熱電対データロガー製作設計編

設計編

設計前に熱電対についてまとめてから回路設計を行います。

熱電対

熱電対は2種類の金属を接触させ、そこで発生する熱起電力を測定して温度センサーとして使用されています。熱電対を使った温度計のブロック図は以下のとおりです。

熱電対の2つの線の接触点を計測対象に配置すると、計測対象の温度T1と計測器内部の熱電対端の温度T2に応じて電圧が発生します。この電圧を熱電対の特性に応じて温度差T1-T2に変換して温度計測を行います。JIS規格によると熱電対の種類は以下のとおりです。

種類は記号で表されます。K Typeは温度による起電力が直線的で工業用途で一番使われています。次はJ Typeで熱起電力が比較的大きく、工業用途でこれも使用されています。一般的な熱電対用アンプには、温度T2の計測機能と熱起電力と(T1-T2)の変換テーブルを内蔵し、これらの情報を元に計測対象の温度T1を算出しています。

熱電対モジュール

選定した熱電対モジュールの情報を再掲載します。

詳細な情報は含まれていません。現品にマニュアルが添付されておらず、どうしたものかと現品を眺めたところ基板裏に必要な情報がシルク印刷されていました。

電源電圧は3-5Vで、入出力は入力電源電圧に対応する仕様です。また、本モジュールはK-Type専用です。

MAX31855仕様

上記の情報だけでは設計できないので、ネットからMAX31855の仕様をダウンロードしました。温度計測仕様は以下のとおりです。

内部温度T2(Internal Cold-Junction温度)分解能が0.0625℃で温度計測分解能が0.25℃となっています。欲を言えば0.1℃くらいの分解能が欲しいところです。温度計測のMax Timeが100msと時間がかかる印象ですが、実用上は全く問題ありません。次はメモリーマップを確認します。

モリーはで32bit(4byte)です。温度計測用が14bitで、内部温度用が12bit、他にエラー関連が4bit設定されています。最後にSPIインターフェースの仕様を確認します。

データの転送順はMSBFIRSTです。図中のパラメータの数値を確認したところSPI_MODE0でデータ転送が可能です。tchとtclのどちらも100ns minなので最大転送クロック周波数は5MHzと考えられます。arduinoのSPIライブラリのデフォルトのCLK周波数設定は4MHzなのでデフォルト設定で問題なさそうです。このチップにはマスター側から設定する情報がないのでSI端子情報は省略されています。

回路設計

回路設計という程のことはありませんが、今回使用のモジュールに合わせて回路図を書いてみました。

前回の記事の回路図との違いは、端子名が使用するモジュール表記のものに変更した事と存在しないMOSI端子ラインを削除しただけです。制御としては、スレーブセレクト信号CSはSPIライブラリに頼らずに、独自に選択処理する必要があります。

部品購入

熱電対温度計測モジュールとK Typeの熱電対それぞれ2組はアマゾンに注文しました。

これで3,761円でした。次回はシールド基板の組立を行います。

 

つづく(製作編1)