まとめ編
実験用のチャンネルデバイダが組み上がったので、音を聴いてみます。
準備
改めて比較元の音を聴きますが比較条件も改めて紹介します。スピーカーはFostexのフルレンジユニットをウーハーとツイーターとして使います。ウーハーは16cm、ツイーターは10cmのユニットです。ネットワークは、アマゾンで購入した格安品です。クロスオーバー周波数は2KHzで、減衰量は-12dB/Octです。ウーハー用のアンプは自作のBTL A級DCパワーアンプを使いたかったですが、この2Wayスピーカーの音聴きの際に壊してしまいまだ修理できていないため、エルサウンドのBTLモノラルパワーアンプを使用しました。
比較元の音
フルレンジを2wayにして使用する事はナンセンスとのご指摘を受けそうですが、今回はマルチアンプ駆動の実験ということでご了解ください。実際音を出してみたところ、思いの外良い結果で驚きました。低域の量感もあり、音量を上げても中高域がうるさくなりません。いつも聴いているCDを一通り聴いて音の印象を記憶します。写真左が10cmフルレンジユニットFE103Enで右が16cmフルレンジユニットFF165WKです。
マルチアンプ試聴準備
ネットワークと16cmフルレンジユニット間の配線を外します。ネットワークには10cmフルレンジユニットがツイーターとしてのみ接続されます。
これをEL34pp真空管アンプで駆動します。ウーハーとして使用する16cmフルレンジユニットは、ダイレクトにエルサウンドのBTLモノラルパワーアンプに接続します。チャンネルデバイダのスルーとLPF出力用のボリュームを手元で操作するため、リスニングポイント手前にテーブルを置いてそこにチャンネルデバイダーを仮置きしました。USB-DACのバランス出力とチャンネルデバイダの入力間は、今回の実験用に購入した2mのバランスデーブルで接続しました。BTLモノラルパワーアンプは、スピーカー横に置いたため、チャンネルデバイダとの接続は普段使っている1mのバランスケーブルで間に合いました。EL34ppパワーアンプは、普段アンプを設置する場所に置いたため、「自作アンプで年末を聴く」の記事を書く際に購入した3mのバランスケーブルで接続しました。試聴準備はこれで完了です。
音出し
チャンネルデバイダのボリュームを絞り、電源を入れます。つづいてEL34ppアンプとBTLモノラルパワーアンプの電源を入れます。CDをセットして再生状態にして、LPF出力とスルー出力用のボリュームを上げていきます。BTLモノラルパワーアンプのゲインが小さいため、ボリュームの位置はアンバランスになりますが、この操作感は思っていた程悪くはありませんでした。
音の印象
予想どおり中高域は、真空管アンプの美しい響きの音となり、低音はメリハリのあるBTLパワーアンプの音がします。低音の量感はネットワーク接続時の方があるように聴こえましたが、ウーハーをダイレクトに接続したことで、スピーカーの制動力が上がり余計な共振が押さえられている為だとおもいます。音のつながりですが、違和感はありません。ツイーターの極性は正相と逆相を試しましたが、逆相の方が中域のレベルが上がるため、逆相で試聴をすることにしました。
試聴
■BJ2
中高域の響きが美しく、音の奥行きを感じました。低音の量感は後退しましたが、ベース自体の音が聴き取れます。
■卒業写真/井筒香奈江
ボーカルとウッドベースのみのシンプルな演奏です。少しくせのある女性ボーカルですが、自然に再現できてます。ウッドベースは無駄に響かず、明瞭に再現されます。16cmフルレンジの限界まで鳴らしている印象です。
■冬京/風
ベースをフィーチャーした楽曲です。音量を上げるとベースが生き生きなります。それでいて中高域がうるさくなりません。
■木星/惑星
中高域の響きの美しさ、奥行き感、低域は素直に再現されます。演奏がより雄大な感じに聞こえました。
実験2まとめ
今回の実験の結果は予想以上に良かったです。1点気になるのは、真空管アンプの終段のロードラインへの影響です。駆動するネットワークのLow側を外しているため、アンプから見たインピーダンスが上がっていると考えられます。ネットワークのLow出力に8Ω抵抗を付けて比較試聴してみたいとおもいます。今回の試聴で確認できたことを改めて整理します。
・中高域は真空管アンプ駆動することで真空管アンプの響きが得られた
・低域はDCパワーアンプで駆動することで超低域まで素直に再生できます。
・ウーハーのネットワークを外した事で制動力が上がりタイトな低音の再生ができた
以下の項目は継続して検討、確認が必要な項目です。
・ツイーター再生に対するウーハーの逆起電力の影響
・今回は聴いた印象でしかできなかったクロスオーバー付近の調整
・バランス駆動マルチアンプシステムにおける音量調整の方法
次回、今回の結果を受けて今後の方針をマルチアンプ実験3構想編としてまとめたいとおもいます。
つづく(構想編)