構想編
昨年(2016年)に自作したバランスボリュームS1502をディスクリート化しようと検討を開始しました。
音楽の女神
大層なタイトルをつけてしまいました。タイトル画は面倒くさがる娘にわざわざ描いてもらったものです。お駄賃は身内価格で1000円です。本題に入る前にバランスボリュームS1502の回路をおさらいします。
■アンプ部回路図
■電源部回路図
トロイダルトランス出力を全波整流し、それを正負の3端子レギューレータで受けて+/ー電源をつくり、外部入力(USB DAC出力)をオペアンプを使ったボルテージフォロワで受けて、その出力をアッテネートしてパワーアンプに出力するありきたりの構成です。使用したオペアンプはオペアンプとして破格の1個3500円もするJRCのオーディオ用オペアンプMUSES01です。今回はこのボルテージフォロワを構成するオペアンプをディスクリート化しようと思い立ち、せっかくなので電源の3端子レギュレータも削除してディスクリート化することにしました。このオペアンプ名称のMUSESがギリシャ神話で智、文芸、音楽、芸術、学問などをつかさどる9人の女神たちとのことで、今回はこの音楽の女神にディスクリートアンプで挑みます。
MUSES01
Web上にMUSESシリーズの特設サイトが設けられていて、そこには「心に響く"真実の音"」、「優れたオーディオ特性はもとより、徹底的に試聴を繰り返し、人の感性に響く音を追求した最高峰の半導体デバイス。」と唱われています。また、MUSES01のプレスリリースには、以下3つの特長が唱われています。
1.リードフレームに世界で初めて高純度の無酸素銅を採用
2.左右(L/R)のチャンネル間クロストークの徹底低減
3.数値には現れない心に響く良質な音を追求
尚、MUSESのスペックは、2016-07-09公開の「バランス方式ボリューム製作(製作編)」を参照ください。と、このように挑戦相手として不足はありません。逆に勝てるのか心配になってきました。サイト上には昨今の事情を反映して、「模倣半導体製品にご注意ください。」と注意喚起されていますが、どのように見分けたらいいか説明がありません。しかるべきルートで購入し、最後は聴いて判断するしかないのでしょうか?今回の自作がうまくいけば、このような心配も不要となります。
基本構想
ケースの加工(特にXLRコネクタ部)が大変な事と、出費を抑えるために使用中のS1502そのものを改造することとします。アンプの回路は、オーソドックスに差動2段でコンプリメンタリドライバ1段構成とします。具体的な回路は、BTL A級DCアンプのもの流用し、ドライバのトランジスタのみ変更する方針とします。
電源は低電圧ダイオード+トランジスタバッファ構成とし、能動動作をさせないことにします。具体的には、これもBTL A級DCアンプの電圧増幅段用の回路を流用します。
できれば、左右独立電源としたいとおもいますが、実装スペースを検討した上で決定します。
課題
始めに今回製作の課題を上げておきます。
1.ディスクリートアンプをボルテージフォロワとした場合の発振対策
今までやってみた事がないので、特別な対応の要否も含めてわかりません。
2.オフセット対策
真空管パワーアンプ使用時はあまり気になりませんが、BTL_A級DCアンプ使用時の出力オフセットが気になります。
3.ドライバコンプリメンタリペアの確保
自前の選別でどこまで合わせ込みができるかやってみなければわかりません。
4.4チャンネル分の実装
配置も決まった現行シャーシに、はたして4チャンネル実装できるのでしょうか?
5.MUSES01に勝る音質
だめだった場合も想定して、現行基板も再実装しやすいように端子台改造します。
それでは、ディスクリートアンプがオペアンプより音が良いという定説?が正しいか確認するため、回路設計、部品選定を進めます。
つづく(設計編)