トランジスタアンプ位相補償(改造編4)

改造編4

修理したアンプ基板の調整を行い、改造を完了させます。

基板調整

改めて基板の回路図を掲載します。

まず最初に小さくしまった終段のバイアス電流を調整しました。R15とR16の直列抵抗の両端電圧をマルチメーターでモニタしながら、VR3を回して310mVよりもやや大きな値(320mV)となるように調整しました。ヒートシンクの温度上昇によるバイアス電流の減少を考慮した調整です。続いて2段目の差動アンプの電流バランスを調整します。具体的にはR12とR13の電源側ではない端子電圧をVR2を回して所定の電圧にします。R13側は負帰還がかかっているので、電圧のずれは大きくありません。R12側をモニタしながらVR2を調整しました。最後に出力オフセット電圧をモニタしましたが、大きくずれていなかったので調整は1ループで完了しました。しばらく終段のバイアス電流をモニタしながら放置したところ、ほぼ所定の電流値に落ち着きました。これで調整完了です。調整結果は以下のとおりです。

上が修理調整後の各部電圧で、下がアンプ製作時の各部電圧です。ほぼ同じ電圧となっています。

動作確認

サイドパネルをケースに取り付けて、配線を元どおり戻しました。最初は無負荷でアンプ出力をオシロスコープでモニタしてノイズや発振していない事を確認しました。

特に問題ありませんでした。次はスピーカーを接続して単体でCDを聴いてみました。

問題なく動作する事が確認できました。故障した原因の特定はできませんでしたが、しばらく様子を見ることにします。

改造後の音聴き

このアンプは製作直後こそ、フルレンジスピーカーと組み合わせて音を聴きましたが、その後は、マルチアンプシステムのツィーター駆動用として使っているため、久しぶりにフルレンジスピーカーと組み合わせて全帯域の音を聴きました。比較に使用したアンプは先日完成させたスイッチング電源使用のA級BTLステレオDCパワーアンプです。

最初にボーカル曲を聴いてみました。

スコーカー用パワーアンプの方ばボーカルがややハスキーに聴こえます。逆に中低域はスコーカー用パワーアンプの方がしっかりした音に聴こえました。次は私の確認時の定番のBJⅡを聴きました。

このソースも同様な印象でした。

マルチアンプシステム音聴き

スイッチング電源採用A級BTLステレオDCパワーアンプの音確認を始めてから、マルチアンプシステムの音聴きを行ってきませんでした、期間は約半年間、久しぶりの音聴きとなります。下記ブロック図は従来のシステムです。

これを、改修したパワーアンプの音聴きに合わせて、スコーカーチャンネルをスイッチング電源採用A級BTLステレオDCパワーアンプに入れ替えます。

半年前の音は比較するレベルで覚えておらず、さらにウーファー用とツィーター用アンプは改造を行っており、スコーカー用アンプは入れ替えた為、比較はせずに、純粋に音楽を楽しむ事にしました。マルチアンプシステムの配線量は多く、間違えるとスピーカーユニットを壊してしまう恐れがあるので、慎重に配線を行いました。

上の写真は、スピーカー、スコーカー用アンプ、CDプレーヤー、DACユニットです。下の写真は、12chアッテネーターユニットと3Wayチャンネルデバイダーです。この2ユニットはリッスニングポジション手前に置いています。ウーハー用アンプとツィーター用アンプは床に直置きしているので、写真には写っていません。システムですが、電源オン後がすごく静かな印象です。スコーカー用アンプはファンが回っているにもかかわらずです。スコーカー用アンプを真空管アンプから交換した為かもしれません。その後音だしは問題なく、久しぶりにマルチアンプシステムで音楽をゆったりと楽しみました。

トランジスタアンプの改造はこれで完了です。次回は別の製作をスタートしたいとおもいます。

 

おわり(改造編4)