、リアパネルも同様に取り付けました。

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リアパネルは加工時に少し歪めてしまったために、フレームの溝にはめ込むのに苦労しました。これで天板と底板を除き、ケースが完成しました。

ボトムシャーシ加工

ボトムシャーシの加工図は、A3用紙にも入りきらなかった為、リア側の一部が切れる状態で印刷しました。外形に沿って切り取り、底板に貼り付けました。

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加工図のリア側が足りませんが、位置出しには関係ないので気にせず進めます。この状態で、トランスとラグ端子板を所定の位置に置いて、先ほど組み立てたケースを被せてみました。

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写真上、トランスの右側のフランジがフレームとオーバーラップしているように見えますが、これはトランス上部のフランジで、下側の取り付けフランジの位置は問題ありません。手前側の電圧増幅段用の電源トランスは、現行のアンプに搭載されているため、確認は省略します。パネル取り付け部品とのクリアランスも十分とれているため、このまま加工を行います。加工は、ラグ端子板取り付け用のネジ穴のみφ3.2で開けて、それ以外のトランス取り付け用のネジ穴は全てφ4.2で穴開けしました。

ラグ端子板加工

ラグ端子板は、トランスの1次配線の中継用として使用します。片側を商用電源のN配線とし、反対側を3個のトランスのL配線用として使います。各端子間はポリウレタン被覆単線で接続しています。ポリウレタン被覆線は、40Wのコテを使用すると短時間でハンダする事ができました。

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ボトムシャーシにスタッドを立てて、加工したラグ端子板を取り付けてみました。

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右側奥が、電圧増幅段トランス用で、その手前の2極2セット分が終段トランス用端子です。次回はトランスの取り付けと配線を行います。

 

つづく(製作編3)

DCパワーアンプ電源改良(製作編1)

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製作編1

設計が終わったので電源トランスユニットのケースの加工から製作を開始します。

電源トランスユニットのケース

このケースはタカチ電機工業のOS133-32-33SSを選定しました。購入は楽天内の販売店経由です。事前の情報のとおり、タカチ電機工業から直送されました。ケースの外形寸法からは考えられない程のスリムな梱包です。

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早速開けてみます。中には緩衝用の新聞紙とさらに小振りの梱包が入っていました。

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外箱が発送用梱包で、中の箱がこのケースの専用梱包とおもわれます。このケースはフレーム構造のため、板金とフレーム材に分解できるため、梱包効率が非常に良いです。中身を取り出してみます。プチプチにくるまれた材料と、組み立て図が掲載された資料が入っていました。

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チャンネルデバイダー製作でOSシリーズを使った際には組み立て図が入ってなくて組立に戸惑いましたが、改善されたようです。

リアパネル加工

プチプチの中からパネルを取り出します。フロントとリアパネルは共通なので、1枚取り出します。パネルはヘアライン仕上げをされた面に保護用のシートが貼られていますが、剥がさずにそのまま加工を進めます。いつものとおり加工図を印刷します。A4には収まらないため、会社のプリンターでA3用紙に印刷してきました。外形にそって切り取り、パネルに貼り付けます。

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取り付ける部品はXLRパネルコネクタ4個とACインレット、ヒューズホルダーです。それぞれ丸穴のセンターとACインレット取り付け用の角穴の四角にポンチで印を付けました。加工図を剥がして穴あけを開始します。

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XLRパネルコネクタ取り付け用ビス穴と、ACインレット取り付け用ビスφ3.2の穴を開け、他はとりあえずφ4.2の穴を開けました。シャーシパンチとハンドニブラを使用する為に4.2の穴を、ステップドリルを使ってφ10まで広げました。ACインレット用の角穴の4角のポンチを目印にカット用のラインを引きました。最初にXLRパネルコネクタ用の穴加工をします。図面上の穴径はφ24ですが、私のもっているシャーシパンチの型はφ21のワンサイズ上がφ25です。

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φ21から削りあげるのはかなりの手間です。下記がパネルコネクタの図面です。

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仮にφ25の穴を開けてもパネルコネクタのフランジが片側0.5mmオーバーラップします。リスクはありますが、作業量には変えられません。今回はφ25で穴開けする事にしました。

