終段スイッチング電源検討(製作編19)

製作編19

アンプ基板実装の最後の仕上げを行います。その後、アンプ基板に接続用の端子台を実装した温度補償用トランジスタAssyの製作の準備を行います。

入力と帰還回路

アンプ基板の実装の残りは、初段Dual FETへの入力配線と、帰還回路配線です。入力回路は入力抵抗の実装は終わっているので、入力端子台と初段Dual FETのゲート間の配線のみです。今までの配線を考慮して行ってきた為、すんなりと接続する事ができました。問題は帰還回路配線です。実装する部品は抵抗2本です。抵抗2本は、Dual FET実装用のソケット脇に並べて実装しました。出力からの帰還ラインは無理をすれば通常ジャンパだけで配線する事もできましたが、すごく複雑な配線となるため、素直に被覆電線を使用して配線しました。最後は、初段のDual FETのドレインと定電流回路トランジスタのコレクタ間の接続です。ここも素直に被覆電線を使用して配線しました。

都合、被覆電線のジャンパを2本使用してしまいましたが、まずまずのできだと思います。接続の確認は後回しにします。

温度補償用回路について

このトランジスタは、終段用トタンジスタのヒートシンクに取り付け、温度上昇によるVbeの減少に伴う、終段トランジスタの熱暴走を防止します。仕組みを簡単に説明します。図は温度補償回路を抜き出したものです。

ヒートシンクの温度が上がると、このトランジスタの温度も上がりVbeが小さくなります。設計時はVbe=0.6Vとして設計しましたが、その時のこの回路の両端電圧は下記のとおりです。

Vta = 0.6 + 2E3 x 0.6 /550 = 2.76V(1.38x2V)

温度が上昇してVbeが0.6-ΔVbeに変化した場合の両端の変化電圧VΔtaは以下のとおりです。

VΔta = 0.6 - VΔbe + 2E3 x (0.6-VΔbe) / 550 = 2.76 - (1+2E3/550)ΔVbe

従って温度上昇した場合にこの回路の両端電圧は4.6ΔVbeだけ下がります。改めて回路図を見ると、ドライバ段と終段に4個のVbeが直列接続されていますが、その電圧変化以上にバイアス回路の電圧が下がる事で終段の熱暴走を防止しています。

温度補償用トランジスタAssy組立て

このAssyはHigh-ch用トランジスタアンプで採用した構造を踏襲します。まずはトランジスタを実装する基板を切り出します。

スルーホールサイズにして3x8のサイズとします。カットした後、固定用の穴をあけます。一番端のセンターのスルーホールを穴径φ3.2に広げました。

同様に残り3枚の基板も加工します。

続いて、配線用の線材を加工します。加工前に電線の長さを決めます。作成済みのサイドパネルの加工図を印刷して、メイン基板と温度補償用トランジスタAssy基板を配置して電線の長さを決めました。作業性も考えて多少長めに設定しました。

配線用の電線は赤黒と白の平行ビニール線を裂いて3色電線を三つ編みします。3線を揃えて万力で固定し、三つ編みが解けないようにインシュロックで固定します。

その後は地道に三つ編みします。反対側も三つ編みが解けないようにインシュロックで固定しました。

続いて温度補償用トランジスタを選択します。選別表から適当に4個を選択しました。

これで、温度補償用トランジスタAssyの組立準備は完了です。次回は加工を行います。

 

つづく(製作編20)