終段スイッチング電源検討(製作編60)

製作編60

アンプの周波数特性の測定を行います。

測定準備

測定はアンプに正弦波を入力し、入出力波形をオシロスコープで観測して周波数ごとのゲインを算出します。観測はいつものとおり以下のブロック図の環境で行いました。

簡単に補足すると、発振器の出力をアンバランス-バランス変換アダプタに入力してバランス信号に変換します。被測定アンプには8Ωのダミー負荷を接続し、上記のバランス信号を入力します。オシロスコープで、Hot/Coldそれぞれの入出力波形を観測し、レベルの比率からゲインを算出します。今回の注意点は、アンプにオフセット検出機能たあるため、入力信号のオフセットを低く抑える為に、発振器出力レベルを上げて、アンバランス-バランス変換アダプタの信号に対するオフセット電圧比率を小さくしています。その分、アンバランス-バランス変換器のボリュームを絞っています。まずはR-chから測定を行いました。写真はR-ch/Hotの入出力波形です。

黄色が出力波形で、青が入力波形です。入力信号は400mVppとしています。写真は上から10Hz, 100KHz, 1MHzの結果です。思いの他、高域の減衰量が大きくなっていました。同様にR-ch/Coldの特性の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

上が100KHz、下が1MHz時の入出力波形です。Hotに比べてColdの方が高域の減衰量が小さくなっていました。測定結果をグラフ化してみます。

R-ch/Hotの特性は、100KHzから減衰が始まっています。Hot側アンプの方が設置条件は悪いものの、明らかに異常な状況です。検討は後まわしにして、先にL-chの確認します。

写真は上がLch/Hot 1MHz、下がLch/Cold 1MHzの入出力波形です。この結果をR-chと同様にグラフ化してみました。

結果は、R-ch同様のHotの高域特性の方がやや悪くなっていますが、R-ch程ではなく、この差は設置環境差によるものと考える事ができます。やはり、R-ch/Hotは特性悪化の何らかの原因があると判断できます。

R-ch/Hot改善検討

R-ch/Hotに高周波信号を入力した状態で、各部を触ってみました。変化の兆しはありません。続いて他のチャンネルとの違いに着目してみました。1点、このチャンネルのみフェライトコアが1個追加されている事に気づきました。場所はアンプの出力ラインです。

フェライトコアが取り付けられている赤の被覆の太い電線がR-ch/Hotの出力ラインです。このフェライトコアがこれ程影響を与えるのか、半信半疑で取り外してみました。

早速、周波数特性の確認をしてみました。写真は、取り外し前後の1MHz入出力波形です。

出力は1.7Vppから3.0Vppにアップしています。早速結果をグラフ化してみました。

結果は想定を越えて改善していました。改めてこのようなフェライトコアの使い方は間違っている事を認識しました。改めて、R-chの周波数特性をグラフ化してみます。

対策により、ほぼL-chと同等の結果となりました。今回も途中で結果がどうなるかと思いましたが、なんとかまとめる事ができました。次回は低周波ノイズの測定を行います。

 

つづく(製作編61)