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結局こんな感じに穴が開けられました。

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今回は、シャーシパンチで開けたままで、カット面が綺麗な為、パネルコネクタをリア取り付けしてみました。

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なかなかいい感じに取り付ける事ができました。続いてACインレット用の角穴を開けます。φ10の穴へハンドニブラの刃を入れて切っていきます。

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相変わらず、握力のトレーニングをしている気になってきます。比較的綺麗に穴があけられましたが、表面にキズがつくため、いつもどおりACインレットはフロント取り付けとしました。

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最後にヒューズホルダ取り付け用の穴を加工します。φ12の穴開け済みですが、長辺をφ13の楕円形に削ります。想像よりも大変ではありませんでした。

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これで電源トランスユニットのリアパネルの加工は完了です。本記事のアイキャッチ写真は全ての部品を取り付けたものです。次回は、フロントパネルの加工から製作を続けます。

 

つづく(製作編2)

DCパワーアンプ電源改良(設計編4)

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設計編4

電源トランスユニットのケースの加工図の作成が終わったので、アンプ本体のケースの設計を行います。

アンプケース

アンプのケースは縦型ヒートシンクケースHYシリーズです。現状のケースは運良く廃版になっていなかった為に、同じ物を選択して、フロントパネルとリアパネルを交換する予定です。型番はHY133-23-23SSです。パネルのみの販売もしているようですが、余った部品を捨てるよりも、ケースごと買い直して、余ったケースを別の製作で使う方針としました。

リアパネル加工図

取り付ける部品は以下のとおりです。

・XLRパネルコネクタオス3極1個(終段電源用)

・XLRパネルコネクタオス5極1個(電圧増幅段用)

・XLRパネルコネクタメス3極1個(信号入力用)

・スピーカーターミナル2個

現状のアンプのリアパネル加工図を修正して準備します。変更点は以下のとおりです。

・XLRパネルコネクタの加工寸法を変更(簡略化)

・ACインレットとヒューズホルダの代わりにXLRパネルコネクタの取り付け

・スピーカーターミナル穴加工の変更

修正した加工図は以下のとおりです。

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向かって右側に縦並びのXLRパネルコネクタが電源用コネクタです。横並びとした方が配線の作業性が上がりますが妥協しました。現行のアンプに取り付けている取っ手は、部品入手後に現物あわせで穴加工をする予定です。パネルはアルマイト製で厚みは3mmです。手加工の限界を越えているため、今回もタカチ電機工業のカスタマイズサービスを使う事にします。作成した加工図をDXF変換して見積もり依頼をしました。日曜日に送付して、見積もりはマルツエレック様経由で火曜日に入手できました。見積もりの結果は、ケース込み2台分で34,120円です。ケース単価が11,620円なので、1台当たりの加工費は5,400円です。前回は、XLRパネルコネクタ加工形状を複雑にした為、加工費は7,660円でした。加工図面の簡略化により、加工費を約30%安くする事ができました。納期は実働8日との事で、お盆休みの影響を受けそうです。

フロントパネル加工図

取り付ける部品は、以下のとおりです。

・オルタネイトプッシュSW

・LED(ブラケットタイプ)

フロントパネルも、前回の加工図を修正して準備します。変更点はトグルSWをプッシュSWに変更するのみです。1カ所穴径をφ16に変更するのみです。修正加工図は以下のとおりです。

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図面には、取っ手の穴加工も記載していますが、部品入手後に必要に応じて修正する予定です。

シャーシ加工図

下記は現行品のシャーシ加工図です。ここからトランス2個を外出しするので、基板2枚の配置の自由度があがります。終段用の基板を後ろに配置して、電圧増幅段用の電源基板を前に配置したいとおもいます。製作当時は、端子台を使用していない為、全ての基板配線はハンダ付けしています。これを機に、一部を端子台に変更してメンテナンス性を改善したいとおもいます。下記が現状の内部写真です。

