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BTL_A級DCパワーアンプ構想編

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BTL方式のアンプ

学生時代のオーディオ仲間が当時YAMAHAのB-6を2台使用したBTL方式のシステムを構築していました。このシステムの再生する低音の瞬発力に魅了されたのが私のBTL方式との出会いです。B-6は小さなピラミッド型の筐体で200W+200Wを出力しますが、今仕様を見返してもBTL切り替えの機能は見あたらないため、BTLアダプタを使用していたと考えられます。私はというと、当時DCパワーアンプを設計製作して使っていましたが、BTL方式にあこがれつつもその為にはステレオパワーアンプ2台分が必要となり、学生の財布には重く社会人になったらいずれ設計してやろうと考えていました。それで今回の設計製作のきっかけとなったのが、先に記事にした真空管アンプの音です。その音の響きが思いの外美しく、トランジスタアンプの音の響きが真空管アンプのそれに負けてしまうのか確認の衝動に駆られた事によります。また、今を逃せば学生時代から暖めつづけた構想のアンプの設計製作のチャンスは一生ないとも考えて実行を決心しました。

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A級BTL方式

A級BTL方式は、ホットchとコールドchが逆相で動作し、終段に流れる電流は加算すると一定となります。片ch分を1つの電源で賄うと、電源には一定電流が流れるのみで、信号電流には依存しません。電源に信号電流が流れないということは、音が電源の影響を受けにくいと考えられます。(のちにこの考え方は見直しをしなければならなくなりましたが・・・)メーカー製のアンプを見ると、A級方式は特性上のメリット(クロスオーバー歪が発生しない)はあるものの、効率や発熱の観点から超高級品でのみ採用されているのが実状です。またBTL方式は、オーディオ分野では部品点数が増える為、大出力を唱う高価なアンプにのみ採用されています。(但しカーオーディオを除く)ということで、個人のホームユースを前提としたスペックのA級BTL方式のアンプはメーカー製のものが無い為、オーディオ製作にとって作り甲斐のある方式と考えています。

回路のベース

学生時代のアンプ設計に関する私のバイブルは、金田明彦さんの「最新オーディオDCアンプ」でした。この本は、個々の回路ブロックごとに試作を行い、実際に特性を測定してコメントするスタイルで構成されており、大変地道な作業に敬意を表します。この本の第1版は、1978年に発行され、私が購入したものが第3版で発行が1981年です。著者が今も尚表舞台に立たれていることに感服します。2016年のMJ誌主催のオーディオフェスティバルに参加しましたが、壇上に立たれて製作機器の紹介をされている小柄な著者にこのようなバイタリティがあることに改めて驚きました。私は社会人になり、オーディオの趣味から長い間遠ざかっていたため、パワーアンプ回路技術に関する知識は、当時からあまり変わっていません。言い訳にもとれますが、学生時代に構想したものを実現するのが今回の目的の1つなので当時のスタンダードな回路構成を前提として設計を進めます。

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構想

設計着手にあたり、考慮する項目をリストアップしました。
・A級BTL方式のモノラルアンプとする
・出力は先に記事にした真空管アンプに合わせて5~10W
・部品代も真空管アンプに合わせて7~8万円に押さえる
・私の学生時代のスタンダードな回路構成の初段FETの差動2段構成とする
・出力段はBTL方式による出力インピーダンスのアップを緩和するためコンプリメンタリーパラレル構成とする
・終段用の電源は安い部品を物量を投入する
真空管アンプに勝つために見た目もそれなりに拘る
オープンループゲインを無理に稼がず、差動動作にこだわり裸特性を考慮する

上記の一部は、新たに構想として加えたものですが、基本的に学生時代からの構想をそのまま書き出したものです。この構想に従って設計を進めていきます。

 

つづく(設計編1)