真空管アンプ負帰還(製作編4)

製作編4

改造したアンプの周波数特性を測定します。

周波数特性の測定1

いつものとおり、発振器の出力をアンバランスーバランス変換してアンプに入力します。パワーアンプの出力は8Ωのダミー抵抗を接続しました。

テーブルが狭いため、オシロスコープの下に発振器とアンバランスーバランス変換器を設置しています。まずは1KHzの正弦波を入力し、オシロスコープで入力と出力波形をモニタしました。結果は以下のとおりです。

入力0.2Vppに対して出力が3.98Vppです。設計は10倍(20dB)のはずが、20倍となっています。何かがおかしい。よくよく回路図を見直したところパワーアンプ入力部の抵抗の追加が漏れていました。

回路図上のR03とR04の2.2KΩです。これでは全く帰還がかかりません。前回の記事でお試しで音を聴いた印象が以前の負帰還アンプと異なっていた事に納得しました。帰還無し状態の音とも印象が異なりましたが、バッファアンプの挿入で約5dB程ゲインが上がっていた為と思われます。やれやれ。

改造2

抵抗の追加を忘れてしまった一因は、回路図が2枚に分かれていたためです。改めてアンプの回路図と電源回路図を作成しなおしました。

これで同様のミスを防ぐ事ができます。バッファアンプ出力部の配線を取り外して、2.2KΩを追加しました。なるべくHotとCold配線のループ面積を小さくする事を意識して抵抗の取り付けを行いました。

同様にL-chのパワーアンプ入力部にも2.2KΩ2本を取り付けました。

この状態で改めて1KHzの正弦波を入力しいてゲインを確認しました。

入力0.2Vppに対して出力は2.18Vppに下がっていました。ゲインは10.9倍(20.7dB)です。これで約5.2dBの負帰還がかかりました。改めて周波数特性の測定を行います。

周波数特性の測定2

改めてR-ch Hotの周波数特性をとりました。

素直な特性です。マルチアンプシステムのスコーカーチャンネル用に使用するには良い特性だとおもいます。2.2KΩ無し時(実質負帰還がかかっていない時)との特性を正規化して比較してみました。

高域の周波数特性が改善している事がわかります。本当は、それ以外の帯域のゲインが負帰還によって下がった為に、周波数特性が改善しているように見えているだけですが。その代わり、負帰還によりゲインが下がった帯域では、歪み特性の改善が期待できます。続いてR-chのColdも同様に測定しました。

Hot/Coldでほぼ同等の特性が確認できました。同様にL-chの周波数特性も測定します。

ほぼR-chと同等の特性です。ゲインを正規化してR-ch-Hotの特性を比較してみました。

重ねてみると、より同等の特性という事がわかります。最後にL-ch HotとColdの特性を比較してみました。

高域特性に若干の差がありますが、その差はなぜかRchの差と似ています。これで一通りの特性の測定が終わりました。次回はフルレンジスピーカーとマルチアンプシステムのスコーカーチャンネルを駆動させて音を聴いてみたいとおもいます。

 

つづく(まとめ編)