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トランスが大きく手が入りにくく作業性が悪かった為に配線がごちゃごちゃしています。トランス2個を外出しするので、配線用の空間が確保できるため、この機会に配線をやりなおす予定です。電圧増幅段用の電源基板は、私が標準で使用している基板よりも小さいですが、電源を作り直す際に標準基板に変えて共通化します。加工図は、製作時に基板現品を並べて配置検討をした上で、作成したいとおもいます。

 

つづく(製作編1)

DCパワーアンプ電源改良(設計編3)

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設計編3

電源トランスユニットのケースの設計を進めます。

選定したケース

前回の記事で、ケースの選定を行いました。選定したOS133-32-33SSについて改めておさらいします。下の図はOSシリーズの構造図です。

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フレーム構造で、一部のフレーム部品を除き、アルミ製で加工しやすいケースです。フレーム構造は、部品の実装効率面で不利ですが、実装部品と外板とのクリアランス確保の為の構造と考えると気になりません。色は4種類設定されています。

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SS(シルバー)以外は、価格が数千円高くなりますが、素直にチャンネルデバイダで使用したSS品を今回も選択したいとおもいます。購入は、楽天で検索したところ多くのショップで取り扱われていました。総じてそのショップで在庫は持たずに、ダイレクトにメーカーから発送する仕組みのようです。その中から比較的安価だった測定器・工具のイーデンキへ発注をかけました。送料税込みで11,223円でした。

ボトムシャーシ加工図

最初にボトムカバーの加工図を作成します。ボトムカバーのサイズは、W316 x D309です。これに前後にフレームがそれぞれ20mm、両サイドにそれぞれ14mmオーバーラップします。それを考慮すると、ボトムシャーシに部品配置可能なエリアは、W288 x D269mmとなります。このエリアに前回検討したトランスを再配置してみました。

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前回の記事で検討したトランスの配置は、外板とのクリアランスを含めた寸法は、W290 x D255だったので、選定のケースには余裕を持って配置できました。最終的に、前後パネルとトランス間のクリアランスは47mm、サイドパネルとトランス間のクリアランスは28mm確保する事ができました。電圧増幅段用のトランスの間には、配線中継用のラグ端子板を配置しています。ここでトランス1次側の電源を分配する予定です。

フロントパネルの加工図

フロントパネルには、赤のネオン管1個と緑のネオン管2個を実装します。トランスの唸り対策で見えない場所に設置する予定なので、デザインには拘りませんでした。ケースの奥行き方向の寸法に余裕がとれた為、ネオン管の配置の制約はなくなりました。赤のネオン管をパネルのセンターに、左右チャンネルの終段電源の状態を示す緑のネオン管を赤のネオン管とパネルの左右の端とのセンターにそれぞれ配置しました。穴径は全てφ9.2mmです。

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リアパネル加工図

リアパネル実装部品は以下となります。

・ACインレット

・ヒューズホルダ

・XLRパネルコネクタメス5極2個(電圧増幅段用)

・XLRパネルコネクタメス3極2個(終段用)

幅方向に余裕があるため、全部品を横一列に配置しました。左右に電源出力用のXLRコネクタを各2個配置し、センターよりにACインレットとヒューズホルダを配置しました。作成した加工図は以下のとおりです。

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XLRパネルコネクタの取り付け用の加工は、従来に比べて大幅に簡略化しました。この寸法の場合、ノイトレック製のパネルコネクタは、フロント取り付けとリア取り付けのどちらも選択可能です。別途アンプ本体のリアパネルの加工を依頼する予定ですが、加工費が安くできそうです。従来製作したパワーアンプのフロントおよびリアパネルには、部品ガード用にハンドルを取り付けていますが、今回は見送る予定です。実装部品がトランス4個と重い上に、フレーム構造のパネル強度が重さに負けてしまう可能性があるためです。ハンドリングを考えると取り付けたいところですが、今回は見送りたいとおもいます。

 

つづく(設計編3)

DCパワーアンプ電源改良(設計編2)

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設計編2

電源トランスユニットのケースの選定を行います。

搭載電源トランス

最初にケース選定に必要な、実装する部品のサイズを確認します。シャーシに実装する部品は、電源トランス4個です。左右チャンネルが独立で、片チャンネルあたり電圧増幅段用と終段用の2個です。電圧増幅段用は、現状搭載している東栄変成器のJ-161を流用します。外形寸法は以下のとおりです。

