終段スイッチング電源検討(製作編33)

製作編33

負荷状態で各アンプの周波数特性の測定を行います。

No1基板周波数特性測定

改めて方法を説明します。発振器から4Vppの正弦波を入力して、入出力をオシロスコープで観測します。アンプ出力には4Ωのダミー負荷をつけている為、この状態の出力は0.5Wとなります。従ってBTL動作時の出力1W時と等価となります。電源オン後、アイドリング電流が安定するのを待って波形の観測を行いました。下記は1KHz入力時の入出力波形です。

設計どおり20dBの増幅動作をしています。入力周波数をスィープしていったところ、300KHz付近で入力信号のみ低下する現象が見られました。不思議な事に出力信号は一定です。

入力信号は4Vppに合わせると、当然の事ながら出力信号が大きくなります。

この場合、出力信号が9.0Vppまで大きくなっています。この現象を理解するため、入力信号を変えない場合と、4Vppに調整した場合の周波数特性の測定を行ってみました。結果は以下のとおりです。

入力信号が300KHz付近で25dBを越えている状況を確認しました。一方、入力信号を変化させない場合も400KHz付近でゲインが下がっています。不思議です。原因を特定する為にいろいろ試してみました。まずは、ダミー負荷の電線からの放射が原因と仮定して、ダミー負荷の電線を撚ってみました。

結果は全く変わりませんでした。次に410KHzの信号を入力したまま入力側のオシロスコープのプローブをGNDに落としてみました。

アレレ?オシロスコープ画面のch1に410KHzの信号が表示されています。何が起こっているのでしょうか?しばらく考えてみてわかりました。ch2はアンプの出力波形をモニタするため、プローブのGNDを終段用トランジスタ実装基板の出力端子台からとっています。入力周波数を上げた事で、GNDのインピーダンスが上昇して入力部のGND電位と差が発生しているようです。オシロスコープの2本のプローブを両GNDに接地していますが、プローブおよびオシロスコープのGNDラインにもインピーダンスがある事からこのような現象が発生したと理解しました。対策はch2のプローブのGNDを入力部から取る事です。改めて周波数特性の測定を行った結果は以下の通りです。

絵に描いたような特性が確認できました。この現象は、BTL駆動する事で負荷の駆動がGND基準ではなくなるので影響は出ないと考えられます。参考として1MHz入力時の入出力波形を掲載します。

他基板の周波数特性

同様にNo2~No4基板の周波数特性を測定しました。それぞれの基板の1KHz入力時の入出力波形を掲載します。

上からNo2、No3、No4基板の結果です。どの基板も問題ありませんでした。それぞれの基板の周波数特性をグラフ化します。

理想の特性の確認ができました。特性測定中にダミー負荷基板に実装された抵抗(0.47Ω)に触ってみたところ、0.5W負荷状態とはいえ、熱さを感じました。この基板はジグとして使い回す為保存しておきます。次回はSW電源を使用して通電確認を行います。

 

つづく(製作編34)