終段スイッチング電源検討(製作編49)

製作編49

終段の温度補償回路の効果を確認するために、データロガーを製作して終段のバイアス電流の変化の測定を行う準備をします。

背景

発振、電源ノイズ対策に行き詰まり、少し充電が必要と考えて温度補償回路の効果確認用にデータロガーを製作して測定をしてみる事にしました。この構想はだいぶ前から持っていましたが、なかなが実行に移せずにいました。今回は丁度いい機会なので製作を行って、温度補償回路の効果測定をしてみたいとおもいます。

温度補償回路

アンプの回路図を改めて掲載します。

バイポーラトランジスタは温度上昇に伴ってVbeの電圧が下がります。この為、ドライバ段のNPNとPNPトランジスタのベース間電圧を一定にしていると、終段とドライバ段のトランジスタのVbeが下がり、ベース電流が増加して終段とドライバ段のバイアス電流が増加します。その増加によりさらに発熱して温度があがるとVbeが下がり、さらにバイアス電流が増えるという危険のスパイラルに入ってしまいます。これを防止する為にトランジスタを使った温度補償回路のトランジスタQ07を、ヒートシンクに取り付けています。

この効果を測定するために、電源オンしてからの終段のバイアス電流の変化を測定をしたいとおもいます。具体的には終段のトランジスタのエミッタ抵抗間の電圧を測定して電流値を算出します。

データロガー回路

以前に測定した際には、時計とにらめっこして電圧値を手書きで書き出しました。その際に長時間の測定となるので、次回以降は測定の自動化をしたいと考えていました。測定は、Arduino UNOのアナログ入力端子を使います。アナログ入力端子は0-5V/10bitのA/Dコンバーター入力となるので、測定電圧をこの電圧範囲に納める必要があります。負の電圧は、反転アンプを介して正の電圧に変換する必要があります。今回の測定対象は+/-180mVなので、最低でも10倍に増幅してアナログポートで読みとる必要があります。少し汎用性を持たせる為に、ゲインを選択できるようにします。回路図は以下のとおりです。

上が正相アンプで下が反転アンプです。選択できるゲインは以下のとおりです。

ジャンパ設定の上から約2倍、5倍、10倍、20倍です。この程度の回路であればArduino UNO用のシールド基板に実装できそうです。

アンプ回路実装

シールド基板上に大物部品を置いて配置検討を行います。大物部品は端子台2個、オペアンプ用ソケット、ジャンパーSW用基板ポスト2個です。アンプの対策検討が気になり、あまり真剣に考えられませんでした。

一応配置が決まったので実装を進めます。実装課程の写真を取り忘れてしまいました。写真は実装完了時の部品面です。

一部のゲイン決定用の抵抗が欠品していて、未実装状態です。追加発注しましたので、入手次第実装します。ジャンパー線は被覆電線を使用しています。部品面にもスルーホール用のランドがある為です。ハンダ面は以下のとおりです。

残念ながら、2本ジャンパ線を飛ばしてしまいました。Aruduino UNOに接続するための接続用のポストの実装を忘れている事に気づきました。このポストは傾きやすいので、1箇所を仮ハンダして、傾きを修正しながら正規ハンダし直しました。

こんどこそ実装完了です。

実装確認

まずは、通電せずにオペアンプ用ソケットの各端子と端子台間の接続確認を行います。特に問題はありませんでした。次に+/-12Vを印加して、オペアンプ用ソケットの各端子電圧を確認しました。これも問題ありません。次はオペアンプを装着し、+入力に800mV、-入力の-800mVを印加して出力電圧を確認します。ジャンパはどちらも2倍設定としています。あれれ?マイナス出力が正しくでません。確認したところ、出力段の保護用のツェナーダイオードの向きが反対でした。

実装しなおしたところ、正しく動作する事が確認できました。これでデータロガー用のシールド基板は完成です。次回はソフトの作成および測定を行います。

 

つづく(製作編50)