ローノイズ真空管アンプ(設計編1)

設計編1

前回構想した内容に従ってローノイズ真空管アンプの設計を開始します。

アンプ回路確認

前回構想記事で、現行のA級EL34ppパワーアンプの回路を踏襲する方針としましたので、まずは現行アンプの回路を確認します。既存アンプの回路は以下のとおりです。

初段は双三極管12AX7を使った差動アンプで、終段はEL34のプッシュプル構成です。A級動作させる為に終段のバイアス電流を67mAとしています。入出力ともにバランス方式で、GNDラインに信号電流が流れないようにしています。回路図には入っていませんが現行アンプは入力部にオペアンプを使ったバッファを設けていますが、電源オフ時のボツ音が発生する為、今回は削除します。現行システムの前段の12chアッテネータの出力インピーダンスは低くボリューム位置によらず一定なので問題はありません。

電源回路確認

次は電源回路を確認します。

メインの電源は、全波整流+コンデンサインプット+トランジスタリップルフィルター回路です。バイアス用のマイナス電源は三端子レギュレータを使った安定化電源です。残りは真空管用のヒーター電源です。

電源回路検討

基本的に電源回路も踏襲しますが、ヒーターのみDC点火を検討します。筐体間の電源供給はACで行い、アンプ側で整流以降を行います。従って、電源トランスのみを純粋に外出しするイメージとなります。初めにヒーター回路を検討します。EL34のヒーター仕様は以下のとおりです。

EL34ヒーター:6.3V/1.5A

トータル4本使用しているので、EL34用総ヒーター電流は6Aとなります。ヒーターをDC点火してローノイズ化するには、電源の安定化が必須と考えますが、6Aの安定化電源はいろんな意味でハードルが高いので、今回は終段真空管のヒーターは現状どおりAC点火とします。初段の方がノイズにセンシティブなので12AX7のみDC点灯化を検討します。12AX7のヒーター仕様は以下のとおりです。

12AX7ヒーター:6.3V/0.3A or 12.6V/0.15A

2種類選択できるのは、2つのヒーターを並列接続か直列接続かの違いです。端子配置図でイメージできます。

並列接続時は、9pinをコモンとして4pinと5pinに6.3Vを印加します。直列接続時は4pinと5pin間に12.6Vを印加します。今回は電流値を抑える為に直列で使用したいとおもいます。12AX7は2本使用するので、12.6V/0.3Aの安定化電源を用意します。簡単に済ますために、以下の可変三端子レギュレーターを使いたいとおもいます。

仕様を確認します。下表はデータシートの抜粋です。

表から入出力間の最低電圧は3Vなので、最低でも15.6Vを印加する必要があります。現行の電源トランスに適当な巻線がないので、専用に電源トランスを準備します。東栄変成器の販売サイトで候補を探してみました。

本当は、もう1クラス容量の大きい0.5A品欠品していたので0.3A品で我慢したいとおもいます。ヒーター回路の回路図を作成してみます。

可変三端子レギュレータの消費電力は1.26Wなので放熱対応が必要です。12AX7のヒーター回路を別トランスにしたので、オリジナルの電源回路に反映します。

12AX7のヒーター回路を除いた回路図です。バイアス用のマイナス電源は、空いたヒーター巻線を使って、倍電圧回路を削除しています。電解コンデンサの容量は適当なので、後で確認によって決定します。次回は、電源トランスユニットとアンプユニット間のコネクタ検討を行います。

 

つづく(設計編2)