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終段用の電源トランスは、現行品に対して4倍に容量アップして音質改善を狙います。現状考えているものは、東栄変成器のJ-1220です。外形寸法は以下のとおりです。

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正面パネル取り付け部品

正面パネルには、ネオン管を3個取り付けます。左右チャンネル共通の電圧増幅段電源オンを示す赤のネオン管1個と、終段電源オンを示す緑のネオン管2個です。終段用は左右独立で表示をさせます。どちらもサトーパーツの同一シリーズの色違い部品の選定を考えていて、寸法は以下のとおりです。

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取り付け時のシャーシ内への飛び出し量は約35mmと大きく、配置の工夫が必要です。

リアパネル取り付け部品

電源トランスユニットの電源用にACインレットとヒューズホルダと、各アンプへの電源供給用に3極と5極のXLRパネルコネクタを各2個を取り付けます。ACインレットとヒューズホルダは、リアパネルセンターへ取り付け予定です。ケース内への飛び出し量は30mmを想定しています。次はXLRパネルコネクタを選定します。前回の記事で、SOUND HOUSEに豊富な在庫がある事を確認しましたが、その中から4種類ともにノイトレックのパネルコネクタを選定しました。メーカーを統一すると取り付け用の加工が共通になる事と、気休めかもしれませんが、3極の定格電流がITT製のものが15Aに対して、16Aであった事と、メーカーのサイトに図面がアップロードされていた事が理由です。参考に3極のメスの図面を掲載します。

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図面から、ケース内への飛び出し量は約25mmです。選定したパネルコネクタは、下記で赤丸を付けたものです。

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アンプ本体には、信号入力用に3極のメスのXLRパネルコネクタが存在します。差し間違いを防ぐために、アンプ本体の電源コネクタはオス側とします。従って、電源トランスユニット側のXLRパネルコネクタは、メス側となります。この仕様とした場合、ケーブル未接続時の感電の確率が下がります。上記をまとめると、リアパネルと内部実装部品間のクリアランスは、最低でも25mm必要で、場所によっては30mm必要となります。

電源トランスの配置検討

重い終段用の電源トランスをリア側に並べます。できる限り他の機器とケースの幅を揃える為に、幅を押さえる向きに配置したいとおもいます。その手前に電圧増幅段用の電源トランスを並べます。終段用のトランスよりも長辺が短い為、終段用トランスとは逆に、長辺を横向きに並べてみました。適当な間隔を取って並べた配置図を作成してみました。

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この配置の場合、全てのトランスの端子は前または後ろ方向に配置されます。外形に対して適当にクリアランスを取ってケースに必要な内寸を設定してみます。幅方向は両脇に20mmづつクリアランスを確保すると、必要な内寸は290mmとなります。奥行き方向は、前後方向に25mmづつクリアランスを確保すると、必要な内寸は255mmとなります。高さは、終段用トランスの全高が98mmなので、クリアランスを5mm確保すると、103mm以上の内寸が必要となります。この内寸(W290 x D255 x H103mm)を元にケース選定を進めます。最初に、3wayチャンネルデバイダで使用したOSシリーズを確認してみます。

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高さは99mmの上が133mmで、この寸法はアンプ本体のケースと同じです。チャンネルデバイダでは幅が320mmの物を使用しました(OS88-32-33SS)が、高さを考慮すると今回は高さ違いのOS133-32-33SS(13,220円)が良さそうです。このケースの内寸は、W294 x D 309.1 x H116.3なので十分実装できそうです。せっかくなので今まで使った事がない他のシリーズを確認してみます。選択可能な物としてMOシリーズが目にとまりました。

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高さ133mmで幅320mmのものがラインナップされていました。奥行きは280mmの上が350mmです。奥行きが小さい方のMO133-32-28BS(11530円)の内寸はW290 x D255 x H116と今回の配置にぴったりでした。MOシリーズは、上記の写真のとおり計測器に使用される外観で、オーディオにはいまいちのデザインです。OSシリーズはチャンネルデバイダで使用実績があり、今回設定したものは、チャンネルデバイダとフットプリントが同一の高さ違いのため、現行システムとのデザインの親和性があります。少し値段は高いですが、今回はOSシリーズを選定したいとおもいます。次回はケースの仕様を確認して設計を進めます。

