ローノイズ真空管アンプ(構想編)

構想編

ハムのレベルができる限り小さいローノイズ真空管アンプの構想検討を行います。

真空管アンプローノイズ化について

ローノイズ真空管アンプを構想しようと思ったきっかけを説明します。2023-01-10から投稿開始した「オシロFFT活用」で、オシロスコープの付属のFFT機能を使ってそれまでに自作したパワーアンプのハムレベルの測定を行いました。最初に比較したのは、EL34PPパワーアンプ2台で、1台は無帰還方式でもう1台は帰還方式のアンプです。測定ブロック図は以下のとおりです。

ブロック中のLPFは、ハムのスペクトラム測定を前提としてカットオフ周波数を約500Hzとしています。

事前の確認で、オシロスコープの感度設定によらずオシロスコープの入力端子で4Vppの正弦波がスペクトラム画面上で0dBとなる事がわかっています。プリアンプのゲインが20dBなので、プリアンプ入力で換算すると0.4Vppが0dBとなります。このシステムは、BTL方式のパワーアンプも測定対象とした為、プリアンプは差動入力も選択できます。

このシステムで2台の真空管アンプのハムスペクトラムの観測を行いました。結果は以下のとおりです。

結果は無帰還方式のハム高調波のピークレベルは-97dBで、帰還方式のハム高調波のピークレベルは-80.4dBでした。負帰還によってノイズが圧縮されるはずですが、それよりも、帰還ループが大きい事で逆にノイズを拾ってしまっていると考えられます。音色面でマルチアンプシステムには、負帰還アンプの方が適している事から、残念な結果となっていました。改善する為には帰還配線のルート検討が必要です。さらに当時の記事では、2台のA級BTLモノラルDCパワーアンプのハム測定も行っています。1台はマルチアンプシステムのウーファー駆動用アンプで、電源トランスを別筐体にしたものです。もう1台はツィーター駆動用アンプで、筐体内に電源トランスを内蔵しています。測定結果は以下のとおりです。

上がウーファー駆動用アンプの結果で、ハム起因のピークは観測できませんでした。下はツィーター駆動用アンプの結果で、ピークレベルは-82.8dBでした。ウーファー駆動用アンプの終段の電源はコンデンサインプット電源で、コンデンサー容量のトータルは100,000uFと大きく充電サイクル時の突入電流の影響を心配しましたが、まったく影響はありませんでした。一方、ツィーター駆動アンプのハムの高調波ノイズは、電源トランスの漏洩磁束起因と考えられます。上記の結果を踏まえて、今回製作する真空管アンプは電源トランスを別筐体に外だしをする事を考えてみます。

ローノイズ化アイデア

今回の設計構想のアイデアを整理してみます。

1)電源トランス外出し

2)負帰還配線の最適化

3)ヒーターDC点火

3項のヒーターDC点火は、効果はよくわかりませんが今まで試した事がなかったので検討項目に入れました。

設計の条件

今まで自作した真空管アンプは以下のとおりです。

1)A級プッシュプルアンプ1(負帰還)

2)A級プッシュプルアンプ2(無帰還)

3)シングルアンプ

4)A級プッシュプルヘッドフォンアンプ

さすがに保管場所がなくなってきたので、1番のアンプをばらして主要部品を使いまわしたいとおもいます。回路は特性比較の観点から1番のアンプを踏襲します。思いつきの構想なので、設計が考えたとおりできるかわかりませんが、チャレンジしてみます。

 

つづく(構想編)