真空管アンプ負帰還(まとめ編)

まとめ編

改造が完了したアンプと同回路構成の帰還なしEL34ppアンプを比較試聴し、改造のまとめを行います。

比較試聴

最初に10cmフルレンジスピーカー(Fostex FE103En使用)を接続し、比較試聴を行いました。比較対照は、現行のマルチアンプシステムのスコーカー駆動用に使用しているバランス入力A級EL34ppアンプです。(比較試聴風景は、本記事のアイキャッチ写真参照)試聴に使ったCDは、井筒香奈江の「時のままにⅣ 時代」です。

使用した楽曲は中島みゆきのカバー曲「時代」で、ボーカル+ピアノのシンプルな構成です。最初に帰還なしアンプで1曲聴き、アンプを接続し直して改造アンプの音を聴きました。印象は以下のとおりです。

・はつらつとした(強引な)鳴りっぷりは後退

・音が緻密な感じ

過去に比較試聴をした際に感じた薄いベールを纏った音の印象はありませんでした。フルレンジスピーカーを鳴らす限りでは、好み次第と感じました。続いて、マルチアンプシステムのスコーカー駆動をした際の比較試聴を行います。上記と同様に最初に帰還なしのアンプで音を聴きます。音はいつも聴いているので特に感想はありません。同様に改造アンプの接続し直して音を聴いてみます。音の印象は以下のとおりです。

・音の余韻がきれい

・奥行き感の表現がアップ

ディスクをいつも聴いているものにさらに交換して聴き込んでみました。

ハイハットの音の雰囲気がいい

・トランペットの抜けがいい

とスコーカーの駆動アンプを変えただけなのに予想外の変化が感じられました。その後もいろいろな楽曲を聴いてみましたが、マルチアンプシステムのスコーカー駆動用としては、負帰還改造をしたアンプの方が総じて好印象でした。当面このシステム構成で運用したいとおもいますが、これでマルチアンプシステムのアンプは全て負帰還構成となりました。参考にシステムブロック図を掲載します。

まとめのまとめ

簡単に設計と製作をまとめます。予備のバランス入力A級EL34ppアンプを負帰還構成として音の違いを楽しむために改造を決意しました。単純に負帰還構成とすると、アンプは反転アンプ構成となり、ゲインが全段のインピーダンスの影響を受けるため入力にバッファアンプを追加しました。アンプ回路図と電源回路図を再掲載します。

バッファアンプの実装スペースは、元々負帰還用のCRを実装していた平ラグ基板実装エリアです。

ここへバッファアンプとバッファアンプ用の電源を実装した基板を取り付けました。

負帰還用CRのとりつけと配線は以下のとおりです。

心配した三端子レギュレータ入力電圧は問題ありませんでした。

改造後の各チャンネルの周波数特性は以下のとおりです。

R-chは、帰還無しの特性測定も行ったので特性比較もしました。

各チャンネルのHotとColdの特性比較です。

まとめは以上です。今回はあまりお金をかけずに音の変化を楽しむ事ができました。トータル7つの記事でしたが、おつきあいいただきありがとうございました。

 

おわり(まとめ編)