 

つづく(設計編3)

DCパワーアンプ電源改良(設計編1)

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設計編1

DCパワーアンプの電源の改良の方針を決めたので具体的に設計を進めます。

電源回路

現状のDCパワーアンプの電源回路を再掲載します。

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この回路のトランスを別筐体に外出しします。その際に延長するラインは、前回の記事でも説明したとおりトランスの2次出力とします。この時の設計のポイントは以下項目となります。

・電源SW回路

・電源ランプの構成

電源SW回路

SWは、遮断電流の小さい部分に入れたい事から、現状と同様にトランスの1次側を切断したいとおもいます。具体的には、現状と同様に電圧増幅段はコンセントインで通電開始する仕様として、終段用の電源トランスの1次側にSWを配置する事になります。電源SWは、アンプ本体に設置すると電源トランスユニットとアンプ本体間を終段用電源トランスの1次配線を通す事になります。電流容量面から、電圧増幅段用の電源ライン3本に電源SW用の終段トランスの1次ライン2本を組み合わせて、5極のXLRコネクタを採用したいとおもいます。終段用の電源ラインは、電流容量を考慮して3極のXLRコネクタとします。一旦この状態の回路を起こしてみます。

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電源トランスを3極と5極のXLRコネクタで分離して、電源SWを1回路オンオフSWに変更して、さらに電源ランプを電圧増幅段と終段用に分けています。

電源ランプ

現状の電源ランプの仕様は、2色LEDを電圧増幅段オンで赤点灯させ、終段オンで緑点灯に切り替えています。今回も2色LEDの採用も可能ですが、SWをチャンネルデバイダで採用した自照式の押しボタンSWに変更したいと考えて、電圧増幅段用のランプを別に設置する事にしました。電源トランスユニットにも現在の状態を表示させるために、電圧増幅段と終段用の電源ランプを独立に設置したいとおもいます。但し、電源トランスユニットにはDC電源がないので、100V点灯可能なネオン管を採用したいと思います。ネオン管は秋月電子では取り扱いがなく、マルツオンラインで希望仕様のランプを見つけました。

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予想外に価格が高い(緑:490円、赤:460円)ですが、仕方ありません。赤を電圧増幅段用に緑を終段用のランプとしたいとおもいます。ここまでを電源の回路図に反映します。

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電源回路のグレードアップ

せっかく電源回路をいじるので、音質改善の要素も追加したいとおもいます。お金はかかりますが手軽にできる項目として、電力増幅段用の電源トランスを容量アップしたいとおもいます。東栄変成器の通販サイトを確認したところ、12V/20A(CTタップ付き)を見つけました。型番はJ-1220で価格は8,820円(税別)です。

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現行トランスの仕様が12V/5A(CTタップ付き)なので、4倍の容量アップです。コアがネジ止め式なので、唸りが改善する可能性があります。この変更で気になる部品は、終段用電源全波整流用のブリッジダイオードです。現行品は放熱特性を考えて4A品(D4SBS6)を採用していますが、トランスの容量アップに伴うラッシュカレントを考慮すると15A品(D15XBS6)に変更したいとおもいます。この変更を回路に反映させます。

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さらに構想編でも触れましたが、電圧増幅段用電源回路を安定化電源に変更します。回路は、バランス3Wayチャンネルデバイダの製作で設計したものを流用します。チャンネルデバイダの電源は+/-12V出力で、今回は+/-13.5V出力とやや仕様が異なりますが、そのままの回路でいけそうです。この変更を電源回路図に反映してみました。

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電源トランスユニットの構成

電源は左右チャンネル独立ですが、電源トランスユニットはコストと取り扱いを考慮して1ユニット構成とします。その際の電源ランプは、電圧増幅段用は左右共通として、電圧増幅段用のみ左右独立とします。次回はさらに具体的な設計を進めます。

 

つづく(設計編2)